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引っ越しました~
by lotusruby

19th TIFF開幕 ~ 『クブラドール』

2006-10-22 01:57:41 | Cinema な時間


21日(土)、第19回東京国際映画祭開幕!
毎年、PIFFに引き続いて開催されるTIFF。今年も会場は六本木ヒルズと渋谷Bunkamura。

今年もいろいろ見たい映画はあるのだけど、見たいからといって全部見られるわけもなく、自分のテーマとしてはやっぱりアジア映画。

さっそくのぞいたのが、フィリピン映画『クブラドール』
この映画を選んだ特別な理由はない。『王の男』の前についで1本見ておこうかなぁと気楽な気持ちで。そしてこれにはティーチインがついているので製作者の話が聞けると面白いと思ったから。

    (Image source: tiff)

クブラドールとは、Bet Collecter、つまり賭け事の賭け金収集屋のこと。舞台はフィリピンのスラム街。フエテンと呼ばれるナンバーゲーム(数字を当てる)の違法賭博の賭け金を街の人々から集めて胴元から手数料をもらって生計をたてるクブラドールのアメリタという女性をめぐるスラム街の人々を描いた作品。

このフエテンはフィリピンの社会問題になっていて、違法にもかかわらず、胴元が国会議員だったり、アロヨ大統領の親族がこれに関わっていて追求されている。

本当のスラム街で撮影されたということで、社会派ドキュメンタリー作品だとばかり思ったら、ちゃんと役者が演じている「ドキュメンタリードラマ」。狭くて汚くて、薄暗い路地裏でひしめき合うように暮らす貧しい人々。警察の目を盗んで賭け事に興じる。賭けごとでしか儲けることができないからだ。フィリピンの現代社会、貧困層の日々の生活をそのまま映し出している。

フィリピンの貧困層の暮らしというものは、私たちが考える貧しさとはあまりにもギャップがありすぎる貧しさである。アメリタは軍人だった若い息子を亡くしている。そんな哀しみも癒されることないまま、そして、そこで生活するしか選択肢のない人生をなかば諦めているようにも見える。スラム街の誰かが死ねば、共に涙して埋葬のための寄付金集めに奔走したりする心の余裕・優しさ・純粋さも持っているのだけど、この人たちに希望はあるのだろうか?? と生活という不条理な現実に切なさがあふれていた

ティーチインに参加したこの作品の脚本家ラルストン・ホエール氏は、このスラム街に住む人々がみな抜け出したいと思っている世界を忠実に描いたという。こういう作品は内容的に自国でも受け入れてもらえないし興行的にも難しい作品だが、海外の映画祭を通じて、経験してもらえば嬉しいと語っていた。

アジア映画といえば、韓国映画と香港映画、たまに中国映画ぐらいしか見ていない。東南アジアの国々でも映画が製作されていることは知っているけど、なかなか見ることはない。こういう映画祭でしか味わえないものかな



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