Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

う・ふ・ふ、フランスがらみ 3 作

2008-01-11 23:23:29 | Cinema な時間

                 
『パリところどころ』 (Paris vu par...)
製作: 1965年 フランス
監督: ジャン=ダニエル・ポレ、ジャン・ルーシュ、ジャン・トゥーシェ
    エリック・ロメール、ジャン=リュック・ゴダール、クロード・シャブロル

              

友人から借りてようやく見た作品。昨年話題になった『パリ、ジュテーム』の草分け的存在として位置づけられている、パリをテーマにしたオムニバス 6 編。

これがね、もう面白くて、ツボにはまりました。というのも、この作品、1965 年製作というのに、今見ても斬新なのです。ヌーヴェル・バーグの代表作だそうですが、ヌーヴェル・バーグを語れるほどフランス映画を知っているわけではありません。でも、フランス映画黄金期を物語っているように思えます。

一番笑ったのは  ・・・エリック・ロメールの『エトワール広場』。
パリ市民にとって凱旋門は邪魔モノらしいです(笑)。凱旋門から放射線上に伸びる街路をいくつも横断して、凱旋門の周囲をぐるりと足早に闊歩するパリ市民の姿が写実的。そこで起こった傘突つき事件(笑)これにまたオチがちゃんとついていて。勝手にコメディだと解釈して笑ってしまいました。

一番「えーーーっ、そうくるか」と思ったのは  ・・・ジャン・ルーシュの『北駅』。
アパルトマンに住む夫婦が朝食で交わす何気ない会話から、思わぬ展開に・・・

娼婦と皿洗いの男の健全な(?)夜の過ごし方あり、恋のかけひきあり、悲劇あり・・・と、なかなか切り口も多様で楽しかったです。


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『迷子の警察音楽隊』 
(The Band's Visit)
製作: 2007年  イスラエル/フランス合作
監督: エラン・コリリン

             

昨年のカンヌでは、この作品のために「一目惚れ賞」まで創設され、3 冠を達成し話題をさらったそうです。東京国際映画祭でもグランプリ

文化交流のためにイスラエルまでやってきたエジプトの警察音楽隊。出迎えが来ず自力で目的地まで行こうとしたら、地名を間違え迷子になってしまう。迷子たちがたどり着いた街は、草木のない砂漠色の地形に囲まれ、人の息づかいもひっそりとしか聞こえてこないような静かな街。音楽隊の水色の制服がひときわ映えるこの背景設定が、この作品の「乾き」のような部分をあらわしているようにも感じました。

イスラエル人とエジプト人のコミュニケーション。そもそも政治上および宗教上で、かなり微妙な関係なのに、会話も成り立ちそうで成り立たない、成り立たなそうで成り立ったり... 手持ち無沙汰の時間、互いに黙りこんでしまう時間が訪れるたびに、見ている方は次にどんな言葉が出てくるのか息を呑んで見守るしかありません(笑)。たった一晩の触れ合いでも、前日の「乾き」が朝には「潤い」に変わっているような、ちょっとお茶目な作品です 。


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『サンジャックへの道』
  (Saint Jacques...La Mecque)
製作: 2006年  フランス
監督: コリーヌ・セロー 

              

あちらこちらで「ヨカッタ」という声を聞き・・・
とても、よかったです(涙)。

フランスのル・ピュイからスペインの西の果て、聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまで 1500 km にも及ぶ巡礼路を一緒に歩くことになった 9 人の男女の話。いい歳をして険悪の仲の 3 兄姉弟や、山歩きと勘違いして参加した女の子 2 人、アラブ系移民の男の子 2 人( 1 人はメッカに行くと勘違い)、孤独な女性、そして巡礼者を導くガイド。

それぞれが、さまざまな思い、悩み、問題を抱えて、ただひたすら聖地へ向かって歩いていく道すがら、互いに喧嘩したり、寄り添ったり、悩んだり、受け入れたりと、人と人との間は騒々しいから楽しい。

サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路は世界遺産にもなっているそうで、映像で流れる巡礼路に広がる風景がとても美しい。「歩く」という行為は、単純だけど余計なものを一切排した行為で、無心に歩くことで邪念を振り払ってくれそうな気もするし、自分と向き合わざるを得ない状況に追い込まれそうな気もします。そこに巡礼の意味があるのかもしれません。

信仰する神が誰であろうと、肌の色が違っていようと、男であろうと女であろうと、失業者であろうと社長であろうと、若くても老いていようとも、巡礼の道の上で課せられることは、ただ歩くことで、誰にとっても同じなんですね~。

色々なものを拾って歩く時間があるっていいなぁ~と、旅に出たくなる作品でした。