マグロチャンピオンの料理道場

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料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(8)タジン鍋を使って作る蒸し奴

2011年10月03日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
前回は卵を使って「卵とじ」を作ったが、冷蔵庫の中に食材がほとんど無い場合には、野菜でも肉でも卵でとじるという料理はとても簡単で美味しい。

ただし、火を通し過ぎないようにして熱々で卵がトロトロの状態で食べるのがいいと思う。

同じように「豆腐料理」も火を通し過ぎないように、温める程度で食べるのが美味しい。

火を通し過ぎると豆腐が堅くなってしまい、また旨さも無くなってしまうからだ。

江戸時代の料理書に「豆腐百珍」があるが、江戸庶民に親しまれた「豆腐」を題材にしたこの料理本は醒狂道人何必醇(せいきょうどうじんかひつじゅん)というペンネームで出版されているが、実名は大坂の篆刻(てんこく)家曽谷学川(そやがくせん)のようだ。とても好評でたくさん売れたのか続編も出版されるなど、今の料理本ブームのきっかけを作った本だ。

この本には100種類以上の豆腐料理が紹介されているが、江戸時代なので使用する調味料は限られていて、味付けのベースは、醤油、酒、塩、出汁などで、胡麻やクルミ等をまぶした料理が多い。

今回、紹介する豆腐を使った料理は、その豆腐百珍の「三十九番 今出川とうふ」をアレンジしたものだ。

豆腐百珍に書かれている「今出川とうふ」の作り方は、豆腐を酒を加えた出し汁で煮てから醤油で味付けをして、葛でとじて薬味として炒りクルミをのせた料理だが、自宅で自分用に作るのでもっと簡単にしてある。

何度も言うが豆腐は温める程度で食べるのが一番美味しい。

今回も「タジン鍋」を使うが、この鍋は「蒸し物」には最高の鍋だと思う。

野菜でも肉でも、僅かな調味料を振りかけてこの鍋で蒸すだけで、思いどうりに加熱することができ、また、香りを損なうことがなく、素材の旨みが凝縮される。

「鴨とネギ」をタジン鍋で蒸す料理を紹介した時には「大さじ1程度の醤油」だけを調味料として使ったが、今回は「大さじ1程度の酒」だけで蒸し上げる。

酒の香りと豆腐の甘い香りを味わうこの料理には、このタジン鍋は欠かせない調理道具だと思う。

◆「タジン鍋を使った蒸し奴の作り方」

1)用意するもの。

写真手前の左から「薬味」(万能ネギの小口切りと糸削りかつを)、「昆布」。写真中央の左から「木綿豆腐」「酒」。写真奥の左から「タジン鍋」「醤油」。

2)作り方。
①豆腐を一口大に切る。


②タジン鍋に昆布を敷く。


③鍋を弱火に掛ける。


④大さじ1程度の酒を振る。


⑤蓋をして3分程蒸す。(タジン鍋の隙間から香りが出てきたら火を止める。)


⑥醤油を少量(大さじ1程度)振りかける。


⑦わさびを豆腐の上にのせる。


⑧薬味を添えて、熱々を食べる。


さて、タジン鍋を使った「料理長が自宅で作る簡単おつまみ」だが、2回に渡って「大さじ1程度の醤油」「大さじ1程度の酒」を調味料を使って蒸し上げたが、次回は「大さじ1程度の出汁」を使った料理を紹介しよう。

タジン鍋を使って最高の香りをお届けしたいと思う。