今回作る「アロス コン ポージョ」だか、この料理を最初に口にしたのは、今から20年以上も前にベネズエラの「家紋」という日本料理店の「まかない」だった。
調理師学校を卒業してから、この店で働く為にパンナムでニューヨーク経由でベネズエラに行ったが、その「家紋」という日本料理店はとても繁盛していた。
今で言うセレブ御用達の日本料理店で、ベネズエラの政財界の大物や芸能人でいつも予約がいっぱいだった。
当時のべネズエラでは日本から調達できる調味料がほとんどなく、漬物はパン粉にビールと塩を入れて「ぬか床」にしていたし、豆腐なども手作りで、仕込みがいっぱいあった。
いつも仕込みに追われていた理由は、日本からの調味料がほとんどないこともあったが、もう一つは、その店の日本人の料理長が西洋料理出身者だったことだ。
とにかく、手間の掛るソースが多かった。
カニクリームコロッケだけでも、まず、「ベシャメルソース」(ホワイトソース)を作るのだが、大きな鍋で時間を掛けながら少しずつミルクを入れて作るので1時間程は掛るし、その間はシャモジで鍋をかき混ぜ続けなければならずヘトヘト状態だ。
さらに、そのカニクリームコロッケに添えるソースは、「デミグラスソース」なのだが、これは丸2日以上も掛るたいへん手間の掛るソースだった。
他にも「カレー」など、その店ではソースはどれも手間を掛けて作っていた。
当然、「まかない」などを作る時間もなく、「まかない」はキューバ人の顔の真っ黒な太ったおばさんが作っていた。
失礼な話だが、最初にこのおばちゃんに会った時には本当にビックリした。
身長は175㎝以上はあるだろうし、体重はゆうに100㎏を超えていて、何しろ真っ黒な顔で「ブッチャー」のようだった。
しかし、このおばさんは本当に心のきれいな人で、いつもやさしくしてくれた。
そして、お店の開店前には『まかないができたよ』と呼びにきてくれて、手の空いた人から地下の食堂?(倉庫)にまかないを食べに行っていた。
そのキューバ人のおばさんが作って食べさせてくれたのが「アロス コン ポージョ」だった。
スペイン語で、アロスは「米」コンは「一緒」、ポージョは「鶏」という意味で、ポージョは「ポーリョ」と発音してもいい。
彼女がこの「アロス コン ポージョ」を作っているの見ていたことがあるが、まず、鶏肉を骨付きのままブツ切りにして、フライパンで鶏肉と小さく刻んだ玉ねぎを油で炒め、米を洗わずに入れてさらに炒めてから、水とマギーブイヨンのようなチキンコンソメとかなり多めの塩を加えて、それを炊飯器に移して炊くだけだった。
かなり、良い香りがしたので他に「コリアンダー」とか香辛料を使っていたのかも知れないが、さすがに20年以上も経っているので今では覚えていない。
南米料理には肉を焼いて塩をしただけの物や、黒豆を水と油で煮て塩で味付けた物など素朴な料理が多く、おばさんの料理は残念ながら、いつもあまり美味しいとは思わなかった。
カリカリに焼いた牛のレバーは堅過ぎだったし、黒豆は豆が古いのか油のせいか、食べた後はお腹がパンパンに張って「おなら」が何度もでて困ったものだ。
ただし、おばさんの「アロス コン ポージョ」だけは、今でも食べたいと思う。
今回のレシピはおばさんのレシピとは少し違うが、「アロス コン ポージョ」の作り方を紹介しよう。
スペイン料理の技法も取り入れて、サフランを少し加えているので炊きあがりの米は食欲をそそる綺麗な色になっている。
◆「アロス コン ポージョ」<南米風 鶏の炊き込みご飯>の作り方。
1)用意する物。
写真手前の左から「地鶏のモモ肉」「クミンシード」。写真中央の左から「タイ米」「玉ネギ」「ニンニク」「万能ネギ」「サフラン」。写真奥の左から「チリパウダー」「オリーブオイル」「醤油」「白ワイン」「黒コショー」「塩」「チキンコンソメ」。
2)作り方。
*******下処理*******
①鶏肉を骨付きのまま、ブツ切りにする。
②醤油を小さじ2程入れる。
③クミンシードを小さじ1加える。
④手で揉み込む。
⑤ニンニクをみじん切りにする。
⑥玉ネギをみじん切りにする。
⑦万能ネギをみじん切りにする。
⑧フライパンを中火に掛けオイーブオイルを大さじ1入れる。
⑨鶏肉を入れる。
⑩白ワインを加えて蒸し焼きにする。(後で炊くので、両面だけを焼けばいい)
⑪皿などに上げておく。
⑫鍋に水を3カップ入れて湯を沸かし、チキンコンソメを何度かに分け味をみながら加える。
⑬サフランを指で一つかみ加える。
⑭塩を加えて味を整える。
⑮黒コショーを加える。
⑯チリパウダーを加える。(辛いのが嫌いな人は入れなくてもよい)
*******本調理*******
①鶏肉を焼いたフライパンを洗わずに再度、弱火に掛け玉ネギのみじん切りを入れる。
②ニンニクのみじん切りを加える。
③オリーブオイル(できればエクストラバージンオイル)を大さじ2程加える。
④タイ米3カップを加える。
⑤鶏肉を加える。
⑥スープを注ぐ。
⑦よく混ぜ合わせる。
⑧炊飯器に入れる。
⑨炊飯器の蓋をしてスイッチを入れる。
⑪炊きあがったら10分程むらす。
⑫炊飯器の蓋を開ける。
⑬皿に盛る。
⑭お好みで万能ネギを散らす。
さて、今回は「地鶏」を使ったので肉を軟らかく食べやすいようにする為に電気式の「圧力鍋」を使用したが、ブロイラーを使うのであれば、普通の炊飯器でもいいだろう。
また、この料理には米は洗わないで使うのが普通だが、米を洗わずに使うのは我々日本人にとっては気になるのでさっと洗ってから使用した。
尚、具材を炊飯器に入れる前にスープの味見をして、少し塩辛い位の味が炊きあがった時にちょうどよいが、塩は入れ過ぎてしまうと後はどうにもならないので、炊きあがってから塩味が足りなければ後で振ればいいだろう。
他に、お好みでスープに「バター」を加えて炊いても美味しいが、「バターライス」のような味になってしまうので、ぜひ、このレシピ通りに作って「南米の味」を味わって欲しい。
さて、今回は「おつまみ」というより「ご飯物」だったので、次回は「ラムチョップ」を使ったワインに合う「おつまみ」の話をしよう。
調理師学校を卒業してから、この店で働く為にパンナムでニューヨーク経由でベネズエラに行ったが、その「家紋」という日本料理店はとても繁盛していた。
今で言うセレブ御用達の日本料理店で、ベネズエラの政財界の大物や芸能人でいつも予約がいっぱいだった。
当時のべネズエラでは日本から調達できる調味料がほとんどなく、漬物はパン粉にビールと塩を入れて「ぬか床」にしていたし、豆腐なども手作りで、仕込みがいっぱいあった。
いつも仕込みに追われていた理由は、日本からの調味料がほとんどないこともあったが、もう一つは、その店の日本人の料理長が西洋料理出身者だったことだ。
とにかく、手間の掛るソースが多かった。
カニクリームコロッケだけでも、まず、「ベシャメルソース」(ホワイトソース)を作るのだが、大きな鍋で時間を掛けながら少しずつミルクを入れて作るので1時間程は掛るし、その間はシャモジで鍋をかき混ぜ続けなければならずヘトヘト状態だ。
さらに、そのカニクリームコロッケに添えるソースは、「デミグラスソース」なのだが、これは丸2日以上も掛るたいへん手間の掛るソースだった。
他にも「カレー」など、その店ではソースはどれも手間を掛けて作っていた。
当然、「まかない」などを作る時間もなく、「まかない」はキューバ人の顔の真っ黒な太ったおばさんが作っていた。
失礼な話だが、最初にこのおばちゃんに会った時には本当にビックリした。
身長は175㎝以上はあるだろうし、体重はゆうに100㎏を超えていて、何しろ真っ黒な顔で「ブッチャー」のようだった。
しかし、このおばさんは本当に心のきれいな人で、いつもやさしくしてくれた。
そして、お店の開店前には『まかないができたよ』と呼びにきてくれて、手の空いた人から地下の食堂?(倉庫)にまかないを食べに行っていた。
そのキューバ人のおばさんが作って食べさせてくれたのが「アロス コン ポージョ」だった。
スペイン語で、アロスは「米」コンは「一緒」、ポージョは「鶏」という意味で、ポージョは「ポーリョ」と発音してもいい。
彼女がこの「アロス コン ポージョ」を作っているの見ていたことがあるが、まず、鶏肉を骨付きのままブツ切りにして、フライパンで鶏肉と小さく刻んだ玉ねぎを油で炒め、米を洗わずに入れてさらに炒めてから、水とマギーブイヨンのようなチキンコンソメとかなり多めの塩を加えて、それを炊飯器に移して炊くだけだった。
かなり、良い香りがしたので他に「コリアンダー」とか香辛料を使っていたのかも知れないが、さすがに20年以上も経っているので今では覚えていない。
南米料理には肉を焼いて塩をしただけの物や、黒豆を水と油で煮て塩で味付けた物など素朴な料理が多く、おばさんの料理は残念ながら、いつもあまり美味しいとは思わなかった。
カリカリに焼いた牛のレバーは堅過ぎだったし、黒豆は豆が古いのか油のせいか、食べた後はお腹がパンパンに張って「おなら」が何度もでて困ったものだ。
ただし、おばさんの「アロス コン ポージョ」だけは、今でも食べたいと思う。
今回のレシピはおばさんのレシピとは少し違うが、「アロス コン ポージョ」の作り方を紹介しよう。
スペイン料理の技法も取り入れて、サフランを少し加えているので炊きあがりの米は食欲をそそる綺麗な色になっている。
◆「アロス コン ポージョ」<南米風 鶏の炊き込みご飯>の作り方。
1)用意する物。
写真手前の左から「地鶏のモモ肉」「クミンシード」。写真中央の左から「タイ米」「玉ネギ」「ニンニク」「万能ネギ」「サフラン」。写真奥の左から「チリパウダー」「オリーブオイル」「醤油」「白ワイン」「黒コショー」「塩」「チキンコンソメ」。
2)作り方。
*******下処理*******
①鶏肉を骨付きのまま、ブツ切りにする。
②醤油を小さじ2程入れる。
③クミンシードを小さじ1加える。
④手で揉み込む。
⑤ニンニクをみじん切りにする。
⑥玉ネギをみじん切りにする。
⑦万能ネギをみじん切りにする。
⑧フライパンを中火に掛けオイーブオイルを大さじ1入れる。
⑨鶏肉を入れる。
⑩白ワインを加えて蒸し焼きにする。(後で炊くので、両面だけを焼けばいい)
⑪皿などに上げておく。
⑫鍋に水を3カップ入れて湯を沸かし、チキンコンソメを何度かに分け味をみながら加える。
⑬サフランを指で一つかみ加える。
⑭塩を加えて味を整える。
⑮黒コショーを加える。
⑯チリパウダーを加える。(辛いのが嫌いな人は入れなくてもよい)
*******本調理*******
①鶏肉を焼いたフライパンを洗わずに再度、弱火に掛け玉ネギのみじん切りを入れる。
②ニンニクのみじん切りを加える。
③オリーブオイル(できればエクストラバージンオイル)を大さじ2程加える。
④タイ米3カップを加える。
⑤鶏肉を加える。
⑥スープを注ぐ。
⑦よく混ぜ合わせる。
⑧炊飯器に入れる。
⑨炊飯器の蓋をしてスイッチを入れる。
⑪炊きあがったら10分程むらす。
⑫炊飯器の蓋を開ける。
⑬皿に盛る。
⑭お好みで万能ネギを散らす。
さて、今回は「地鶏」を使ったので肉を軟らかく食べやすいようにする為に電気式の「圧力鍋」を使用したが、ブロイラーを使うのであれば、普通の炊飯器でもいいだろう。
また、この料理には米は洗わないで使うのが普通だが、米を洗わずに使うのは我々日本人にとっては気になるのでさっと洗ってから使用した。
尚、具材を炊飯器に入れる前にスープの味見をして、少し塩辛い位の味が炊きあがった時にちょうどよいが、塩は入れ過ぎてしまうと後はどうにもならないので、炊きあがってから塩味が足りなければ後で振ればいいだろう。
他に、お好みでスープに「バター」を加えて炊いても美味しいが、「バターライス」のような味になってしまうので、ぜひ、このレシピ通りに作って「南米の味」を味わって欲しい。
さて、今回は「おつまみ」というより「ご飯物」だったので、次回は「ラムチョップ」を使ったワインに合う「おつまみ」の話をしよう。