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引っ越しました~
by lotusruby

『Mr. ビーン カンヌで大迷惑!?』

2008-01-24 23:20:11 | Cinema な時間


『Mr. ビーン カンヌで大迷惑!?』
監督: スティーヴ・ベンデラック
出演: ローワン・アトキンソン、エマ・ドゥ・コーヌ、ウィレム・デフォー

ブリテッシュコメディの中締め(?)は、やはりこの方、Mr.Beanに登場していただくことに。

これが最後の Mr. Bean だそうですが、Mr.Bean を初めて TV で見た時、「この人、何者?」と思ってから、ずいぶんと年月が経つような。

原題は『Mr.Bean's Holiday』。カンヌで大迷惑・・・という邦題は TV シリーズでも「大騒動」、「大脱線」など「大~」がつくのでその流れを汲んでいるのでしょうけれど、映画の本筋とはちょっと違うかな。

どちらかというと、ロンドンからカンヌへたどり着くまでのロードムービー なのですよ(爆)。「Mr.ビーンの踊るロードムービー」なんてタイトルの方がしっくりくると思うのだけど。

これがですね、Mr.Bean がパリからカンヌへ移動する情景が、ハッとするほど美しいのです。南仏の田舎ってこういう所なんだぁと、一瞬感動すら覚える風景の中に奇妙なオッサンが立っているわけですから、ぶち壊しとも言えますが(笑)、その絵だけでもう十分可笑しいわけです。

ローワン・アトキンソン本人はものすごくインテリでジェントルマンなイメージなのに、彼が作り出したキャラ Mr. Bean とはあまりにギャップがあるので、それがまた、このキャラの純粋さを押し出しているような気がします。まぁ、確かにずーっと見ていたいというキャラではありませんが・・・

もともと Mr.Bean シリーズにはセリフが少ないですが、この作品では、Mr.Bean のセリフは、「ウィ」、「ノン」、「グラシアス(メルシーと勘違いしている)」の 3 つだけ。顔をくしゃくしゃにする顔芸がイヤとか、あの奇妙な動きがなじめないとか、外見が受け入れられない人も多々いらっしゃるようですが、パントマイムのピエロや無声映画の中の人物の動きや表情に似ているのではないでしょうかね。

ロンドンからカンヌへたどり着くまでの間に、Mr.Bean が出会う少年と女優の卵。この 2 人と絡むストーリーはとてもよくできていて、小道具に至るまで、そういうことだったのかと最後になってわかるような、丁寧なつくりになっており、後半は大いに盛り上がります

カンヌ映画祭の場面では、予想どおり、カンヌ映画祭に対してかな~りシニカルな描き方で、思い切り笑えます。「カンヌの肩書き」に弱い映画界に対してチクリと 。見た人にしかわかりませんが、キーワードは「Nothing=無」です(爆)。まるで「カンヌに価値なし」とでも言いたげです

まぁ、その辺りはさらりとやり過ごし・・・ついに Mr.Bean がカンヌで何よりも見たかったものが目の前に・・・。

それは、カンヌ映画祭ではなく、太陽が燦燦と降り注ぐビーチの前にドーンと広がる地中海。どんよりした曇り空の日が多いロンドンに住むカレが憧れる地なのでしょうか。海を見て無邪気に喜ぶ Mr.Bean の姿がとても印象的で、ホッコリさせられます。

そして、そのビーチの美しさったら・・・
「ああー、行きたい」と、一緒に行った友人と声を揃えて呟いてしまいました。

本作品をもって Mr.Bean は封印されるそうです。ローワンの年齢からして、これがギリギリなのかもしれません。最後はフィナーレショーで締めくくり、これで Mr. Bean も見納めなのかと思うとウルっ ・・・ とはこなかったけれど、ローワンがまた新たなキャラで登場することを楽しみにしているのです。

余談ですが、ローワンが出演した他の作品では、「フォー・ウェディング」の司祭役が私の中ではピカイチです。