自由の女神の島観光を終えるとCircle Lineの観光船は、近隣のEllis Island エリス島に立ち寄ります。 ここに何があるかと言うと、かつて新大陸を目指した移民が大西洋を渡ってたどり着いたニューヨークで、最初に入国審査を受けた場所だったんです。
実を言うと、ロンドン野郎、この2004年9月の初めてのニューヨークの旅で、一番感動を覚えました。
この豪壮なレンガ造りの建物がかつての移民局の本館です。 1892年から1924年迄、アメリカへの入国審査の中心として使われていました。 その後、移民局としての機能は縮小されたものの、沿岸警備隊の施設が入ったりして、最終的に1954年に島は公式に閉鎖されたのです。
そして、1965年にはエリス島はアメリカの国家記念物に指定され、膨大な資金を投じて、1990年に博物館として一般に再公開されました。 移民の国アメリカ合衆国の現在の国民の中で一億人以上の先祖が、このエリス島を経てアメリカに渡ったと言われています。
かつてはこの巨大なホールにはイスとテーブルが所狭しと並べられて、長い航海の末アメリカにたどり着いた家族はここで審査の順番を待ちました。 やっとの思いで辿り着いても、犯罪歴や伝染病、精神疾患などの理由で約2%の人が入国を拒否されたそうです。
こういった展示の中には、日系移民の歴史もありました。 入り口には有料ですが、日本語のイヤホンの案内もあるので、時間を掛けてゆっくり、移民の人たちが辿った道順を追ってゆくと、自分自身がその当時の移民になった擬似体験をしているような気持ちになります。
病気持ちは必ずしもそのまま無下に追い返されるということではなく、長旅で体調を崩した人などは、この施設の中にある病院で治療を受けることができました。 そして回復後改めて移民を許されるということもあったそうです。
この入り江の奥にある建物が施設内の病院。 でも、医療技術の乏しかった時代、ここまで来て、アメリカに入国することもなく、そのまま亡くなった人も沢山いたんだと思います。 そして、せっかく入国しても、なけなしの財産を悪徳業者に巻き上げられることも多々あったということが書いてありました。
多くのアメリカ人にとっては、この場所は自分たちのルーツとその苦労を知る、最も感慨深い場所ではないかと思います。 でも一般の観光客にとっては自由の女神を見物した後、なんか退屈な博物館程度で、そのままスキップしてしまう人が結構多いんです。
エリス島はアメリカという国を別の視点から知る為にもとても重要な場所なので、自由の女神に会った後は、ここでの時間も是非取ってくださいね。