普段、私はかぼちゃが植物で、土の上になっていることを、忘れています。
若いかぼちゃはつやつやなんだか、めでたい。こういう光景をみせてもらうと、かぼちゃを食べられるのがうれしいです。根っこがつながった感じがします。
フルート演奏の根っこは私たちの心と体。
心は体がどうであれ、生き生きしたり、沈んだりするものですが、やっぱり何らかの影響は与え合っています。
私はスポーツらしいことはしないし、野球のことはあまり詳しくないのですが、イチロー選手のことはよくレッスンで使わせてもらっています。
どうかというと、イチロー選手はバッターボックスに立った時、必ず地面にしっかりと根付かせるように、足の裏を地面にこすり付けるようにグイッグイッと動かします。足はしっかりと立ち、上半身は柔軟。
これをフルートを吹く時に、同じようにやってみるように提案します。すると、どの人も例外なく、音が全く変ります。
音に根っこが生える…とでも言うのでしょうか。
大地に根を張ることの大切さを、生徒さんの演奏によって、いつも目の当たりにします。
この前のレッスンの時、Kさんがイルカは人と同じくらい頭がいいけれど、手が使えない体なので、それ以上発達できなかった。と言う話をしてくれました。
人間は手があるので、物をつかみ、使い、作る事ができ、文明を生み出した。ということだそうです。
確かに体の形状は私たちにいろいろな制約や、枠を与えています。
でも、そればっかりではないと言うことも言っておかないといけないと思います。
人間の体は不完全で弱い。厚い毛皮もないし、鋭い爪も、発達した牙、すばやく動ける足も無い。
それを補うためにいろいろな発達をしなければ生き残れなかったと言う側面もあると思います。
困難な枠はそれを突破したい。音楽をやりたい、表現したいと言う心、乗り越えることが大切なのではなく、チャレンジし、立ち向かい、誰かに伝えたいという心を持つことが人として完璧で美しいのだと思います。また、音楽とかフルートとか言う枠を超えた共感はそこにあるのだと思います。