ニューヨークの5番街と6番街に挟まれた52丁目。 ここにカラフルなお人形に囲まれた一見瀟洒なレストランがポツンとあります。
キャー!チョーカワイイ!なんてフラッと入ったりしたら大変なことに。 場合によってはつまみだされる事もあり得る誰もが知るニューヨークの超高級レストラン21クラブがここです。 竹内玲子さんちのチョビ嬢様情報によると、元々は禁酒法時代の隠れ酒場から続く伝統あるこのレストラン。 ロンドン野郎自身もいつか一度は入ってみたいという野望もほんの少しはありました。
このレストラン色んな映画に出てくるんですね。 前回の『ウォール街』では、伝説的投資銀行家のゴードン・ゲッコーのところに、彼に憧れる駆け出しの若い証券マン、バド・フォックスが報告に会いに行く場面で使われていました。 お金持ちの集会場みたいなこのレストランで、ゴードンはバドに言うんです、『タルタルステーキを食べなさい』って。 このメニューはレストランの名物のようです。 タルタルステーキって分かります? 簡単に言えばハンバーグの焼く前みたいなやつ。 生肉のタタキです。
そしてもう一つ、1954年のヒッチコック映画『裏窓』。 足を骨折して外出できずにロアー・マンハッタンのアパートメントの部屋から隣人達の日常生活を眺める暇な毎日を送る写真家のジェフリーズ(ジェームズ・スチュアート)。 そこに毎晩通うお金持ちの令嬢の恋人のリサ(グレース・ケリー)。 ある晩、動けない彼の為に、彼女は21クラブを持ってきちゃうんです。 要するにケータリング。 お店の赤い制服を着たお兄さんに岡持ちみたいのに21クラブのロブスター料理を入れて部屋に持ってこさせるんです。 このロマンチック・サスペンスはロンドン野郎のお気に入りNY映画の一つです。
そんな訳でこの日、ロンドン野郎は21クラブの前をウロウロしていました。 2007年夏です。 店の前に表示してあるお昼のプレフィックスメニューは35ドルと40ドル。 そんなに死ぬほど高い訳でもありません。 でも、その上にしっかり書いてありました。 『昼食時はジャケット着用、ディナー時にはジャケットとタイ着用。 ジーンズ、スニーカーは駄目』。 真夏のお昼時、さすがにロンドン野郎はそんなご立派なものは身につけていませんでしたので、そのまましっぽを巻いてすごすご引き下がるしかありませんでした。
にしてもこのお人形はいったい何なんでしょう。 よく見ると仲間をいざなうというより、スクラムを組んで訳のわからん奴(我々のような貧乏人を含む)の侵入を防ぐべく威嚇しているようにも見えます。
ま、なにはともあれ、一度は入ってみたいセレブ御用達レストラン。 食べ物のメニューもさることながら、ワインセラーがまたすごいようです。 NYご旅行の際には一度くらい清水の舞台から飛び降りてみたらいかがでしょうか。
21 Club
21 West 52nd Street
(between Fifth Avenue and Avenue of the Americas)
New York, NY 10019