マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(10)マッシュルームのニンニクオイル炒め

2011年10月05日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
国慶節の休みもいよいよ今日で5日目に入った。

昨日は、虹橋1号店から3号店の「福家」まで歩いて行く途中で何軒かの日本料理店を覗いてみたが、どの店もガラガラの状況だった。

来週の月曜日まではこの状況が続くのだろう。

さて、昨日は中国のDVDの海賊版の話をしたが、DVDが一枚10元(130円)程と本当に安い。

他に、中国で生活していて「これは安い!」と思うものに「理髪店」がある。

もちろん、それなりの店構えをし、一等地の店ならば散髪に100元(1300円)以上も掛るが、うちのアパートの直ぐ近くで散髪をすれば、なんと10元(130円)で海賊版のDVDと同じ料金だ。

日本のように髭を剃ってくれたり、肩を揉んでくれることも無いが、10元はとても安いと思う。

ただし、こういう安い店にはお客さんも多く、たいていは20分程待たされるのだが、国慶節の休みの間はお客さんも少なく昨日は散髪に行ってきた。

中国と日本の理髪店の大きな違いは、中国では髪を切るのに「ハサミ」はほとんど使わずに「電動バリカン」を使うことだ。

耳の上のところを切るにも、襟足のところを切るにも、すべて「電動バリカン」を使うから、みるみるうちに髪の毛が少なくなってきて、「とっちゃん坊や」のようになり、自分でもなさけない髪型になってしまうこともある。

ある時、10元の理髪店ではなく、もっと高い店なら「ハサミ」だけ使って散髪してくれるのではないかと思い、うちの店のスタッフに中国語で「ハサミだけ使って切って下さい」とメモを書いてもらい、88元の店に行ったことがある。

そのメモを見せたら、店の理髪師が「明白了」(ミンパイラ)と分かってくれたようで安心したが、ハサミを使ったのは最初だけ。後から「電動バリカン」を取りだして、結局、いつもと同じ髪型となってしまった。

それ以来、88元の店には行かずに、いつもの10元の店に通っているが、自分は髪の毛が生えるスピードが速いのか、髪の毛を切り過ぎても恥ずかしい思いをするのは一週間だけなので、我慢するようになった。

日本にも1000円程で散髪をしてくれるチェーン店があるようだが、散髪料が130円というのはとても魅力的な価格だと思う。

以前、大連で路上に椅子を置いて、散髪をしている風景を見掛たことがあるが、その場合には5元だと聞いたことがある。

ただし、たったの5元だとしても、さすがに日本人として、路上での散髪は恥ずかしくてできないだろう。

さて、今回の「料理長が自宅で作る簡単おつまみ」は、マッシュルームをニンニクとオリーブオイルで炒めた、スペインのバールの定番のタパス(おつまみ)を紹介しよう。

以前、ヨーロッパのベルギーに10年程住んでいたことがあるが、夏のバカンスには決まってスペインのマラガという海岸のホテルに1週間程滞在した。

ベルギーは年間の日照時間が少なく、特に冬は曇り空か、毎日小雨が降るような天気で太陽を浴びる機会が少ない。

人間の体というのは太陽を浴びずにいると、ビタミンDを体内で合成できずに、「脚気」やヨーロッパでは「象足」と呼ばれる足だけが太くむくんだ象の足のようになってしまう。

そういう理由もあってか、ヨーロッパの人々は夏のバカンスを長く取って、スペインやイタリア等の地中海沿岸の海岸に行き思いっきり太陽を浴びているようだ。

スペインをバカンスの行き先選ぶ理由だが、観光客の多いイタリアに比べて物価が安いことと、食べ物が美味しいからだ。

特にスペインの「ハモンセラーノ」という生ハムには目がなく、他にもスペインには美味しい料理が盛りだくさんだ。

今回、紹介するマッシュルームのタパス(おつまみ)は「CHAMPIÑONES AL AJILLO」と呼ばれスペインのバールでは定番の料理だが、皿のニンニクオイルをパンに付けて食べると、メタボになると知りながら、つい食べ過ぎてしまう。

◆「マッシュルームのニンニクオイル炒め」の作り方。

1)用意する物。

写真手前の左から「マッシュルーム」「パセリ」「ニンニク」。写真奥の左から「オリーブオイル」「白ワイン」「塩」「黒コショー」。

2)作り方。
①ニンニクをみじん切りにする。(ニンニクが多い方が美味しい)


②パセリをみじん切りにする。


③マッシュルームを2等分か4等分に切る。(焼くと縮むのであまり小さく切らない方がいい)


④フライパンを弱火に掛け、オリーブオイル(ピュア)を大さじ2程入れる。


⑤ニンニクを加えて炒める。(焦がさないように注意しよう)


⑥マッシュルームを加えて炒める。


⑦白ワインを大さじ2程加える。


⑧蓋をして蒸し焼きにする。

蒸し上がったら蓋を取る。


⑨塩を振る。


⑩コショーを振る。


⑪エクストラ バージンオリーブオイルを大さじ2程加える。


⑫皿に盛りパセリを添える。


⑬パンを添えて出来上がり。


さて、以前にも説明したと思うが、オリーブオイルには「バージンオリーブオイル」と「ピュアオリーブオイル」の2種類がある。

「バージンオリーブオイル」とはオリーブの果実を搾ってろ過しただけのオイルで、更に官能検査や酸度の違いによって「エキストラバージンオイル」「バージンオイル」「オーディナリーバージンオイル」の3つに区別される。

この中でも、特に「エキストラバージンオリーブオイル」は最高級のオリーブオイルとされ、サラダやマリネにそのまま使ったり、加熱料理の最後の仕上げの香りづけにも使われる。

もう一つの「ピュアオリーブオイル」は、バージンオリーブオイルと精製したオリーブオイルをブレンドしたオイルで主に、焼きもの、炒め物、揚げものなどの加熱料理に使われる。

この「ピュアオリーブオイル」という呼び方は、日本の食用油のメーカーが付けた名前なのか、日本だけの呼び名のようで、一般には「エキストラバージンオイル」と「オリーブオイル」の2種類の表示が多い。

今回の料理ではマッシュルームとニンニクを「ピュアオリーブオイル」で炒めてから、後で仕上げに「エキストラバージンオイル」を加えたが、それは「ニンニクオイル」を多めに作って、たくさんパンを食べたかったからだ。

その為に、ニンニクのみじん切りもたくさん使用した。

パンに「エキストラバージンオイル」だけを付けて食べるのもいいが、この「ニンニクオイル」を付けてパンを食べ始めると、美味しくて手が止まらずにあっという間にバゲットを半分以上も食べてしまうこともある。

さて、次回も「シャンピ二オン」を使って、「ステーキシャンピ二オン」を作ってみよう。

このステーキを最初に食べたのは、ベルギーの「Chat noir」(シャノワール)という、「黒猫」という名のビストロだったが、あまりの美味しさに愕然としたものだ。

ステーキは、「塩と本わさび」だけで食べるのが一番と思っていた自分にとっては大きなカルチャーショックだったが、同じように考えている人には是非一度味わってもらいたいと思う。