まきた@VetEpi

酪農学園大学をベースに、発展途上国と日本の獣医疫学に取り組む獣医師のブログです。

ウガンダの結納

2005-10-08 17:34:01 | 異文化
10月1日(土)。

先週になりますが、マケレレ大学の上級講師、チャールズの結納に参列してきました。

彼はすでに子供も2人いるのだけれど、結婚当時はお金がなくて、結納と結婚式が出来なかったそうです。この結納、ウガンダではIntroduction partyと呼ばれていて、非常に大切な儀式なのです。この儀式を経なければ、奥さんは、ご主人と同じ場所に埋葬してもらえないのです。
式は、出発から2日間かけて行われ、新郎軍団が、新婦の実家を訪れ、新婦を頂いて帰るのです。よく分からないけど、数ヵ月後にまた結婚式をします。

新婦の実家はカンパラから300キロほど東の村。電気もなく、草原と熱帯の木が生い茂る、まさに熱帯雨林のアフリカ!仕事以外でこういうところにいると、努力してたどり着いた甲斐があったなあ、とつくづく思います。

式は全てチャールズの民族の、バソガ語で執り行われたのだけれど、新郎軍団の中にいた、ウガンダ農水省幹部が、丁寧にも必要な箇所を英語で通訳してくれたので、十分楽しむことが出来ました。

結納は、親戚、友人、地元民総勢250人ほどの人数で行われ、伝統音楽とアフリカンダンスもあり、新郎側、新婦側の、口の達者なスポークスマンが笑いもふんだんに盛り上げ、長い劇のような式が続きました。女性人は、大勢で何度も「イリイリイリイリイリイリイリー!」と高い声を張り上げて盛り上げました。

新郎側のスポークスマンは、海外からの参列者として僕の名前を何度も出し、僕も立ち上がって手を振らねばなりませんでした。地元の人たちも皆歓迎してくれて、楽しい2日間でした。

しかし、熱帯ウガンダで、民族衣装カンゾーの上にずっとジャケットを着ていなければいけないのは、暑くて大変だった!

感謝する犬

2005-10-08 01:55:48 | ほっと一息。
10月7日(金)、その2。

昨日、ホテルマネージャーの犬の耳血腫を手術した。
手術は成功。まだ部屋に閉じ込められているので、そのときの話でも書こう。

手術前まで、その犬はあまりの痛さに首をかしげ、僕には警戒心いっぱいだった。
ジャーマンシェパード、オス、8歳。耳はインド料理のサモサのようにパンパンに腫れ、熱を持っていた。この状態で一ヶ月我慢していたらしい。おかげで食欲もなく、やせている。こんな顕著な病状なのに、近所の獣医は診断出来ず、一回注射に来たっきりだそうだ。ウガンダの犬もかわいそうに。

注射による鎮静と麻酔で手術した。縫合のとき、麻酔も覚めかけていたので、皮膚を縫合針で貫く痛さに、その犬は悲鳴をあげ、抵抗した。

手術が終わり、痛いことをしたので嫌われて当然なのだが、それまで僕から逃げていた犬は、ふらふらの足で僕のところへ近づいてきて、体を寄せて挨拶した。
痛いのによく頑張った、と体を軽く叩いてやると、ふらふらとまた寝場所に戻って伏せの姿勢に戻った。

耳の中の圧力が抜け、痛くなくなったので、ずいぶん楽になったのだろう。しかし、犬は賢いものだ。自分で礼を言いに来るとは。僕も久しぶりに暖かい気持ちになった。

それはそうと、早くここから出せー!!マラリアはごめんだー!!
果てしない蚊との格闘は続くのであった。

強くならねば

2005-10-08 01:21:14 | 異文化
10月7日(金)。

今、夕方6時40分。部屋の中を蚊がぷんぷん飛んでいるが、仕事をしている間に厳重に外から鍵を掛けられてしまって、外に出られない。ドライバーが、他の先生のところに鍵を受け取りに行っている。疲れているが、おかげでブログの更新も出来る。

合鍵を作ると言われてからもうすでに3週間経った。途上国のことだから、と当然に思う。それはいい。今日は、途上国赴任経験者なら思い当たる話。

今までに、合計9つの郡事務所とそれらに所属する51の村を訪れ、インタビューした。9つの郡事務所のうち、2つは敵対と言えるほどの扱い、6つは協力的、そして今日の郡事務所でも、失礼な言葉を受けた。都市化が進むほど、風当たりが強い。

こちらは研究活動の許可と、道案内をしてくれる職員を確保したかったのだが、保健担当職員の言葉。
「君は学生だろ。君は、まだ我々が協力するには取るに足らない人間なんだよ。プロジェクトを持って来れるようなら協力するがね。」

僕は、確かに自分は学生だから、とおとなしく引き下がってしまった。給料をもらって仕事してないし、ボーナスもない。その気がない人間には頼むもんか、という変な気持ちもあった。
しかし実際は、教授が直接郡事務所レベルを訪れるわけがない。プロジェクトの下地となる論文を書くのは、我々博士課程の学生が多い。自分の場合も、もちろん可能性がある。

いつも引き下がった後に、言うべきだった答えが頭に浮かぶ。
「私が、そのプロジェクトを持ってくる人材です。」

しかし、郡事務所の駐車場で道を聞いていると、トラックの運ちゃんやら、そこらの兄さん達が集まって来て、近くにいた地元の案内人を、数分で見つけてくれた。

これが、国を越えた人間の本質だ。日本でも、ネパールでも、イギリスでも味わった。お陰で7村をカバーすることが出来た。

強くならねば。でも、こういう毎日を経験しているので、途上国から帰国すると、礼儀正しい先進国の人たちから浮いてしまうのだけどね。

うー、、、。蚊がうるさい。刺されたくない。