マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

中国はどうなる?

2008年05月06日 | 中国人の面子とタイ人のマイペンライ
6月1日からディナータイムにも定食を始めることになり、その写真撮りの為にこの2~3日バタバタしてしまった。

うちの店は大連でも、かなり分かりずらい場所にあるが、それでもお客さんがたくさん来てくれている。

特に土曜、日曜のランチタイムはサービスランチを出していることもあってか、満席になることも多いが、日本から中国語を勉強しに来ている留学生や単身赴任の方からディナータイムにも定食を置いて欲しいとの声もあり、思い切って50種類程を始めることにした。

さて、jjkenさんも暑いタイで頑張っている様子。タイの友人からの電話では毎日、本当に暑いようなので体をこわさないように頑張って欲しい。

中国産の日本酒についてはたぶん中国の国内向けに生産しているのではないかと思うが、既に一部は日本にも送られているのではないだろうか?

内モンゴルで作られた、味噌や蕎麦は既に日本に送られているようだ。

それから、アトランティックサーモンは空輸で鮮度の良い物が送られてきているが価格は高めだ。

北海道の白鮭はうちの工場に何千トンもあるが、美味しくないので店では使っていない。

主にヨーロッパ向けのステーキカットにしているみたいだが、身がパサパサして日本人には向かないだろう。

オリンピックの聖火は大連には7月に来ると店の連中が言っているが、あてにならないので正確に分かったらこのブログに書こう。

しかし、中国はこれからどうなるのだろう?

何かますます、自分中心に世界が回っていると錯覚する連中が増えているような気がしてならない。

もし、大連に聖火が来たとして、チ〇ットの旗でも振ろうものならどうなるかは察しがつく。

日本や微笑の国・タイは本当に良い国だと思う。。。








春節快楽

2008年02月09日 | 中国人の面子とタイ人のマイペンライ
中国の暦では今年は2月7日が日本の元旦にあたり、お店も2月6日から2月13日まで8日間をお正月休みにした。

昨年は、元旦から3日しかお店は休まなかったのだが、とにかくお客さんが少ないし、この時期は皆、従業員が田舎に帰ってしまい、人員の確保が難しいので休みにしてしまった方が効率が良い。

3倍の給料を支払ったり、春節の後に長い休みを与えることを考えると、思い切って休みにした方が従業員の士気もあがるようだ。

中国人にとっては、春節というのが一年の中でも一番大切なイベントだと思う。うちの店のスタッフもほとんどが、ハルピンや内モンゴル等から出稼ぎに来ているが、春節に故郷に帰るのを何よりに楽しみにしている。

中国では沿岸の都市だけが発展し、地方との賃金格差が大きくなっているが、今の中国では年間3000元では、幾ら田舎での生活でも無理だろう。

これだけ格差が大きくなっていくと、地方で暮らす百姓等、低所得の労働者にといっては、都会で生活をし、たくさんの収入を得ている人へのやっかみも出てくると思う。

どうせ、都会の連中が食べるのだからと、たくさんの農薬を使う人も出てくるだろうし、病気で死んだ豚肉を平気で出荷するようなケースも出てくるだろう。
肉に注射器で水を入れて、目方を増やすといったことも行われていると聞く。

また、病気で死んだ豚だと分かっていても、価格が安ければ使用する中華料理店もあるようで、中国の食の安全性については、本当に危ない商品が多いと思う。

最近では袋に「S」マークの付いた商品が、国の安全基準に合格された商品として売られているが、袋に印刷でななく後からシールで商品に貼り付けられた物は、とても信用などできない。

以前、江蘇省の工場で「上海蟹」を蒸して、瞬間凍結した商品を日本の飲食チェーン向けに作っていたこともあり、本物の「上海蟹」を良く知っている。

ある時、上海市内の活きた魚等、活の水産品を24時間休み無しで販売して市場に行ったのだが、明らかに上海蟹とは別の種類の蟹(もずく蟹の一種)を上海蟹として販売しているのを見かけたことがある。陽澄湖や無錫太湖で取れたものにしか上海蟹という名をつけてはならず、蟹を縛る縄に「タグ」を付けたり、最近ではレーザーで産地やブランド名を甲羅に刻んだりもしている。

さて、その上海蟹の偽物を販売している業者だが、ポケットから「タグ」の束を取り出したではないか。つまり、陽澄湖でも無錫太湖でも好きな「タグ」を付けますよ。ということだ。

きっと、日本にも偽の「タグ」を付けた上海蟹がたくさん輸出されているのであろう。

今、日本で「農薬入りギョーザ」の問題が起きているが、中国では人為的なのか、または過失なのかは別として、こういう事件は日常的だと思う。

自分だけが儲かれば、他はどうなっても良いという人があまりにも多い。

しかし、最近は日本も食品偽装で同じような問題が起こっている。

これから、中国の所得格差が広がれば、このような事件はもっと増えるだろう。

だんだん嫌な世の中になってきたが、やはり自分の身を守るのは自分しかないのだと思う。

尚、jjkenさんからの質問ありがとう。

大連は3方を海に囲まれているので、魚は種類が少ないが豊富にある。

「あいなめ」「黒そい」「赤貝」「つぶ貝」等は新鮮な良い物が入手できる。
時期によっては「アナゴ」も入荷する。

しかし、「平目」「カンパチ」「タイ」「すずき」は殆ど養殖物だ。

「昆布」や「牡蠣」も大連では有名だが、最近では海が汚染されてきているので、きっと検査をすると重金属やダイオキシンが出てくるのではないか?と思っている。

野菜は農薬漬け。養殖魚には抗生物質。天然魚には重金属やダイオキシンということになるのだろうが、これは中国だけではなく、日本もまったく同じ状況になっていると思う。

なぜなら、養殖魚も中国で養殖されて、ある程度大きくなったら、運搬船で日本に活きたまま運ばれ、日本の生簀に2~3か月入れれば、日本産に化けてしまう。

スーパーも、中国産の野菜が無くなったら、棚はガラガラになるだろう。

かと言って日本の野菜は安全なのか?という疑問もある。狭い農地で湿気が多く、連作をする日本では、農薬を使用しないで、農産物などできないからだ。

飲食店という商売をしているのであれば、なるべく食べても害のない食材を仕入れてお客様に提供しなければならない。

その為に必要なのは、やはり自分の「確かな目」を磨くことしかない。

中国の正月にこんな話しになってしまったが、今年は昨年以上に、食の問題が暴露される年になるだろう。。。










北京の景気は絶好調?

2008年02月04日 | 中国人の面子とタイ人のマイペンライ
2月1日から3日まで北京に行ってきたが、その間はブログの更新ができなくて申し訳ない。

とにかく、3日間、バスや地下鉄で、工場の魚を販売している日本レストランを廻ったのだが、北京はやはり、ものすごく景気が良いみたいだ。

大連では、一人200元(約3,000円)の客単価がやっとなのだか、北京ではお客さんが帰る時に、見送りに出た3人のホールスタッフ全員にそれぞれ200元のチップを置いて行く客が居るという。

クラブの小姐でもあるまいしと思うのだが、こういうお金持ちがたくさんいるようだ。

しかし、北京の交通渋滞はひどいし、地下鉄も朝から晩まで日本の朝の通勤ラッシュのような状況で、これで、オリンピックの時にはどうするのだろうと思ったりしてしまう。

さて、これまで何回か、お店の中国人スタッフとの接し方や、「おもてなし」をどのように教えて行くかの話をしてきたが、次回からはまた、料理の話を進めよう。

折を見て、中国人との付き合い方については、また話をしよう。

さて、タイで頑張っているjjkenさんも、タイ人のことでに困っているのではないか?と思う。

タイ人の女性は良く働くが、男は「ヒモ」のような奴が多くて、ちゃんと教育を受けた人以外は、まじめに働く男が少ない。

完全な階級社会なので、幾ら頑張っても、無駄だと諦めている男が多いのだろう。

しかし、女性にはマメで、掃除から洗濯、料理と家事はなんでもこなす男が多い。

女性が働いて、男は家で家事をして、おこずかいを貰って、そのお金で別の女の子と遊びに行く。

とにかく、やさしくて、気が良いのだが働かない。

よく、タイのプーケットやサムイ島に遊びに来た日本人の若い女の子がタイ人のビーチボーイに引っ掛かってしまうが、甘い言葉で誘われて、肩は揉んでくれるし、とにかく良く気が効くので、あっという間に全財産を貢いでしまい、お金の切れ目が縁の切れ目ということになってしまう。

タイのバンコクの店では、朝の10頃に店の女性ホールスタッフから電話があり、『キッチンスタッフが誰も来ていません』ということが何度もあったが、たいていの場合は、前の晩にお店が終わってから全員でお酒を飲んで、皆、誰か来ると思って誰も来ないというケースが多い。

直ぐに店に飛んで行って、一人で仕込みを始めて、何人かに電話を掛けて起こして、ギリギリお店の昼の営業をなんとかこなすということになる。

とにかく「マイペンライ」の国なのだ。

それから、タイの女性は向こうが本気になったら、決して浮気などしては行けないようだ。
未だに「阿部定事件」が年間に30件以上もあるという。

中国人の華僑は、朝から晩まで良く働いて、世界中でその国の経済に大きく係わっている。

タイもお金持ちは中国系が多い。

また、インドネシアでは華僑ばかりがお金持ちになった為に、たびたび暴動が起こっている。

今まで、いろんな国に行ってきたが、どこの国にも良い人は居るし、悪い人は居るのだから、良い人達との関係を築くことが大切だと思う。

そして、どんなことがあっても、直ぐに怒ったりせず、ちょっと気を静めて「マイペンライ」の気持ちがあれば、きっと良い考えも出てくるだろう。

そして何より大切なのが、良い人達との関係、つまり人脈なのだろう。。。










気のつく思いやりのあるサービス(おもてなし)とは?

2008年01月31日 | 中国人の面子とタイ人のマイペンライ
今回は、店でのホールスタッフのサービスの話をしよう。

タイのバンコクから、大連の店に来たばかりの頃は、ホールのスタッフのサービスは本当に最低だったと思う。

前にも話したと思うがホールには日本語の話せるスタッフが一人も居ないような状況で、その当時お店に来ていただいたお客様には、たいへん失礼なことをしたとお詫びの気持ちでいっぱいだ。

日本語のまったく分からないホールスタッフは、お客様が「おしぼり」と言っても分からないし、焼酎のお湯割り用の「お湯」を頼まれたら油を持って行ってしまうような状況だった。これは冗談ではなく本当にあったことだ。

湯(ユゥ) という日本語の発音は中国人には、油(ヨゥ)に聞こえてしまうようで、こういう間違いは他にもたくさんある。

今でもホールのサービスについては頭を悩ませているが、当時の問題点を書いてみると。

1)笑顔が無い

2)お客様から注意されても自分からは謝らない

3)気が付くサービスができない

4)お客様が居ても従業員同士で大きな声で話をする。

5)他の人のことは見て見ぬフリをする。

そもそも、中国人は自分の親兄弟や親戚、そして親友以外は、人をまったく信用しない。

長い間の国内での争いや、他国からの侵略もあり、場合によっては一家親族皆殺しということもあったのだろう。信用できるのは血の繋がった家族だけなのだ。

また、人前で笑うことは、自分を卑下することだと考え、なめられてはいけないと決して笑わない。

そして、他人には無関心で、他の人が悪いことをしていても見て見ぬフリをする場合が多い。

店でもそうだが、お客様からクレームがあって、一人づつ話しを聞くと決まってこう言う。

『俺のミスじゃない!』つまり、自分には関係ないことだと言いたいのだ。

他の人のミスを見かけて、それが明らかに問題になることが分かっていても、決して他人に注意するようなことはしない。

どちらかと言うと、その人がミスをしてくれた方が、自分の株が上がると思っているのだろう。

そして、お客様から何か注意をされたとしても、自分からは謝ることをしない。

自分の親、兄弟にも謝ったことのない連中が、たとえ相手がお客さんであろうと、謝ることは決してないのだ。

そこで、朝礼でホールの女性スタッフ達に、毎日のように同じ話をした。

それは、「自宅に彼氏が来るとしたらどうするか?」という話だ。

『皆さんの家に彼氏が来るとします。その場合に何をしますか?・・・
まずは部屋を綺麗に掃除し、そしてテーブルの上に花を置いて、美味しい料理をつくり、ビールを用意する。
そういう、お客さまを迎え入れる気持ちはレストラン業でもまったく同じです。
良いサービスとは難しいことでは無いのです。彼氏を家に招待する事と同じなのです。』

それを男の私が、たどたどしい中国語で、女性のまねをして、ジェスチャーたっぷりで話すのだから、いつの間にか大爆笑になる。

そして彼女達に話を続ける。

『そう、今の笑顔を忘れないで下さい。』

『そして、その笑顔をお客さんに差し上げて下さい。』

『皆さんは、日本語がまだまだ上手ではないので、お客さんの不満も多いと思います。
でも、たいていのことは、あなた達の笑顔があれば乗り越えられます。大丈夫です。』

朝礼では、何度もこの話をしたが、一度だけでは効果が無い。しかし、続けていくうちに必ずその成果が出てくる。

ちゃんと、笑顔ができるスタッフが出てくるまで、決してあきらめないことだ。

他に、店の社長にホールのサービスや料理で問題があった時には、その場で私を呼んで欲しいとお願いした。

たとえば、ホールスタッフに冷たいビールを頼んだのに、ビールが冷えてなかった場合や、料理への苦情は私が呼ばれて社長から注意を受ける。

すると、店のスタッフは何で店長が注意を受けているのか不思議に思う。

そして、別のスタッフは「人のことは見て見ぬフリをする」連中ばかりだから、決まってこう言う。

「自分のミスじゃない」と。。。

だが、店長の私が社長から注意を受けるということは、彼らにはショックだったようだ。

面子を大切にする彼らが、店長の「面子」を潰してしまったのだ・・・

そして、次の日の朝礼では、昨日どういうことが原因で、社長から注意を受けたかを説明するのだが、こういう一言を添えている。

『俺のミスじゃない=店長のミス』これからは皆で気を付けて欲しいと。。。

これは、お客さんからのクレームも全く同じで、必ず私が最初にお客様のところへ行く。そして失礼があった場合には丁寧に謝る。

こういうことを毎日、毎日、続けているうちに、スタッフのミスが少なくなり、お客さんも増え店の売上げも上がってきている。

叱って教育をするのなら、誰にでもできると思う。

まずは、謝るということを皆の前で見せることが必要だと思う。中国人は謝ることをあまりしないが、皆、同じ人間なのだから、どうしなければならないかは、本当はちゃんと分かっているのだ。

手本さえあれば、必ず良い方向に行くし、彼らの口からも自然に『すみません』の一言が出てくるようになるだろう。

尚、店では私のところに来客があって、お茶を持ってきてくれたり、何か用事を頼んだ時には、スタッフに必ず「ありがとう」と言っている。

一日に、何度も、何度も店のスタッフに「ありがとう」を言う。

調理場では、冷蔵庫の前に人が居て、ドアを開けて物を取る時などには「ごめんね」と必ず言うようにしている。それも、一日に何度も何度も言う。

今では、「ごめんね~↓」と、ちょっとアクセントが下がり調子になるが、皆が言うようになった。

キッチンは狭い場所で、火もあれば、高温の天ぷら油もある。

皆が「ごめんね~↓」と声を掛け合えば、安全性も確保できるし、何より気持ち良く仕事ができる。

気持ちの良い職場環境から、助け合い協力しようという心が生まれる。

そうすれば「ありがとう」「どういたしまして」が店内にあふれてくる。

まずは、何をするにも、「ありがとう」の心が大切だと思う。

「おもてなし」とは「ありがとう」の気持ちが自然に出ることだと思う。。。


















定価はいくら?(仕入れと在庫管理)その3

2008年01月28日 | 中国人の面子とタイ人のマイペンライ
jjkenさんから、またコメントが届いた。いつもありがとう!

「定価」と言うと、絶対に「定価」を崩さないのが高級ブランド商品だ。

ここ4年程、タイや中国など、アジアで生活しているが、日本に帰るといつも思うことがある。

日本の女性は皆ブランド物のバッグを持って、おしゃれで、とっても綺麗なのだが、なんでそんなにブランド物が好きなのか疑問だ。

グッチやプラダやシャネルやエルメスなど、ブランド物は女性のあこがれだということは分かるが、高価なバックだけが浮いてしまっている人も良く見かける。

タイや中国などアジアでは、シャネルのバックを肩に掛けて厚化粧の若い女性は、たいていの場合はクラブの小姐(シャオジエ)だ。

日本人女性のブランド好きは、中国人の「面子」に似ているような気がする。

以前、10年程、ベルギーという国に住んでいたことがあるのだが、ヨーロッパの人は、高価なバックより、まず、靴にお金を掛ける人が多いようだ。

そして、ヨーロッパ人には靴を脱ぐことにものすごく抵抗を感じる人がいて、日本料理店のお座敷に、靴のまま上がってくる人は何度も見かけたことがある。

「絶対に靴は脱がない」と言うので、しかたなくテーブル席に移ってもらう場合も多い。

そういう靴に対する執着心からか、ヨーロッパでは、「履いている靴を見ると、その人の生活が分かる」という。

また、高級ブランドバックを持っている人は、それなりの身分で、収入も高く、家柄も良いという場合が多い。

そして、高級ブランドバックは、母から子へ、そしてまたその次の代に大切に受け継がれることも多いようだ。

だから、日本の若い女性もバックに負けないよう、ヨーロッパ人に笑われないよう、頑張って欲しいと思う。

さて、今回は店の「在庫管理」の話をする。

日本でも、月末にはどこの店でも在庫をしっかり数え、棚卸をしていると思うが、中国では日本以上にしっかり在庫管理が必要だ。

在庫管理をしなければ、当月の利益が分からないということもあるが、とにかく、物は無くなるし、自分のお金で買った物ではないので無駄使いが多い。

だから、店では皿を洗う洗剤やスポンジに至るまで、月間の使用量を分かるようにしている。その為には在庫をしっかり数えることだ。

期首在庫+期間仕入-期末在庫=期間使用数量

この式に当てはめれば、在庫さえしっかり数えれば、すべての物の月間の使用状況を把握することができる。

食材については、毎日、仕入れ台帳を見て把握しておくことはもちろんだ。

利益を多く出す為にしなければならないことが2つある。

1)原価を安くする
2)ロスを少なくする

お客様はバリューのある商品を求めているのだ。

そしてバリューとは「この商品がこの価格で良いの?」とお客さんに喜んでもらうことだと思う。

原価÷原価率=売価

この式で原価を安くしなければならない理由が分かる。

バリューのある商品を提供し、お店も利益を出す為には、上記の2つのことをしっかりりやらなければならない。

原価を安くするということは、良い食材を安く仕入れるということだ。

また、ロスを少なくするということは、無駄を無くすということだ。

尚、一般には粗利の計算式は次のようになる。

売上高-期首在庫+期間仕入ー期末在庫=粗利

しかし、この計算式では在庫が増えると、たくさんの利益が出てしまう。

たくさんの在庫はロスにもつながる。

ロスを少なくし、原価を抑えて、それに付加価値を加え、お客さんに喜んでもらい、お店が儲かり、従業員にたくさんの給料を支払えるようにする為には、在庫の管理はとても大切だと思う。

最近、中国でも物価がものすごい勢いで上がっているし、また、ワーカーの給料も上がってきている。

良い食材を少しでも安く仕入れ、ロスを少なくし、また、良く仕事をする従業員には、それなりの給料を支払わなければ、他店へ移ってしまうだろう。

今、中国のどの都市でも北京オリンピックを前に、日本料理店の開店ラッシュの状況だ。

しかし、最後に残る店は「バリュー」のある商品と、気がつく心あるサービス(おもてなし)ができる店だけだと思う。

次回は、ホールスタッフのサービスについて話しをしよう。。。













定価はいくら?(仕入れと在庫管理)その2

2008年01月27日 | 中国人の面子とタイ人のマイペンライ
中国では大きなスーパーマーケットや百貨店以外、定価は存在しないし、買い物では、いつも高い値段をふっかけられる。

ただし、それらの商品を売っている連中には悪いことをしているという気持ちは微塵もないだろう。

お金を持っている人から、たくさんのお金をもらうことは、中国人にとっては、あたり前のことで、言い換えれば誰もが知っている中国社会のルールで暗黙の了解と言ってもよい。
しかし、その中国社会の暗黙のルールを知らない日本人からすると、騙されたということになってしまう。

今まで、いろいろな国に行ってきたが、人を騙す人はどの国にもいる。日本にも悪質なマルチ商法に引っ掛かっている人はごまんといる。

よく、渋谷駅の周辺や新宿の歌舞伎町などで、こういうマルチ商法の勧誘を目撃するが、こういう勧誘からの声に足を止め、話を聞いている人がいることが理解できない。世の中に、そんなに旨い話などあるはずは無いからだ。

そして、そういう引っ掛かりやすい人には共通点が見られる。

それは「お人好し」の顔をしていることだ。

そういう人が中国に来て買い物をして騙されたと怒るのは、お門違いだと思う。
中国の暗黙のルールを知らなかっただけなのだ。

ところで、自分はよく街で中国人に道を聞かれる。なぜ、日本人に道を尋ねるのか不思議なのだが、きっと「お人好し」の顔をしているのだろう。。。

さて、お店の「仕入れ」の話しをしよう。

前にも書いたが、店長兼料理長になるまで、いろいろなゴタゴタがあったが、お店に来てから4か月後に正式に店長となり店の運営を完全に任されるようになった。

それまでは、店の管理は飲食店の管理会社から派遣されていた店長が行っていたのだが、管理会社には警察とかお役所の対応だけをお願いして、店の管理すべてを自分一人で行うことにした。

なぜなら、人、物、金の流れを把握できなければ、決してうまく行かないからだ。

そして、まずは以前から不思議に思っていた、店の仕入れについて調べてみることにした。

仕入れは、キッチンの一番若いスタッフが市場に行っていたのだが、仕入れ台帳も何も無い状況だった。

そこで、約1か月間、毎日、彼が市場へ仕入れに行く時は必ず同行した。

まず、不思議に思ったのが領収書をどの店でもくれない。しかたがなく手書きのメモを書いてもらうのだが、金額を書くだけで、数量も日付もこちらが書いてくれと言わないと書いてくれないし、ひどい時は新聞紙の端をちぎって金額だけを書くというありさまだ。

仕入れは、市場内の幾つかの店でするのだが、毎月、月末になると、そのメモの束(領収書?)を持って、ある1軒の店に行く。そして、その店で1か月分の仕入れの合計金額を正式な領収書(ファーピヨ)にしてもらう。

しかし、聞いたところによると、たとえば、1ヶ月の仕入れが、3万元だったとすると、3万元の領収書を書いてもらうのだが、こちらが貰う領収書の金額は3万元で、カーボン紙で複写されたもう1枚のその店の控えは「0」が一つ少なくなって、3千元になっているようだ。

どの店も領収書を出したがらないのは、税金を国に払いたくないからで、こういうことで中国という国が成り立っていることが不思議だ。

さて、1か月間、店の仕入れ担当の若いキッチンスタッフと一緒に市場に仕入れに行ったが、いつも同じ店から買っている。

そこで、次の月は自分の右腕候補として採用し、通訳もしてもらっているスタッフと一緒に同じ市場に価格調査に行ったところ、驚くべきことが分かった。

たとえば、今まで1斤(500g)を30元で仕入れたいた赤貝は20元が適正価格だったし、海老等に付いては倍近い金額で仕入れていたのだ。

それから店に戻り、直ぐに仕入れのスタッフを呼んで、話をしたところ「面子」があるので決して自分の悲は認めない。しかし、その日に彼は自分から店を去って行った。
仕入れ担当をしていた彼には、毎月5千元以上の副収入があっただろう・・・

彼が店を去ってからは、仕入れは、一人を担当に決めないで毎日交代とし、キッチンスタッフとホールスタッフの女の子と必ず2名で行かせている。少しでも不正を防ぐ為だ。

そして、毎日、その日に仕入れた全品目の数量と価格を仕入れ台帳に記入するようにし、もし、価格に少しでも動きがあれば、自分で市場に行って確認するようにしている。

不正ができる環境を与えてしまえば、誰にでも「でき心」が芽生えてしまうだろう。

不正ができないシステムをつくることで、初めて人と人との信頼関係が生まれるのではないだろうか。。。
















定価はいくら?(仕入れと在庫管理)その1

2008年01月25日 | 中国人の面子とタイ人のマイペンライ
このブログにコメントを送ってくれている「jjkenさん」ありがとう。

自分と同じく水産加工の仕事をされているとのこと。何か質問があったら水産加工のことでも、料理のことでもどちらでも構わないので質問して欲しい。

水産加工には今までずいぶんと携わってきたので、たいていのことは分かると思う。

料理人と水産加工の技術者の大きな違いは、料理人はお店に来てくれるお客様の顔を見てから、美味しい料理を作ればよいのだが、水産加工の場合には、もちろん味も大切だが、それよりも安全な食品を大量生産する方に重点が置かれる場合が多い。

味を犠牲にしてでも、安全性を追求することが多いと思う。

たとえば加熱調理後冷凍食品の場合の「中心温度は90℃で1分」という、工場の製造フローチャートは、安全性を確保する為のものだが、料理店では「半生」という美味しい状態で食べることができるのだ。

自分の場合には、料理人と水産加工の技術者と、その両方をやってきたこともあり、安全性を確保しながらも、味を犠牲にしない方法に付いて取り組んできた。

工場では、まず、魚を水洗い後に「次亜塩素酸ナトリウム」で殺菌する場合が多いが、その濃度を低く抑える為に「酢」を少し加えるなどの工夫もした。
なぜなら、高い濃度の「次亜塩素酸ナトリウム」を使用すると「次亜臭」が残るからだ。

パン粉付け商品では、「大腸菌郡」の菌数管理に悩んだこともあったがバッター液の温度管理で解決してきたし、牛肉のインジェクション(脂を打ち込む)と同じように、魚の身に脂を打ち込む実験をしたこもある。また、発色技術についてもずいぶん研究した。

水産加工も料理の仕事も、どちらも毎日が勉強の積み重ねだと思う。。。

さて、前置きが長くなってしまったが、中国での「定価」ということに付いて話をしよう。

そもそも、この国には「定価」等は存在しないということは、中国に来て直ぐに分かった。

休みの日に街に買い物に行って靴屋で「スニーカー」を買ってきた。そして、その靴を履いてお店に行ったら、店のスタッフに「幾らで買った」と聞かれたので、金額を告げると「それは高過ぎる」と大笑いされてしまった。

つまり、外国人だと思って、「ふっかけられた」という事なのだ。

また、こんなこともあった。

休みの日にアパート近くの小さな市場に一人で行き「シャコ」を買って来て、自分の部屋で蒸してビールのつまみとして食べた。

次の日に店に行って、500gで56元(840円)だったと話したら、その金額なら倍以上買えると言われた。
頭に来たので次の日に店のスタッフと一緒に、その市場に行き「50元分くれ」と言ったら、明らかに昨日の倍以上あったのだ。

つまり、中国では「定価」など存在しないのだ。

そのカルチャーショックから、しばらくの間、自分の買い物は「カルフール」や「ウオールマート」でしかしなくなったが、ある時、ふと疑問が浮かんだ。

店の仕入れはいったいどうなっているんだろう。。。

続きは次回にしたいと思う・・・



店の管理にHACCP方式を取り入れる

2008年01月22日 | 中国人の面子とタイ人のマイペンライ
店内の数箇所に監視用のカメラを置いたところ泥棒の問題を解決することができたが、監視カメラを置くことによって、もう一つ成果が上がったことがある。それは、今までサボってばかりいた連中がまじめに仕事をするようになったことだ。

監視カメラは店内の8箇所に設置してあり、ほぼ店内全部を見ることができるので、誰がどこで何をしているのかモニターを見れば直ぐに分かるし、24時間録画もできるので、後からでも見ることができる。

さて、監視カメラの話はこのへんにしておいて、店の管理について話そう。

実は、うちの店の管理は食品工場が採用しているハセップ又はハサップと呼ばれる管理手法で行っている。HACCP(Hazard AnalysisCritical Point)とは元々はアメリカのNASAが宇宙食の安全性を確保する為に開発した衛生管理の手法で、それを今では多くの食品工場が採用し、また国際基準にもなっている。

HACCPの考え方が無かった時代には、食品製造では、とにかく工場を清潔にし、製品を作り、検査は最終商品の抜き取り検査をするということが行われていたが、これでは、何か問題(事故)が起こった時に、その原因を究明することは非常に難しい。HACCPとは、あらかじめ危害を予測し、その危害を防止する為に、すべての工程のポイントを継続的に監視・記録し、もし、異常が認められた場合には直ぐに対策を取ることができるシステムなのだ。
そして、HACCPで一番大切なことは、面倒ではあるが毎日記録として残すことだ。
昨日は記録したが、今日は記録を取っていないでは何の意味も無い。

なぜ、私がHACCPに詳しいかというと、実は以前、私の働いていたマグロ商社の静岡の工場は日本で一番最初に、日本の厚生省のHACCP認定を取得した工場で、当時、アメリカやヨーロッパ向けに「まぐろのステーキ」用のまぐろをたくさん輸出していた。ところが、日本のホタテ加工会社がヨーロッパ向けに輸出した「ホタテ」がヨーロッパの衛生基準に合わないという事件が起こってから、HACCP認定工場で生産した工場の食品以外は輸出できなくなった。

しかし、当時は日本ではHACCPのことを知ってりいる人はほとんど居なかったので、アメリカから資料を取り寄せては、皆でよく勉強会を行った。そして試行錯誤の上、やっと日本でのHACCP認定番号0001番がおりたのだ。

HACCPについてはタイのプーケットの工場も、無事にHACCP認定を取ったのだが、その工場の例と、店ではどのように応用しているのかの話をする。

プーケットのマグロ工場のHACCPプランは2つに分けた。

1)(Quality Control)Report 品質管理チェック
2)(Sanitaly Control)Report 衛生管理チェック

まずは衛生管理から(工場と店の例)

すべての項目は、チェックシートに毎日記録として残す。(ファイルする)

①工員の服装、毛髪等のチェック
 HACCP認定工場 
 (服、帽子、髪の毛、長靴、爪、飾り物、手袋、マスク)

 店 キッチンとホールスタッフの服装、毛髪等のチェック
 (白衣、帽子、髪の毛、靴、爪、Yシャツ、ネクタイ、等)

②工場の加工場の衛生チェック
 HACCP認定工場
   (床、天井、壁、蛇口、テーブル、ナイフ、まな板、等)

 店 店内(床、天井、壁、蛇口、テーブル、ナイフ、まな板、等)

このように、工場の衛生管理チェックシートは料理店でも使えるのだ。

もう少し、書いてみよう。

③トイレの清掃チェック
④工員がトイレに使用した時間のチェック
⑤ねずみ、ゴキブリ等のチェック
⑥各部屋の温度のチェック
⑦加工場以外の工場内外の床、壁、天井、排水、屋根等の清掃チェック
⑧新人の講習プログラム
⑨問題が起こった時の状況と、どのように対処したかの確認
etc・・・

次に衛生管理

①原料搬入時の重量、品温、グレード、保管状況のチェック
②ハカリの精度のチェック
③原料の買い付け記録
④仕入れ先別、入荷状況及び仕入数量
⑤出来上がり製品の最終チェック
etc・・・

このようにHACCP方式の管理システムを採用している工場で、毎日、監視・記録として残すという管理方法は、飲食店にも応用できる。

飲食店でも、毎日の衛生管理がとても大切である。万が一でも食中毒を出してしまったら、それで終わりだ。

風呂嫌いな中国人は、鼻毛も伸びっぱなし、髪の毛はフケだらけ、爪は真っ黒という人も少なくない。

毎日、監視し、チェックし、改善しなければ、いつ、どんな事故(食中毒など)が起こるか分からない。

監視カメラの話に戻すが、調理の前に手を洗わない人には、録画画面を見せるようにしている。

面子が大切な彼ら中国人は、たとえ手を洗ってなくても『俺は洗ってる』と言い切るだろう。
だが、録画画面を見せれば、たいていの場合には納得する。

なぜなら、これが給与の査定につながるからだ。。。

  















中国は泥棒だらけ。

2008年01月21日 | 中国人の面子とタイ人のマイペンライ
中国人に対する免疫を持たずに「微笑みの国・タイ」から中国の大連に来てしまったものだから、とにかくあきれる事ばかりだった。観光に来ているのであれば、なんとか我慢もできるのだろうが、店の売上げを伸ばすには中国人スタッフを教育していかなければならない。

とにかく、キッチンもホールも問題だらけだ。

料理店を成功させるには、まず、頭の中で自分の理想の店を思い浮かべて、その理想に近づく為の努力をし続けていけば、必ず実現できる。

美味しい料理と心ある気のつくサービス(おもてなし)と、そこでしか食べられないオリジナル料理。そして、くつろげる空間を提供するのがレストラン業なのだ。

しかし、この店に来て何度も自分の理想の店を思い浮かべてみたが、「とても今のスタッフでは無理」という結論に行き着いてしまう。

幸い、大連の情報誌にお店の広告に載せたところ、日本に留学経験のある人が何人か面接にやって来た。

2人を採用したが、そのうちの1人は今では店の副店長として頑張っている。

まず、中国では自分の右腕を1人つくらないと決してうまく行かないと思う。

ただし通訳を雇うのでは駄目だ。中国人の通訳というのは、こちらが伝えたいことを100%そのまま伝えることを決してしない。相手が怒るようなことは自分で勝手に判断して伝えるので、こちらの考えが正確に伝わらないのだ。

右腕としての条件は、まず、こちらの考えを正確に伝えてくれる人でなければならない、そして、日本と日本人が好きな人が良いだろう。その点、日本に留学経験のある人ならば、日本の習慣や日本人の性格も理解できる。

さて、自分の右腕候補が出てきたところで、大きなチャンスが来た。中華料理の姉妹店ができることになったのだ。

そこで、今までのスタッフの半分の人員には中華の店に行ってもらうことにした。

そして、以前にも書いたが、私がこの店の店長であることを明言したのだ。

これから中国に赴任する方も居るかと思うが、中国ではどういう肩書きで仕事をするのかがとても重要だと思う。
総経理(社長)で行かれる方は良いが、中国人と同じ肩書きで「営業」等だと、現地スタッフの陰湿な「いじめ」が待っているから注意した方が良いだろう。
今、中国に赴任する人が増えているが、ストレスで身も心もボロボロになって、最後には自殺というところまで追い詰められる人もいる。中国人としたら中国語も分からないのに、同じ「営業」の名刺で、自分よりたくさんの給料をもらうのは気に入らないのだ。

さて、店長になったのは良いが、これからは店のすべてを自分一人で仕切らなければならなくなった。

料理の指導については、料理の説明のところで書くとして、まず、大きな問題は店の泥棒退治だった。

表題の「中国は泥棒だらけ」は、ちょっと大げさな表現のようだが、その位の気持ちでいなければ泥棒は減らせない。

とにかく、何でも無くなるのだ。

昔、南米のべネズェラの日本レストランで働いていた時、自分の腕時計をキッチンの棚に置いておいたら無くなってしまった。
数日後に、その店の現地従業員が私の腕時計をしているではないか!
直ぐに、そいつに『それは俺の腕時計だ!この泥棒!』と言ったら彼は悪びれた様子もなく、『そんなところに置いておくお前の方が悪い!』と言い放ったのだ。
つまり、物を取られるのは、取られる方が悪いのだ。

そうか・・・中国でも同じなんだ。。。取られる方が悪いのならば、絶対に取られないようにするしかない。

そして、店内監視カメラを設置してもらったが、これが一番効果がある。

日本のように「人」を信用していては、この国ではやっていけないのだ。

カメラの設置に掛かる費用も日本に比べれば数段安いし、24時間録画されるので、外からの部外者の進入も撮影できる。

日本ではカメラを設置となると「自分達は信用されていないのか」と反発の声も多いと思うが、中国では当たり前のことなのだ。

今、店ではマグロ用の-50℃の冷凍庫等は、鍵をレジの信用できる女性スタッフに預け、彼女の立会いがなければ出せないようにしているし、店の物を盗んだ場合の厳しい罰則が「就業規則」に書いてあるので、泥棒はできなくなっている。

しかし、最後はやはり従業員の質である。おとなしくて、まじめな人を採用していくことが一番だと思う。

そして、彼らと「家族」のように接してやれば、言葉がうまく伝わらなくてもお互いに理解できると思う。

また、罰則や罰金ばかりだと、皆、長続きせずに辞めていってしまうだろう。
うちの店では、お客さんがたくさん来て売上げが多ければ、日本と同じように「大入り袋」を出してあげる。遅刻、欠勤の少ない人は皆勤手当てをあげる。また、店の為になることを提案し、実行した人には特別手当を出してあげるなど、中国ではあまり行われていない奨励制度もある。
皆のやる気を、いかに引き出すかが大切なことだと思う。。。

尚、このブログにコメントを寄せてくれた方がいる。
どうやって、返事を書くのか分からないので連絡ができないが、とても嬉しい。
同じように海外で頑張っている日本人にエールを送りたい!




















内気なタイ人と、声がでかくてマナー知らずの中国人

2008年01月20日 | 中国人の面子とタイ人のマイペンライ
しばらくブログをお休みしてしまったが、このブログを見に来てくれる人は結構いるので、更新記事を見に来てもらった読者には本当に申し訳ないと思っている。

今もタイに居た時と同じく日本料理店と、水産加工工場の仕事をしているのだが、日本から工場視察のお客さんが、たて続きに来てしまって、この一週間程、本当にバタバタしてしまった。

さて、前回はタイ人の「マイペンライ」と「中国人の面子」について書いたが、タイ人というのは、ちょっと内気な性格だが思いやりがあって、決して人を批判することが無い。いつも気持ちの良い笑顔を絶やさないから、タイは「微笑みの国」とも呼ばれているのだろう。
また、とても綺麗好きで、暑い日には何度もシャワーを浴びるし、トイレにはホースがついていて、「ウオッシュレット」でお尻も清潔にする。
また、年上の人を尊敬し、年下には優しい。そして大声で話をしたり人前で怒りをあらわにする事は決してない。

それに比べ、中国人というのはいつも自分が中心で、世の中は自分を中心として回っていると思っている奴がほとんどだと思う。

エレベーターでも、トイレでも、スーパーマーケットのレジでも、順番を待つということは決してない。エレベータでは降りる人より、乗り込む人の勢いが強いので、ラクビーの攻撃の態勢で降りないと、中に押し戻されてしまう。

今はオリンピックを目前に、スパーマーケットのレジやバス等に乗る時に、行列に並ぶ訓練を国を挙げてやっているが、オリンピックが終われば元に戻るのは目に見えている。

少し前に大連でダボス会議があって、世界中から会社経営者や政治家等がこの会議に集まったが、このダボス会議の5日間だけは、街中にたくさんある汚い屋台の営業を中止させ、道端に花を飾り、タクシーは綺麗な旗を付けて走っていたが、ダボス会議が終わってしまえば、まったく元通りだ。

たぶん中国人のマナーの悪さは、世界でもトップクラスだろう。
(そんなことでトップをとってもしゃーないと思うが。。。)

道路でもどこでも、そこらへんに平気で痰を吐く。手鼻をかむ。風呂嫌いで臭い。パンツは一週間位は履き替えなくても平気。

商店で買い物をすると、お客につり銭を投げるように渡す。

エレベーターの中でタバコを吸うバカがたくさんいるし、エレベーターの中でも大声で携帯電話はへっちゃら。

もともと、どこに行っても中国人は声が大きいのだ。

レストランでは、5~6人のグループが全員シャツを脱いで、上半身裸で、大声でしゃべりながらビールはコップにつがずラッパ飲み。
空のビール瓶をテーブルの上にたくさん並べ、『これこそマッチョマン!』とでも言いたいのだろう。

骨がついている鶏や魚の料理は、口からぺッと骨をテーブルに吐き散らし、料理の皿を灰皿がわりに使い、食べ方も汚いので床は残飯だらけだ。

しかし、これらのことは、2008年になった今でも実際に行われていることであり、たぶん、2009年になっても、2010年になろうとも変わらないだろう。

なぜなら、自分が一番、自分が優先なのだから、他の人はどうでもいいのだ。

世の中は自分を中心に回っていると思っているのだから、何をしても平気なのだろう。相手があるから気遣いやマナーがあるのである。

さて、こういうマナーのかけらも無い連中の多い中国に、「微笑みの国・タイ」から料理店の仕事で来てしまったから、最初はとにかく不愉快な思いばかりだった。

特に料理店の仕事では、ちゃんと教育を受けた連中などいる訳もないのだから、調理場の床に痰を吐くのは、道路に痰を吐くのと同じだし、エレベーターの中でタバコを吸うぐらいだから、キッチンでタバコを吸うのはなぜ悪い状態なのだ。

自分がミスをしても決して謝らない。キッチンでは冷蔵庫のドアの前に人が居ても人を押しよけてドアを開ける。『ちょっとすみません』という一言は皆無なのだ。

そういう状況の中で、どうやって彼らを教育(調教)して行くかについて、次回は話をしたいと思う。

まだまだ、今も試行錯誤の段階だが、だいぶ成果が出てきている思う。。。













中国人は「ごますり」上手?

2008年01月11日 | 中国人の面子とタイ人のマイペンライ
中国のお店を手伝うことになったのは、私の昔からの友人(日本人)が大連の開発区で水産加工工場を経営している社長(中国人)と、今の店を大連市内でOPENすることになり、バンコクの私のところを尋ねてきて『手伝って欲しい』との話しがあったからだ。中国は当時、私にとってはとても魅力的な場所に感じていた。何か底知れぬパワーがあり、人々が活気にあふれている国と思っていたからだ。

今でも決して中国が嫌いな訳ではないのだが、やはり長期間滞在すると、その国の嫌な面もたくさん見えてくる。
そう、今まで旅行で訪れた国はどこの国も、良い思い出だけが残っているが、長期滞在して仕事をした国は、良い思い出と苦い思い出が重なり合っている。

直ぐにでも大連に飛んで行きたかった。中国には水産加工の仕事で何十回も行っていたので始めての場所ではないし、タイの辛い料理より中華料理の方が好きだったし、何よりバンコクの頭の中が煮えてしまいそうな暑さに嫌気がさしていた。

しかし、当時はマグロの仕事とバンコクのタニアの料理店の仕事もあり、まず、それを後の人に引き続がなければならない。

それから、毎日、あわただしい日々を送り、結局、大連に着いたのは半年後だった。

私の大連行きが遅れたことで、既に大連のお店はOPENしていた。

大連へはバンコクからの直行便が無いので、北京経由で大連空港に着き、店からの迎えの車で、まず、お店へ向かった。

店では中国人の社長が私の到着を待っていて歓迎してくれたのだが、ちょっと気になることがあった。夜の8時過ぎだというのにお客さんが1人も居ないのだ。

当時(1年程前)だが、そのお店には日本人料理長が居た。63歳という年齢にしてはとても若く、また、料理の腕の方は寿司の達人だった。日本の金筋と呼ばれる有名店ばかりで修行をしてきた人で、性格のとても温和な人だった。その料理長とは1か月半程一緒に仕事をしたが、大連の冬の寒さが持病の心臓病に悪いということで店を辞められた。そして、日本人はお店では私1人になってしまったのだ。
料理長がお店を去ったのは、病気のこともあるが、お店があまりにも暇なことも原因していたと思う。また、店でのゴタゴタに耐えられなかったのではないかと思う。とにかく問題ばかりの毎日だった。

店の誰もが私の言うことを聞かずに自分一人が孤立して行く。中国人の嫌な面しか見えないので、ついつい怒鳴ってしまう。そうすると、その状況を店長が逐一、電話で社長に報告するので、まるで自分から罠はまって行くみたいになり、そのうちに中国人の社長も私に対して不信感を持ち始めるし、相変わらずお客さんは少ないし、もう、どうにもならないような状況が2か月以上も続いたのだ。

当時の店の問題点だが、店の管理を飲食店の管理会社にまかしていた。そして店の店長は、その管理会社から派遣されていた。寿司の達人の日本人の料理長と私と日本人は2名で、他のスタッフは調理場もホールもすべて中国人で、人件費を安く抑える為に、20歳前後のまったく料理店の経験の無い若者ばかりだった。席数は100席程で店が暇なのにホールスタッフだけで20名以上は居たと思う。

中国では、お店にお客さんが少ないのは店長の責任となるようで、日本語も話せない中国人どうしが日本料理店の店長の座をめぐり、陰湿な戦いを繰り広げていた。
というのも、店長だけが多くの給料をもらい他のスタッフとは別格なのだ。
今の店長を蹴落として自分が店長になろうということなのだろうが、私が大連のお店に行った時には、既に2人の店長が入れ替わり3人目とのことだった。

そういう状況のところに、私がお店に入ったものだから、店長の座争奪戦に私も巻き込まれてしまったのだろう。とにかく、誰も言うことを聞かない。調理場で平気でタバコは吸うわ、料理をつくる前に手は洗わないし、調理場の床に痰は吐くし、ホールではまるで運動会でもやっているかのように、若いスタッフふざけながら走り回っているような状況だった。

お客さんがお店に来ても、誰も『いらっしゃいませ』を言わない。お客様の『おしぼり下さい』が分からず、お客さんのところにホールスタッフが集まり『おしぼり』は何かと中国語で議論を始める。最後のとどめは店長だ。お客さんはやっと『おしぼり』を理解してくれる人が来たと思ったところに店長が放った『ティンブトン』(あなたは中国語が分からないのか?)の一言に怒って、私が現場に行った時はお客様はもうあきれ顔で帰ってしまうような状況だった。

当時のお客様には本当に失礼なことをしたと思う。心からお詫びの気持ちでいっぱいだ。

その2か月で分かったことは、中国人は「権力」のある人の言うことにしか、絶対に服従しないということだ。店に中国人の店長が居る以上は、その店長が1番である。中国人店長としては自分の店長の座を新しく来た日本人に奪われたくないので、『あの日本人とは口を利くな』等、いろいろな手を使ってくるのだ。

当時、お店にお客さんが少ない原因としては、「店の存在をお客様が知らなかった」ということもある。ほとんど宣伝もしていなかったし、店の場所も分かりづらいところにある。お店で仕事を始めて1か月程した頃だろうか、地元のフリーペーパーの営業担当がお店に来たので「寿司名人が握る江戸前寿司」と広告を入れたところ、お客様が入り始めた。

そして、そのフリーペーパーにはもう一つ効果があって、記事を見た日本語の分かる中国人がたくさん面接に来たのだ。

とりあえず、調理スタッフ2名を採用した。一人は日本に3年程の留学経験もあり日本の「廻転寿司」で働いていたこともあり日本語も堪能で、何より日本人のことを理解できる。彼が来てくれたことで、やっと自分の通訳を持つことができた。
そして彼は今ではこの店の副店長ちして頑張ってくれている。

「まず、自分の右腕を一人つくらないと、中国では絶対にうまく行かないと思う。」

そして、店で仕事を始めてから、4か月後に大きなチャンスが来た。
中国のお正月(春節)の休みで、多くのスタッフが田舎に帰るので、そのまま店を辞めたいという連中が出てきた。また、春節後に系列店の中華料理店がOPENすることになり、うちのスタッフを移動できる状況となった。

そこで、思い切って「日本語の話せないスタッフ」の半分以上は、中華の店に移動してもらうことにした。
その時点では、お店にはまだ少ししか日本語を話せるスタッフが居なかったが、このチャンスを逃したら、ブラブラ社員を整理できないと思ったからだ。
そして、その時に日本語も話せず問題の多い店長にも辞めてもらうことにした。

中国では春節の休みは長く、一週間から、長いところでは二週間も休む会社がある。

うちの店は3日間を休みとしたが、田舎が遠い人は一週間の休みを与えた。

そして、春節の休みから皆が戻ってから、正式に私が「店長」である事をお店の管理会社(主に保健所とか警察対策)のトップからスタッフ全員に伝えてもらった。

不思議なことに、それからは、全員、私の言うことを聞くようになったのだ。

なんとか、自分だけ給料を上げてもらおうと、私に対して「ごますり」を始める連中も出てくるありさまだ。

中国で仕事をするのであれば、まず、自分が「権力」がある人だということを明確に示さなければうまく行かないだろう。

権力のある人に対しては、どんなに「ごますり」をしても、認められようとしてくるはずだ。

写真は、私の「誕生パーティー」をスタッフが用意してくれた時の様子だ。
「店長」になったとたん、皆の態度が一変したのだ。

そして、この日を境に、目の前がパッと開けてきた。。。















中国人の面子って何?タイ人のマイペンライって何?

2008年01月10日 | 中国人の面子とタイ人のマイペンライ
料理の話しを少しお休みして、海外にてどのようにしてスタッフを教育して行けば良いか自分の経験から話しをしよう。

中国に来る前はタイのバンコクの日本レストランで、同じく店長兼料理長をしていたが、国が変われば国民性も文化も全く違う。

まず中国に来て感じたのは、中国人が一番重んじるのが「面子」だという事だ。「面子」無しに中国を語れないし、面子がすべての国民なのだ。

だから、皆さんも、これから少しでも中国や中国人に関わるようであれば、「面子」という問題にしっかりと取り組んで欲しい。

中国は現在、ものすごいスピードで経済成長をしているので、日本の企業の中国進出も多くなっているが、毎年、たくさんの日本人駐在員がストレスで心と体を病み、自殺まで行き着いてしまうケースも多いようだが、多くが中国人の「面子」を理解できず、1人で悩んでしまう結果ではないかと思う。

必要なのは、タイ人の「マイペンライ」の感覚だ。日本でも「マイペンライ」という言葉は知っている方が多いと思うが、『大丈夫、大丈夫』『しょうがないでしょ』『気にしない、気にしない』『心配ないよ、何とかなるよ』という意味で、タイ人はお金が無くても「マイペンライ」、仕事が無くても「マイペンライ」と、とにかく何でも「マイペンライ」という一言で片づけてしまう。

多少のことは気にしない、この「マイペンライ」を身につければ、きっと中国でもやっていけるのではないかと思う。

中国人の「面子」だが、これを「見栄」と訳す人がいるが、それだけではないと思う。なぜなら、面子には悪い面も良い面もあるからだ。

それでは、実際に「面子」とはどういうことなのだろう。簡単な例を挙げてみる。

昨日のことだが、一昨日の夜から降り続いた雪が5cm程積もり、道路は凍結し、車はノロノロ運転の大渋滞となった。場所によっては全く車が動かない状況だ。
大連は冬場でもめったに雪が降らないところなので、車もスパイクタイヤなど履かないところに、中国人の「いつも私が優先、私が一番」という性格も加わり、そこいら中で車の衝突事故が起こっていたのは簡単に想像が付く。

昨夜は、こういう状況だから、さすがに来店客も少ないのではないかと半ばあきらめていた。「台風」や「大雨」等の日も同じで、不可抗力でどうしようも無い。

時間が7時になってもお客さんが来ないので、今日は本当にダメかな?と思っていたら、7時少し前に、うちの店の社長がお客さんと一緒に、お店に来るという電話がレジに掛かってきた。それから、10分程経った頃だうか、イタリア人の常連客が外人の友達を連れて14名でお店に食事にやってきた。そして、その後を追うようにうちの店の社長が到着した。

店のスタッフ皆は私に向かって『面子ありますね』と言う。つまり、私の面子が保てたという訳だ。
また、こういう場合には同じく店の社長も「面子」があるのだ。

お客さんを連れて自分の店に来たものの、お客さんが居なかったら「面子」が無い訳である。

まァ、実際は社長はそんなことは考えていないのだが、スタッフはそう考えるようだ。

さて、「面子」で一番気を付けなくてはならないのは、従業員を叱ったりする場合だ。日本人でも特に職人気質で気の短い人は注意が必要だ。

たとえば、調理場で誰か中国人コックが何かミスをするとしよう。その時に皆の前で『コラ!このボケ!』等と決して言ってはいけない。

そのミスが彼の二日酔いが原因だったとしても、ヤル気がなくダラダラしていて起こったミスだとしても、皆の前では「アホ」等と言わないことだ。

このわずかな一言で、彼の「面子」は無くなり、場合によっては集団で職場ボイコットにつながる。それだけならまだ良いが、彼を首にでもしようなものなら、彼の友人やら、兄弟やら家族までも抗議にやってくる。「面子」を潰されたと・・・

私も1年ちょっと前に中国に着たばかりの頃は、『面子などクソくらえ!』と思っていたので、さまざまなトラブルに巻き込まれることになった。
しかし、怒ったあとには、必ずフォローも忘れなかったし、怒るのは一瞬で、それをいつまでも引きずらなかったので今でも生きていられるみたいだが、できるならば、タイの「マイペンライ」精神を見習った方が良い。怒る前にちょっと冷静になれば、彼らをやり込める方法はたくさんあるのだ。

しかし、面子には良い面もある。面子が人脈をつくり中国での生活を快適にさせてくれる。私は、まだまだ言葉(中国語)もうまくないので、人脈を持っている人に世話になっていると言った方がよいが、中国での人脈の大切さをとても感じる。

普通、中国では何事にも時間が掛かる。お店の水道管の工事や、自分のアパートのシャワーの修理やら、インターネットが突然つながらなくなるなど、毎日、さまざまな問題が起こるが人脈さえあれば、いとも簡単に解決できるのだ。

公安(警察)もそうだ。お店で何かあれば、直ぐに飛んできてくれる。とにかく中国では人脈がとても大切だ。偉い人と人脈を持っている人とは友達になっておいた方が何かと便利だ。

さて、「面子」についてもう少し話そう。

今、うちのお店の常連客に銀行に勤める30代後半の中国人がいる。中国の30代はバリバリ仕事をしている。
彼は最初は日本人のお客さんと一緒にうちの店に来た。少し日本語の話せる人で、うちの料理が美味しいと言っていた。

それから一週間程経って、今度は彼が彼女(愛人?)を連れて2人でお店にやってきた。私は彼の顔に見覚えがあったので、彼らのところへ挨拶に行って彼に『いつもお店に来ていただきありがとうございます。』と、へたな中国語で話した。たったそれだけだ。

どうやら、その一言は彼にとっては「面子がある」のだ。うちの店は大連にしては、どちらかというと高級店なのだが、その店の常連客であるということを彼女にアピールできたのだ。私の挨拶の後、彼は今回が2度目の来店にもかかわらず、うちの店のどの料理が美味しい等、彼女に話し(口説き落とし)ていたようだ。

その後、今度は2日後位に銀行のお客さんを連れて6人でお店に来てくれた。そして、高い料理をたくさん注文してくれた。きっと、先日の「面子」のお返しなのだろう。私もまた挨拶に行き来店のお礼を言う。今日の彼の招待客も、こんなに高いものをご馳走してもらって「面子」があるのだ。

こうして、面子が人脈となり、中国という社会が成り立っているのだと思う。

しかし、その人脈も慣れが生じると、だんだん「ずうずうしさ」に変わるようで、最近は『食事代金を15%まけて欲しい』と言い出すこともある。きっと彼の接待費にも上限があるのだろう。しかし、彼が接待で連れてきたお客さんが、お店に来てくれているので今のところは良しとしている。

そのへんの駆け引きを間違えて、彼の「面子」をつぶさないように。。。