これまでに何回か「ちょっと変わったロール寿司」を紹介してきたが、今回は「スパイダーロール」を紹介しよう。
「ロール寿司」はアメリカから日本に逆輸入されたものが多いがネーミングがとてもユニークだ。
「ドラゴンロール」に「キャタピラロール」、そしてこの「スパイダーロール」にしても、料理に付ける名前とはとても思えないが、特徴をよく表していると思う。
このロール寿司がなぜ「スパイダー(クモ)」なのかは、ロール寿司の端から飛び出した足がまるでクモのように見えるからだ。
しかし、実際に「クモ」を料理するのではなく「ソフトシェルクラブ」という脱皮したての甲羅まで食べられるカニを唐揚げにして使用する。
実は以前、プーケットのマグロ工場でマグロの加工をしていたのだが、夏場はマグロ船(台湾船が多い)が、船の修理と夏場に台湾海域で獲れるクロマグロを狙って台湾に帰ってしまいプーケットでのマグロの水揚げがほとんど無くなってしまう。
工場には何十人もの女工さんを雇っているが、原料のマグロが無いのでは開店休業だ。
そんな時に、ある業者から「ソフトシェルクラブ」の加工をしてくれないか?という依頼があった。
ソフトシェルクラブは本来、アメリカ東海岸に生息するワタリガニの一種で、ブルークラブが脱皮したての甲羅が柔らかいカニのことを指すが、今ではアメリカ産よりも価格の安い「ミャンマー産」の「ソフトシェルクラブ」がアメリカ向けにたくさん輸出されている。
しかし、当時、ミャンマーの「アウンサンスーチー氏」の自宅軟禁の解除を要求するアメリカがミャンマーからの水産物の輸入禁止という措置を取った為に、アメリカでは「ソフトシェルクラブ」が不足していた。
この加工依頼の話は開店休業中のマグロ工場には願ってもない話しで、早速、プーケットからミャンマーとの国境近くの「ソフトシェルクラブ」を養殖している業者のところに行き、このカニを買い付けて「エラ」「目」「口」等を取り除いて、一匹ずつラップで巻き冷凍した商品を箱詰めにしてアメリカに輸出することになった。
実際に養殖場も見学したが、このカニは共食いするので、1匹ずつ小さな籠(かご)に入れられていて、何千個もの籠がロープにつながれているが、箱を開けてみると脱皮直後は籠の中に2匹のカニが居るようで、どちらが脱皮した甲羅なのか見分けがつかず、まるで2匹が入っているように見える。
さて、それでは早速作り方の話をしようと思うが、ソースはマヨネーズとスイートチリソースとテンメンジャンの3種類を混ぜ合わせている。
以外な組み合わせだと思うだろうが、このソースは幾つもの調味料を混ぜ合わせて試行錯誤しながら完成させたソースで、特にこの「スパイダーロール」にはとても合うと思うで試してみて欲しい。
◆「スパイダーロール」の作り方。
1)まず、ソースをつくる。
「マヨネーズ」「スイートチリソース」「テンメンジャン」を用意する。
この3種類をボウルに入れて混ぜ合わせる。
2)ソフトシェルクラブを唐揚げにする。
①ソフトシェルクラブのエラ、目、口を切り取り水洗いする。
②6等分~8等分に切り、塩を振る。
③コショーを振る。
④片栗粉をまぶす。(水分が足りなければ料理酒を少量加えよう)
⑤170℃位の温度の油でカラッと揚げる。
3)用意する物。
写真の左から「キューリ」「アボカド」「ソフトシェルクラブの唐揚げ」「とびっ子」。写真奥「サニーレタス」。
4)作り方。
①海苔の上にシャリを敷く。
②黒ゴマを散らす。
③裏返してサニーレタスを置く。
④アボカドを置く。
⑤キューリを置く。
⑥とびっ子を置く。
⑦爪が両端から飛び出るようにソフトシェルクラブの唐揚げを置く。
⑧しっかりと巻く。
⑨8等分に切る。
⑩混ぜ合わせたソースをソーサー(容器)に移し、皿に「円」を描く。
⑪竹串や楊枝などを使い、中心から手前に引いてクモの巣の模様にする。
⑫ロール寿司を皿に盛って出来上がり。
この料理は盛り付けも楽しいので、家族連れのお客さんの多い土曜、日曜によく出ている商品だ。
カニと言えば、上海はもう直ぐ「上海蟹」のシーズンとなる。
以前、上海蟹を何万匹も買い付けて、蒸してから急速凍結した商品を作ったことがあるが、上海蟹は10月はメス(卵が入っている)が美味しく、11月からオスが美味しくなる。
昔の話だが日本のお台場で「上海蟹」が見つかって、活きた上海蟹を日本に輸入できないということがあった。
(今は逃げないように厳重に管理できれば輸入できるようだ。)
そこで、何万匹もの上海蟹を「太湖」で買い付け、これを蒸してから急速凍結する商品を作ったことがある。
蒸し上がった上海蟹の写真。
下の写真のようにパック詰めして凍結する。
袋のまま4~5分、ボイルするか蒸すだけで、出来立てと同じ上海蟹を食べることができる。
上海蟹の季節が来ると、毎日朝から晩まで江蘇省の工場で上海蟹と格闘していたことを思い出す。
さて、次回は「タジン鍋」を使った「料理長が自宅で作るまかない料理」を紹介しよう。
ほとんど水を使わずに「蒸し料理」を作るのならこの風変わりな鍋を使うと野菜の甘みが引き出せる。
タジン鍋の写真
「ロール寿司」はアメリカから日本に逆輸入されたものが多いがネーミングがとてもユニークだ。
「ドラゴンロール」に「キャタピラロール」、そしてこの「スパイダーロール」にしても、料理に付ける名前とはとても思えないが、特徴をよく表していると思う。
このロール寿司がなぜ「スパイダー(クモ)」なのかは、ロール寿司の端から飛び出した足がまるでクモのように見えるからだ。
しかし、実際に「クモ」を料理するのではなく「ソフトシェルクラブ」という脱皮したての甲羅まで食べられるカニを唐揚げにして使用する。
実は以前、プーケットのマグロ工場でマグロの加工をしていたのだが、夏場はマグロ船(台湾船が多い)が、船の修理と夏場に台湾海域で獲れるクロマグロを狙って台湾に帰ってしまいプーケットでのマグロの水揚げがほとんど無くなってしまう。
工場には何十人もの女工さんを雇っているが、原料のマグロが無いのでは開店休業だ。
そんな時に、ある業者から「ソフトシェルクラブ」の加工をしてくれないか?という依頼があった。
ソフトシェルクラブは本来、アメリカ東海岸に生息するワタリガニの一種で、ブルークラブが脱皮したての甲羅が柔らかいカニのことを指すが、今ではアメリカ産よりも価格の安い「ミャンマー産」の「ソフトシェルクラブ」がアメリカ向けにたくさん輸出されている。
しかし、当時、ミャンマーの「アウンサンスーチー氏」の自宅軟禁の解除を要求するアメリカがミャンマーからの水産物の輸入禁止という措置を取った為に、アメリカでは「ソフトシェルクラブ」が不足していた。
この加工依頼の話は開店休業中のマグロ工場には願ってもない話しで、早速、プーケットからミャンマーとの国境近くの「ソフトシェルクラブ」を養殖している業者のところに行き、このカニを買い付けて「エラ」「目」「口」等を取り除いて、一匹ずつラップで巻き冷凍した商品を箱詰めにしてアメリカに輸出することになった。
実際に養殖場も見学したが、このカニは共食いするので、1匹ずつ小さな籠(かご)に入れられていて、何千個もの籠がロープにつながれているが、箱を開けてみると脱皮直後は籠の中に2匹のカニが居るようで、どちらが脱皮した甲羅なのか見分けがつかず、まるで2匹が入っているように見える。
さて、それでは早速作り方の話をしようと思うが、ソースはマヨネーズとスイートチリソースとテンメンジャンの3種類を混ぜ合わせている。
以外な組み合わせだと思うだろうが、このソースは幾つもの調味料を混ぜ合わせて試行錯誤しながら完成させたソースで、特にこの「スパイダーロール」にはとても合うと思うで試してみて欲しい。
◆「スパイダーロール」の作り方。
1)まず、ソースをつくる。
「マヨネーズ」「スイートチリソース」「テンメンジャン」を用意する。
この3種類をボウルに入れて混ぜ合わせる。
2)ソフトシェルクラブを唐揚げにする。
①ソフトシェルクラブのエラ、目、口を切り取り水洗いする。
②6等分~8等分に切り、塩を振る。
③コショーを振る。
④片栗粉をまぶす。(水分が足りなければ料理酒を少量加えよう)
⑤170℃位の温度の油でカラッと揚げる。
3)用意する物。
写真の左から「キューリ」「アボカド」「ソフトシェルクラブの唐揚げ」「とびっ子」。写真奥「サニーレタス」。
4)作り方。
①海苔の上にシャリを敷く。
②黒ゴマを散らす。
③裏返してサニーレタスを置く。
④アボカドを置く。
⑤キューリを置く。
⑥とびっ子を置く。
⑦爪が両端から飛び出るようにソフトシェルクラブの唐揚げを置く。
⑧しっかりと巻く。
⑨8等分に切る。
⑩混ぜ合わせたソースをソーサー(容器)に移し、皿に「円」を描く。
⑪竹串や楊枝などを使い、中心から手前に引いてクモの巣の模様にする。
⑫ロール寿司を皿に盛って出来上がり。
この料理は盛り付けも楽しいので、家族連れのお客さんの多い土曜、日曜によく出ている商品だ。
カニと言えば、上海はもう直ぐ「上海蟹」のシーズンとなる。
以前、上海蟹を何万匹も買い付けて、蒸してから急速凍結した商品を作ったことがあるが、上海蟹は10月はメス(卵が入っている)が美味しく、11月からオスが美味しくなる。
昔の話だが日本のお台場で「上海蟹」が見つかって、活きた上海蟹を日本に輸入できないということがあった。
(今は逃げないように厳重に管理できれば輸入できるようだ。)
そこで、何万匹もの上海蟹を「太湖」で買い付け、これを蒸してから急速凍結する商品を作ったことがある。
蒸し上がった上海蟹の写真。
下の写真のようにパック詰めして凍結する。
袋のまま4~5分、ボイルするか蒸すだけで、出来立てと同じ上海蟹を食べることができる。
上海蟹の季節が来ると、毎日朝から晩まで江蘇省の工場で上海蟹と格闘していたことを思い出す。
さて、次回は「タジン鍋」を使った「料理長が自宅で作るまかない料理」を紹介しよう。
ほとんど水を使わずに「蒸し料理」を作るのならこの風変わりな鍋を使うと野菜の甘みが引き出せる。
タジン鍋の写真