Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

12th PIFF vol. 4

2007-10-12 22:56:41 | K-Movie Columns


原題:검은 땅의 소녀와 
邦題:(黒い土地の少女と)
英題:With A Girl of Black Soil

監督:チョン・スイル

            

チョン・スイル監督、インディーズ界の旗手なのですね。アート系は、良し悪しを理解できるほど見ていないし、時に難解そして退屈というイメージなので、どうかなぁと思ったのですが、意外とまとまりのいい、分かりやすい作品でした。

下調べもせずに見たのですが、この作品は、今年のベネチア国際映画祭で、Cinema D’Essai (Art Cinema) CICAE Award と Lina Mangiacapre Award を受賞していたのですね。11月には韓国内でも公開されるそうです。

ドラマ性に欠けるというような評を読んだのですが(Varietyより)、アート系にドラマティックな展開って、相反するような気もしますが、エンディング近くは、十分衝撃的だと思いましたが・・・。

監督は、「『消え行くもの、失われていくもの』を描きたかった」と語っておられ、舞台設定を炭坑の町にしているのも、「廃れゆくものを象徴し、健康を損なって仕事も失い借金を抱えた絶望感のどん底にいる人間と重ね合わせ」てみたそうです。

登場人物は、炭坑の町に住む少女、長年炭坑夫として勤め塵肺を患い仕事も失った父親、そして精神障害の兄の3人家族。酒に溺れて頼りにならない父のために売店で酒を盗み、精神障害の兄の世話をする健気な少女は、この先どう生きていくのか、どこへ向かっていくのかということがテーマだそうです。

母親の影がない設定も、この家族の心のよりどころがないという絶望感を表しており、作品中、炭坑の街には不釣合いな都会的の女性(カン・スヨン)がイメージとして現れるのですが、「一体彼女は何者か」という質問には、「母親という解釈もありえる」との回答。このあたりは、アート系な解釈が要求されます(笑)。

チョン・スイル監督    

少女役のユ・ミョニ    

父親役のチョ・ヨンジン  
偶然、私の隣席にしばらく座っておられて、ちょっとドキドキ

 

原題:천년학
邦題:千年鶴
英題:Beyond The Years

監督:イム・グォンテク

             

まず上映前の舞台挨拶に、イム・グォンテク監督、チョン・イルソン撮影監督、チョ・ジェヒョンが登場。上映後の Q&A には、次の上映時間が迫っていたので、参加できなかったのが心残りです。

イム・グォンテク監督は、興行成績が振るわなかったことが悔やまれるようで、「PIFFで上映され、より多くの観客に見てもらえてよかった」と。チョン・イルソン撮影監督は、「朝鮮戦争に対して我々は何もできないが、この映画を作ることで報いたい」と。チョ・ジェヒョンは、「とにかく映像が美しいので楽しんでください」と。

この作品、なかなかスポンサーが付かず製作が危ぶまれていた時期もあったのでしたよね。確かに映像は美しくて、すみずみまで心を砕いたという感じがうかがえます。興行的にコケたのは、同じパンソリムービーでも『春香伝』と『風の丘を越えて』は、味付けが違っていたように思えるのですが、この『千年鶴』は『風の~』の続編という位置づけで、観客はもう同じ味付けには食傷気味だったのではないでしょうか

外国人には、まだ新鮮に映る部分もあり、個人的には十分楽しめました。チョ・ジェヒョンやリュ・スンニョンだってステキですし、パンソリも堪能できます。ただ、出会っては別れ、また出会っては別れの繰り返しが多くて、叶わぬ想いが昇華するまでに時間がかかりすぎなような気がしました

巨匠の作品をとやかく言うのも僭越なので・・・(って、すでに言ってるけど)


 

原題:여기보다 어딘가에 
邦題:(ここではないどこかへ)
英題:Somowhere Over Here

監督:イ・スンヨン

          

ワールドプレミア作品でしたが、インディーズ系なのか、メジャー系なのか、そしてジャンルの分からない作品です。こちらも上映後の Q&A は、終電が迫っていたのでパスしてしまいました。

内容はタイトルそのままでした。自分にはもっと違う世界がある、夢がある、自分は特別なんだと思いたい年頃の20代の女の子(チャ・スヨン)が、音楽で身をたてて羽ばたきたいと、現実とのジレンマに悩むというストーリーでした。

外国人記者のレビューを読んだら( link to)、視点が面白かったのですが、その女の子が、『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョンを彷彿させるというのです。わがままで、自分の思い通りにボーイフレンドを振り回すからだと思うのですが、なるほどね~と思いました

確かに、子供っぽくてわがままだけどキュートな彼女と、ぼーっとした彼(ユ・ハジュン)というカップルのキャラクターは、『猟奇的な~』のパターンと似ているかもしれません。若い俳優さんも頑張っていて、笑わせどころもあり、若者の未熟さも愛おしいです。ただ、ストーリー展開がタイトルそのまんまで、エンディングではストーリーを総括させるセリフというかアナウンスが入るので、そこまで観客に世話をやいてくれなくてもいいのにと思いました。

この作品、明らかにターゲットが若い層なので、ついつい「世の中そんなに甘くないのよ~」と、お説教目線で見てしまいました(爆)。

 



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