マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(20)本場のトムヤムクン

2011年10月14日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
今から5年程前だが、タイに3年程住んでいたことがある。

プーケットにマグロの加工工場があり、プーケットとバンコクを行き来していたのだが、バンコクに滞在している時には夜は日本料理店で料理の指導をしていた。

その店はバンコクでも日本料理店やクラブが多く集まる「タニア通り」という場所にあったのだが、オフィース街に近い為に、土曜、日曜日のランチタイムはお客さんが少なく夜だけの営業だった。

そこで、いろいろなタイ料理店を食べ歩いたり、自分でもタイ料理を作ってタイ料理を勉強していた。

タイ料理で特に好きだったのはソムタムという「青パパイヤのサラダ」で、辛さと、酸っぱさと甘さが口の中にいっぱいに広がり、熱い日には必ずソムタムを食べていた。

タイ料理の美味しさは、「辛さと、酸っぱさと甘さ」を一緒に味わえる料理が多いことだ。

今回紹介する「トムヤンクン」も、唐辛しの辛さと、レモンの酸っぱさ、そしてココナッツミルクと砂糖を加えることで、「辛さと、酸っぱさと甘さ」を一緒に味わえる料理だ。

日本で紹介されている「トムヤンクン」には、ココナッツミルクを加えた物が多いが、実はトムヤンクンには「ナーム・コン」と「ナーム・サーイ」の2種類がある。

ナームはタイ語で水という意味で、コンは濃いという意味、そして、サーイは澄んだという意味なので、ナーム・コンは「濃い水」、ナーム・サーイは「澄んだ水」という意味になる。

「濃い水」の方は日本でもお馴染みのトムヤンクンで、ココナツミルクが入った赤い色のスープでコクがあり、辛味の中にもココナッツミルクのまろやかさがある。

「澄んだ水」の方は透明のあっさりの味のスープで、ココナツミルクが好きでない人や、さっぱりした酸味の効いたスープが好きな人向けだ。

ところで、この「トムヤンクン」という料理名だが、「トム 」は煮る、「ヤム」は混ぜる、「クン」は海老という意味で、海老を使わず鶏肉を使えば「トムヤムガイ」、豚肉を使えば「トムヤムム―」、イカを使えば「トムヤムプラムック」となる。

今回は上海のスーパーで、たまたま「トムヤムペースト」を入手できたが、ナンプラー(タイの魚醤)は見つからなかったのでナンプラーの代わりに日本の醤油を代用した。また、パイマックルー(コブミカンの葉)も入手できなかったが、とても美味しくできたと思う。

ちなみに、タイの醤油「ナンプラー」は「ナームが水」で「プラー」が魚でなので、「魚の水」ということになる。

それでは早速「辛さと、酸っぱさと甘さ」を一緒に味わえる「トムヤムクン」を作ってみよう。

◆「トムヤンクン」の作り方。

1)用意する物。

写真手前の左から、「プリッキーヌ」(唐辛し)今回は大きな物と小さな物と2種類を用意した。「パクチー」(香草)、「レモングラス」「ヒラタケ」(袋茸などでもよい)。「万能ネギ」。
写真中央の左から「海老」「トマト」「レモン」。写真奥の左から「トムヤムペースト」「ココナッツミルク」「醤油」(あればナンプラーを使う)。

2)作り方。
①海老の背に包丁を入れ、背ワタを取り除く。


②ヒラタケ(キノコ)を食べやすい大きさに切る。


③レモングラスを斜めにスライスする。


④プリッキーヌ(唐辛し)の大きい方を斜めに切る。


⑤パクチー(香草)を3㎝位の長さに切る。


⑥万能ネギを3㎝~4㎝の長さに切る。


⑦プリッキーヌ(唐辛し)の小さい方を包丁でたたく。


⑧鍋を弱火に掛けてココナッツミルク(300㏄)を入れる。


⑨同量(300㏄)の水を加える。


⑩塩を小さじ1程加える。


⑪レモングラスを加える。


⑫トムヤムペーストを大さじ1強加える。(辛いのが好きな人は大さじ2程加えよう)


⑬海老を加える。


⑭ヒラタケ(キノコ)を加える。


⑮トマトを加える。


⑯プリッキーヌ(唐辛し)の小さい方を加える。


⑰砂糖を加える。


⑱ネギを加える。


⑲醤油を加える。(あればタイの醤油、ナンプラーを使おう)


⑳レモン(半分)を絞る。


*************「タジン鍋に移す」*********************



①プリッキーヌ(唐辛し)の大きい方とパクチー(香草)を乗せる。


②タジン鍋を中火に掛け、蓋をして5分程煮込む。


③出来上がり。


今回も「タジン鍋」を使ったが、タジン鍋の中で加熱された蒸気が上に行くと、この特殊な形の蓋の上部で冷やされて水滴となって戻るので、旨みと香りが凝縮されて行く。

出来上がった「トムヤンクン」を、タジン鍋の蓋を付けたままテーブルの上に置いて、蓋を開けた瞬間「香り」もご馳走なのだとつくずくと感じる。

「トムヤンクン」は簡単に作れるので、ぜひ、作って食べてみて欲しい。

この料理のポイントだが「レモン」は最初に入れると「渋い味」になってしまううので気を付けよう。

さて、次回の「料理長が自宅で作る簡単おつまみ」は、またオリーブオイルを使った料理にしよう。


料理長が自宅で作る「簡単おつまみ」(19)鮭の塩麹漬け焼きと、塩麹を使った即席 べッタラ漬け

2011年10月14日 | 料理長が自宅で作る簡単おつまみ
前回に続き、今回も「塩麹」を使った料理を紹介しよう。

「麹」を使った料理はデンプンを糖化するので甘みが増し、また、タンパク質を分解してアミノ酸旨味に変えるので旨みも増す。

また、使用する食材ごとのデンプンやタンパク質の特性を上手に利用できるので、それぞれの食材ごとに旨さを引き出すことができる。

今回は、「塩麹」を使って、「鮭の塩麹漬け焼き」と「即席 べッタラ漬け」を作ってみよう。

どちらも「おつまみ」として作るので、鮭の漬け時間は1時間程で塩麹は水で洗い流さずにそのまま焼くが、1晩漬け込むともっと味に深みがでてくる。

また、べッタラ漬けも過ぐに食べられるようにスライスして漬け込むが、少しパリパリ感が残る位が旨いと思う。

さて、今回も写真が多いので早速、作ってみよう。

◆「酒の塩麹漬け焼き」の作り方。

1)用意する物。

「塩麹」「鮭の切り身」

2)作り方。
①鮭の切り身の両面に「塩麹」を塗って1時間程置く。


③オーブントースターに入れる。


④両面をこんがり焼く。


⑤皿に盛って出来上がり。(お好みで、大根おろしを添える)


◆「塩麹を使った即席 べッタラ漬け」の作り方。

1)用意する物。

「キューリ」「大根」「生の唐辛子」「塩麹」

2)作り方。
①大根の皮をピーラーで剥く。(1人で写真を撮っているので、おかしな切り方になっている)


②大根を1.5㎜位の幅にスライスする。


③キューリを2㎜幅にカットする。


④唐辛子の種を取り除き、小口切りにする。


⑤ビニール袋に大根とキューリを入れ、野菜の容量の10%~20%の塩麹を加える。


⑥大さじ1程度の砂糖を加える。


⑦大さじ1程度の味醂を加える。


⑨袋の上から手で揉んでから、30分程そのまま置いて漬け込み、味をなじませる。


⑩唐辛子の小口切りを散らして出来上がり。


この万能調味料の「塩麹」だが、焼き物や漬け物以外にも煮物などのいろいろな料理に使うことが出来るし、小瓶に入れてテーブルの上に置けば、醤油の代わりに「冷や奴」や「おひたし」に掛けてもいいし、塩の代わりに「茹で卵」に付けて食べるなど、食の楽しみが広がるだろう。

さて、先日、スーパーで「トムヤムペースト」を見掛たので買ってきた。


これを使えば皆も良く知っているタイのスープを簡単に作ることが可能だ。

タイ料理は「甘い」「辛い」「酸っぱい」という3つの味が組み合わさっているのが特徴だが、次回はこの「トムヤムペースト」を使って、「トムヤンクン」を作ってみよう。