マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

魚やすの新メニュー(3)黒酢の酢豚

2012年12月30日 | 魚やす(UO-YASU)の料理)
2012年も今日でいよいよ大晦日を迎えた。

一昨年の12月に中国での5年の生活に終止符を打ってバンコクに来たが、今年は念願の「魚やす」をOPENすることができ、また、多くのお客様にご来店いただいて感謝の気持ちでいっぱいだ。

また、このお店に出資をしてくれたオーナーの方々、素晴らしい食材を提供してくれている仕入れ業者の皆様、綺麗な素晴らしい広告を作ってくれる広告媒体の関係者など、皆様の温かなご協力があって「魚やす」がこのように晴れやかな気持ちで年の瀬を迎えられることにも、感謝したいと思う。

そしてこのブログに立ち寄ってくれる方々に、『ありがとう』の気持ちをお伝えしたい。

実は、今日はお店の営業が終わってから店のスタッフ達とささやかなパーティーを企画している。

タイ語もよく分からない、頑固で頭の固い自分のような料理長の下で、文句も言わずによく半年間頑張ってくれたと思う。

特に調理スタッフの連中とは「IRON CHEF」に参加することになり、店で何度も料理の試作を繰り返したりもして、本当にたのしい時間を過ごせたと思う。

年末で既にお休みしているお店が多い中、大晦日まで頑張ってくれているお店のスタッフ達にも感謝したいと思う。

そんな気持ちを察してくれた多くの方々から下のように「プレゼント」の品が続々とお店に届いている。



今夜の店の営業後のパーテーでは、お店のスタッフ達と「くじびき」をして、これらのプレゼントを渡すことになっている。

「プレゼント」を提供してくれた方々にも深く感謝致したい。

さて、今年の最後の料理は「黒酢の酢豚」を紹介することにしよう。

酢豚はケチャップを使ったレシピが多いが、黒酢を使った酢豚はさっぱりして、大人にはこちらの方がおすすめだ。

尚、酢豚に「缶詰め」のパイナップルを入れて、パイナップルのパパイン酵素で豚肉が柔らかくなりますなどと平気な顔で言っているTVの料理番組があるが、パイナップルは加熱すると酵素は死活してしまう。

もし、パイナップルを加えるなら生の物を使わないと意味がないが、そもそも酢豚にはパイナップルは合わないと思うので今回のレシピには使っていないが、野菜も加えずに「豚肉」だけでも美味しい。

ポイントは、黒酢ダレの配合だが、黒酢1:醤油1:酒1:砂糖1、で全て1づつなので覚えやすいと思う。

この配合で作ってみて、ちょっと甘いなと感じたら、砂糖を0.8にするといいだろう。

作り方はとても簡単なので、正月料理に飽きたら、ぜひ、作ってみて欲しい。

バンコクに居る方なら、「魚やす」の12月からの新メニューに入っているので、お店までお越しいただいて召し上がってもらいたい。

それでは早速、作ってみよう。

◆黒酢の酢豚の作り方。

<作り方>豚肉の下処理(材料:一皿分)

①豚の肩ロース150gは厚さ2㎝程で一口大に切り、筋に近いところに包丁を入れておく。

②ボウルに①の豚肉を入れ、酒を小さじ1、醤油を小さじ1を加えて指先で揉み込む。

③溶き卵大さじ1(1/4個分)を加えて更に揉み込んでから片栗粉小さじ1をまぶす。

④160℃~170℃の低温の油の中にいれ、そのまま温度を上げていき、180℃位になってカラっと揚ったら鍋から取り出しておく。



<用意する物>



写真手前の左から、水溶き片栗粉、生姜のみじん切り、ニンニクのみじん切り、先に揚げておいた豚肉。写真奥の左から、玉ねぎ、赤、緑、黄色のピーマン、椎茸、合わせ調味料。

※合わせ調味料の配合(黒酢1、醤油1、酒1、砂糖0.8)

<作り方> 本調理

①フライパンを弱火に掛けてサラダ油を大さじ1入れる。


②ニンニクのみじん切りを加える。


③生姜のみじん切りを加える。


④ニンニクと生姜をよく炒める。


⑤ニンニクと生姜の香が立ってきたら、中火にして野菜を加える。


⑥野菜を1~2分炒める。


⑦酒を加えて更に1分程炒める。


⑧野菜に7分程火が入ったら揚げておいた豚肉を加える。


⑨調味料を一度に加える。


⑩水溶き片栗粉を小さじ1~小さじ2加えてとろみをつける。


⑪最後にお好みでゴマ油を小さじ1/2~小さじ1を加える。


⑫皿に盛って出来上がり。


さて、今年、「IRON CHEF」に出場する為に「食器や調理器具」を購入しに3日程、日本に一時帰国した際に東京駅で下記の看板を見掛けた。

HONDAの広告だが、とても感動した。



がんばっていれば、いつか報われる。

持ち続ければ、夢はかなう。そんなのは幻想だ。

たいてい、努力は報われない。たいてい、正義は勝てやしない。たいてい、夢はかなわない。

そんなこと、現実の世の中ではよくあることだ。

けれど、それがどうした?スタートはそこからだ。

技術開発は失敗が99%。新しいことをやれば、必ずしくじる。腹が立つ。

だから、寝る時間、食う時間を惜しんで、何度でもやる。

さあ、きのうまでの自分を超えろ。

きのうまでのHondaを超えろ。

負けるもんか。


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皆様のおかげで、「魚やす」も少しづつではありますが成長をすることができました。

今年は本当にいろいろとお世話になりました。

来年もよろしくお願い致します。



















魚やすの新メニュー(2)牛肉とピーマンと筍の細切り炒め

2012年12月28日 | 魚やす(UO-YASU)の料理)
早い物で、今年も残すところあと2日となった。

「魚やす」のOPENが今年の6月22日だったが、あっと言う間の半年だった。

そして、今年も多くの料理を作ったが、特にこのブログでも紹介した「タイ料理」は香辛料の使い方が絶妙でとても勉強になった。

さて、今回紹介する「牛肉とピーマンと筍の細切り炒め」は青椒肉絲(チンジャオロースー)とも呼ばれていて、以前、このブログでも本場中国の辛いピーマンを使ったレシピを紹介したが、今回はピーマンの代わりにパプリカを使って、また、食感にアクセントをつける為に筍も加えることにした。
もちろん筍を加えることで、食感だけではく筍の旨さが加わることになる。

また、今回は油通しをせずに、すべてフライパンで炒めて調理することにした。

油通しとは、肉類は低温の油(140℃~150℃)、また、野菜類は高温の油(180℃~190℃)にさっと入れてから調理する方法だが、家庭では油通しだけの為にたくさんの油を用意するのはもったいないし、フライパンだけでの調理でも油通しした場合と同じように美味しくできるので、全く問題はない。

ただし、弱火で炒めた肉に7分程火が入ったら、中火にして野菜を加えて炒め始めたら調味料をスピーディーに入れてさっと炒めよう。

弱火でだらだら炒めると、野菜から水分が出てべシャっとした食感になってしまうので気をつけよう。

さて、これから年末年始に掛けて、年越し蕎麦やお寿司、それにおせち料理にお雑煮などを食べることが多くなると思うが、毎日続くとさすがに飽きてしまうだろう。

そんな時には、この「牛肉とピーマンと筍の細切り炒め」を作ってみて欲しい。

前にも書いたが、中国の青椒肉絲(チンジャオロースー)は、とても辛いが、この料理は辛くないので子供からお年寄りまで誰にも好まれる味だと思う。

それでは早速、作ってみよう。

◆牛肉とピーマンと筍の細切り炒めの作り方。
<用意する物>

写真の左側の牛肉に使用する調味料。(牛肉のモモ肉又は肩ロース肉 100g、酒 大さじ1、醤油 小さじ1/2、卵白 1/4個分、片栗粉 小さじ1、サラダ 油小さじ1/2、塩・コショー少々)
写真右側の本調理に使用する野菜と調味料(緑、黄、赤色のピーマンの細切り 合計で150g、筍 50g、生姜のみじん切りとニンニクのみじん切り 各小さじ1、オイスターソース大さじ1、醤油小さじ1、酒大さじ1、ゴマ油小さじ1、塩・コショー少々)

<作り方> 牛肉の下処理
①牛肉を7㎜角で5㎝の細切りにしてボウルに入れ、酒を大さじ1加える。(野菜も同じ太さと長さに切り揃えておく。)


②塩を少量加える。


③コショーを少量加える。


④醤油を小さじ1加える。


⑤指先で揉みながら味をなじませる。


⑥卵白を大さじ1(1/4個分)を加える。


⑦片栗粉を加える。


⑧更によく揉みこむ。


⑨サラダ油小さじ1/2を加えて混ぜて、牛肉をコーティングする。


<作り方> 本調理

①フライパンを弱火に掛けてサラダ油を大さじ1加える。


②ニンニクのみじん切りを小さじ1加える。


③生姜のみじん切りを小さじ1加える。


④牛肉を加える。


⑤牛肉に7分程火が入ったら中火にして筍を加える。(ここからはスピーディーに調理しよう)


⑥ピーマンを加える。


⑦塩を少量加える。


⑧コショーを少量加える。


⑨酒を大さじ1加える。


⑩醤油を小さじ1加える。


⑪オイスターソースを大さじ1加える。


⑫ゴマ油を小さじ1加える。


⑬皿に盛って出来上がり。


この料理は、12月から新メニューとして「魚やす」のメニューにも入っているので、実物はお店に来ていただき、召し上がっていただきたいと思う。

さて、次回も誰もが好きな中華料理の話をしよう・・・



タイの鯵(プラトゥー)がマグロの卵を産むかも?

2012年12月28日 | 魚やす(UO-YASU)の料理)
バンコクではクリスマスも過ぎて、大手の企業では今日(12月28日)が仕事納めの会社が多いようだが、既にお休みに入った会社が多いようで、日本と同じように田舎に帰る帰省客でバスターミナルや鉄道の駅の混雑ぶりがTVのニュースで放映されている。

うちの店は年末年始は休まずに営業するが、お休みに入って街中に車が少なくなっているにもかかわらず多くのお客様がお店に来てくれて、とてもありがたいと思う。

さて、前回は「アジのなめろう」の作り方を紹介したが、実はタイにも「プラトゥー」という鯵に似た魚があり、下の写真のように蒸した物が屋台などで売られている。



既に蒸しがっているのでそのまま食べることもできるが、更に揚げたり焼いたりして、ソムタム(青パパイヤのサラダ)に混ぜたり、ナンプラーを掛けても食べても美味しく、何より価格が一尾30バーツ(約90円)と驚く程安い。

また、この魚はどこの屋台で見ても首を折ってあり、お辞儀をしているようになっているが、サバは腐りやすいので、首を折って血抜きをしてあるからだろう。



タイではこの魚「プラトゥー」を「ナムプリック」という味噌や玉ねぎ、唐辛子、ライム、砂糖等を混ぜて臼でトントンと潰したソース(ディップ)を付けて、生野菜も添えて食べるが、干し海老を加えた物は「ナムプリック・カピ」と呼ばれ「プラトゥー」を食べる時には特に好まれているようで「海老の塩辛ペースト」と言うと分かりやすいだろう。

この「プラトゥー」という鯵によく似た魚だが、実際に食べてみると「鯵」ではなく「鯖」のような味がする。

見掛けが鯵に似ているので、鯵だと思っている人が多いと思うが、この魚は和名で「グルクマ」というサバの仲間で、沖縄県など西日本や東南アジア、インド洋等の温かい海に広く分布している。

さて、この「プラトゥー」が鯵ではなく「鯖」の仲間と分かったところで、表題の(プラトゥー)がマグロの卵を産むかも?の話をしよう。

現在、マグロの養殖技術が進歩して、既に卵を孵化させる「完全養殖」に成功したことはニュースでも大きく報じられたので知っている人も多いと思うか、実は最近サバにマグロを産ませる(借り腹技術)というのが話題になっている。

この研究をしているのは「東京海洋大学」で、既にヤマメにニジマスを産ませることに成功していて、近いうちには同じように鯖にマグロを産ませることが可能になるようだ。

まぐろは鯖の仲間なので、鯖にマグロを産ませることが可能ならば、理論的には同じ鯖の仲間である「プラトゥー」にマグロを産ませることも可能だろう。

でも、屋台で売られている「プラトゥー」がマグロを産むとはちょっと信じられないような気がしてならない。

さて、また話が長くなってしまったが、下がタイで水揚げされる「鯵」の写真だ。



脂の乗りはほとんど無く赤身だが、赤身(血)の味が濃く、これもなかなかいけると思う。

下は「鯵のたたき」の写真だが、生姜のみじん切りと万能ネギの小口切りを細かく切った味の身に混ぜて、天に大葉シソの千切りを添えてある。



また、鯵の刺身に「柚子コショー」を少量付けて食べるのも、なかなかいけるので試してみて欲しい。


鮮度の良い鯵ならば、生姜ネギを乗せて寿司でもいける。



そして、生で食べられる鯵を「鯵フライ」で食べるのもいいだろう。


下が「プラトゥー」の写真だが、頑張って「マグロを産んで欲しい」が、鯖の味がするマグロにならないように期待をしたいと思う。



さて、次回は久しぶりに中華料理の話をしよう・・・














魚やすの新メニュー(1)「鯵のなめろう魚やす風」

2012年12月23日 | 魚やす(UO-YASU)の料理)
バンコクは雨季が終わり、本来は11月~2月は気温が下がり過ごしやすくなるのだが、今年は12月も年末に近づいているというのに毎日暑い日が続いている。

やはり地球の温暖化が進んでいるのだろうが、また、バンコクが洪水の被害を受けなければよいと思う。

さて、しばらくブログをお休みしていたが、このブログを見にきてくれた方も多いようで感謝の気持ちでいっぱいだ。

約1か月も掛かってしまったが、うちの店のメニューにタイ語の料理名を加える作業と、幾つかの新商品も作ってみたので、少しづつ紹介して行こうと思う。

下がタイ語の料理名を加えた「お刺身」のページだが、同じように他の料理のページの合計でディナーメニューだけで12ページとなり、ランチメニューも加えると18ページ分の料理をタイ語に翻訳する作業は思った以上のたいへんな作業になってしまった。



日本語の料理名をタイ語に翻訳するというのはなかなかシンドイものだが、今回、改めて思ったのは日本語では魚の数え方が一匹だったり一本だったり一条だったりするし、カニは一杯、ヒラメやカレイは一枚だったりして魚によって数え方が違うが、タイ語ではサンマでもアジでもカニでもヒラメでも「ヌントワ」と数える。

これは英語でも同じで魚によって数え方が違うことはなく、刺身用なら「a slice of」、フィレにした場合には「a fillet of」、また、ブロックのような塊なら「a chop of 」というように切り方によっての区別はあるが、魚の種類によって数え方が違うことはない。

ふと疑問に思ったのは、たとえばサンマやアジやイワシなどは、「一匹」と数えるのがいいのか?または、「一尾」と数えるのがいいのか?

そこで、魚の数え方について調べてみたところ、生きている間は「一匹」と数え、死んでからは「一尾」と数えるのだという。

カニの場合も同じで、生きている間は「一匹」と数え、死んでからは「一杯」と数えるとのことだ。

これを知った時には唖然とする思いだった。

今まで何十年も水産の仕事や料理の仕事をしてきたが、今になって初めて「生きている間と死んでからの魚の数え方が違う」ということが分かったのだ。

でも、なんとなく納得できなくて、「江戸料理」の本や以前にも話をした江戸時代の「豆腐百珍」という豆腐料理のレシピ本を調べてみたところ面白いことが分かった。

それは、江戸時代は魚は「一匹」や「一尾」ではなく「尾匹」(びひき)で数えていたのだ。

また、中国では魚一匹は「一条(イーティアオ)」と呼ぶが、たとえば、サンマやサヨリなどの長い魚は中国の影響を受けて、一条とも呼んでいたようだ。

つまり、生きている間は「一匹」と数え、死んでからは「一尾」と数えるのは大正時代に入ってからで、マスコミが小さい動物を「匹」、大きな動物を「頭」と数えるようになったので、その影響も大きいようだ。

魚一匹(一尾)は正確には「一尾匹」と数えるのだろうが、これからはなるべく生きている魚は「一匹」と数え、死んでからは「一尾」と数えるようにしようと思う。

さて、今回は「アジのなめろう魚やす風」を紹介しようと思う。

アジに限らず、サンマなどでも「なめろう」を作るが、光物の魚などちょっとクセのある魚に味噌や生姜やシソなどを加えて包丁でたたいた簡単なこの料理は、日本酒の肴にはもってこいだろう。

この「なめろう」という語源だが、包丁で叩くことによってなめらなか食感になるので「なめろう」という説や、皿を舐めるくらいに美味しいので「なめろう」と言うなどの説がある。

「魚やす」の「アジのなめろう」は信州みそと八丁味噌と2種類の味噌を使うのと、たくわんを細かく切って加えるのと、ヤリイカを小さく切って加えるのが特徴で、いろいろな食感と味が口の中で広がり、いつ食べても飽きない味だと思う。

それでは早速、作ってみよう。

◆「アジのなめろう魚やす風」の作り方。

<用意するもの>

写真手前の左から「大葉シソの細切り」、「アジ」、「ヤリイカ」(5~7㎜角に切る)。写真中央の左から「万能ネギの小口切り」、「「生姜のみじん切り」。写真奥の左から「たくわん」(5㎜~7㎜角に切る)、「信州みそ」、「八丁味噌」。

<作り方>

①アジを刺身用におろして皮を剥き、小骨を取って小さく切る。


②味噌(2種類)を加えて包丁で叩く(食感が残るようにし、叩きすぎないように注意する。)


③ボウルや器に移し、生姜のみじん切りを加える。


④万能ネギの小口切りを加える。


⑤小さく切ったたくわんを加える。(たくわんは甘くない物を使う)


⑥小さく切ったヤリイカを加える。


⑦スプーンなどでよく混ぜ合わせる。


⑧皿に盛り、大葉シソの千切りを天に盛って完成。

この「アジのなめろう魚やす風」だが、これに少量のゴマ油と炒りゴマを加えてかき混ぜて、熱々のご飯を丼に盛ってから上に乗せて、中央にくぼみを作って卵黄を乗せると「アジのなめろう丼」になる。(お好みですし飯でもOK)

この「アジのなめろう丼」は絶品なので、新鮮なアジが手に入った時に、ぜひ、作って食べてみて欲しい。

さて、次回もアジを使った新メニューの話をしよう。