マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(31)豆腐皮と牛肉とピーマンの四川風炒め。

2011年10月31日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
今回も豆腐皮(正式名は厚白叶 ホウ ベイ イエ)を使った料理を紹介するが、前回はあっさり味だったので、今回は逆に豆板醤を使ってピリ辛く四川風にしてみよう。

四川料理の特徴として、豆板醤を使う料理には「酒醸」(ジュウニャン)という中国の甘酒を使ったり、甜麺醤を使うことが多いが、ただ辛いのではなく、酒醸や甜麺醤が辛みを抑え、味をマイルドにしてコクを与えてくれる。

今回も写真が多いので早速、調理に掛ろう。

◆「豆腐皮と牛肉とピーマンの四川風炒め」の作り方。

1)用意する物。

写真手前の左から「牛モモ肉の細切り」「豆腐皮」。写真中央の左から「酒醸」「ピーマン」「長ネギ」「生姜」「ニンニク」「砂糖」。写真奥の左から「料理酒」「豆板醤」「コショー」「塩」「花椒油」「黒酢」。
写真に入っていないが「醤油」と「片栗粉」を用意しておく。

2)作り方。

*******野菜の下処理*******

①ニンニクをみじん切りする。


②生姜をみじん切りする。


③長ネギをみじん切りする。


④ピーマンを長さ4㎝、幅3㎜に細く切る。


⑤豆腐皮を長さ4㎝、幅5㎜に細く切る。


*******肉の下処理*******

⑥牛肉に酒小さじ2を振る。


⑦牛肉に醤油小さじ1を振る。


⑧片栗粉を薄くまぶす。


⑨牛肉をサッと炒める。


⑩皿などに上げておく。


*******豆腐皮の下処理*******

⑪鍋に湯を沸かし豆腐皮を2分程茹でる。


⑫ピーマンを入れて10秒程茹でる。


⑬ザルに上げる。


*******本調理*******

①フライパンを弱火に掛けサラダ油大さじ1を敷く。


②豆板醤を大さじ1加える。


③酒醸を加える。


③香りが出るまで炒める。


④ニンニク、生姜、ネギのみじん切りを加える。


⑤豆腐皮、ピーマンを加える。


⑥牛肉を加える。


⑦酒を大さじ1/2振る。


⑧醤油を小さじ2加える。


⑨砂糖を小さじ1加える。


⑩塩で味を整える。


⑪コショーを振る。


⑫黒酢を小さじ1加える。


⑬お好みで花椒油を小さじ1加える。


⑭皿に盛る。


⑮出来上がり。



さて、今回は最後に「花椒油」を少量加えたが、「花椒油」は中国の山椒の香りを油に移した香味油で、「麻婆豆腐」や「回鍋肉」を作る時に最後に振りかけたり、肉や魚介類の臭み消しにも使う場合もある。

今回は市販品を使ったが「花椒油」の作り方はとても簡単で、たとえば、100mlの油に20gの「花椒」(中国の山椒)をフライパンに入れ弱火に掛け、じっくりと香りを油に移したら花椒だけを取り出すだけだ。

取り出した花椒はすり鉢などで、細かく挽いておけば「花椒粉」となり、これを「麻婆豆腐」に振りかければ、「麻」(しびれる味)となる。

さて、次回は以前つくった「甜麺醤」をソースとした、「地鶏の北京ダック風」という料理を紹介しよう。









料理長が自宅で作る「簡単つまみ」(30)豆腐皮(ドウフピー)を使ったあっさり味の五目炒め。

2011年10月30日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
今回は「豆腐皮」を使った料理を紹介しようと思う。

実はこの「豆腐皮」という名前が「湯葉」(豆腐皮)と同じ呼び名というのがとても気になって、店の女性スタッフの何人かに聞いてみたのだが、「豆腐皮」でいいという。

でも、どう見てもこの豆腐シートと湯葉はまったくの別物なので、以前、中華料理の店で働いていた調理スタッフに聞いたところ、この豆腐シートは「厚白叶」(ホウ ベイ イエ)と呼ぶのだそうだ。

早速、インターネットで中国の検索サイト「百度」を検索してみたところ、火鍋のお店の具材としてこの豆腐シートが載っていたので「厚白叶」(ホウ バイ イエ)というのは間違いないようだ。

中国の場合には同じ物でも地方によっては別の呼び名になることもあり、また、豆腐を使った皮状の物はすべて「豆腐皮」で通ってしまうこともある。

そもそも、この「豆腐皮」という呼び名が本当に正しいのかどうかが気になって「百度」をもう少し調べてみると、薄いシート状の湯葉は「腐皮」(フーピー )と呼ばれ、棒状の湯葉は「腐竹」(フーチュー)と呼ぶそうだ。

そして、この豆腐シートが「厚白叶」(ホウ ベイ イエ)と呼ぶ。

結局、どれにもちゃんとした呼び名があるのだが、うちの店の女性スタッフのように若い子には、豆腐を使った皮状の物はすべて「豆腐皮」なのだろう。

さて、今回は写真が多いので早速、作ってみよう。

◆「豆腐皮を使ったあっさり味の五目炒め」の作り方

1)用意する物。

写真手前の左から「無頭海老」「ボイル済みうずらの卵」「豚肉」(モモ肉薄切り)「生姜」。写真中央の左から「豆腐皮」「ニンジン」「白菜」「しめじ」。写真奥の左から「鶏ガラスープの素」「水1カップ 200ml」「オイスターソース」「醤油」「料理酒」「片栗粉」「塩」「コショー」「砂糖」。

2)作り方。

******野菜の下処理*******

①生姜をみじん切りする。


②ニンジンを4㎝の拍子切りにする。


③しめじの石づきを切り取る。


④白菜をそぎ切りにする。


⑤豆腐皮を幅1.5㎝、長さ4㎝に切る。


*******海老の下処理*******

⑥海老をきれいに洗い背ワタを取る。


⑦海老に小さじ2の酒を振る。


⑧海老に塩を少量振る。


⑨片栗粉を薄くまぶす。


*******豚肉の下処理*******

⑩豚肉に酒を振る。


⑪豚肉に醤油を振る。


⑫豚肉に片栗粉を薄くまぶす。


*******他に準備しておく物*******

⑬水1カップに鶏ガラスープの素を入れて混ぜておく。(あまり濃い味にしないように注意しよう)


⑭水の中に片栗粉を加えて、「水溶き片栗粉」を作っておく。

*******下調理*******

①フライパンを中火に掛けてサラダ油大さじ1を敷く。


②豚肉と海老を入れて表面を焼く。(この時点では中心まで火を通さない)


③豚肉と海老を皿などに取り出しておく。


④鍋に湯を沸かし「豆腐皮」を入れて2分程茹でる。


⑤ニンジンを加える。


⑥うずらの卵を加える。


⑦ザルに上げておく。(ニンジンを加えて、直ぐにうずらの卵を加えたら、すばやくザルに上げる)


*******本調理*******

①フライパンを中火に掛けてサラダ油大さじ2を入れる。


②生姜のみじん切りを加える。


③白菜を加える。


④シメジを加える。


⑤豆腐皮とニンジンとうずらの卵を加える。


⑥酒を大さじ1加える。


⑦鶏ガラスープをまず150ml加え、後でスープが足りなければ残りを入れる。


⑧醤油を小さじ2加える。


⑨オイスターソースを小さじ2加える。


⑩豚肉と海老を入加える。


⑪塩で味を整える。


⑫コショーを振る。


⑬水溶き片栗粉でとろみをつける。


⑭皿に盛る。


⑮出来上がり。


さて、今回は「豆腐皮」(正式名は厚白叶ホウ バイ イエ)を使って、味付けはさっぱり味にしたが、オイスターソースを入れ過ぎると味が濃くなって美味しくないので少しずつ味をみながら加えよう。

次回もこの「豆腐皮」を使った料理を作ろうと思うが、味付けは「さっぱり味」の逆で「四川風のピリカ辛味」にしてみよう。














料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(29)ラムチョップの香草チーズ焼き

2011年10月29日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
今日の上海は朝から冷え込み、いよいよ本格的な冬のおとずれを感じる。

昨夜はアパートに帰ってから、冬物の衣料が入っている箱を開けて衣替えの準備をしたが、お店の方もこれからの季節は鍋が多く出るだろう。

さて、今回はワインに合う「ラムチョップの香草チーズ焼き」を作ってみよう。

「ラムチョップ」は上海のカルフールで売っているので、カルフールに行くと何パックか買ってきてアパートの冷凍庫に保存してあるが、塩を振って焼いてからわさび醤油で食べても旨いし、柚子コショーを付けて食べるのもいい。

また、クミンシードと塩を振ってから焼いて食べるのもいいが、今回は「ケチャップ」と「マスタード」と「トンカツソース」(中濃ソースでもいい)を同量ずつ混ぜたソースをラムチョップに塗ってから、香草とパルメザンチーズを混ぜたパン粉をまぶしてから少量のオリーブオイルを振ってオーブントースターでこんがりと焼くことにした。

自分が子供の頃には日本ではあまりラム肉を食べる習慣がなかったが、母親が大妻という学校の家政科を出ていることもあり、当時では変わった料理をよく作ってくれた。

ラム肉も母親がよく使っていた食材だったが、今と違い、昔のラム肉はもっとクセのある臭いがしたが、ケチャップと中濃ソースを混ぜ合わせたソースの味が、独特のラム肉の香りをうまくマスキングしていたと思う。

子供が食べるので「マスタード」は加えなかったのだと思うが、今回はマスタードも加えたソースにしよう。

ちょっと甘めの味だが、ラムチョップに合うと思うし、パン粉に加えた「パルメザンチーズ」がコクのある味にしてくれて、ワインに合うとっておきの「おつまみ」だ。

それでは早速、作ってみよう。

1)用意する物。

写真手前の左から「ラムチョップ」「生パン粉」「ニンニク」「パセリ」。写真奥の左から「オリーブオイル」「トンカツソース」「マスタード」「トマトケチャップ」「パルメザンチーズ」「イタリアンハーブミックス」「塩」

2)作り方。
①ニンニクを細かくみじん切りにする。


②パセリをみじん切りにする。


③パン粉に「イタリアンバーブミックス」を加える。


④パン粉に「パルメザンチーズ」を加える。


⑤パン粉に「ニンニクのみじん切り」を加えてよく混ぜる。


⑥「トマトケチャップ」「マスタード」「トンカツソース」(中濃ソースでもいい)を大さじ1ずつ加えてよく混ぜ合わせる。


⑦フライパンを火に掛け、大さじ1のオリーブオイルを入れる。


⑧ラムチョップを入れて焼く。


⑨塩を軽く振る。


⑩両面をキツネ色にこんがり焼いて余分な油を抜く。


⑪焼き上がったラムチョップをフライパンから取り出してまな板の上に並べソースを塗る。(両面)


⑫混ぜ合わせたパン粉をまぶす(両面)


⑬パン粉の表面に軽くオリーブオイルを塗って、オーブントースターで両面を焼く。


⑭焼き上がったらオーブントースターから取り出す。


⑮皿に盛りパセリのみじん切りを散らし、お好みでレモンを添えて出来上がり。


さて、今回は香草として「イタリアンハーブミックス」という粉末の「バジル」「オレガノ」「セージ」などを組み合わせたものを使ったが、パセリは生をみじん切りにして最後に散らして色取りをよくした。

さっとレモンを振って、骨のところを手で摘まんでむしゃぶるように食べればいいだろう。

次回は日本ではあまりお目にかからない「豆腐皮」(ドウフピー)という食材を使った料理の話をしよう。

豆腐の皮と書くが豆腐をシート状にして天日で少し乾かしたものでしっとりしている。

中国には別に「豆腐皮」と同じ名前で日本の湯葉を厚くしたような湯葉もあるが、どちらも豆腐皮と呼ぶようだ。

この豆腐皮は炒め物にもいいし、煮物や鍋に入れてもとっても美味しい。

なぜ、日本の豆腐屋にこれが無いのか不思議なぐらいだ。

(下が「豆腐皮」の写真。)












料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(28)アロス コン ポージョ <南米風 鶏の炊きこみご飯>

2011年10月28日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
今回作る「アロス コン ポージョ」だか、この料理を最初に口にしたのは、今から20年以上も前にベネズエラの「家紋」という日本料理店の「まかない」だった。

調理師学校を卒業してから、この店で働く為にパンナムでニューヨーク経由でベネズエラに行ったが、その「家紋」という日本料理店はとても繁盛していた。

今で言うセレブ御用達の日本料理店で、ベネズエラの政財界の大物や芸能人でいつも予約がいっぱいだった。

当時のべネズエラでは日本から調達できる調味料がほとんどなく、漬物はパン粉にビールと塩を入れて「ぬか床」にしていたし、豆腐なども手作りで、仕込みがいっぱいあった。

いつも仕込みに追われていた理由は、日本からの調味料がほとんどないこともあったが、もう一つは、その店の日本人の料理長が西洋料理出身者だったことだ。

とにかく、手間の掛るソースが多かった。

カニクリームコロッケだけでも、まず、「ベシャメルソース」(ホワイトソース)を作るのだが、大きな鍋で時間を掛けながら少しずつミルクを入れて作るので1時間程は掛るし、その間はシャモジで鍋をかき混ぜ続けなければならずヘトヘト状態だ。

さらに、そのカニクリームコロッケに添えるソースは、「デミグラスソース」なのだが、これは丸2日以上も掛るたいへん手間の掛るソースだった。

他にも「カレー」など、その店ではソースはどれも手間を掛けて作っていた。

当然、「まかない」などを作る時間もなく、「まかない」はキューバ人の顔の真っ黒な太ったおばさんが作っていた。

失礼な話だが、最初にこのおばちゃんに会った時には本当にビックリした。

身長は175㎝以上はあるだろうし、体重はゆうに100㎏を超えていて、何しろ真っ黒な顔で「ブッチャー」のようだった。

しかし、このおばさんは本当に心のきれいな人で、いつもやさしくしてくれた。

そして、お店の開店前には『まかないができたよ』と呼びにきてくれて、手の空いた人から地下の食堂?(倉庫)にまかないを食べに行っていた。

そのキューバ人のおばさんが作って食べさせてくれたのが「アロス コン ポージョ」だった。

スペイン語で、アロスは「米」コンは「一緒」、ポージョは「鶏」という意味で、ポージョは「ポーリョ」と発音してもいい。

彼女がこの「アロス コン ポージョ」を作っているの見ていたことがあるが、まず、鶏肉を骨付きのままブツ切りにして、フライパンで鶏肉と小さく刻んだ玉ねぎを油で炒め、米を洗わずに入れてさらに炒めてから、水とマギーブイヨンのようなチキンコンソメとかなり多めの塩を加えて、それを炊飯器に移して炊くだけだった。

かなり、良い香りがしたので他に「コリアンダー」とか香辛料を使っていたのかも知れないが、さすがに20年以上も経っているので今では覚えていない。

南米料理には肉を焼いて塩をしただけの物や、黒豆を水と油で煮て塩で味付けた物など素朴な料理が多く、おばさんの料理は残念ながら、いつもあまり美味しいとは思わなかった。

カリカリに焼いた牛のレバーは堅過ぎだったし、黒豆は豆が古いのか油のせいか、食べた後はお腹がパンパンに張って「おなら」が何度もでて困ったものだ。

ただし、おばさんの「アロス コン ポージョ」だけは、今でも食べたいと思う。

今回のレシピはおばさんのレシピとは少し違うが、「アロス コン ポージョ」の作り方を紹介しよう。

スペイン料理の技法も取り入れて、サフランを少し加えているので炊きあがりの米は食欲をそそる綺麗な色になっている。

◆「アロス コン ポージョ」<南米風 鶏の炊き込みご飯>の作り方。

1)用意する物。

写真手前の左から「地鶏のモモ肉」「クミンシード」。写真中央の左から「タイ米」「玉ネギ」「ニンニク」「万能ネギ」「サフラン」。写真奥の左から「チリパウダー」「オリーブオイル」「醤油」「白ワイン」「黒コショー」「塩」「チキンコンソメ」。

2)作り方。

*******下処理*******

①鶏肉を骨付きのまま、ブツ切りにする。


②醤油を小さじ2程入れる。


③クミンシードを小さじ1加える。


④手で揉み込む。


⑤ニンニクをみじん切りにする。


⑥玉ネギをみじん切りにする。


⑦万能ネギをみじん切りにする。


⑧フライパンを中火に掛けオイーブオイルを大さじ1入れる。


⑨鶏肉を入れる。


⑩白ワインを加えて蒸し焼きにする。(後で炊くので、両面だけを焼けばいい)


⑪皿などに上げておく。


⑫鍋に水を3カップ入れて湯を沸かし、チキンコンソメを何度かに分け味をみながら加える。


⑬サフランを指で一つかみ加える。


⑭塩を加えて味を整える。


⑮黒コショーを加える。


⑯チリパウダーを加える。(辛いのが嫌いな人は入れなくてもよい)



*******本調理*******

①鶏肉を焼いたフライパンを洗わずに再度、弱火に掛け玉ネギのみじん切りを入れる。


②ニンニクのみじん切りを加える。


③オリーブオイル(できればエクストラバージンオイル)を大さじ2程加える。


④タイ米3カップを加える。


⑤鶏肉を加える。


⑥スープを注ぐ。


⑦よく混ぜ合わせる。


⑧炊飯器に入れる。


⑨炊飯器の蓋をしてスイッチを入れる。


⑪炊きあがったら10分程むらす。


⑫炊飯器の蓋を開ける。


⑬皿に盛る。


⑭お好みで万能ネギを散らす。


さて、今回は「地鶏」を使ったので肉を軟らかく食べやすいようにする為に電気式の「圧力鍋」を使用したが、ブロイラーを使うのであれば、普通の炊飯器でもいいだろう。

また、この料理には米は洗わないで使うのが普通だが、米を洗わずに使うのは我々日本人にとっては気になるのでさっと洗ってから使用した。

尚、具材を炊飯器に入れる前にスープの味見をして、少し塩辛い位の味が炊きあがった時にちょうどよいが、塩は入れ過ぎてしまうと後はどうにもならないので、炊きあがってから塩味が足りなければ後で振ればいいだろう。

他に、お好みでスープに「バター」を加えて炊いても美味しいが、「バターライス」のような味になってしまうので、ぜひ、このレシピ通りに作って「南米の味」を味わって欲しい。

さて、今回は「おつまみ」というより「ご飯物」だったので、次回は「ラムチョップ」を使ったワインに合う「おつまみ」の話をしよう。








料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(27)マテ貝の蒸し焼き ジェノバソース

2011年10月26日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
今朝、ちょっと早起きして近くの市場に行ってきた。

この市場の入口の近くには「ニワトリ」等の生きている鶏を、柵のある籠(かご)というか檻(オリ)に入れて売っている店があるのだが、いつもこの店の前を通る時に「サーズ」は大丈夫なのか?と思い、しばらく息を止めて通り過ぎることにしている。

その生きている鶏の店をなんとか通り過ぎると乾物の店が並び、そのまま真っすぐ進んで豆腐の店を通り過ぎると、奥は広場のようになっていて、そこにはたくさんの野菜の店が集中している。

そして一番奥が魚介類売り場だ。

今日は「マテ貝」の元気に潮を吹いているのを見掛けたので、1㎏程買ってアパートに持ち帰ってきた。

砂は噛んでいないようだが、直ぐに薄い塩水を作ってその中にマテ貝を入れておいた。

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写真のように砂は噛んでいないように見えるが、薄い塩水を作ってマテ貝を入れておく。

さて、今回はこのマテ貝をどうやって食べようか?いろいろ考えてみた。

生で食べるのはマテ貝は味が淡泊過ぎるので、「酒蒸し」、「ぬた」、それとも「辛子酢味噌」。

または、バター醤油?と考えたところで、いつものオリーブオイルとニンニクと一緒に炒めようと頭に浮かんだ。

スペイン料理のタパス(おつまみ)にもNavajas a la Planchaという(マテ貝の鉄板焼き)というオリーブオイルとニンニクと白ワインで蒸し焼きした料理があるが、今回は「ジェノバソース」を使ってみることにした。

このソースはスパゲッティーを炒めて「ジェノバソース」を加えるだけで簡単に「スパゲッティ ジェノべーゼ」になるので、いつも冷蔵庫に入れてあるが、生のバジルと松の実、オリーブオイルとチーズをミキサーに入れて混ぜるだけで簡単に自宅で作ることも可能だ。

ただし、日持ちがしないので一度作ると何日も「ジェノバソース」の料理が続くことになってしまう。

冷凍保存もできるが味が落ちるので市販品を買っておくのが便利だと思う。

それでは、早速、作るが「マテ貝の淡泊の味に、この「ジェノバソース」はピッタリの組み合わせだと思う。

◆「マテ貝の蒸し焼き ジェノバソース」の作り方。

1)用意する物。

写真手前の左から「マテ貝」「ニンニク」「鷹の爪」。写真奥の左から「オリーブオイル」「塩」「黒コショー」「白ワイン」「ジェノバソース」「パルメザンチーズ」。


2)作り方。
①ニンニクをみじん切りにする。


②フライパンを弱火に掛けオリーブオイルを大さじ1入れる。


③ニンニクのみじん切りを加えて炒める。


④鷹の爪を加える。


⑥マテ貝をフライパンに並べる。


⑦塩を振る。


⑧黒コショーを振る。


⑨白ワインを大さじ1加える。


⑩蓋をして蒸し焼きする。


⑪貝が開いたらフライパンの蓋を取る。


⑫貝の片側を取り除き皿に盛る。


⑬フライパンを再度火に掛けジェノバペーストを加えて煮つめる。


⑭フライパンで煮つめたソースの味を「塩」「黒コショー」で整え、皿の上に盛ったマテ貝に掛ける。
 (ジェノバソースが足りなければ少量を加えよう)


⑮パルメザンチーズを振りかける。


⑯出来上がり。


⑰お好みでレモンを絞って食べる。


日本料理店で仕事をしていることもあってか、また、人生の半分以上を海外で生活しているせいか、自宅に帰ってまずはビールという時には、日本料理よりもこういう「タパス」を作ることが多い。

このブログでは料理の紹介の時に写真が多いので、難しそうに見えるかも知れないが、たいていは10分も掛らずに作っている。

簡単に美味しい「おつまみ」を作るポイントは、冷蔵庫にある残り物でも素材とソースの組み合わせだと思う。

今回の料理も「バジルペースト」を加えただけで、スペインのNavajas a la Planchaという(マテ貝の鉄板焼き)より、数段と美味しくなっている。

さて、先日、上海で同じく料理店の仕事をしいる友人が「サフラン」を見付けて持ってきてくれた。

南米のある料理を久しぶりに食べたくて「サフラン」を上海で探していたのだが見つからず、先日、その友人と食事をした時にサフランの話しをしたところ、上海の「City スーパー」で1個だけ売っていたとのことだった。

次回は、このサフランを使った南米料理の話をしよう。


友人が持って来てくれた「サフラン」の写真。


料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(26)トントロのイタリア風 バジル焼き

2011年10月24日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
今週の月曜日の午後、虹橋1号店のフーさんという中国人女性マネージャーから座敷の「座布団」を60枚買いたいので一緒に行ってくれませんか?との依頼があり、上海で一番大きな家具やリビング用品、ベットやシーツやカーテンなどを販売している市場に行ってきた。

座布団を選ぶなど、誰にでもできると思うのだが、やはり中国人と日本人ではデザインや色の好みが違うので、彼女が選んで、後から皆にセンスの悪さを指摘されるのが怖かったようだ。

市場には、いろいろな種類の座布団があって迷ったが、ベージュ色の落ちついた色の座布団を選んで決めたら、今度は彼女が価格交渉を始めることになる。

中国では大きなデパートとか「METRO」などの量販店では「定価」販売だが、他の小さな商店では定価などは存在しない。

すべてが価格交渉で、最初に店の店員が言った価格の半分位まで落とせることはザラにある。

気に入った座布団は最初、1枚が35元だと店員が話したので、彼女は「太貴了」(タイグイラ)高過ぎると早速、価格交渉の1ラウンドのゴングがなった。

何か知らないが大きな声での店員とのやりとりを黙って見ていたが、60枚まとめて買うと言っても結局、22元までしかまけられないらしい。

そこで、その店を離れて違う店に行って、また、同じように価格交渉のやりとりが始まる。

そして、何軒目かの店で価格を18元まで落とせたので、その店で買う事に決めたら、今度は60枚も在庫が無く今は10枚しか無いと言い、次はいつ入荷するかも分からないという。

まったく呆れてしまって話しにもならないが、最初の店に戻って他の店で18元で売っていたと話したら、今度はあっさり18元でいいと言う。

さっきまで、絶対に22元までにしかまけられないと言っていたのが、この替わり身はいったいなんなんだろう。

たぶん、この店で価格交渉に掛けた時間だけでも、トータルで30分以上になるだろう。

この国の人間には「Time is money」という考え方はないのであろうか?

とことんあきれかえって、また、別の店を見て歩いていると同じ商品があったので、まず「在庫があるか?」を確認してから価格交渉に入れとうちの店のスタッフ(フーさん)に伝えた。

そして、店の店員に在庫を確認したところ、ちゃんと60枚ありますとのことだった。

その店でも思った通り価格交渉は35元から始まったのだが、驚いたことに60枚買えば、1枚たったの12元でいいとのことだ。

いったい、この国の価格体系とはいったいどうなっているんだい。

しかし、35元が12元で買えたのだから「良かったな」と内心ほくそ笑んでいたら、商品を倉庫に取りに行くので30分待って欲しいとのことで、しかたなく待つことにした。

しかし、30分経っても40分待っても商品が来ない。いいかげんにしびれを切らしていたころに、男の店員が大きな袋を持って戻ってきた。

そして、その座布団を数えると何と30枚しかないのだ。

最初に『ちゃんと60枚あります。』って言ったじゃないか!

店員は『もう要らない』と言われるのが怖いのか、『残りの30枚は明日宅配便で送るから、絶対に送るから』と今度は拝み倒しだ。

ここで、60枚分の全額のお金を支払って、残りの30枚が届かなかったらどうしよう?と思ったが、この市場に来て、既に2時間半も経っている。たった60枚の座布団を買う為にいったい幾つの店を見て廻り価格交渉を繰り返したのか。

もう、他の店を見て廻る気力も体力もなくなり、その店で全額の代金を支払い30枚だけを店に持ち帰ったが、今日、残りの30枚もちゃんと店に届きホッとしている。

この国で、彼らと同じように価格交渉をしながら生活するには、もの凄いパワーがないととてもついて行けないし、日本式の考えは通用しないと改めて感じた。

もし、1人で買い物に来ていたら、35元が25元になれば、店員に「謝謝」(シェシェ)とか言っていただろうし、もし、20元にでもなれば「非常感謝」(ヘイチャンガンシエ)などと言って喜んでいただろう。

35元が12元になるとは日本の常識では考えられないし、中国での買い物は日本人が1人で行ったら絶対ダメだ。

さて、今回は「トントロ」に塩、コショーして、粉末バジルを振って焼いてイタリア風にしてみようと思う。

「トントロ」は塩を振ってさっと焼いてから「柚子コショー」や「わさび」を付けて食べたり、バター醤油焼きも美味しいが、バジルはトントロには一番合うような気がする。

ワインだけではなく、冷酒(日本酒)にも合うので、一度試してみて欲しい。

◆「トントロのイタリア風 バジル焼き」の作り方。

1)用意する物。

写真手前の左から「トントロのスライス」「ニンニク」「レモン」。写真奥の左から「醤油」「オリーブオイル」「粉末バジル」「塩」「黒コショー」。

2)作り方。
①ニンニクをみじん切りにする。


②トントロに塩を振る。


③トントロに黒コショーを振る。


④フライパンを中火に掛けて、オリーブオイルを大さじ1入れる。


⑤ニンニクのみじん切りを加えて香りをだす。(ニンニクを焦がさないように注意しよう)


⑥トントロをフライパンに並べて焼く。


⑦両面を焼いたら粉末バジルを散らす。(お好みで醤油を小さじ1加える)


⑧皿に盛ってレモンを添えて出来上がり。


さてバジルだが、この調味料を加えたとたんにイタリア料理っぽくなるから不思議だ。

バジルは粉末でなくて、生のバジルに松の身やオリーブオイル、それにチーズなどを加えてミキサーに掛けると「ジェノバソース」になり、このソースを使った料理は「ジェノベーゼ」(ジェノバ風の)と呼ばれることが多いが、名前の由来はこのソースがイタリアのジェノバ(Genova)という県でうまれたからだ。

パスタを茹でてから、この「ジェノバソース」を加えて炒めると「スパゲッティー ジェノベーゼ」になるが、とても手軽に作れて美味しい。

また「ジェノバソース」は、パスタ以外にも茹でたり焼いたりした「ジャガイモ」にこのソースを掛けてもいいし、白身の魚のムニエルのソースとして、また、パンにそのまま塗れば速攻でワインのつまみにもなる。

さて、次回は市販の「ジェノバソース」を使ったちょっと以外な食材の料理の話をしよう。

市販の「ジェノバソース」の写真。




料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(25)牛タンを焼いて(中華風ネギ塩ダレ)で食べる。

2011年10月23日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
昨日、自宅に帰ってテレビでCCTVニュースを見ていたら、タイの洪水の様子が映しだされていた。

まさか、バンコクは大丈夫だと思っていたが、タイのプミポン国王が入院しているバンコク市内の病院にまで洪水が押し寄せているようだ。

タイには以前、3年程住んでいたこことがあるが、タイ人は皆、プミポン国王が大好きなので自分のことよりきっとプミポン国王の心配をしていることだろう。

今年は日本でも大震災があったりとたいへんな年だが、今度はトルコで大震災と、空からは大雨、地面では大地震といったいいつまで続くのだろうか。

さて、今回の「料理長が自宅で作る簡単おつまみ」は、とっておきの「中華風ネギ塩ダレ」を紹介しよう。

今回は牛タンをさっと焼いて、その上にこの「中華風ネギ塩ダレ」を掛けるが、鶏肉等も焼いたり蒸したりして、この塩ダレを付けて食べると美味しい。

まずは、一回分の配合を書こう。

万能ネギ   2~3本
料理酒    大さじ2
水       大さじ4
塩       大さじ1/2
ニンニク    2カケ
ゴマ油     大さじ1+1/2(大さじ1.5)
炒りゴマ    大さじ1
黒コショー   少々

1)用意する物。

写真の手前「万能ネギ」。写真中央の左から「牛タンスライス」「ニンニクのみじん切り」。写真奥の左から「料理酒」「ゴマ油」「水」「塩」「黒コショー」「炒りゴマ」。

2)作り方。
①万能ネギを小口切りする。


②容器にニンニクのみじん切りを入れる。


③料理酒を大さじ2加える。


④水を大さじ4加える。


⑤塩を大さじ1/2加える。


⑥ゴマ油を大さじ1+1/2(大さじ1.5)加える。


⑦黒コショーを加える。


⑧万能ネギを加える。


⑨炒りゴマ大さじ1を加えてよく混ぜ合わせる。


⑩フライパンを中火に掛けてサラダ油を大さじ1入れる。


⑪フライパンに牛タンを並べる。


⑫まずは表面を焼く。


⑬裏面も焼く。


⑭皿に盛る。


⑮中華風ネギ塩ダレを牛タンの上にかける。


⑯たっぷりのレモンを絞って食べる。


さて、次回の「料理長が自宅で作る簡単おつまみ」だが、「トントロ」を使った料理にしよう。

「トントロ」はサッと焼いてから、この「中華風ネギ塩ダレ」で食べても旨いし、塩、コショーしてバター醤油で焼いて食べても旨いが、ちょっと変わった料理を紹介をしよう。








料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(24)回鍋肉(ホイ グゥオ ロウ)

2011年10月23日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
今日の上海は朝からどんよりと曇った空で小雨が降り肌寒く、いよいよセーターを着込む季節となった。

久しぶりに大連に行って昨夜の便で上海に戻ったが、昨日の大連は快晴で爽快な気分だった。

大連は三方を海に囲まれ、綺麗な青空と輝く海と澄んだ空気がとても似合う街だと思う。

そんな大連では「和さ美」1号店の立ち上げから3年間を過ごしたが、上海人に比べ大連人には「親日」の人が多く、大連に行くと我が家に帰ったようにとてもリラックスした気分になれる。

さて、前回は自家製の甜麺醤と、李錦記の豆板醤を使って「厚揚げ豆腐のピリ辛炒め」を作ったが、今回は日本人には甜麺醤を使った料理としてはたぶん一番良く知られている「回鍋肉」を作ってみよう。

実はこのレシピは2008年にもこのブログでレシピを紹介しているので、本格的に作りたい場合は「中華料理」のカテゴリーから「回帰鍋」を探して欲しい。

今回は「料理長が自宅でつくる簡単おつまみ」なので、時間が掛らないように豚バラ肉の塊を茹でてからスライスするのではなく、既にスライスしてある豚バラ肉を使用した。

だだし、黒大豆を発酵させた「豆豉」(ドウチ)、中国の甘酒「酒醸」(ジュウニャン)、それに「泡椒](バオジャオ)という青唐辛子の酢漬(ピクルス)など、調味料は手抜きせずにちゃんと加えている。

美味しい料理は、美味しい調味料を使い、旨みの相乗効果で味に深みやコクがでてくるので、価格が安いからとチープな調味料を使ったら、どんな腕のある料理人でも美味しい料理を作ることは決してできないだろう。

今は日本でもたいていの中国食材は入手できると思うので、なるべくレシピ通りの調味料を使って欲しい。

それでは、早速作ってみよう。

◆肉鍋肉(ホイ グゥオ ロウ」の作り方。

1)用意する物。

写真手前の左から、「長ネギ」「ニラ」「豚バラ肉スライス」「泡椒」「ニンニク」「生姜」。写真中央の左から、「キャベツ」「豆豉」「自家製の甜麺醤」「酒醸」。写真奥の左から「料理酒」「醤油」「塩」「コショー」「豆板醤」「砂糖」それに写真には無いが炒め用として「サラダ油」を用意しよう。

2)作り方。

*******下処理*******

①生姜をみじん切りにする。


②ニンニクをみじん切りにする。


③泡椒を粗めのみじん切りにする。


④豆豉をみじん切りにする。


⑤ニラを3~4㎝幅に切る。


⑥長ネギを斜めスライス、又は乱切りにする。


⑦キャベツを食べやすいように4㎝角に切る、芯のところは薄くスライスする。


⑧フライパンを中火に掛けサラダ油を大さじ1入れて、キャベツを火を通し過ぎないよう硬めに炒める。


⑨皿などに移しておく。


⑩キャベツを炒めたフライパンを中火に掛け、サラダ油を少し(小さじ1程度)足して豚バラ肉のスライスを焼く。


⑪両側を少しキツネ色の焦げ目が付くようにじっくり焼いて、余分な油を抜く。


⑫キャベツを入れた皿に移す。


*******本調理*******

①フライパンを弱火に掛けて、サラダ油大さじ1を入れて、ニンニク、生姜を炒める。


②ニンニク、生姜を焦がさないように炒め、豆板醤大さじ1を加える。


③甜麺醤も加えて更に炒める。


④香りが立ってきたら、豆豉を加える。


⑤更に、泡椒を加えて炒める。


⑥火を弱火から中火にしてフライパンを熱くしてから、皿に入れておいたキャベツと肉をフライパン(鍋)に戻す。


⑦長ネギを加える。


⑧酒を大さじ1振って更に炒める。


⑨醤油を小さじ1加える。


⑩味を見て砂糖を加える。(お好みでコショーを振る。)


⑪ニラを加える。


⑫皿に盛って出来上がり。


さて、今回は写真を撮る為に手間取ってしまい、キャべつを炒め過ぎてしまった。

キャベツと肉をフライパン(鍋)に戻す前に、フライパンを十分に加熱しておいて、キャベツにシャキッとした食感が少し残る位に炒めよう。

また、長ネギも食感と香りを残したいので後から加えたが、最初にキャベツと一緒に炒めてもいいだろう。

尚、辛いのが苦手の人は豆板醤の量を減らして甜麺醤を増やせばいいし、逆に辛いのが好きな人は、「花椒油」(フゥア ジャオ ヨウ)という花椒(山椒)の香りが効いた辛い油を最後に入れよう。

「花椒油」は「麻婆豆腐」にもよく使われるので、日本でもたいていの中華食材店なら見つかると思う。

さて、次回の「料理長が自宅で作る簡単おつまみ」は、中華風の「塩ダレ」を紹介しよう。

このタレを「さっと焼いた牛タン」等に乗せて食べると、ビールのおつまみにとても合うし、牛タン以外にも鶏肉等にも使えるとっても美味しい万能のタレだ。







「鯖の味噌煮」は、鯖を焼いてから煮ると皮目が綺麗に仕上がる。(10月の日替わりランチ)

2011年10月20日 | 日替わりランチ
前回に続き、今回も自家製の「甜麺醤」と、「豆板醤」を使った中華料理を紹介しようと思っていたのだが、今月の「日替わりランチ」に新たに加えた新メニューの「鯖の味噌煮」がとても好評のようなので、そのレシピを紹介しよう。

10月1日~7日までの「国慶節」は、日本人の客さんは日本に帰るか旅行に出かけるのかで少なく、中国人のお客様は家族揃って食事という場合には中華料理店に行くので暇な日が続いたが、国慶節明けからは、またいつものように連日、たくさんのお客様に来ていただいて満席の日が続いている。

特に平日の「日替わりランチ」はとても好評で、席がなくて入れないお客様が毎日30人以上もあり、せっかくお店に来てくれたお客様には申し訳ない気持ちだ。

下が、今月の日替わりランチのメニューの写真。

店の立地場所がオフィース街なので、土曜、日曜のランチタイムはお客様が少ないが、「松花堂」や「和さ美御膳」を土曜、日曜に安く提供することで、土曜、日曜の客数は以前より増えている。

今月の日替わりランチはどの料理も好評だが、「鯖の味噌煮」の作り方は未だ紹介してなかったと思うので、調味料の配合と一緒に作り方を紹介しよう。

「鯖の味噌煮」を煮くずれしないように、また、皮目を綺麗に仕上げ、4分以内にお客様へ提供する為に考えた調理法が、フライパンであらかじめ鯖を身の方から焼いて、次に皮をこんがり綺麗に焼いて、軽く火を通しておいた焼き鯖を蒸し煮するという方法だ。

鯖が大きい場合には3枚におろしたら更に半分にして、また、身が厚い時には斜め十文字に包丁を入れ火が通りやすいようにしよう。

◆「鯖の味噌煮」の作り方

鯖の味噌煮の調味料の配合

水    1000CC
酒    500CC
みりん 500CC
砂糖  400g
醤油  150CC
味噌  500g
(全部を混ぜ合わせておく)

①鯖を半分に切り、斜め十文字に包丁を入れる。

②生姜の半分は薄くスライスし、残りの半分は千切り(針生姜)にする。

③テフロン加工のフライパンを中火に掛け、うすくサラダ油を敷き、鯖をフライパンに入るだけ並べる。
(まずは身の方から焼き、裏返して皮にこんがり色を付ける。

④鯖をフライパンから取り出す。

⑤新たにテフロン加工のフライパンを中火に掛け、鯖を入れたら鯖の1/2位の高さまで合わせ調味料を入れ蓋をして3分程、蒸し煮にする。

⑥フライパンの蓋を取り、煮汁を鯖にかけながら煮詰めていく。(冷めると煮汁が濃くなるので、少し薄い位でよい。)

⑦鯖を皿に盛り、煮汁を上からかけて、天に「針生姜」を盛る。

鯖の味噌煮に使う味噌は、白味噌でも赤味噌でも好みでいいが、できれば2種類以上の味噌を混ぜると味に特徴が出てきて、「手前味噌」ではないが自分だけのオリジナルの鯖の味噌煮になるだろう。

ちなみに、うちの店では通常は「あいちの赤だし」が3割、「白味噌」7割を混ぜて使っている。

さて、先程、大連店から連絡があり1000人規模のバンケ(パーティー)の予約が入ったので、急遽、明日の朝一の便で大連に行くことになった。

どこかの高級マンション郡のお披露目パーティーのようだが、会場の視察をしてメニューの打ち合わせをすることになる。

3日程で上海に戻れると思うが、それまでブログもお休みさせてもらう。

さて、次回はちゃんと自家製の「甜麺醤」と、「豆板醤」を使った料理の話をしよう。




料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(23)家常豆腐 [厚揚げ豆腐のピリ辛炒め]

2011年10月19日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
今回は「家常豆腐」と呼ばれる四川省では「麻婆豆腐」と同じように家庭料理でよく作る料理を紹介するが、前回、八丁味噌を使って手作りした「甜麺醤」(テンメンジャン)を使ってみよう。

写真が多いので、早速始めよう。

◆家常豆腐 [厚揚げ豆腐のピリ辛炒め]の作り方。

1)用意するもの。

写真手前の左から「しめじ」「生姜」「ニンニク」「豚ひき肉」「ピリ辛メンマ」「鶏ガラスープ」。写真中央手前「万能ネギ」「長ネギ」。写真奥手前の左から「厚揚げ豆腐」「自家製 甜麺醤」「豆板醤」「砂糖」。写真奥の左から「ゴマ油」「片栗粉」「醤油」「酒」「サラダオイル」。

2)作り方。

******* 厚揚げ豆腐と野菜の下処理 *******

①厚揚げをさっと茹でて表面の油を抜く。


②ザルに上げて水切りする。


③厚揚げを1㎝幅に切る。


④長ネギを縦に包丁を入れて5㎜四方に切る。


⑤ニンニクを粗いみじん切りにする。


⑤生姜を粗いみじん切りにする。


⑦しめじの石ずきを切り取る。


⑧万能ネギを小口切りにする。


******* 厚揚げの準備 *******

①フライパンを弱火に掛けてゴマ油大さじ1を入れる。


②サラダ油大さじ1を加える。


③厚揚げ豆腐を加えて焼く。


④両面をこんがり焼く。


⑤フライパンから取り出して皿などに置く。


******* 本調理 *******

①新たにフライパンにサラダ油を大さじ1入れる。


②豚ひき肉を加えて炒める。


③ニンニク、生姜を加える。


④甜麺醤大さじ1を加えてよく炒める。


⑤豆板醤大さじ1を加えて香りを出す。


⑥酒を大さじ1加える。


⑦醤油を小さじ1加える。(醤油を加えた後、お好みでコショーを振る)


⑧厚揚げを加える。


⑨味をみて甘みが足りなければ砂糖を加える。

⑩長ネギを加える。


⑪しめじを加える。


⑫ピリ辛メンマを加える。


⑬鶏ガラスープ(水+粉末鶏ガラスープの素)を200ml加える。


⑭3分程煮込んでから水溶き片栗粉を加えてとろみを付ける。


⑮皿に盛り、万能ネギを上から散らして出来上がり。


鶏ガラスープの量だが火が強いと直ぐに煮詰まってしまうので、その場合には更に「水」を100ml程加えよう。(市販の鶏ガラスープの素は塩辛いので、追加の水には鶏ガラスープの素は入れない)

さて、次回も「甜麺醤」と「豆板醤」を使った中華料理の話をしよう。




料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(22)甜麺醤(テンメンジャン)を手作りしよう。

2011年10月17日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
今回の「料理長が自宅で作る簡単おつまみ」は「厚揚げ豆腐のピリ辛煮込み」という、中国の家庭料理を紹介する予定だったのだが、まずは「甜麺醤」(テンメンジャン)を手作りすることにしよう。

この料理は中国語では「家常豆腐」と呼ばれ、四川省では「麻婆豆腐」と並び「家常豆腐」はその名の通り、家で常に(いつも)作る家庭料理だが、ピリッと辛い味がビールにも合って「おつまみ」にしても美味しい。

この料理に使う主な調味料は、「豆板醤」と「甜麺醤」だが、「豆板醤」は少し塩辛いが香りが良いので「李錦記」の物を使っている。


そして「甜麺醤」だが「甜麺醤」は甘くて(甜)そして原料は小麦(麺)から作った味噌(醤)なので「甜麺醤」と言うが、炒め物や煮ものに使うと香りがいいので、麻婆豆腐や回鍋肉などにも使うことが多い。

実はこの「甜麺醤」だが、中国ではもっとポピュラーでどこでも買えるのかと思っていたのだが、美味しい「甜麺醤」がなかなか見つからない。

しかたなく、以前は日本から運んでいたのだが、今は天津の日本の調味料メーカーが日本向けに作っている「甜麺醤」と「豆板醤」を少し分けてもらって店では使っている。

また、「甜麺醤」は李錦記が「上海式甘醤」という商品を出していて、たまに上海の高級スーパーで見かけるが、甘さはあまり感じず醤油の味がきつい。


今回は、この「甜麺醤」を手作りするが、作り方はとても簡単で、鍋やフライパンに「八丁味噌」「砂糖」「醤油」「酒」を同量ずつ入れて中火で練り上げるだけだ。

30分位して粘度が出てくると、熱い味噌が辺りに飛び散り、飛び散った味噌が腕や顔に付くと火傷をするので気を付けよう。

また、耳たぶ位の堅さになってくると鍋底が焦げ付きやすくなるので弱火にし、しゃもじでかき混ぜながら鍋底を焦がさないように気を付けよう。

それでは、早速、作ってみよう。


◆自家製の甜面醤の作り方。

1)用意する物。

写真手前の左から「八丁味噌」「砂糖」。写真奥の左から「醤油」「料理酒」「ゴマ油」。

2)作り方。(写真の計量カップは300mlまで計れる)
①味噌を計量カップの200mlまで入れて、フライパンに入れる。


②砂糖を計量カップの200mlまで入れて、フライパンに加える。


③醤油を計量カップの200mlまで入れて、フライパンに加える。


④料理酒を計量カップの200mlまで入れて、フライパンに加える。


⑤中火に掛けて、30分~40分しゃもじで練り上げる。


⑥耳たぶ位の堅さまで練る。


⑦ゴマ油を大さじ1程加える。


⑧よくかき混ぜる。


⑨容器に移す。


⑩冷めたら蓋をして冷蔵庫で保管する。


今回の配合だと出来上がりが「李錦記」の「甜麺醤」と同じように「あまり甘くない」と感じると思うが、調味料として使うので、甘味が足りなければ料理を作る時に「砂糖」「や「味醂」を加えればいい。

それでも甘い方が好きならば砂糖を50g程多めに加えればよいが、あまり甘過ぎると下品な味になってしまう。

さて、「甜麺醤」の用意ができたので、次回は「厚揚げ豆腐のピリ辛煮込み」を作るとしよう。








料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(21)ボイル甘えび

2011年10月17日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
今、日本にはグリーンランドや北欧、カナダ等から刺身用の甘えびがたくさん輸入されて、スーパーの魚売り場で買う事もできるし回転寿司などでも気軽に食べることができるが、甘えびを最初に刺身用に加工して日本に輸入したのが、日本の水産会社の「スクーナー」で今から30年程前のことだ。

デンマーク領の「グリーンランド」で現地のエスキモーを使い「刺身用の甘えび」を開発してスクーナー社が日本に甘えびを輸入するまでは、甘えびはすべてヨーロッパ向けにボイル加工されていた。

スクーナー社は「刺身用甘えび」で日本市場を開拓して、グリーンランドの発展に大きな貢献をしたことから、1995年にグリーンランド政府より最高名誉勲章「ナサナット・イン・ゴールド」を受賞している。

実はこの「ボイル甘えび」には、ちょっとした思い出がある。

20年以上も前の事だか、ヨーロッパに住んでいた頃、マグロの仕事がしたくて「ベルギー田川」を辞めて、ベルギーの首都ブラッセルにある、「MarProduct」という水産会社に就職した。

会社からは、2トントラックを1台与えられて、注文を取るのも配達も全部1人でやっていた。

自分の担当はアジアで、「日本料理店」「中国料理店」「インド料理店」「ベトナム料理店」等を担当していた。

当時は日本がバブルの頃でもあり、また、「高級中国料理店」や「インド料理店」が「大きなサイズの海老」など、高い商材をたくさん買ってくれていた。

特に、マグロは当時でも高かったので、売上も利益もいつもダントツだった。

自分の担当はアジアだったが、他に「スペイン料理店」担当、「イタリア料理店」担当、「フラマン料理店」担当等、何人かのセールスマネージャーがいて、それぞれ小さかったが自分の部屋と2トントラックを会社から与えられていた。

夕方になると会社の大型トラックが、フランスのランジスという中央卸売市場に魚を買い付けに行き、明け方に戻ってくるので、荷物をそれぞれの販売先に仕分けして配達することになる。

だいたい、朝の10時頃には販売先の「日本料理店」や「高級中華料理店」等へ運ぶ荷物をトラックに積んで、伝票を書いて配達に行くが、高い商材ばかりを扱っていたので、早い時には午後の3時には配達を終えて会社に戻ってくることがあった。

そうすると、「スペイン料理店」担当の荷物が、まだ山積みで会社の前に残っている。

それは、4㎏のトロ箱入りの「イワシ」や「冷凍のボイル甘えび」など、安い魚ばかりで、そういう安い魚の注文ばかりが多くて1回で荷物を配達することができずに何度かに分けて運んでいるのだ。

時には2トントラック1台分の「イワシ」や「冷凍のボイル甘えび」よりも、マグロ1本の売上の方が高い時もあり、夜遅くまで配達をしているのを見ると気の毒な気持ちになってしまう。

そこで、こちらの配達が早く終わって会社に戻った時には、配達を手伝ってあげることがしばしばあった。

会社の同僚は、モロッコ人やスペイン人やオランダ人など国籍は様々だったが、皆とてもいい奴で配達を手伝うのは仲間として当然のことだった。

手伝いの配達も最後になってくると、日本人が配達に来るのが珍しいのか、魚の配達先の「スペイン料理店」でオーナーから『一杯飲んでけ』と誘われることになる。

こちらも酒は嫌いではないので、ご相伴にあずかるのだが、そんな時にビールのおつまみに出してくれたのが「ボイル甘えび」だった。

「冷凍のボイル甘えび」の箱は毎日、会社で見ていたが実際に食べたことはなかったが、一つ、つまんで食べてみると、これが「やめられない、止まらない」のだ。

最近は日本でも「ボイル甘えび」が売られているようなので、まだ食べたことがない人には絶対におすすめしたい。

「ボイル甘えび」は上海でも大きなスーパーに行けばどこでも買えるが、「カルフール」に行くと「真空パック」入りがあるのでそれを買って、自宅の冷凍庫にはいつも2袋程入っている。

下がカルフールで購入した「冷凍甘えび」の写真。


食べ方はとても簡単で、皿の上に乗せてラップをして、電子レンジで1分程チンするだけだ。

塩味もついているので、そのまま食べられる。(加熱し過ぎると堅くなるので注意しよう)

さて、この「ボイル甘えび」だが、焼いて食べても美味しいが、今回、オリーブオイルで「揚げ焼き」した料理をもう一品紹介しよう。

◆「甘えびのオリーブオイル揚げ」の作り方。

1)用意するもの。
「ボイル甘えび」「オリーブオイル」「塩」

2)作り方。
①フライパンを中火に掛けて、オリーブオイルを多めに入れる。


②両面をこんがり揚げる。


③塩を振る。


④皿に盛ってレモンを添えて出来上がり。


頭から尻尾まで甘えびの美味しさを食べ尽そう。

さて、「料理長が自宅で作る簡単おつまみ」だが、中華料理を未だに紹介していないようなので、次回は中華料理にしてみよう。








料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(21)白魚のオリーブオイル煮

2011年10月16日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
先日、いつものようにスーパーに食材の買い出しに行ったら、「白魚」を見掛けたので買ってきた。

たぶん冷凍の白魚を解凍して販売しているのだと思うが、薬品処理はしていないようだ。

以前、この白魚を「軍艦寿司」用のネタに加工して欲しいと、日本の大手回転寿司チェーンからの依頼があり、中国の「江蘇省」等を見て廻ったが、白魚の販売業者の多くが既に日本向けに白魚をたくさん輸出していて、こちらが欲しい「3㎝~4㎝」サイズだけでは売らないと言われたことがある。

白魚は大きなサイズでは、10㎝を超える物があり、このサイズではとても軍艦寿司には使えないだろ。

幾つかのサイズのサンプルを少量ずつもらって家に帰り試食をしてみたのだが、大量の「ソルビット」(添加物)が使われていた。(かなり甘い味がするので食べてみれば直ぐに分かる)

「ソルビット」(ソルビトールとも言う)の使用目的としては、「水分を保持」するので、冷凍しても重量が変わらず、また、解凍後も「食感を保持」し、そして「甘い味を付ける」為だと思われる。

ただし、中国では白魚の殺菌の為に「ホルマリン」を使用している業者もあるようで、たびたび、日本の通関検査で中国からの白魚に「ホルムアルデヒド」が検出されている。

「ホルマリン」は消毒薬にも使われているが、ホルムアルデヒドが35%~38%含まれた水溶液がホルマリンで、食品への使用は禁止されているが、手軽に入手できるのでこれを使う業者が後を絶たないようだ。

尚、白魚と言えば、今年の5月頃に中国の江蘇省で、偽物の「白魚」が見つかっている。

この偽物の「白魚」は泰州市の魚市場で、白魚を購入した消費者が変だと思い、市の衛生部門に持ち込み、品質検査をしたところ魚でないことが分かったようだ。

どのような原料でこの偽物の白魚が作られたかは、今も調査中のようだが、シリコンとか何かプラスチックの材料等が含まれているようだ。

今回、スーパーで買ってきた「白魚」にも何か添加物が含まれているのではないかと思い、家に帰り臭いを嗅いでから少量を生のまま口に含んでみたが、ただ、冷凍を解凍しただけで添加物は何も使われていないようだ。

さて、この白魚をどのように調理しようかと考えて、白魚を出汁でサッと煮て絹さやと卵を加えて「卵とじ」にしようかとも思ったのだが、「白魚のオリーブオイル煮」にすることにした。

この料理はスペイン料理の「ウナギの稚魚のオリーブオイル煮」のウナギの代わりに白魚を使ったものだが、「生しらす」などで作るともっと本場の味に近くなるだろう。

実はこの「ウナギの稚魚のオリーブオイル煮」には忘れられない思い出がある。

20年以上も前のことだが、ヨーロッパに10年程住んでいた頃、夏は地中海沿岸の海に太陽を浴びに行き、年末から正月の休みは、イタリヤやスペインやポルトガル等に行き美味しいレストラン巡りをしていた。

特に楽しかったのはイタリアで、「ダ、メオパタカ」等の高級レストランに12月31日に予約を入れておくと、食事が終わって24時前に新年へのカウントダウンが始まり、新年になるとお客さんどうしが皆、誰かまわずキスをして朝まで踊ったり歌ったりと本当に楽しかったものだ。

ある年にはスペインで新年を迎えることになり、朝までのダンスは無いが、スペイン広場の近くの「バハマール」(干潮)というマドリッドでも魚介料理で有名なレストランを予約した。

その店には「ベルギー田川」の先輩と一緒に行ったが、高級店なのでちゃんとスーツにネクタイはお決まりだ。

そして、「バハマール」でお目当ての「ウナギの稚魚のオリーブオイル煮」という料理を生まれて初めて食べたが、オリーブオイルで熱々に煮たウナギの稚魚を木製のフォークで食べるという食べ方も面白く、何よりとても美味しかった。

この「バハマール」では奮発していろいろな料理を頼んだのだが、「ソーパ デ マリスコス」(魚介のスープ)が運ばれてきて、口にして『オヤッ?』と思った

とても「塩辛い」のだ。ちょっと塩辛いどころでなく、かなり塩辛い。

そして、次に運ばれてきたのが「サルスエラ」(魚介の煮込み)だったが、この料理は「塩辛い」を超えて、まるで塩を食べているようだった。

料理店に行って味のことで文句を言ったのは、この時1回きりだが、マネージャーを呼んでスペイン語で「塩辛過ぎる」と言ったところ、マネージャーはそのサルスエラの皿を持って厨房に行き、5分位経ってから皿を持ったまま戻ってきてこう言った。

『この料理は塩辛いのではなく、強いのです』

こちらもあきれてしまって、後は何も言わずに支払いを済ませてホテルに戻ったが、あの料理を「強い」と言い切った料理人(シェフ)のプライドには勉強させられることが多い。

我々料理人は毎日料理を作っているが、上海に来たら少し甘めの味とか、お客様の好みに味を合わせてしまうこともある。

お客が塩辛いと言おうが何と言おうが「これが俺の味だ!」と言い切れるプライドに屈服させられた思いだ。

さて、また話が長くなってしまったので、ウナギの稚魚の代わりに白魚を使ってオリーブオイル煮を作ってみよう。

◆「白魚のオリーブオイル煮」の作り方。

1)用意する物。

写真手前の左から「白魚」「ニンニク」「鷹の爪」。写真奥の左から「塩」「オリーブオイル」「黒コショー」。

2)作り方。
①ニンニクをスライスする。


②フライパンを弱火に掛け「オリーブオイル」を入れる。


③鷹の爪を加えて香りを出す。


④ニンニクを加える(焦がさないように注意しよう)


⑤白魚を加える。


⑥塩を振る。


⑤コショーを振る。


⑥2~3分煮込む。


⑦皿に盛ってパンを添える。


さて、今回も「エクストラバージンオイル」をたくさん使って、ニンニクもたくさん加えているが、ニンニクオイルをパンに付けていっぱい食べたいからだ。

メタボになると知りながら、ニンニクオイルを付けるとパンが美味しく、ついつい食べ過ぎてしまう。

さて、次回は「ボイル甘エビ」を使った「超簡単おつまみ」の話をしよう。
















料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(20)本場のトムヤムクン

2011年10月14日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
今から5年程前だが、タイに3年程住んでいたことがある。

プーケットにマグロの加工工場があり、プーケットとバンコクを行き来していたのだが、バンコクに滞在している時には夜は日本料理店で料理の指導をしていた。

その店はバンコクでも日本料理店やクラブが多く集まる「タニア通り」という場所にあったのだが、オフィース街に近い為に、土曜、日曜日のランチタイムはお客さんが少なく夜だけの営業だった。

そこで、いろいろなタイ料理店を食べ歩いたり、自分でもタイ料理を作ってタイ料理を勉強していた。

タイ料理で特に好きだったのはソムタムという「青パパイヤのサラダ」で、辛さと、酸っぱさと甘さが口の中にいっぱいに広がり、熱い日には必ずソムタムを食べていた。

タイ料理の美味しさは、「辛さと、酸っぱさと甘さ」を一緒に味わえる料理が多いことだ。

今回紹介する「トムヤンクン」も、唐辛しの辛さと、レモンの酸っぱさ、そしてココナッツミルクと砂糖を加えることで、「辛さと、酸っぱさと甘さ」を一緒に味わえる料理だ。

日本で紹介されている「トムヤンクン」には、ココナッツミルクを加えた物が多いが、実はトムヤンクンには「ナーム・コン」と「ナーム・サーイ」の2種類がある。

ナームはタイ語で水という意味で、コンは濃いという意味、そして、サーイは澄んだという意味なので、ナーム・コンは「濃い水」、ナーム・サーイは「澄んだ水」という意味になる。

「濃い水」の方は日本でもお馴染みのトムヤンクンで、ココナツミルクが入った赤い色のスープでコクがあり、辛味の中にもココナッツミルクのまろやかさがある。

「澄んだ水」の方は透明のあっさりの味のスープで、ココナツミルクが好きでない人や、さっぱりした酸味の効いたスープが好きな人向けだ。

ところで、この「トムヤンクン」という料理名だが、「トム 」は煮る、「ヤム」は混ぜる、「クン」は海老という意味で、海老を使わず鶏肉を使えば「トムヤムガイ」、豚肉を使えば「トムヤムム―」、イカを使えば「トムヤムプラムック」となる。

今回は上海のスーパーで、たまたま「トムヤムペースト」を入手できたが、ナンプラー(タイの魚醤)は見つからなかったのでナンプラーの代わりに日本の醤油を代用した。また、パイマックルー(コブミカンの葉)も入手できなかったが、とても美味しくできたと思う。

ちなみに、タイの醤油「ナンプラー」は「ナームが水」で「プラー」が魚でなので、「魚の水」ということになる。

それでは早速「辛さと、酸っぱさと甘さ」を一緒に味わえる「トムヤムクン」を作ってみよう。

◆「トムヤンクン」の作り方。

1)用意する物。

写真手前の左から、「プリッキーヌ」(唐辛し)今回は大きな物と小さな物と2種類を用意した。「パクチー」(香草)、「レモングラス」「ヒラタケ」(袋茸などでもよい)。「万能ネギ」。
写真中央の左から「海老」「トマト」「レモン」。写真奥の左から「トムヤムペースト」「ココナッツミルク」「醤油」(あればナンプラーを使う)。

2)作り方。
①海老の背に包丁を入れ、背ワタを取り除く。


②ヒラタケ(キノコ)を食べやすい大きさに切る。


③レモングラスを斜めにスライスする。


④プリッキーヌ(唐辛し)の大きい方を斜めに切る。


⑤パクチー(香草)を3㎝位の長さに切る。


⑥万能ネギを3㎝~4㎝の長さに切る。


⑦プリッキーヌ(唐辛し)の小さい方を包丁でたたく。


⑧鍋を弱火に掛けてココナッツミルク(300㏄)を入れる。


⑨同量(300㏄)の水を加える。


⑩塩を小さじ1程加える。


⑪レモングラスを加える。


⑫トムヤムペーストを大さじ1強加える。(辛いのが好きな人は大さじ2程加えよう)


⑬海老を加える。


⑭ヒラタケ(キノコ)を加える。


⑮トマトを加える。


⑯プリッキーヌ(唐辛し)の小さい方を加える。


⑰砂糖を加える。


⑱ネギを加える。


⑲醤油を加える。(あればタイの醤油、ナンプラーを使おう)


⑳レモン(半分)を絞る。


*************「タジン鍋に移す」*********************



①プリッキーヌ(唐辛し)の大きい方とパクチー(香草)を乗せる。


②タジン鍋を中火に掛け、蓋をして5分程煮込む。


③出来上がり。


今回も「タジン鍋」を使ったが、タジン鍋の中で加熱された蒸気が上に行くと、この特殊な形の蓋の上部で冷やされて水滴となって戻るので、旨みと香りが凝縮されて行く。

出来上がった「トムヤンクン」を、タジン鍋の蓋を付けたままテーブルの上に置いて、蓋を開けた瞬間「香り」もご馳走なのだとつくずくと感じる。

「トムヤンクン」は簡単に作れるので、ぜひ、作って食べてみて欲しい。

この料理のポイントだが「レモン」は最初に入れると「渋い味」になってしまううので気を付けよう。

さて、次回の「料理長が自宅で作る簡単おつまみ」は、またオリーブオイルを使った料理にしよう。


料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(19)鮭の塩麹漬け焼きと、塩麹を使った即席 べッタラ漬け

2011年10月14日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
前回に続き、今回も「塩麹」を使った料理を紹介しよう。

「麹」を使った料理はデンプンを糖化するので甘みが増し、また、タンパク質を分解してアミノ酸旨味に変えるので旨みも増す。

また、使用する食材ごとのデンプンやタンパク質の特性を上手に利用できるので、それぞれの食材ごとに旨さを引き出すことができる。

今回は、「塩麹」を使って、「鮭の塩麹漬け焼き」と「即席 べッタラ漬け」を作ってみよう。

どちらも「おつまみ」として作るので、鮭の漬け時間は1時間程で塩麹は水で洗い流さずにそのまま焼くが、1晩漬け込むともっと味に深みがでてくる。

また、べッタラ漬けも過ぐに食べられるようにスライスして漬け込むが、少しパリパリ感が残る位が旨いと思う。

さて、今回も写真が多いので早速、作ってみよう。

◆「酒の塩麹漬け焼き」の作り方。

1)用意する物。

「塩麹」「鮭の切り身」

2)作り方。
①鮭の切り身の両面に「塩麹」を塗って1時間程置く。


③オーブントースターに入れる。


④両面をこんがり焼く。


⑤皿に盛って出来上がり。(お好みで、大根おろしを添える)


◆「塩麹を使った即席 べッタラ漬け」の作り方。

1)用意する物。

「キューリ」「大根」「生の唐辛子」「塩麹」

2)作り方。
①大根の皮をピーラーで剥く。(1人で写真を撮っているので、おかしな切り方になっている)


②大根を1.5㎜位の幅にスライスする。


③キューリを2㎜幅にカットする。


④唐辛子の種を取り除き、小口切りにする。


⑤ビニール袋に大根とキューリを入れ、野菜の容量の10%~20%の塩麹を加える。


⑥大さじ1程度の砂糖を加える。


⑦大さじ1程度の味醂を加える。


⑨袋の上から手で揉んでから、30分程そのまま置いて漬け込み、味をなじませる。


⑩唐辛子の小口切りを散らして出来上がり。


この万能調味料の「塩麹」だが、焼き物や漬け物以外にも煮物などのいろいろな料理に使うことが出来るし、小瓶に入れてテーブルの上に置けば、醤油の代わりに「冷や奴」や「おひたし」に掛けてもいいし、塩の代わりに「茹で卵」に付けて食べるなど、食の楽しみが広がるだろう。

さて、先日、スーパーで「トムヤムペースト」を見掛たので買ってきた。


これを使えば皆も良く知っているタイのスープを簡単に作ることが可能だ。

タイ料理は「甘い」「辛い」「酸っぱい」という3つの味が組み合わさっているのが特徴だが、次回はこの「トムヤムペースト」を使って、「トムヤンクン」を作ってみよう。