まきた@VetEpi

酪農学園大学をベースに、発展途上国と日本の獣医疫学に取り組む獣医師のブログです。

あるザンビア人のキリスト教

2005-09-04 00:01:05 | 異文化
9月1日(木)。

研究のため妻子をエディンバラに置いて自国に2ヶ月ほど帰っている、同級生のタンザニア人、ルーカスの家に電話したところ、電話が繋がらない。

ルーカスの妻ルーシーの携帯電話に電話したところ、電話を止められたという。
急いで家に行って話を聞いてみると、以前電話会社のミスで1ヶ月近く通話できなかった分の電話代を払わないとごねているうちに止められてしまったのだと言う。

ルーカスがタンザニアに行く前に、家族に困ったことがあったら僕が面倒を見る約束をしていたのだが、ルーカスが行ってすぐ、ザンビア人学生の兄妹が同居し出したので、彼らのほうが英語も堪能であるし、安心して任せていたのだった。

この兄妹、敬虔なキリスト教徒で、キリスト教以外の宗教をはっきり言って見下している。僕のことを「あなたは本当に神を信じていないのか?」と差別的な目で見たり、イラクのイスラム教徒のことを、早くみんな改宗しないかしらと平気で言ったりする。タダでインターネットが使えるからと家に来てはろくに話もしないで用事がすむと帰っていく。金曜の夜や週末の夜でも急に電話をかけてきてインターネットを使いに来るのだ。

僕がルーシーを訪れると、彼女は電話会社からの督促状などの書類を見せてくれた。よく読んでみると、一度電話線を閉じられると、当然のことながら、電話の再開に条件が付いたり、金額が高くなったり、自動引き落としのサービスの申請が出来なくなったりする。

僕もウガンダ出張直前で忙しかったので、書類を借りてすぐ大学に行った。
大学から電話会社に電話すると、かなり待たされたが、交渉の結果、結局最初使えなかった分の電話代を差し引いた金額を払えばいいことになった。ちょっとした交渉ですぐ解決できるほどの問題だったのだ。

帰りにルーシーを訪れると、彼女のみならず、そのザンビア人も喜んでくれた。
何はともあれ、みんな幸せになり、感謝されるのは気持ちがいい。

僕も素晴らしい敬虔なキリスト教徒を何人も知っているし、彼らの多くは他宗教を蔑視したりしていない。自分の宗教についてよく知り、誇りを持つのはいいことだが、目の前で困っている人を助けることの方が、よっぽど自然で気持ちがいいことだ、と気付いてもらえただろうか。

ラインとグループ

2005-09-01 03:39:15 | 学業
8月31日(水)。

ウガンダ直前ということで、最終的な採材方法(サンプリング方法)を決めるため、指導教官のマーク(8月24日:プロの仕事。のマークとは別人)とミーティングをしました。

概ね考えた方法で納得してもらいましたが、細かい村名の情報が、大学が持っている政府の刊行物には記載されていないため、結局現地の統計事務所で情報収集をしてからでないと最終的な予定が出来上がらないので、ウガンダでメールでやりとりして決定することになりました。

それは良かったのだけれど、指導教官全員の断りもなく、エリックと先週、他の疫学者に相談した、というのがマークの逆鱗に触れてしまい、叱られてしまいました。日本でよく言われる、組織の「ラインとグループ」の原則を乱してしまったのです。

「お前はPhDの学生なんだから、自分で調べもせずにすぐ人に聞いてはダメだ!」
というのが彼の主張。本を2冊よく読んだ上で、いまいち答えが出なかったというのが僕の本音。実は、その本には必要な記載がなかったのです。
自分でも本を読んだということを伝え、謝ったらすぐ怒りは収まりました。

ま、事件があると、その時文化の本質が見えるものです。イギリスは、日本より流動的で融通がきくけれども、意外と守らねばならないルールもしっかりしている、というところかな。

しかし、疫学も奥が深い。分厚い本一、二冊読めば全部分かる、というものでは全くないですね。博士課程が終わったくらいでは、全てを網羅した人材になることは難しいかも知れません。