北米五大湖のエリー湖とオンタリオ湖は、水位の差が、なんと約100メーターもあります。 この落差がナイアガラの滝になるのですが、さすがに船はナイアガラの滝でジェットコースターをやる訳にも行かないので、う回路としてのLock式の人口の運河が建設されています。 それが、Welland Canal ウェランド運河です。
この運河には8か所のLock式の水門(正式には”閘門”)が設けられていて、船が入ると船尾の閘門が閉じられ、それぞれで水位の調整が行われます。
この第七Lockの観光案内所兼展望台に立ち寄ったところ、受付のお姉さんがパソコンをチョンチョンと叩いて、『もうすぐ大型船が来るからちょっと待ってて』と教えてくれました。
エリー湖側からかなりの大型船がソロリソロリと近づいてきました。 『両舷微速前進!』というところでしょうか。 この運河を通ってオンタリオ湖側に下って行くんです。
この運河にどのくらいの船が入れるかというと、一般的な外航船で9000トン、五大湖の水路専用船だと26000トンくらいの大型船まで対応可能だそうです。 ちなみに他の五大湖はほぼ水位が同じなので、ここまでの設備はありません。 また、五大湖の海運は最終的にオンタリオ湖から大西洋にも繋がるので、世界中の国籍の船が上ってくるんです。 トロントの港でロシア船籍の船を見たことがあります。
この船はたぶん穀物運搬船か何かと思いますが、カナダ、オンタリオ州St. Catharinesの船籍なっています。 St. Catharinesは運河に沿った街なので、おそらくは五大湖の専用船だと思います。 かなりの大型船で、第7Lockはほぼギリギリの大きさでした。
『両舷停止!』。 後ろに見えるのが管制ルームのようです。 ここで船が停止し、船尾側の水門が閉じられ、内側の水がグングン排水されて行きます。
上の写真と比べると既にかなり水位が下がっているのが分かるでしょ。
そして、排水が終わると、船首側の水門がおもむろに開きます。 この辺のLockは以前は結構近くまで行けたようなのですが、9.11以降、警備が厳しくなって、全体が金網で囲まれてしまったようです。 そりゃテロで爆破でもされたら大変な事になりますもんね。
そして船は次の第6Lockへと向かいます。 これを8回繰り返して、100メーターの水位差を越えて、船はオンタリオ湖へ出ることができるんです。 勿論その逆のオンタリオ湖からエリー湖へ向かう船も同様のプロセスで溯って行きます。
ウェランド運河には橋がいくつか掛っていますが、どの橋もこんな感じの可動橋になっていて、大型船の通行に支障がないようになっています。 日本には無い大規模のLockなので、是非ナイアガラ観光のついでに運河見学にちょこっと立ち寄るのもなかなかのお勧めですよ。