今回は一酸化炭素(CO処理)でピンク色に変色した「COマグロ」の話しをしよう。
「COマグロ」は既に日本でも中国でも販売が禁止されているが、今でも中国の食べ飲み放題の安い店でこのマグロをたまに見かけることがある。

まず、「COマグロ」のことを知らない人もいると思うので少し説明をしよう。
COマグロとはマグロに一酸化炭素を「COガス処理」すると筋肉色素のミオグロビンと一酸化炭素(CO)が結び付いて黒く変色するのを防ぎ鮮やかな赤色を保つ技術をいう。
もう少し詳しく説明すると、マグロの赤い色はミオグロビン(色素タンパク)が主成分で、これは筋肉の中にあって酸素を運搬してる。
マグロを刺身にすると、はじめはやや紫がかった赤色だが空気に触れることで明るい赤色に変わる。
それは、筋肉色素のミオグロビンと空気中の酸素が結合するからで、さらに長く放置すると、今度はだんだんと褐色に変わっていかにも不味そうな色になってしまう。
これは、酸素がミオグロビンから離れるとミオグロビン自体が変性しメトグロビンになるからでこれをメト化という。
マグロは外洋を回遊する魚だけに、その肉質は赤色の筋肉色素のミオグロビンに富み、その肉の「赤み」が鮮度の判断や商品価値に関わり、色のきれいなマグロは価格も高く、色の黒いマグロは二束三文となってしまう。
よく、一酸化炭素中毒の患者はきれいな「ピンク色」の顔色をしていると言うが、COは、酸素よりもヘモグロビンに対する親和性がはるかに強く(約250倍)、筋肉色素のミオグロビンも同様の働きを持っている。
そういうわけで、一度結合したCOは容易に解離しないので、いつまでも鮮紅色の色合いを保つことになる。
通常、冷凍マグロは解凍後、1日程度で黒く変色するが、CO処理マグロでは5℃で一週間放置しても、鮮紅色を保つし、また鮮度を表す「K値」の経時的変化でも、CO処理マグロと無処理との間には劣化の速度に差がないとの結論が出ている。
しかし、一週間放置しても変色しないことは消費者に鮮度の基準を狂わせ、食中毒の原因にもなりかねないことから、日本では1994年には食品衛生法で禁止されることになった。また一酸化炭素処理されたマグロは「COマグロ」とも呼ばれている。
また、この技術は、ブリ、ハマチの血合いの変色防止にも応用されているし、中国の水産加工工場でCO処理された「ティラピア」は今でもアメリカ向けにたくさん輸出されている。
アメリカのFDAは、マグロの変色を防ぐためのCO処理やティラピアのCO処理を許可しているが、すでに変色したものの処理は許可しておらず、また処理したことを明記するよう店側に求めている。しかしその規定は遵守されていないようだ。
さて、前置きが長くなってしまったが、今回、なぜ「CO処理されたマグロは食べないように」と言っているかを説明しよう。
それは、「COマグロ」の原料として、非常に鮮度の落ちた、色も悪いマグロが使われる場合が多いからだ。
下記は、マグロ船だが木造船で小さな船だ。

インドネシアやフィリピン等では、主にこのような小さな船でマグロ漁業をする為に、ほとんどが超低温(-60℃)の冷凍設備もなく、また、マグロを冷やし貯蔵する水槽には水が濁らないように水を循環する設備が必要だが、そういった設備も持たない船が多い。
その小型のマグロ船は港を出ると、マグロが水槽いっぱいになるまで漁をして帰港するが、当然、鮮度の良いマグロ、鮮度の悪いマグロとを一緒に持ち帰ることになる。

そして、1本ずつ選別してマグロの販売先を決めることになる。

一番良いマグロは、AAとして日本に空輸され日本の築地や大阪の中央市場でセリかけられるマグロだ。

そして、Aのランクのマグロはアメリカ向けに空輸される場合が多い。
問題なのが、B~Dまでのランクのマグロだが、BランクはCOガス処理され、COマグロの高級品になるが、生で食べられるこはこのBランクまでだろう。
しかし実際には、鮮度の悪くなったCとDランクのマグロ(Dのあまり品質の悪い物は加熱加工用)がCO処理されている。
CO処理前のマグロの色は「昔の小学校の机」のような色だがCO処理すると鮮やかな「ピンク色」に変色する。

以前、中国の魚市場で、COマグロを見掛けたことがあるが、35元/㎏と55元/㎏の2種類があると言っていた。
35元/㎏の方にはCとDランクのマグロが使われている可能性が大きいと思われる。
今は中国の食品検査も厳しくなり、あまりCOマグロを見かけなくなったが、もし、日本料理店で「変なピンク色」のマグロが出てきたら食べない方がいい。
特に夏場は冷たい飲み物のせいで胃腸も弱っているのでなおさらだ。
さて、ここのところ料理の話からそれてしまったので、次回は「自家製豆腐」の話をしよう。
もしよろしかったら下記をクリックお願いします。
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「COマグロ」は既に日本でも中国でも販売が禁止されているが、今でも中国の食べ飲み放題の安い店でこのマグロをたまに見かけることがある。

まず、「COマグロ」のことを知らない人もいると思うので少し説明をしよう。
COマグロとはマグロに一酸化炭素を「COガス処理」すると筋肉色素のミオグロビンと一酸化炭素(CO)が結び付いて黒く変色するのを防ぎ鮮やかな赤色を保つ技術をいう。
もう少し詳しく説明すると、マグロの赤い色はミオグロビン(色素タンパク)が主成分で、これは筋肉の中にあって酸素を運搬してる。
マグロを刺身にすると、はじめはやや紫がかった赤色だが空気に触れることで明るい赤色に変わる。
それは、筋肉色素のミオグロビンと空気中の酸素が結合するからで、さらに長く放置すると、今度はだんだんと褐色に変わっていかにも不味そうな色になってしまう。
これは、酸素がミオグロビンから離れるとミオグロビン自体が変性しメトグロビンになるからでこれをメト化という。
マグロは外洋を回遊する魚だけに、その肉質は赤色の筋肉色素のミオグロビンに富み、その肉の「赤み」が鮮度の判断や商品価値に関わり、色のきれいなマグロは価格も高く、色の黒いマグロは二束三文となってしまう。
よく、一酸化炭素中毒の患者はきれいな「ピンク色」の顔色をしていると言うが、COは、酸素よりもヘモグロビンに対する親和性がはるかに強く(約250倍)、筋肉色素のミオグロビンも同様の働きを持っている。
そういうわけで、一度結合したCOは容易に解離しないので、いつまでも鮮紅色の色合いを保つことになる。
通常、冷凍マグロは解凍後、1日程度で黒く変色するが、CO処理マグロでは5℃で一週間放置しても、鮮紅色を保つし、また鮮度を表す「K値」の経時的変化でも、CO処理マグロと無処理との間には劣化の速度に差がないとの結論が出ている。
しかし、一週間放置しても変色しないことは消費者に鮮度の基準を狂わせ、食中毒の原因にもなりかねないことから、日本では1994年には食品衛生法で禁止されることになった。また一酸化炭素処理されたマグロは「COマグロ」とも呼ばれている。
また、この技術は、ブリ、ハマチの血合いの変色防止にも応用されているし、中国の水産加工工場でCO処理された「ティラピア」は今でもアメリカ向けにたくさん輸出されている。
アメリカのFDAは、マグロの変色を防ぐためのCO処理やティラピアのCO処理を許可しているが、すでに変色したものの処理は許可しておらず、また処理したことを明記するよう店側に求めている。しかしその規定は遵守されていないようだ。
さて、前置きが長くなってしまったが、今回、なぜ「CO処理されたマグロは食べないように」と言っているかを説明しよう。
それは、「COマグロ」の原料として、非常に鮮度の落ちた、色も悪いマグロが使われる場合が多いからだ。
下記は、マグロ船だが木造船で小さな船だ。

インドネシアやフィリピン等では、主にこのような小さな船でマグロ漁業をする為に、ほとんどが超低温(-60℃)の冷凍設備もなく、また、マグロを冷やし貯蔵する水槽には水が濁らないように水を循環する設備が必要だが、そういった設備も持たない船が多い。
その小型のマグロ船は港を出ると、マグロが水槽いっぱいになるまで漁をして帰港するが、当然、鮮度の良いマグロ、鮮度の悪いマグロとを一緒に持ち帰ることになる。

そして、1本ずつ選別してマグロの販売先を決めることになる。

一番良いマグロは、AAとして日本に空輸され日本の築地や大阪の中央市場でセリかけられるマグロだ。

そして、Aのランクのマグロはアメリカ向けに空輸される場合が多い。
問題なのが、B~Dまでのランクのマグロだが、BランクはCOガス処理され、COマグロの高級品になるが、生で食べられるこはこのBランクまでだろう。
しかし実際には、鮮度の悪くなったCとDランクのマグロ(Dのあまり品質の悪い物は加熱加工用)がCO処理されている。
CO処理前のマグロの色は「昔の小学校の机」のような色だがCO処理すると鮮やかな「ピンク色」に変色する。

以前、中国の魚市場で、COマグロを見掛けたことがあるが、35元/㎏と55元/㎏の2種類があると言っていた。
35元/㎏の方にはCとDランクのマグロが使われている可能性が大きいと思われる。
今は中国の食品検査も厳しくなり、あまりCOマグロを見かけなくなったが、もし、日本料理店で「変なピンク色」のマグロが出てきたら食べない方がいい。
特に夏場は冷たい飲み物のせいで胃腸も弱っているのでなおさらだ。
さて、ここのところ料理の話からそれてしまったので、次回は「自家製豆腐」の話をしよう。
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キチンとしたマグロで作ればCOマグロという技術自体は批判するものでは無いですよね
それを分かっていながら「COマグロ」そのものを食べるなと言う書き方はいかがなものかと思います