ロンドン野郎

カナダのオンタリオ州ロンドン市で4年半暮らしたロンドン野郎。 この度本家大英帝国ロンドン市(近郊)へ参上。

NYセレブの御用達 - 21クラブ

2010-09-24 07:00:58 | グルメ情報②

ニューヨークの5番街と6番街に挟まれた52丁目。 ここにカラフルなお人形に囲まれた一見瀟洒なレストランがポツンとあります。

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キャー!チョーカワイイ!なんてフラッと入ったりしたら大変なことに。 場合によってはつまみだされる事もあり得る誰もが知るニューヨークの超高級レストラン21クラブがここです。 竹内玲子さんちのチョビ嬢様情報によると、元々は禁酒法時代の隠れ酒場から続く伝統あるこのレストラン。 ロンドン野郎自身もいつか一度は入ってみたいという野望もほんの少しはありました。

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このレストラン色んな映画に出てくるんですね。 前回の『ウォール街』では、伝説的投資銀行家のゴードン・ゲッコーのところに、彼に憧れる駆け出しの若い証券マン、バド・フォックスが報告に会いに行く場面で使われていました。 お金持ちの集会場みたいなこのレストランで、ゴードンはバドに言うんです、『タルタルステーキを食べなさい』って。 このメニューはレストランの名物のようです。 タルタルステーキって分かります? 簡単に言えばハンバーグの焼く前みたいなやつ。 生肉のタタキです。

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そしてもう一つ、1954年のヒッチコック映画『裏窓』。 足を骨折して外出できずにロアー・マンハッタンのアパートメントの部屋から隣人達の日常生活を眺める暇な毎日を送る写真家のジェフリーズ(ジェームズ・スチュアート)。 そこに毎晩通うお金持ちの令嬢の恋人のリサ(グレース・ケリー)。 ある晩、動けない彼の為に、彼女は21クラブを持ってきちゃうんです。 要するにケータリング。 お店の赤い制服を着たお兄さんに岡持ちみたいのに21クラブのロブスター料理を入れて部屋に持ってこさせるんです。  このロマンチック・サスペンスはロンドン野郎のお気に入りNY映画の一つです。

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そんな訳でこの日、ロンドン野郎は21クラブの前をウロウロしていました。 2007年夏です。 店の前に表示してあるお昼のプレフィックスメニューは35ドルと40ドル。 そんなに死ぬほど高い訳でもありません。 でも、その上にしっかり書いてありました。 『昼食時はジャケット着用、ディナー時にはジャケットとタイ着用。 ジーンズ、スニーカーは駄目』。 真夏のお昼時、さすがにロンドン野郎はそんなご立派なものは身につけていませんでしたので、そのまましっぽを巻いてすごすご引き下がるしかありませんでした。

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にしてもこのお人形はいったい何なんでしょう。 よく見ると仲間をいざなうというより、スクラムを組んで訳のわからん奴(我々のような貧乏人を含む)の侵入を防ぐべく威嚇しているようにも見えます。 

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ま、なにはともあれ、一度は入ってみたいセレブ御用達レストラン。 食べ物のメニューもさることながら、ワインセラーがまたすごいようです。 NYご旅行の際には一度くらい清水の舞台から飛び降りてみたらいかがでしょうか。

21 Club
21 West 52nd Street
(between Fifth Avenue and Avenue of the Americas)
New York, NY 10019


ウォール・ストリート Wall Street - Money Never Sleeps.

2010-09-04 17:14:34 | ニューヨーク街歩き②

ウォール・ストリート アメリカの連邦証券取引所とニューヨーク連邦準備銀行を中心としたロアー・マンハッタンの一角は、言うまでも無くアメリカだけではなく世界の金融の中心です。

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この小さな空間には世界経済が凝縮されていると同時に、M&A、サブプライム・ローンに象徴されるように、一攫千金を夢見て生き馬の目を抜くような戦いが日夜繰り広げられています。 サブプライム・ローンの破たんからリーマン・ショックという一連の経済危機でそれも変わったかと思いきや、『金融工学』に基づく『金融商品』という名前の博打(ばくち)の新手の手法は次から次へとちゃんと発明されています。 ここいらの連中は間違っても反省なんかするようタマじゃありません。

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たまたま数日前の夜中ふと思い立って1987年の映画『ウォール街』をひさしぶりにDVDで観ました。 この映画はロンドン野郎が初めて購入したDVDソフトだったので、多少の思い入れはあるのですが、考えてみるとリーマンショック後に観るのは初めてだったかも知れません。 古い映画なのに改めて観るととても新鮮でした。

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話の内容は1980年代の半ば頃のウォール・ストリート。 欲望は善と言い切る超大物投資銀行家のゴードン・ゲッコー。 彼にあこがれる駆け出し証券マン、バド・フォックス。 それに対するのが小さな航空会社で実直に整備部門で働く労働組合委員長のバドの父親。 野心に燃えるバドはゴードンに取り入り、認められ、汚い事にも手を染めながらも、大きな仕事を次々に任せられ、証券会社の中でもどんどん地位を上げて行きます。 そして、ついに本物の成功を手に入れたと思われた瞬間に自分やゴードンのやっていることの欺瞞に気が付くんですね。 でも、時すでに遅し、最後にはインサイダー取引の不正行為が発覚しで証券監視委員会に捕まってしまう。

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ゴードン・ゲッコーを演じたマイケル・ダグラスはこの映画でアカデミー主演男優賞を取り、演技派俳優の地位を不動のものとし、バド・フォックスを演じたチャーリー・シーンにとっても大出世作になっています。 今見ても、内容的に現代にそのまま通じる斬新な切り口の作品です。 チャーリー・シーンとパパのマーティン・シーン(映画でもバドの父親役)との共演も見所です。

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映画の中で、ゴードン・ゲッコーはこう言います。 『自分たちのやっていることは何も生まない。 ただ所有するだけ。 得る者と失う者しかいないゼロサムゲームだ』。 監督のオリバー・ストーンはこの映画でそういう世界を否定した筈なのに、あまりにも魅力的なゴードン・ゲッコーのキャラクター。 イーストリバーを望む高級コンドミニアム、自家用ジェット、お金を使うのが大好きなゴージャスな恋人、みたいな生活。 それに憧れてウォール・ストリートを目指す若者が増えたという皮肉な現象もあったようです。

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DVDを観ながら、ちょっと思い立ってパソコンでウォール・ストリートを検索したんですね。 そしたら、目に飛び込んだ思いがけない文字『2011年春日本公開』。 えっ!? この映画の続編ができるんですね。 Wall Street - Money Never Sleeps しかも同じオリバー・ストーン監督、そしてマイケル・ダグラス主演。 YouTubeでトレイラーを観ると、前作のラストシーンの続きとして不正取引が発覚し、刑務所に収監されていたゴードン・ゲッコーが長い刑期を終えて出獄し、今の時代に蘇るんです。

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考えてみれば1980年代。 この頃にはまだ金融工学という言葉も、今のような複雑なデリバティブ取引も、サブプライム・ローンも、それどころかインターネットさえ存在していなかったんですよ。 ゴードン・ゲッコーがこの現代で何を見て、何を考え、何をするのか、とても興味津々です。 アメリカでは今月24日封切り、日本では来春ということです。

なんか、楽しみだなぁ!