マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(22)甜麺醤(テンメンジャン)を手作りしよう。

2011年10月17日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
今回の「料理長が自宅で作る簡単おつまみ」は「厚揚げ豆腐のピリ辛煮込み」という、中国の家庭料理を紹介する予定だったのだが、まずは「甜麺醤」(テンメンジャン)を手作りすることにしよう。

この料理は中国語では「家常豆腐」と呼ばれ、四川省では「麻婆豆腐」と並び「家常豆腐」はその名の通り、家で常に(いつも)作る家庭料理だが、ピリッと辛い味がビールにも合って「おつまみ」にしても美味しい。

この料理に使う主な調味料は、「豆板醤」と「甜麺醤」だが、「豆板醤」は少し塩辛いが香りが良いので「李錦記」の物を使っている。


そして「甜麺醤」だが「甜麺醤」は甘くて(甜)そして原料は小麦(麺)から作った味噌(醤)なので「甜麺醤」と言うが、炒め物や煮ものに使うと香りがいいので、麻婆豆腐や回鍋肉などにも使うことが多い。

実はこの「甜麺醤」だが、中国ではもっとポピュラーでどこでも買えるのかと思っていたのだが、美味しい「甜麺醤」がなかなか見つからない。

しかたなく、以前は日本から運んでいたのだが、今は天津の日本の調味料メーカーが日本向けに作っている「甜麺醤」と「豆板醤」を少し分けてもらって店では使っている。

また、「甜麺醤」は李錦記が「上海式甘醤」という商品を出していて、たまに上海の高級スーパーで見かけるが、甘さはあまり感じず醤油の味がきつい。


今回は、この「甜麺醤」を手作りするが、作り方はとても簡単で、鍋やフライパンに「八丁味噌」「砂糖」「醤油」「酒」を同量ずつ入れて中火で練り上げるだけだ。

30分位して粘度が出てくると、熱い味噌が辺りに飛び散り、飛び散った味噌が腕や顔に付くと火傷をするので気を付けよう。

また、耳たぶ位の堅さになってくると鍋底が焦げ付きやすくなるので弱火にし、しゃもじでかき混ぜながら鍋底を焦がさないように気を付けよう。

それでは、早速、作ってみよう。


◆自家製の甜面醤の作り方。

1)用意する物。

写真手前の左から「八丁味噌」「砂糖」。写真奥の左から「醤油」「料理酒」「ゴマ油」。

2)作り方。(写真の計量カップは300mlまで計れる)
①味噌を計量カップの200mlまで入れて、フライパンに入れる。


②砂糖を計量カップの200mlまで入れて、フライパンに加える。


③醤油を計量カップの200mlまで入れて、フライパンに加える。


④料理酒を計量カップの200mlまで入れて、フライパンに加える。


⑤中火に掛けて、30分~40分しゃもじで練り上げる。


⑥耳たぶ位の堅さまで練る。


⑦ゴマ油を大さじ1程加える。


⑧よくかき混ぜる。


⑨容器に移す。


⑩冷めたら蓋をして冷蔵庫で保管する。


今回の配合だと出来上がりが「李錦記」の「甜麺醤」と同じように「あまり甘くない」と感じると思うが、調味料として使うので、甘味が足りなければ料理を作る時に「砂糖」「や「味醂」を加えればいい。

それでも甘い方が好きならば砂糖を50g程多めに加えればよいが、あまり甘過ぎると下品な味になってしまう。

さて、「甜麺醤」の用意ができたので、次回は「厚揚げ豆腐のピリ辛煮込み」を作るとしよう。








料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(21)ボイル甘えび

2011年10月17日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
今、日本にはグリーンランドや北欧、カナダ等から刺身用の甘えびがたくさん輸入されて、スーパーの魚売り場で買う事もできるし回転寿司などでも気軽に食べることができるが、甘えびを最初に刺身用に加工して日本に輸入したのが、日本の水産会社の「スクーナー」で今から30年程前のことだ。

デンマーク領の「グリーンランド」で現地のエスキモーを使い「刺身用の甘えび」を開発してスクーナー社が日本に甘えびを輸入するまでは、甘えびはすべてヨーロッパ向けにボイル加工されていた。

スクーナー社は「刺身用甘えび」で日本市場を開拓して、グリーンランドの発展に大きな貢献をしたことから、1995年にグリーンランド政府より最高名誉勲章「ナサナット・イン・ゴールド」を受賞している。

実はこの「ボイル甘えび」には、ちょっとした思い出がある。

20年以上も前の事だか、ヨーロッパに住んでいた頃、マグロの仕事がしたくて「ベルギー田川」を辞めて、ベルギーの首都ブラッセルにある、「MarProduct」という水産会社に就職した。

会社からは、2トントラックを1台与えられて、注文を取るのも配達も全部1人でやっていた。

自分の担当はアジアで、「日本料理店」「中国料理店」「インド料理店」「ベトナム料理店」等を担当していた。

当時は日本がバブルの頃でもあり、また、「高級中国料理店」や「インド料理店」が「大きなサイズの海老」など、高い商材をたくさん買ってくれていた。

特に、マグロは当時でも高かったので、売上も利益もいつもダントツだった。

自分の担当はアジアだったが、他に「スペイン料理店」担当、「イタリア料理店」担当、「フラマン料理店」担当等、何人かのセールスマネージャーがいて、それぞれ小さかったが自分の部屋と2トントラックを会社から与えられていた。

夕方になると会社の大型トラックが、フランスのランジスという中央卸売市場に魚を買い付けに行き、明け方に戻ってくるので、荷物をそれぞれの販売先に仕分けして配達することになる。

だいたい、朝の10時頃には販売先の「日本料理店」や「高級中華料理店」等へ運ぶ荷物をトラックに積んで、伝票を書いて配達に行くが、高い商材ばかりを扱っていたので、早い時には午後の3時には配達を終えて会社に戻ってくることがあった。

そうすると、「スペイン料理店」担当の荷物が、まだ山積みで会社の前に残っている。

それは、4㎏のトロ箱入りの「イワシ」や「冷凍のボイル甘えび」など、安い魚ばかりで、そういう安い魚の注文ばかりが多くて1回で荷物を配達することができずに何度かに分けて運んでいるのだ。

時には2トントラック1台分の「イワシ」や「冷凍のボイル甘えび」よりも、マグロ1本の売上の方が高い時もあり、夜遅くまで配達をしているのを見ると気の毒な気持ちになってしまう。

そこで、こちらの配達が早く終わって会社に戻った時には、配達を手伝ってあげることがしばしばあった。

会社の同僚は、モロッコ人やスペイン人やオランダ人など国籍は様々だったが、皆とてもいい奴で配達を手伝うのは仲間として当然のことだった。

手伝いの配達も最後になってくると、日本人が配達に来るのが珍しいのか、魚の配達先の「スペイン料理店」でオーナーから『一杯飲んでけ』と誘われることになる。

こちらも酒は嫌いではないので、ご相伴にあずかるのだが、そんな時にビールのおつまみに出してくれたのが「ボイル甘えび」だった。

「冷凍のボイル甘えび」の箱は毎日、会社で見ていたが実際に食べたことはなかったが、一つ、つまんで食べてみると、これが「やめられない、止まらない」のだ。

最近は日本でも「ボイル甘えび」が売られているようなので、まだ食べたことがない人には絶対におすすめしたい。

「ボイル甘えび」は上海でも大きなスーパーに行けばどこでも買えるが、「カルフール」に行くと「真空パック」入りがあるのでそれを買って、自宅の冷凍庫にはいつも2袋程入っている。

下がカルフールで購入した「冷凍甘えび」の写真。


食べ方はとても簡単で、皿の上に乗せてラップをして、電子レンジで1分程チンするだけだ。

塩味もついているので、そのまま食べられる。(加熱し過ぎると堅くなるので注意しよう)

さて、この「ボイル甘えび」だが、焼いて食べても美味しいが、今回、オリーブオイルで「揚げ焼き」した料理をもう一品紹介しよう。

◆「甘えびのオリーブオイル揚げ」の作り方。

1)用意するもの。
「ボイル甘えび」「オリーブオイル」「塩」

2)作り方。
①フライパンを中火に掛けて、オリーブオイルを多めに入れる。


②両面をこんがり揚げる。


③塩を振る。


④皿に盛ってレモンを添えて出来上がり。


頭から尻尾まで甘えびの美味しさを食べ尽そう。

さて、「料理長が自宅で作る簡単おつまみ」だが、中華料理を未だに紹介していないようなので、次回は中華料理にしてみよう。