マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

両面焼きそば(リャンメンコウ)を作ってみよう。

2011年09月04日 | らーめん
今回は「蒸し麺」を使った両面焼きそば「両面烤」(リャンメンコウ)の話をしよう。

この麺だが作り方はとても簡単で、「蒸し麺」をフライパンに入れて両面を少し焦げる位に焼くだけだ。

しかし、両面を焼くことで外側がカリカリで、中はしっとりとしていて、この麺は特に焼きそばには合うだろう。

具材には水溶き片栗粉を少し加えてとろみを付ければ、麺の上に具材を乗せた時に水っぽくならず、また具材が麺に絡みやすくなり、最後まで熱々の状態で美味しく食べられる。

具材は、お好みで豚肉やキャベツ、それにモヤシ等を加えてもいいし、生玉子を混ぜて食べるとまろやかな味になる。

◆「両面烤」(リャンメンコウ)の作り方。

1)「蒸し麺」を用意する。


2)フライパンに薄く油を敷き「蒸し麺」を入れる。


3)弱火でまずは片面をじっくり焼く。


4)ひっくり返して、もう片面も焼く。


5)具材を炒めて、片栗粉でとろみを付ける。


6)焼き上がった麺を皿に乗せ、上から具材をかける。


7)完成写真。


食べる時は、麺をほぐしながら具材と絡めるが、上からとろみのある具材を乗せるので、麺が蒸された状態になるのでほぐれやすくなる。

さて、次回は「オイスターソース」を使った料理をもう一品紹介するが、「野菜の下茹でのポイント」について話をしよう。






「生麺を蒸し麺にする方法」と、その蒸し麺を使った「ソース焼きそば」

2011年09月03日 | らーめん
前回は「オイスターソース」を隠し味に使った「肉野菜炒め」の話をしたが、今回はその「肉野菜炒め」に麺を加えた美味しい「ソース焼きそば」の作り方を紹介しよう。

具材の作り方は前回、話したので今回はまず、「生麺を蒸し麺」にする方法について説明するが、スーパー等で蒸し麺が入手できれば、それを使えばいいだろう。

「生麺」は日持ちがしない為か中国ではなかなか入手できないので、うちの店では生麺を蒸して「蒸し麺」として使っている。

ソース焼きそばには蒸し麺を使わずに生麺を固く茹でて使っている店も多いようだが、どうしてもべチャとした食感になってしまい、蒸し麺を使った時の「麺のコシ」がでないし、逆に水っぽくなってしまうので、面倒でもソース焼きそばには蒸し麺を使うようにしよう。

ポイントは麺の太さにもよるが、生麺を5分~10分蒸して、その後、30秒~1分茹でて、流水で洗い水気を切って、サラダ油や胡麻油をまぶして麺どうしがくっつかないようにする。

蒸し麺は日持ちがしないので、その都度つくって食べるようにしよう。

◆蒸し麺の作り方

1)生麺を用意する。


2)蒸し器に水を張り、十分に沸騰させて湯気が出るようになったら、生麺を皿のまま蒸し器に入れる。


3)蒸し器の蓋をして「7分間」蒸す。


4)7分後の蒸し上がった状態。


5)沸騰した湯の中に麺を入れ、30秒間茹でる。


6)麺の固さを確認する。


7)麺を流水で洗う。


8)水気をよく切ってサラダ油を入れる。


9)麺どうしがくっつかないように、よくほぐす。


10)完成した「蒸し麺」の写真。


11)蒸す前の生麺(左)と蒸した後の麺(右)の写真


では、早速、この麺をつかって「ソース焼きそば」を作ってみよう。

◆「ソース焼きそば」の作り方
1)材料を用意する。

お好みの具材を用意しよう。


生麺から作った「蒸し麺」

2)具を炒め、味を整え、麺を加える


3)強火で炒める。


4)皿や鉄板の上に盛り付ける。


5)出来上がり。(好みでカツオ節などを天に盛ってもいいだろう)


具材の作り方は、前回の、「オイスターソースを隠し味に使って肉野菜炒めを作る」を見てもらいたいが、オイスターソースを使うことで、味にコクが出る。

味付けのポイントは「醤油」と「オイスターソース」と「トンカツソース」だが、配合はいろいろ試してみて、自分の気に入った味を見付ければよい。

うちの店のトンカツソースは、市販のトンカツソースにトマトケチャップと料理酒と醤油を加えてあるので、酸味があるが、トンカツソースの替わりに「中濃ソース」等を使う場合には、小さじ1位の「酢」を加えるとサッパリとして一皿全部食べても飽きのこない味となる。

さて、今回、作った「蒸し麺」だが、これをフライパンに入れて両面を少し焦げる位に焼くと「両面烤」(リャンメンコウ)という麺になる。

この麺は外側がカリカリで、中はしっとりとしていて、この麺にあんかけにした「具材」を乗せて食べると、とても旨い。

次回は「両面烤」(リャンメンコウ)の話をしよう。




乳化機でつくるラーメンスープ

2011年08月19日 | らーめん
今回は「乳化機でつくるラーメンスープ」の話しをするが、今、中国では日本の「ラーメン店」で中国で450店舗以上を展開する「味千ラーメン」が話題になっている。

下記は「SearChina」というインターネットのNewsサイトの記事だ。
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上海市当局が味千ラーメンを「虚偽宣伝」の疑いで調査

中国新聞社などによると、上海市当局は2日、同市内に展開する味千拉麺(味千ラーメン)を、虚偽宣伝の疑いで調査していることを明らかにした。スープに豚骨の濃縮エキスを使っていることを消費者に知らせず、栄養価が高いと誤解させていた可能性があるという。

同社が使っていたとされるのは「排骨湯精(アバラ骨スープエキス)」で、日本でいう「豚骨スープエキス」に相当する。原液はまず、山東省泰安市内の京日丸善食品工業有限公司で生産し、西蓋米食品(上海)有限公司で調味料などを加え濃縮、味千拉麺の各店舗に配送していた。

販売価格は最も安い麺(めん)が1食22元(約264円)で、多くは30元以上。同様の食品としては高価で、「消費者に栄養があるとの印象を与えていた」という。

上海市食品薬品管理監督部門は「排骨湯精は複合調味料に該当する。生産許可証や配合表などを調べたが、食品安全上の問題は今のところ、見つかっていない」と説明した。

上海市工商局の関係者は、「現在は、関連企業を虚偽宣伝の面から調査している」と述べた。

◆解説◆
上海市などを中心に、味千ラーメンがスープに濃縮エキスを使っていたことについて「各店舗で骨を煮込んでいたと信じていた」などする非難が高まった。同社が公式サイトに掲載していた栄養成分表も事実とは大きく異なることが明らかになった。同社は該当する内容をサイトから削除した。

中国では自国産の食品に対する不信感が強く、逆に日本産食品に対する評価が高い。日本からの輸入品については原発事故以降に信用が失墜したが、中国国内で日本企業が手掛ける食品については「日本企業だから安心だ」と、依然として評価が高かった。それだけに、波紋が大きく広がったと考えられる。

味千ラーメンの商品については中国側当局も、「今のところ、食品安全上の問題はない」と表明している。中国では日中関係が緊張した際に日系企業や関係職員に対する「見せしめ」とも解釈できる事態が発生することがあるが、今回の事態に政治的背景は特になく、消費者の強い声を受ける形で、当局が動いたと考えられる。(編集担当:如月隼人)

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この事の発端は7月23日に中国のメディアが報じたことから始まった。

「ラーメン一杯のスープに含まれるカルシウムは牛乳の4倍の1600㎎」と公式サイトで紹介されているにもかかわらず、実際には48.5㎎しか含まれていないのでは誇大宣伝と言われてもしかたないだろう。

また、味千ラーメンはこれまでずっと「手造り」や「栄養豊富」というイメージをアピールしてきたが、事件後に「濃縮スープを希釈して提供している」とするコメントを出して、店舗内で煮込まれたものではないことを認めている。


写真は家の近くの「味千ラーメン」の写真。(お客さんは以前よりかなり少ない)


さて、前置きが長くなったが、このように中国だけでも450店舗以上もあるラーメンチェーンがスープを各店舗数で調理し、すべての店が同じ味のラーメンを販売することなどは不可能だろう。

特に中国では絶対に無理だと思う。

我々の店でも基本レシピはあるが、それさえも、しばらく店に行かないと変わってしまうからだ。

また、豚骨をたくさん使って10時間以上もスープを沸騰させ続けて「とんこつスープ」をつくったらコストも合わなくなる。

そこで、もっと簡単に、コストを抑えてラーメンスープをつくる方法について今回は話しをしよう。

最近、中国のあるメディアが「味千ラーメン」の豚骨スープは店舗で煮込んだものではなく、粉末調味料から作られており、1食分のコストはわずか数毛(1毛は1.2円)と報じた。

味千ラーメンはラーメンを1杯「22元~40元」で販売しているので、粗利はなんと60%以上もあるという。

では、どやってコストを抑えてラーメンスープをつくるかだが、「インジェクションビーフ」の時にも説明した「乳化機」を使えば、10時間も煮込まず30分もあれば簡単につくることが可能だ。

前にも話したが「乳化」とは、水の中に油が細かい粒子となって混在しているO/W型と油の中に水が細かい粒子となって混在しているW/O型の2種類がある。

水と油は決して溶け合うことはないので、サラダのドレッシングなどは瓶をよく振ることで水と油の粒子を小さくさせる。

肉眼では混じり合っているように見えるが実際には水と油が小さな粒子となって混在しているだけなので、そのまま置いておくと水は水どうし、油は油どうしが引き合って元に戻ってしまう。
(水と油が混じって白く濁って見えるのは光が屈折して白く見えるだけで溶け合っているわけではない)

乳化をさせる為には、まず、水と油の粒子を小さくさせることだ。

そこで、下記のような「乳化機」で水と油を高速回転刃で切って粒子を小さくさせる。

写真の乳化機は試作用なので小さいがもっと大きいものもある。(中が見えるようにこの写真を使用)

下が「高速回転刃」の写真だ。

1分間に2000回転~5000回転の高速回転刃で水と油の粒子を切りながら、水と油の粒子を小さくし混ぜ合わせる。

この「乳化機」を使えば、水と油はあっという間に目には見えない小さな粒子となるが、サラダのドレッシングと同じで、そのまま置いておくと水と油は分離してしまい元に戻ってしまう。

そこで、「インジェクションビーフ」の時と同じように「乳化剤」を使って水と油の粒子を安定させる。

乳化剤としては、この場合にはO/W型エマルションなので、水と仲の良い乳化剤のモノグリ(グリセリン脂肪酸エステル)や、ショ糖エステル、カゼインナトリウム、レシチン等がいいだろう。(食品や飲料にも多く使われている)

また、乳化には粘度を上げると解乳化(乳化が解ける)しにくいという特性がある。
(水と油の粒子が粘度が高くなることによって動きにくくなる為)

そこで、増粘剤(澱粉等)やゲル化剤(寒天やゼリー等)を使用すれば安定した乳化が得られる。

特に濃縮スープの場合には、濃縮スープにお湯を加えた時に解乳化(乳化が解けること)が起こらなように、増粘剤(澱粉等)やゲル化剤(寒天やゼリー等)を使用する場合が多い。

下は市販のインスタントラーメンの成分表示の写真だ。

ポークやチキンや野菜等のエキス類、乳化剤、増粘剤、アミノ酸(化学調味料)が使われている。

このように、水と油(ラード)を乳化剤を使って乳化させて、増粘剤やゲル化剤で安定させて、さまざまなエキス類で味付けをして、pH調整をして濃縮スープにすれば、長期間保存ができる安価で安定したスープの大量生産が可能だ。

ただし、「味千らーめん」のように、お客様に誤解を招くような「虚偽宣伝」をするのはやはり同じ飲食店に関わる者として恥ずべき行為だと思う。

ここのところ約2週間にわたってラーメンスープと乳化の話をしてきたが、乳化について少しは理解してもらえただろうか。

10時間以上も時間を掛けてつくった「心のこもった一杯のスープ」はとても貴重なものだと思う。

そういうラーメンスープをつくり続ける「らーめん店」が時代の流れで消えていかないことをせつに願う。

さて、明日からまた青島の工場に食品加工の指導に行くことになり上海を離れるが、工場の宿舎にはネット環境が無いので4~5日はブログもお休みとなる。

次回はラーメン以外の話をしよう。

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乳化した鶏ガラスープ(4)ぺペロンチーノ

2011年08月18日 | らーめん
前回は「乳化」についてのおさらいをしたが、ぺペロンチーノ(正式な料理名はスパゲッティ アッリオ・ オーリオ・エ・ペペロンチーノ)は、茹で水の中に溶けだした僅かな小麦粉の澱粉(サポニン)が乳化剤となり水と油を乳化させる料理だ。

材料はシンプルだが油と茹で水を分離させずに美味しくつくるのはとても難しい。

ドレッシングの瓶を振って油と水の粒子を小さくして混ぜ合わせるように、上手にフライパンを振って水と油を混ぜ合わせるようにと言われてもプロの料理人でなければなかなかできないだろう。

そこで、「茹で水」の代わりに「乳化した鶏ガラスープ」を使えば、簡単に乳化させることが可能になる。


「乳化した鶏ガラスープ」は写真のようにゼラチン質を多く含み、これが乳化剤の働きをする。

さて、早速、「ぺペロンチーノ」のつくり方を説明するが、「鶏ガラスープ」を使ったら本物ではないというコメントは勘弁して欲しい。なぜなら、このスープを使った方が数段、美味しくなるからだ。

◆「ぺペロンチーノ」のつくり方

1)材料を用意する。

左からエクストラバージンオイル、ニンニク、鷹の爪、鶏ガラスープ、そして上がスパゲティー(1.6㎜)
(エクストラバージンオイルは香りのよい物を用意しよう。またパスタは太い物はぺペロンチーノにはむかない。

2)深鍋に水を入れ強火に掛けて塩をいれる。

塩を入れる目的はパスタにしっかりと塩味をつける為なので、ちょっと多いかな?と思う位の分量を入れよう。
また、塩を入れるのはパスタのコシを強くするのと、水を沸騰しやすくする目的もあある。

3)オリーブオイルを湯の中に数滴入れる。

オリーブオイルを数滴入れることで、不思議と湯が吹きこぼれず、また、パスタどうしのくっつきを防げる。

4)沸騰した湯の中にパスタをバラバラになうように入れる。

パスタの食感(アルデンテ)はとても大切なので、パスタの袋に書いてある茹で時間でタイマーをセットしよう。

5)ニンニクをスライスする

なるべく同じ厚さになるようにする。(薄いのと厚いのがあると、薄い方が先に焦げてしまう)

6)唐辛子(鷹の爪)はヘタの方を切り落とし、中の種を取り除く。

種を取り除かない場合には、破裂しないように数か所穴をあけておこう。

7)パセリを刻む。

材料の用意の写真には写っていなかったが色どりがいいので、パセリも加えることにした。

8)フライパンにオリーブオイルを「大さじ2」入れて弱火にかける。


9)最初にニンニクを入れ、ニンニクの香りをオリーブオイルに移す。

火はず~っと弱火で、焦がさないように注意する。(もしニンニクが焦げてしまったらやり直し)

10)唐辛子(鷹の爪)も加えて色が綺麗になったら火を止める。

何度も書くが、オリーブオイルに香りを移すのが目的だ。鷹の爪も焦げると色が黒くなり見た目も悪くなる。

11)ニンニクと鷹の爪をフライパンから取り出す。

キッチンペーパの上に乗せておくと、余分な油をキッチンペーパーが吸収してくれる。

12)鍋に鶏ガラスープを入れて温めておく。

(スープが冷たいとオイルと合わせた時に乳化しない。)

13)パスタの茹で具合を確認する。

アルデンテ(中心にちょっと芯が残るくらい)に茹で上げる。茹で過ぎに注意しよう。

14)茹で上がったパスタを水きりする。



今回は茹で水は使わないので、茹で水は全部流してしまっていい。

15)大きなフライパンに、11)でつくったニンニクオイルを入れて弱火に掛ける。


16)茹で上がったパスタを、15)のフライパンに入れ中火にする。


17)「乳化した鶏ガラスープ」を加える。

スープは一度に入れないで少しずつ入れる。
(写真ではフライパンを振っているが、このスープならばフライパンを振らなくても箸を使って混ぜ合わせれば乳化する)

18)塩味が足りなければ塩を振り、味を整える。


19)乳化状態を確認して、乳化が不十分ならば鍋を振って全体を乳化させる。

(このスープならばフライパンを振らなくても箸で混ぜるだけで乳化するが、乳化が不十分の場合には余分な水をキッチンペーパーで取り除き、全体をよく混ぜ合わせる)

19)オリーブオイルを仕上げ油として少量入れる。

仕上げ油を加えることで麺に艶がでて、また香りもよくなる。

20)温めた皿に盛り付ける。

スープと油が完全に乳化している。

21)ニンニク、唐辛子(鷹の爪)、パセリを散らして完成。


今回はオーソドックスな「ぺペロンチーノ」をつくったが、自分で食べる時には、最後に「塩」で味を整えるところを「塩」の替わりに小さじ1程くらいの「醤油」を加えている。

また、「パセリ」の替わりに「アサツキの小口切り」と「大葉の千切り」を散らせば「和風ぺペロンチーノ」となり、このスープとの相性もさらによくなりとても旨い。

さて、次回は「乳化」のまとめとして「乳化機でつくるラーメンスープ」の話をしよう。

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乳化について(おさらい)

2011年08月16日 | らーめん
これまで何回か続けて「らーめんスープ」の話をしながら乳化についての説明をしてきたが最初に「とんこつラーメンとぺペロンチーノはどちらも乳化が決めて」という表題にしたのは、二つとも「W/O型」( ウオーター イン オイル)という水の中に油の粒子が小さく混じりあった乳化状態だからだ。

乳化状態のよくない「とんこつラーメン」は水っぽかったり、舌にベタっと脂がまとわりつく。

「ぺペロンチーノ」もまったく同じで、乳化に失敗すると食べられたものではない。

オリーブオイルをたくさん使うのでベタベタとした味になってしまい、食べた後の皿にはオイルがたっぷり残ってしまう。

下の写真は「ぺペロンチーノ」の完成写真だが、お玉半分以上のスープと大さじ3以上のオリーブ油が入っているのに完全に乳化している。


パスタつくりの中でも、この「ぺぺロンチーノ」が一番難しいとされているのは、「ぺペロンチーノ」には乳化を助けてくれる具材(たとえば豚骨スープならば豚骨)のような乳化剤がなく、オリーブ油とパスタの茹で水(パスタの小麦粉から溶け出した僅かなサポニン)だけを乳化剤として乳化させなければならないからだ。

次回は「ぺペロンチーノ」のつくり方を紹介するが、「乳化」の原理をしっかりと理解しないと美味しい「ぺペロンチーノ」をつくることはできないので、今回は「乳化」ということについてもう一度詳しく話をしよう。

本来、水と油は混ざり合うことはない。仲の悪い人達の例えに『あの人達は水と油だから』という表現もある。

では、何で水は砂糖とか塩とは混ざり合うのに油とは混じり合わないのだろう?

水と油が分かれている「ドレッシング」も、よく振ってあげることで一時的には均一に混ざるがいつのまにか上下に分離してしまう。

いくら混ぜ合わせてもいつのまにか上下に分離してしまう理由は、水と油では「比重」が違うからだ。

話を分かり易くする為に水を「水くん達」、油を「油くん達」と呼ぶことにしよう。

「ドレッシング」もよく振ってあげることで、「水くん達」と「油くん達」は、お互いの分子が小さくなって一緒にいる状態になる。

しかし、時間がたてば水くんは水くんの分子、油くんは油の分子とお互いに引っ張り合う力が強いので、仲間達が集まりあって元の状態に戻ってしまう。

「水くん」と「油くん」達は、どんなに目に見えないような小さな分子になっても絶対に混ざり合うことはない。

そこで、「水くん達」と「油くん達」の仲が悪いのを見かねた「乳化剤くん達」が仲を取り持つことになる。

この「乳化剤くん達」には、2種類のタイプがあり、「水くん達と仲のよい乳化剤くん達」と、「油くん達と仲の良い乳化剤くん達」だ。

たとえば、「水くん達」がたくさん泳いでいる水のプールがあったとしよう。そこに「水くん達」より人数の少ない「油くん達」が泳ぎに入ったとする。

「比重」が違うので「水くん達」と「油くん達」が混じりあうことはない。また、それぞれが引き合う力も強い。

そこに、「乳化剤くん達」がやってきた。今回の「乳化剤くん達」は「水くん達」と仲のよいタイプだ。

「乳化剤くん達」は早速、プールに入ると1人1人の油くんの周りを何人かで囲んでいく、そうすると、「油くん」と「油くん」が一緒に集まることができなくなって、プールの中には「油くん」が別々に点在している状態になる。
(これをW/O型)エマルションという。(ウオーター イン オイルで、水の中に油が粒子となっている)

食品でいえば、牛乳、マヨネーズ、アイスクリームなどがこの「水中油型」だ。

逆に「油くん達」がたくさん泳いでる油のプールがあったとしよう、そこに「油くん達」より数の少ない「水くん達」が泳ぎに入ったとする。

今度は「油くん達」と仲のよいタイプの「乳化剤くん達」が現れて1人1人の水くんの周りを何人かで囲んでいく、そうすると、「水くん」と「水くん」が一緒に集まることができなくなって、プールの中には「水くん」が別々に点在している状態になる。
(これをO/W型)エマルションという。(オイル イン ウオーターで、油の中で水が粒子となっている)

食品でいえば、バターやマーガリンなどがこの「油中水型」だ。

このように、水の中に油が粒子になっている状態と、油の中に水が粒子となった状態を「エマルション」といい、「エマルション」の状態にさせることを「乳化」または「乳化させる」という。

さて、次回は「ぺペロンチーノ」のつくり方を説明するが、通常は「パスタの茹で水」を乳化剤として、また、鍋を振ることで乳化させるが、「パスタの茹で水」の代わりに「乳化した鶏ガラスープ」を使うことにしよう。

もう、理解してくれたと思うが、あの「乳化した鶏ガラスープ」のゼラチン質が乳化剤となり、何度も鍋を振らなくても簡単に「ぺペロンチーノ」をつくることができ、また、スープの旨みも加わる。

尚、余談になるが、日本では「ぺペロンチーノ」というと、このシンプルなスパゲッティーを指すが、「ぺペロンチーノ」とはイタリア語で「唐辛子」の意味だ。

もし、イタリア旅行に行ってレストランで「ぺペロンチーノ ぺルファボーレ(お願いします)」などと注文すると山盛りの唐辛子が出てくるかも知れないので気をつけよう。

正式な料理名は「 Spaghetti Aglio Olio e Peperontino 」(スパゲッティ アッリオ・ オーリオ・エ・ペペロンチーノ)と言い、ニンニクオイルと唐辛子のスパゲッティーだ。

そして、一般的には、このスパゲッティーには「コショー」は使用しないという。

なぜなら、昔、「コショー」はとても高価だったので、その代用品として「唐辛子」を使用するようになったからで、「コショー」を使ってはダメという人もいるが、この料理は日本の「お茶漬け」のようなもので、レストランで食べる料理ではなく、家庭料理なので自分の好きな味で食べればいいと思い。

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乳化した鶏ガラスープ(3)ベトナムPHO風ヌードル

2011年08月16日 | らーめん
中国に来てからあっという間に5年が過ぎてしまったが、中国に来る前はタイに3年程住んでいた。

主にバンコクとプーケットにあるマグロ加工工場を行き来して、バンコクに居る時は夜は「すし幸」という日本料理店のお手伝いをしていた。

「すし幸」の場所はバンコクで最も繁華街として有名な「タニア通り」の中心に位置し、日本で言えば新宿の歌舞伎町のコマ劇場の近くような場所だ。

多くの日本料理店とクラブ(カラオケ)があり、いつも人通が絶えない場所だが、そういう料理店やクラブで働くホステスに食事を提供する為に、タニア通りの近くにはたくさんの屋台が並び、惣菜や鶏のから揚げ、ラーメン類を売っている。

タイに住みだして最初の頃は「パクチー(香草)コリアンダーとも呼ぶ」が苦手だったので、あまりタイラーメンの屋台でラーメンを食べることはなかったのだが、さすがに3年もするとあの独特の香りにも慣れてきて、いつの間にかタイラーメン屋台の常連客となり、また、山盛りのパクチーでないと物足りないようになってきた。

タイのラーメンは大まかに2種類あって、1つは中華麺で「バーミー」と呼び、日本のラーメンと同じように小麦からつくった麺で色も日本のラーメンと同じように黄色だが、日本のラーメンより細い物が多い。

もう1種類は「クイッティアオ」と呼び、米からつくった白い麺だが、コシはなく喉越しがいい。

この麺は太さによって、呼び名が異なり、「センヤイ」が日本のきしめんのように太く、次が「センレック」で、一番細い麺は「センミー」と呼ばれている。

タイのラーメンの特徴は、「鶏ガラ」や「豚骨」ベースのあっさりした澄んだスープで、ラーメンが運ばれてきた時には薄味でほとんど味がついていない。

しかし、テーブルの上には調味料セットが置いてあるので、自分で好みの味にして食べるのだ。

置いてある調味料はさまざまだが、たいていの店には①「ナンプラー」→(タイの醤油)と、②粉末唐辛子、③砂糖、それに④「酢の中に生の唐辛子が刻んで入ってる」の4点セットがあり、他に「コショー」や「ライム」が置いてある店もある。

タイラーメンの魅力は何といっても美味しくて安いことで、1杯が80円~100円程で食べられる。

また、ヘルシーなのでタイに居た時には朝ごはん替わりや夜食(お酒を飲んだ後に小腹がすいた時)など、よくタイラーメンの屋台のお世話になったものだ。

実は2004年の12月23日にプーケットを「大津波」襲った時は、ちょうどマグロ工場で仕事をしていたのだが、あの時は本当に大パニックとなり、まるで映画を見ているかのような光景だった。

ノンビリとした時間がゆっくりと流れていくプーケットがまさかあのような状況になるとは誰も思っていなかっただろう。

プーケットにはマグロ工場があったので何度も行ったが、観光に力を入れていることもあり市内には美味しいレストランがたくさんある。

町の中心にある美人姉妹がやっている「カオマンガイ」→(茹で鶏ごはん)の店や、また、「プラザホテル」の近くの台湾系のタイ人か経営している「クイッティアオ」の店の味は今でも忘れられない。

さて、上海にも「タイ料理店」や「ベトナム料理店」がたくさんあるが、なぜかタイ料理店のメニューにはタイラーメンが無いので、しかたがなくタイラーメンにとてもよく似たベトナム麺「PHO]を食べに、上海のベトナム料理店の食べ歩きをしているが、あのプーケットの店の味にはめぐり合うことは難しいようだ。

今回、紹介する「ベトナムPHO風ヌードル」は、どちらかと言うとベトナム風というよりタイ風なのかも知れないが、先日の「乳化した鶏ガラスープ」をつかって、試しにつくって食べてみて欲しい。

このすっきりしたスープの味わいが病みつきになって、こってり系が苦手になってしまうかも知れないが・・・

◆ベトナムPHO風ヌードルのつくり方。

1)材料を準備する。

左から「牛肉」、生の唐辛子、もやし、ナンプラー、麺、ライム、パクチー(香菜)、ミント。
(ハーブ類は他に生のバジルがあれば牛肉の臭みを消してくれる)
麺はスーパーに「米麺」が無かったので今回は緑豆麺(春雨と同じ原料)を使用した。

2)モヤシはさっと茹ででザルに上げる。牛肉は脂が多ければさっと茹でる。生の唐辛子を小口に切る。

3)鍋に「乳化した鶏ガラスープ」を加熱する。

4)麺を茹でる。

5)ラーメンの器を温めて、よく水切りした熱い麺を入れ「鶏ガラスープ」をそそぐ。


6)牛肉、もやし、ネギ、パクチー(香菜)、ミントをラーメンの上にトッピングする。
(好みで粗挽き黒コショーをふる)

7)小皿にナンプラーと生の唐辛子を小口切りを入れ、ライムと一緒に出来上がった麺に添える。
(お好みで砂糖を少し加えるといいだろう。タイのクイッティアオには砂糖が付きものだ。)
  

さて、次回は「乳化」についての「おさらい」をしよう。


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思い出のマグロラーメン

2011年08月15日 | らーめん
今回は「マグロラーメン」の話をしよう。

前にも書いたが、10年以上も前に「まぐろラーメン」のスープを完成させる為にずいぶんとラーメンスープの研究をしたことがある。

どうしても「マグロ」のカブトだけでスープを取ると魚の生臭さがスープに残ってしまう。しかしマグロの中骨だけを使ってスープを取ると、あっさりし過ぎてマグロラーメンとしてのインパクトが無くなってしまう。

そこで、誰が食べてもマグロラーメンだと分かる味でありながら、生臭ささを感じないマグロラーメンのスープをつくる為に「とんこつスープ」「鶏ガラスープ」それに「牛すじスープ」等のスープを別々につくり、いくつもの組み合わせを試したものだ。

また、マグロのカブトを埼玉県の川口市にある「増幸産業」という会社のテストキッチンに持ち込み、砥石による摩擦の技術(そばの実を石臼ですりつぶすようなもの)にて超微粒にし、それを乾燥させて更に粉末にし「マグロだし」をつくったこともある。

(上下の砥石によりそばの実を石臼ですりつぶすように超微粒となる。)
この機械は「マスコロイダー」と呼ばれている。

「増幸産業」さんには何度もおじゃましたが、心よく協力してくれたことを本当に感謝している。

結局「マグロだし」は商品化までは行かなかったが、後に「マスコロイダー」でマグロの骨と中落ちを一緒に超微粒のペースト状にした商品は「つくね」や「ハンバーグ」の増量材として使用していたこともある。

スーパーマーケットでも販売している「OOOのハンバーグ」というヒット商品があるが、あの商品は鶏の骨をこの「マスコロイダー」によってペースト状にして鶏のひき肉に「骨のペースト」を20%位、水と一緒に加えた商品だ。(石臼の加熱を抑える為に水を加える)

カルシウムリッチ(カルシウムが豊富)を謳っているが骨なのだからカルシウムを多く含んでいるのは本当の話で、小学校の給食などにも使われているようだ。

マグロの骨にしても、鶏の骨にしても、このようにペースト状にして食材に混ぜれば多くの「カルシウム」を摂れる食品になる。また、原価も下がるので「廃棄物」になってしまうような骨の有効活用といえる。

さて、また話がそれてしまったので「マグロラーメン」の話に戻ろう。

◆マグロラーメンのつくり方。

1)沸騰した湯の中に「まぐろカブト」と「まぐろカマ」を入れて30分程煮てから流水にて血や汚れをきれいに洗う。(豚骨らーめんの下処理と一緒)

下処理をした後の写真。

2)鍋に1)のマグロとたっぷりの「水」と生姜とネギ(青いところでよい)を入れて強火に掛ける。


3)沸騰したらアクを取りながら弱火で約3時間程煮る。


4)鍋から「まぐろカブト」と「まぐろカマ」を取り出して金網で濾す。

出来上がった「マグロスープ」の写真

5)マグロのカブトから「頭の肉」と「ホホ肉」、マグロカマから「マグロ肉」を取り出して、醤油、料理酒、みりん、砂糖の調味料を合わせて煮る。

醤油1、料理酒1、みりん1、砂糖1/4(少し甘めの味付けで)

6)煮上がったらマグロを鍋から取り出す。

これが「マグロチャーシュー」だ。

7)ラーメンの器を温めて、そこに「醤油ダレ」をお玉に一杯取って入れる。

8)別鍋に「鶏ガラスープ」が3割、「まぐろスープ」が7割となるように2つのスープを合わせ火に掛け、スープが熱くなったらラーメンの器にスープをそそぐ。

9)マグロチャーシューを食べやすいようにスライスしてラーメンの上に並べる。

10)その他、お好みのトッピングを乗せて出来上がり。


さて、「鶏ガラスープ」を使ったラーメンだが、次回はベトナムの「フォー」のようなラーメンをつくってみよう。

実は、最近は日本のラーメンより、もっと澄んですっきりした味わいの、ベトナムの「フォー」やタイの「クイッティアオ」にハマっている。


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乳化した鶏ガラスープ(2)味噌ラーメン

2011年08月14日 | らーめん
乳化した鶏ガラスープを使って前回は「醤油ラーメン」と「塩ラーメン」をつくったが、今回は「味噌ラーメン」をつくってみよう。

下が完成した「味噌ラーメン」の写真。


美味しい「味噌ラーメン」をつくるポイントは「味噌汁」と同じで、スープは絶対に沸騰させないことだ。

味噌は沸騰したとたんに風味や旨みがなくなってしまう。

使用する味噌は自分の好みの味噌を使えばよいと思うができれば「あいちの赤だし」を試してみて欲しい。


この赤味噌は名前の通り「愛知県」の味噌で、大豆と豆麹でつくられている。

米でつくる赤味噌よりも熟成期間が長いので色も濃く、また、米の赤味噌よりも香りや旨みが強い。

ただし、渋みもあるので、「白味噌」とブレンドして使うことをお勧めする。

「あいちの赤だし」が7割で「白味噌」が3割位が丁度いいと思う。

さて、下記が「味噌ラーメンの味噌の配合」だが、好みもあるので、いろいろな調味料を試して自分だけの味をつくってみるといいだろう。

◆味噌ラーメンの味噌の配合

あいちの赤だし  70g
白味噌       30g
ゴマ油      大さじ1
みりん      大さじ1
砂糖        100g
醤油       大さじ2
豆板醤      小さじ2

◆味噌ラーメンのつくり方。

1)味噌ラーメンの味噌の材料をすり鉢で合わせる。

2)ラーメンの器を温めて、そこに「味噌ラーメンの味噌」をお玉に一杯取って入れ、熱い「鶏ガラスープ」をそそぐ。
  熱々がよければ「鶏ガラスープ」の鍋に直接味噌を加えて温めてもいいが、絶対に沸騰させにように注意しよう。

3)こってり味がよければ、「とんこつスープ」を少し加えるのもいいし、または、「香味油」を浮かべるのもいいだろう。
(写真の味噌ラーメンには「とんこつスープ」は使っていない)

4)お好みのトッピングを乗せて出来上がり。(ニンニクをすって加えてもいいだろう。)

今年の上海はなぜかとても蒸し暑いので、この味噌ラーメンをつくった後で「豆板醤」を増量してうちのスタッフと一緒に試食したら、皆が「很好吃(ヘンハオチー)」→「とっても美味しい」と大好評だった。

辛いラーメンを食べながらいつの間にか汗だくになってしまったが、夏にはピッタリなラーメンだ。

さて、次回もこの「乳化した鶏ガラスープ」を使ったラーメンを紹介するが、以前、何度も失敗を繰り返してやっと成功させた、思い出のラーメン。

「マグロラーメン」のつくり方を紹介しよう。


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乳化した鶏ガラスープ(1)醤油ラーメンと塩ラーメン

2011年08月13日 | らーめん
早速、(kyohey) さんから下記のようなコメントが届いた。
       ↓

感謝、感激です。 (kyohey)

2011-08-12 23:53:55

ありがとうございました。
私もmaguro-championさんのラーメン
食べてみたかったです。
すぐこっちでも参考にして作ってみます。
本当に二日間お疲れ様でした。
そして勉強になりました。
感謝してます。

どうやら少しはお役に立てたようだ。

らーめんスープつくりは手間が掛るがたのしいので、いろいろなスープを組み合わせて自分の味をつくってもらいたいと思う。

ラーメンスープつくりのコツは幾つか工程を分けてつくることで失敗することも少なくなると思う。

「とんこつスープ」「鶏ガラスープ」「醤油ダレ又は塩ダレ」そして、「チャーシューを煮たスープ」や「背脂を煮たスープ」は別々につくって、これを味を見ながら組み合わせれば失敗も少ない。

よく本格ラーメンを売りものにしているラーメン店で「今日はスープの出来が悪いので休業します。」と張り紙をして急に休んでしまう店があるようだが、スープが終了したのならまだしも、スープの出来が悪いから休むというのはプロの料理人としてどうなんだろう?と疑問を感じてしまう。

雑誌にでも紹介されていれば、わざわざ電車やバスに乗って来てくれるお客様もいるだろう。

たとえば日本料理店で「今日は一番出汁の出来が悪いので休業します」という店は絶対に無いと思う。

一番出汁も昆布を一晩水に付けて昆布から出汁を取る店もあるので、ラーメン店と何ら変わらない。

自分はラーメン店が急に休業する理由はよく分からないが、同じ鍋に豚骨や豚脂、チャーシューの肉や野菜を入れて、それをグラグラと沸騰させて、「美味しいスープができるかどうかは後は神様次第」みたいなことでは、いつも同じ味のスープをつくることは絶対にできないと思う。

さて、他の人の仕事を悪く言うつもりのないので、今回は「乳化した鶏ガラスープ」を使って、「醤油ラーメン」と「塩ラーメン」をつくってみよう。

これまで、何度か「乳化した」と書いたが、『本当に乳化したの?』と疑問を持っている人もいるかと思う。

そこで、下が冷蔵庫に一晩置いた「乳化した鶏ガラスープ」の写真だ。

「煮こごり」のようになっていて、水と油がしっかりとゼラチン質で乳化してまったく分離していない。

このスープを使って、「醤油ラーメン」と「塩ラーメン」を完成させる。まずは「醤油ラーメン」からだ。

◆醤油ラーメンのつくり方。

1)ラーメンの器を温めて、そこに「醤油ダレ」をお玉に一杯取って入れ、熱い「鶏ガラスープ」をそそぐ。

醤油ダレは鍋には入れず必ず器に入れる。(醤油ダレを加熱すると風味が無くなってしまう)

2)麺を茹で、よく水きりしてから器に入れる。


3)香味油を上に浮かべる(前回つくった、ゴマ油にネギ、生姜、ニンニクの香りを移した油)


4)トッピングを乗せて出来上がり。

トッピングは好みの物を乗せればいいだろう。更に上からコショーを振れば味にアクセントもでるだろう。

次に「塩ラーメン」だが、今回は「塩ダレ」をつくらなかったので「塩」だけでスープに味付けしたが、鶏ガラスープ自体が旨いので、塩ダレをつかわなくてもこれだけで十分にいける味だ。
尚、香味油として今回は「バター」をスープの上に浮かべた。

◆塩ラーメンのつくり方。

1)ラーメンの器を温めて、そこに「塩ダレ」をお玉に一杯取って入れ、熱い「鶏ガラスープ」をそそぐ。
  今回は「塩ダレ」が無かったので「塩小さじ1」を器に入れて熱い「鶏ガラスープ」をそそいだ。

2)「バター」を香味油としてラーメンの上に浮かべる。(前回つくった香味油でもいいだろう)

3)トッピングを乗せて出来上がり。

塩ラーメンはゴマとの相性が良いので、白ゴマか白ゴマを掏った「すりゴマ」を加えるとよい。
トッピングには、「コーン」や「わかめ」もいいだろう。

さて、次回もこの「乳化した鶏ガラスープ」を使ったラーメンを幾つか紹介しよう。


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とんこつラーメン(4)醤油ダレ(かえし)をつくる

2011年08月12日 | らーめん
今日の上海は朝から雷が鳴り響き大雨だ。かなり近くに雷が落ちているようで、あっちこっちでピカっと光ったとたんにドーンと大きな音が鳴り響く。

昔、ヨーロッパに居た時に、イタリアでは雷が多い年は「松茸」が豊作だと聞いたことがあるが、澄んだ鶏ガラスープに松茸の大きなスライスをたくさん乗せたラーメンを想像するだけでよだれがでてしまう。

さて、今回はとんこつラーメンに使用する醤油ダレ(かえし)のつくり方を説明するが、その前に(kyohey)さんからコメントが届いている。

食べてみたいです。 (kyohey)

2011-08-11 23:20:23

チャーチューも良いツヤ加減で
今すぐにも、食べてみたいです。。。
次回いよいよ完成。
楽しみ過ぎて 何かお腹が空いてきたような…

あのっ…一つ質問ですが、
この時の香りはどのような感じに
仕上がってますか?
このスープの香りは強めですか?


このコメントへの応えだが、スープの香りを文字にするのは難しい。だが、しいて言えば野菜がたっぷり入った「クリームシチュー」のような香りだ。

獣臭はまったくなく、豚の脂の甘い香りが食欲をそそる、そんなスープだ。

それでは、「醤油ダレ」(かえし)つくりに入る。手順が多いが写真があるので分かるだろう。

◆「醤油ダレ」(かえし)のつくり方

1)材料を用意する。

①昆布は一晩水につけておく。
②干し椎茸も一晩水につけて戻してから5幅位に切る。
③いりこは汚れを取り除く。
④鰹節を削る。(パックの物でもよい)
⑤他に、写真の左から「酒」「濃口醤油」「みりん」「砂糖」等を用意しておく。

「干し貝柱」や「干し海老」も加えれば、もっと特徴のあるラーメンになる。
有名なラーメン店では「干し貝柱」を使っているところが多いようだ。


2)「いりこ」をフライパンでさっと炒る。

焦がさないように注意しよう。

3)鍋に昆布を水ごと入れ中火にかけ、沸騰したら昆布を引き上げる。


4)「干し椎茸」をぎゅっと絞って、椎茸だけを鍋に入れる。


5)「いりこ」を加える。


6)「鰹節」を加える。


ここでいったんスープを濾してから調味料を加えてもよいのだが、この鍋の中で味を決めたいので、ここでは濾さずに直接、調味料を入れていく。

7)「酒」(料理酒)を加える

お玉で1杯以上、かなり多めに入っている。

8)「みりん」を加える。

みりんは少なめ。

9)「醤油」を加える。

醤油はかなり多めだ。

調味料を入れたら味をみて調整しよう。甘みが足りなければ「みりん」の代わりに「砂糖」を入れてもいいだろう。ただし、醤油ダレ(かえし)は『しょっぱいな』と感じる位が丁度よい味だ。

10)味が決まったら、金網で濾す。


11)更に醤油を少し足して、醤油の香りを引き立たせる。


これで「醤油ダレ」(かえし)の完成だ。

この「醤油ダレ」は、今回のとんこつラーメンにも使うが、醤油を使うと真っ白いスープに色が付いたり、また、醤油の風味が要らなければ、このタレに醤油は入れずに、最後に「塩」で味を決めれば「塩ダレ」になる。

「塩ダレ」もつくっておけば「塩らーめん」や澄んだスープを特徴とするいろいろなラーメンに使えるだろう。

次に「焦がしネギ」と「香味油」のつくり方を説明するが、「焦がしネギ」といっても焦がし過ぎないように注意しよう。


◆「焦がしネギ」と「香味油」のつくり方

1)材料を用意する。

ゴマ油、にんにくみじん切り、生姜みじん切り、長ネギは斜めにスライス。

2)フライパンを弱火にかけ、たっぷりのゴマ油を入れ、にんにく、生姜、長ネギを入れる。


3)ゴマ油に、にんにく、生姜、長ネギの香りが移したら、焦げる直前に濾す。


4)「焦がしネギ」と「香味油」と別々に保存する。

写真の左が「香味油」で右が「焦がしネギ」だが、くれぐれも焦がし過ぎに注意してほしい。

次は「トッピング」用の「煮玉子」をつくろう。

「煮玉子」をつくるポイントは何と言っても「茹で時間」だ。近くにタイマーを置いて、沸騰した湯の中に玉子を入れたらきっちり「7分」(とろとろが好きなら6分30秒)茹でて、すばやく冷水の中で冷やすこと。

◆「煮玉子」のつくり方

1)玉子を冷蔵庫から取り出し常温に戻しておく。

2)鍋にたっぷりの湯を沸かし、玉子を7きっちり「7分間」茹でて、冷水につけて殻をむく。


3)殻を剥いた玉子を「チャーシューのタレ」に漬けこむ。

時々、玉子の上下を反して全体が同じ色になるようにする。

さて、ここでは玉子の殻を剥いてから「チャーシューのタレ」に漬けこんだが、日持ちをよくさせたければ「殻のままタレに漬けこむ」と良い。

さて、「2種類のスープ」と「醤油ダレ」。トッピングの「チャーシュー」と「煮玉子」に「焦がしネギ」も揃ったところで、いよいよ「とんこつラーメン」を完成させよう。

「とんこつスープ」と「鶏ガラスープ」の2種類のスープだが、今回は「とんこつスープ」が8割、「鶏ガラスープ」が2割の配合で混ぜ合わせた。

とんこつスープの「こってり」と鶏ガラスープの「あっさり」は、好みでどちらかを多くすればよい。

鶏ガラスープを多くすれば、とんこつラーメンでも味がすっきりとして、ラーメン一杯分のスープを最後の一滴まで美味しく飲むことができ、また、「胸やけ」することはないだろう。

1)鍋に「とんこつスープ」を入れる。


2)同じ鍋に「鶏ガラスープ」も加える。


3)麺を茹でる


4)ラーメンの器に湯を張り十分に温めた後、湯を捨て「醤油ダレ」をお玉に半分取って器に入れる。

醤油ダレは香りが命。鍋の方には入れずに必ず器に入れよう。

5)鍋で合わせた2種類のスープを器にそそぎ、麺を加える。

今回はスープと麺がからみやすいように、太めのストレート麺を使用した。

6)トッピングを上に乗せ、「とんこつラーメン」の完成だ。

トッピングには、チャーシュー、煮玉子、きくらげ、刻みネギ、白ゴマ、焦がしネギを乗せたが、紅生姜やメンマ、なると、高菜漬けなど好みの物を乗せればよいだろう。

もっとコクのある味が好きならば、とんこつラーメンつくりの時に残しておいた「背脂」や、焦がしネギをつくった時の「ネギや生姜やニンニクの香りが移ったゴマ油」を「香味油」としてラーメンの上に浮かべるのもよいだろう。

下の写真はうちの店のスタッフが出来上がった「とんこつラーメン」を試食しているところだが、とても好評だった。


まる2日間、本当におつかれさまでした。

日本人の大好きな「ラーメン」はこのようにとても手間の掛る料理だが、手間が掛るがゆえに美味しいスープが出来上がった時の喜びも大きいだろう。

(kyohey)さんにとってこのブログでのラーメンつくりが、少しはお役に立つことができただろうか。。。

さて、次回は「鶏ガラスープ」を使ったラーメンを幾つか紹介しよう。


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とんこつラーメン(3)チャーシュースープの使い道

2011年08月11日 | らーめん
前々回の「とんこつラーメン(1)」では、豚骨(げんこつ)と豚足を水をたっぷり入れた鍋に入れて沸騰させるとこまで説明したがスープが詰まってきたら水を足さなければならない。

しかし、冷たい水を沸騰した鍋に入れると急にスープの温度が下がり、解乳化(乳化が解ける)してしまい、また、もう一度沸騰するまでに時間もかかる。

そこで、チャーシューを野菜と一緒に煮ながら、そのスープを使えば一石二鳥となる。

旨いチャシューをつくるのには野菜と一緒に煮てやることだが、チャーシューをつくった後の野菜とスープは全部、とんこつスープの中に入れてやれば、とんこつスープも旨くなる。

◆本格的チャーシューのつくり方

1)豚バラ肉の皮をカットする。

豚バラ肉は、あまり脂の多くないものを選ぼう。


2)豚皮は別鍋でさっと茹ででから水洗いし、とんこつスープの鍋に入れる。

さっと茹でた後に水洗いして毛や汚れをきれいに取り除こう。

3)バラ肉をロール状にしてタコ糸を巻く。

ほどけないように、かたくきつくしっかり巻こう。

4)野菜を用意し鍋で煮る。

野菜はチャーシューを煮た後でとんこつスープに入れるので種類も多い。

5)バラ肉をフライパンで焼く。

(写真奥が野菜を鍋で煮ているところ)

6)焼いたバラ肉をスープに入れる。

このまま約2時間、弱火で煮ていく(柔らかい方がよければ3時間位煮てもよいだろう。

7)とんこつスープが煮詰まってきたら、このスープを足してやる。

(写真奥がとんこつスープ)

8)別鍋でチャーシューを漬けこむ醤油ダレをつくる(弱火)

<チャーシュータレの配合>
醤油           200
酒             100
みりん          150
粉末ガラスープ+水  200
砂糖             30
にんにく、生姜     適量

9)チャーシューを鍋から取り出し、8)のタレに漬けこむ。

(写真は一晩漬けこんだもの)

10)バラ肉を煮たスープと中の野菜を全部、とんこつスープの鍋に入れる。

(乳化状態がよく、スープの色も白い)

さて、とんこつスープはここまで約6時間程強火で煮ているので、スープの色も白くなっているが、とんこつスープの完成までには10時間は煮込む必要がある。

スープはどんどん煮詰まってきたが、足してやるスープ「チャーシュースープ」は全部、とんこつスープの鍋の中に入れてしまった。

そこで、今度は「背脂」を水で煮て、とんこつスープに足してやる。
そうすることで、とんこつスープにコクがでる。

◆背脂を水で煮る(背脂スープ)

1)背脂を5㎜角に切る。


2)鍋に水を入れ沸騰したら1)の背脂をいれる。


3)とんこつスープが煮詰まってきたら、背脂スープを足してやる。


こうして、とんこつスープが煮詰まってきたら「背脂スープ」を足しながら、焦がさないように強火で約10時間煮ていくが、特に最後の方はスープの底が焦げやすいのでよくかき混ぜながらスープが焦げないように注意しよう。


この写真が完成した「とんこつ」スープだ。
(ここで、味やコクが足りない場合にはさらに2~3時間煮ることになる。

後は、金網などで濾せばよい。

尚、背脂スープだが、カットした背脂を煮て一部でも残っていたら、とんこつラーメンの上に「香味油」として浮かべてもいいだろう。(東京のとんこつラーメン店では、背脂がギトギトと浮いている店も多いようだ)

さて、今回は「醤油タレ」と「香味油と焦がしネギ」のつくり方についても説明しようと思っていたのだが、今日は和さ美の2店舗で大きな宴会があるのでこれから様子を見にいくことにする。

さて、次回はいよいよ美味しい「とんこつラーメン」の完成だ。


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とんこつラーメン(2)沸騰させないで鶏ガラスープを乳化させる

2011年08月10日 | らーめん
美味しい「とんこつラーメン」をどうやってつくるのか。今回はとんこつスープに合わせるもうひとつ別のスープのつくり方を説明しよう。

さて、実際「美味しいとんこつラーメン」とはいったい何なのだろう?

豚の骨を長時間煮込んで、骨髄からでるエキス(旨味成分)をスープのだしとして使用するのが「とんこつラーメン」なのだが、いくら豚骨を野菜や背脂やチャーシューの肉と一緒に長時間煮込んでも何か味に物足りなさを感じてしまう。

また、濃厚に煮込んだスープは、脂っぽくて若い人ならよいかも知れないが子供や年長者にはとても最後まで飲めないだろう。

しかし、その濃いスープもお湯を足してしまったら、今度はスープの味が薄くなってしまう。

某社のビールではないが、コクを取るのかキレを取るのか?なかなか両立は難しい。

ラーメンの場合には「こってり」を取るか「あっさり」を取るのか?ということだろう。

そこで、濃厚なとんこつスープとあっさりの鶏がらスープを別々につくれば、「こってり」の場合にはとんこつスープを多くし、鶏ガラスープを少なく合わせればいいし、「あっさり」の場合には鶏ガラスープの方を増やせばよい。

以前「マグロラーメン」の研究をしていた時にこの問題でずいずん悩んだ。

マグロの頭や骨から出るエキスをスープのだしと使用して、濃厚なマグロスープを取っても、マグロの生臭さが気になり、とても旨いスープにはならない。

そこで、マグロラーメンと合わせるスープを幾つもつくり試行錯誤の末にこの「鶏ガラスープ」を完成させた。

特に、鶏ガラスープは沸騰させるとえぐい味になり香りもなくなってしまうので沸騰させたくないが、鶏ガラだけでは沸騰させないと乳化が不十分で油が上に浮いて水と油が分離してしまう。

そこで、粉末ゼラチン等を加えて乳化させたり、いろいろな物を試して「沸騰させないで鶏ガラスープを乳化させる」方法を見付けた。

この澄んだスープをベースにすれば、他にもいろいろなラーメンに応用できるので、今回は作り方を詳しく説明しよう。

1)鶏ガラと鶏足(モミジ)を沸騰した湯で茹でる。

鶏足(モミジ)は「爪」を切ってある。

豚骨(げんこつ)の時と同じようにアクがたくさん出る。

2)鶏ガラの血と内臓を取り除き水洗いする。

肺の部分等もきれいに取り除く。

3)前回のとんこつスープの時に残しておいた、豚骨(げんこつ)3本、豚足1本と鶏ガラ、鶏足(モミジ)と野菜も準備する。

野菜は今回は、長ねぎ、玉ねぎ、ニンジン、キャベツ、ニンニク、生姜を用意した。
(写真には無いが、リンゴ1個を後でスープに入れた)

4)鍋にたっぷりの水を入れ、3)の材料を加えて火に掛ける。

アクはこまめにすくう。

5)炊飯ジャーの釜に4)を移す。



かなり上の方までスープがある。足りなければお湯を足してやろう。

6)炊飯ジャーを点火する。(一度沸騰すると自動的に保温モードになる)

保温モードでは火力が弱い場合には、再度、点火して弱火にする。

7)ときどきアクをすくって全体をかき混ぜる。


8)約6時間煮込んでスープが釜の半分になれば出来上がり。



スープは網などで濾して別鍋に移して保管する。

写真のように出来上がったスープは水と油が完全に乳化し、また、澄んだスープになっている。

ここでもう一度上の写真の濾すところを見てもらいたいのだが、鶏足(モミジ)は多少は原型を残しているが、豚足は骨以外はまったく見当たらない。

水と油が混じり合う乳化には乳化剤が必要だが、豚足や鶏足(モミジ)のゼラチン質はほとんどスープに溶け込んでいる。

つまり、沸騰させずに鶏ガラスープを乳化させ、澄んだスープを作るには乳化補助として豚足や鶏足(モミジ)を鶏ガラと一緒にたくさん入れれば、たとえスープの上に油分が浮いてなくても、相当な油分を内包して乳化しているということだ。

さて、次回は「チャーシュー」つくりと「醤油タレ」それに、「香味油と焦がしネギ」のつくり方について説明しよう。


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とんこつラーメン(1)豚足を乳化安定の為にたっぷり使う

2011年08月09日 | らーめん
上海を直撃すると言っていた台風9号(中国語名:梅花)だが、台風の進路が青島、大連の方に向かったようで、大連金州開発区では化学工場の堤防(建設中)が崩壊したようだ。ただし、工場内にある貯蓄タンクから石油の加工製品であるナフサ(中国語名:石脳油)は漏れだしていないという情報が大連の日本領事館からのEメールで届いた。そんなこともあって和さ美の大連店のことがに気なり何度か電話をしたが台風による影響は特になかったようだ。

さて、とても大きな台風が上海に向かっていることもあり、ここ2日間はお客様も少なくスープ作りに集中することができた。

写真もたくさん撮ったので、らーめんスープ作りについて写真と一緒に詳しく説明しよう。

前回、とんこつスープが白濁しているのはぐらぐらと煮ることにより豚骨から溶け出したコラーゲンがゼラチン化してそれが乳化剤の役割となりとなり脂肪を包み込むことを説明したが、豚骨より多くのゼラチン質を含むのが豚足だ。

豚足を加えることにより、解乳化(乳化が解けること)が起こり難い、しっかり乳化したスープを作ることができる。

それと、おいしい「とんこつラーメン」を作るポイントは、あの独特の「獣臭」を取り除いてやることだ。

それには、まず、豚骨と豚足を水洗いをしてしっかりと血抜きをしてから1時間程下茹でをし、再度、よく洗って血の固まりや汚れをきれいに取り除き、骨をハンマー等でかち割る。

鍋にたっぷりの水を入れ、その中で豚骨と豚足を8時間~10時間強火で根気よく炊いていけば、まずは基本の「とんこつスープ」となる。


1)今回用意した豚骨(げんこつ)

材料のげんこつ:1つで1㎏以上ある。


よく水洗いした後、流水に30分程さらす。

2)げんこつを約1時間程強火で下茹でする。

※下茹でする際はなるべく沸騰してから骨を入れる。(骨中の血液を高温で固める為)
前処理の下茹での時間は30分以上はやってほしい。できれば1時間位茹でる。
1時間も茹でたら旨味のエキスが無くなってしまうのでは?と心配かもしれないが豚骨スープは長時間かけ骨の中の旨味成分をじっくりと出していくので、ここでしっかりと「獣臭」を取り除こう。

3)ものすごい量のアクが浮いてくる。

茶色のアクは血液が固まったアクなのでそのアクが出なくなるまで強火で茹でる。

どんどんアクが出るので、こまめに取る。

4)豚足の処理

豚足もげんこつと同じように水洗いする。
(皮に毛が残っている場合には直火で炙るとよい。)

4)豚足を沸騰した鍋に入れて10分程茹でる。


5)豚足を鍋から取り出しよく洗う。


6)豚足を半分に切る。


7)半分に切った豚足を水洗いし、もう一度沸騰した鍋に戻す。

豚足内部には血が多いので、こうすることで実際のスープの時に血が流出しない。

8)豚骨(げんこつ)と豚足を鍋から上げる。


9)冷めたら、ブラシを使って丁寧に血や汚れを取り除く。

写真は「豚骨」(げんこつ)


写真は豚足

10)豚足の「爪」を切り取る。(爪は捨ててしまおう)

さらに、豚足を半分に切る。

半分に切った豚足


11)豚骨(げんこつ)もハンマー等で半分にする。(写真は中華用の包丁でかなり固いものでも切れる)


12)鍋にたっぷりの水を入れ強火にし「豚骨」(げんこつ)と豚骨を入れる。
今回、豚骨を8本と豚足3本を用意したが、他のスープにも使用するので、豚骨5本と豚足2本分を使う。
※尚、エキスを十分に抽出したいので、お湯からではなく必ず水から茹で始める。


写真のようにグラグラと沸騰させる。

今回は、「豚骨」(げんこつ)と「豚足」の下処理に付いて説明したが、ポイントは豚特有の「獣臭」が残らないようにすることだ。十分に下茹でをしてから水洗いをして汚れや黒く固まった血を取り除けば、美味しい「とんこつスープ」をつくることができる。

このスープはグラグラと沸騰させることで「乳化」し、また、豚足に含まれる「ゼラチン質」がより乳化を強いものにしている。

さて、次回は「美味しいとんこつラーメン」作りに使用するもう一つのスープ。「鶏ガラスープ」の作り方を説明しよう。

そして、このスープは何と驚くことなかれ「沸騰させないで鶏ガラスープを乳化させる」のだ。


乳化した「鶏ガラスープ」の写真。


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とんこつラーメンとぺペロンチーノは、どちらも乳化が決めて

2011年08月06日 | らーめん
今日の上海は曇り空だが久しぶりに気温が下がり過ごしやすい。しかし、そろそろ台風が上陸するようなので週末は雨で店も暇だろう。

昨日、(kyohey)さんから下記のようなコメントをいただいたので、材料を取り寄せ「とんこつラーメン作り」の写真を撮ってブログにアップしてみようと思うが、スープの煮込みにはまる2日は掛るので待っていて欲しい。
       ↓

質問 (kyohey) 2011-08-05 23:15:02

今加工ってほどでもないんですが
旨い豚骨ラーメンを作る研究をしています。
鶏がらとゲンコツを使い
塩、香味野菜、グルタミン酸ナトリウム
で作ったシンプルなベースから
味の幅を広げ、濃厚さを出していきたいのですが
なかなか上手くいきません。

そこでmaguro-champion さんに
お聞きしたいのですが
旨い豚骨ラーメンのレシピってご存知ですか?
もしご存知であればしえてください。

突然こんな質問してすみません。
可能であればよろしくお願いします。


さて表題の、「とんこつラーメンとぺペロンチーノは、どちらも乳化が決めて」について少し話をしよう。

以前、「インジェクションミート」のところでも書いたが、水と油は普通では混ざり合うことない。

そこで、マヨネーズなどを作る場合には卵黄に含まれるレシチンが界面活性剤として作用して油の分子を親水性の分子で覆って水分に親和させる。この水と油が混ざりあった状態をエマルジョン(乳化)という。

とんこつスープが白濁しているのはぐらぐらと煮ることにより豚骨から溶け出したコラーゲンがゼラチン化してしそれが乳化剤の役割となり脂肪を包み込むからだ。

逆に澄んだスープを作る場合は、同じとんこつや鶏がらを材料にしても、スープの温度を80℃位に保ち煮立てないことがポイントだ。

さて、とんこつスープだが九州では「さっぱり味」を売りにしているものが多いのに対し、逆に関東では豚の背脂を加えて濃厚な「こってり味」に仕上げているものが多いようだ。

また九州の豚骨ラーメンのスープは白濁しているのが特徴だが、実はこの白いとんこつスープは、昔あるらーめん店がとんこつスープをうっかり煮込みすぎて白くにごらせてしまった。

そのスープを味見してみたら、味がまろやかになっていて、おいしかったのが白いとんこつスープの始まりと言われている。

さて、日本人の大好きなスパゲティ「ぺぺロンチーノ」だが美味しく作るコツは油にニンニクの香りを移したらパスタの「ゆで汁」を少量(お玉半分位)、ニンニクオイルのフライパンに投入しフライパンを振ってやると、本来混ざるはずのない、水と油が、パスタを茹でたお湯に溶けている小麦粉の成分(サポニン)を媒介として一体に混ざり合う。
逆にバラバラだと、変に油っぽくてべたべたなパスタになってしまう。
(ここでのポイントはフライパンを振ることで、これはドレッシングを振って混ぜ合わせるのと同じで乳化をしやすいようにする。)

つまり、とんこつらーめんのスープもぺペロンチーノも、上手に乳化をさせることが肝心だ。

とんこつラーメンのスープを美味しく作るには何といっても長時間強火でぐらぐら煮ることだ。

鶏ガラに比べとんこつにはコラーゲンが多のが特徴でゼラチン質が多量に出るので、しっかりとした味のスープがとれ、また脂肪も多くスープの表面には、たくさんの油が浮く。

そして長い時間煮続けていると、浮いた油はだんだんと消えてスープが白濁してくるが、これはスープに溶けだしたゼラチン質が乳化剤の役割をうまく果たしているからで、白濁したスープは、乳化がうまくおこなわれているということだ。これによって味もまるくなる。

昔、毎日、毎日、「まぐろラーメン」のスープを完成させる為に、「とんこつスープ」「鶏ガラスープ」それに「牛すじスープ」等を作って研究したことがある。

どうしても「マグロ」だけだと魚の生臭さがスープに残ってしまうからで、他のスープとの組み合わせをずいぶん試したものだ。

それぞれのスープのうま味の成分であるイノシン酸やグルタミン酸が混じり合うことでいろいろなスープが生まれる。

実は「支那そば」(関東風の醤油らーめん)のスープは「鶏ガラ」だけで作っているように思えるが、「とんこつ」も一緒に使っている店が多い。

もちろん、スープを沸騰せずに澄んだスープだが、とんこつを使用することで味にコクがでる。

また、この「鶏ガラととんこつのスープ」を熱した鍋の中に入れると、あっという間に「白いスープ」になる。

白いスープだが「豚脂」などを加えてないので、あっさりとしたした味でこのスープも旨い。

さて、また話が長くなってしまったのこのへんにしよう。

そろそろ材料が店に届いている頃だろう。


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