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Today's latter

「鬼畜」~鑑賞

2012-10-18 23:59:59 | 映画~DVD鑑賞等
冷静に見ると凄い題名ですね…パッケージもシュールです 

野村芳太郎監督、岩下志麻、緒形拳主演の映画です 
他、名優多数出演しています  

あらすじ (gooより)

竹下宗吉と妻、お梅は川越市で印刷屋を開いていた。宗吉は小金が貯ったところで、鳥料理屋の菊代を囲い七年間に三人の隠し子を作った。
おりあしく、火事と大印刷店攻勢で商売は凋落した。手当を貰えなくなった菊代は、利一(六歳)良子(四歳〉庄二(一歳半)を連れて宗吉の家に怒鳴り込んだ。
菊代はお梅と口論した挙句、三人を宗吉に押しつけて蒸発した。お梅は子供達と宗吉に当り散らし、地獄の日々が始まった。
そして、末の庄二が栄養失調で衰弱した。ある日、寝ている庄二の顔の上にシートが故意か偶然か、被さって死んだ。
シートのあった位置からお梅の仕業と思い乍ら宗吉は口に出せない。「あんたも一つ気が楽になったね」お梅の言葉にゾーッとする宗吉だが、心中、ひそかな安らぎをも覚えるのだ。
その夜、二人は久しぶりに燃え、共通の罪悪感に余計、昂ぶった。その後、宗吉は良子を東京タワーへ連れて行き、置き去りにして逃げ帰った。
長男の利一には「よそで預かって貰った」といい訳した。お梅は利一を一番嫌っている。兄弟思いで利口な利一の白目がちな目が、お梅夫婦のたくらみを見抜いているようだ。
何日か後、宗吉は、こだま号によろこぶ利一をのせ、北陸海岸に連れて行った。断崖上の草原で蝶採りに遊び疲れ眠りこけた利一を宗吉は崖下に放り出した。
翌朝、沖の船が絶壁の途中に引掛っている利一を発見、かすり傷程度で助けだした。警察の調べに利一は父親と遊びにきて、眠っているうちに落ちたと云い張った。
名前、住所、親のことや身許の手がかりになることは一切いわなかった。
しかし警察は利一の服のメーカーのマークが全部切りとられていたことから、事故ではなく、利一は突き落とした誰かをかばっていると判断した。
利一の黙秘に警察はお手上げになった時、偶然、入ってきた名刺屋が、利一の持っていた小石に注目した。
利一が“いしけりの石”と話すそれは、石版用の石で、インキをこすれば、消えた版が再現できるかもしれない。
警察の捜査が開始された。移送されてきた宗吉が警察で親子の対面をした。「坊やのお父さんだね?」警官の問いに利一が激しく拒否した。
「よその人だよ、知らないよ、父ちゃんじゃないよッ」手錠がかかった手を合掌するように上げて、涙を流して絶叫する宗吉の声が部屋いっぱいに響いた。「利一ッ……かんべんしてくれ!」


現代の映画からは考えられないほど、映画の中でリアルで子供につらくあたっていて、見ていてかなり鬱になりました
私はまだ子供はおらず、世の中の虐待ニュースを聞いて切ない気持ちになってもリアル感はなかったのですが、
この子供達の境遇を見て、大人の身勝手さがいかに子供を不幸にするのか、
大人の責任の大きさを痛感しました。
緒形拳演じる宗吉自身も子供の頃に親に捨てられ、たらい回しにされた過去があるにもかかわらず、自身の子供を手に掛ける…
本妻であるお梅の迫力に押され手を下していくのですが、人間が苦境に立った時、いかに残酷になるか緒形拳の演技が凄かったです。
後、岩下志麻演じるお梅の子供達を見るぞっとする目…

現代だったら、余裕で通報されるレベルの虐待っぷりなのに、周囲の無関心さにもイラっとしたな…
その場しのぎの行き当たりばったりで生活し、
その中で、ひたすら親を慕う子供の姿は、ほんと切なかったです 

あと、終始救いのないシーンの中、大竹しのぶ演じる婦警さんだけは可愛らしかった…

映画は見ごたえありました 
昭和50年代の雰囲気も映画と合っていているし、展開が早い割にはきちんと説明が付くシーンが入っていて、
子供を連れて放浪するシーンは、砂の器を思い出させました。
シーンシーンのカメラの位置も、印象的でした。

ラストシーンは、救われる部分ですが、複雑な気持ちにもなりました。
あのまま、孤児院に引き取られていった男の子はどうなるのかとか、
それから、妹はどうなっているのかとか、
お梅は捕まるのかとか…

とにかく、力のない子供達が大人達の身勝手さで翻弄する姿に涙 
現代の映画にはない、重い映画でした。

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