しばらく空関係の話題が続いたので、今度は陸の自動車のお話。 これも当時の赴任先の研修の一環で経験した、ちょっと珍しい自動車学校です。 2004年の秋です。
その名もHUMMER DRIVING ACADEMY。 あのアメリカ軍の軍用車両で有名な超ヘビー級の多目的車HUMMER ハマーの自動車学校なんです。 この学校では一般のハマーのオーナーの為のコース以外に、軍の研修にも使われるそうです。 場所は米国のインディアナ州です。
これがオリジナルのハマー。 軍用車としてだけではなく、民生用にも市販されている車です。 とにかくゴツイ! デカイ! エンジンは6.5Lのターボ・ディーゼル。
タイヤなんかは、弾が当たって穴が開いても、最低限の走行性能が維持できるような構造になっています。
インパネもまたゴツイ! 自動車の運転席とは思えない作りです。
そうなんです。 この自動車学校では、こんな風にハマーの不整地走行能力を最大限引き出すノウハウを教えてくれるんです。 アクセルとブレーキを同時に踏んで、ゆっくりトルクを車輪に伝え、滑りやすい路面でもタイヤを空転させないテクニックなんかも普通の車でも応用できそう。
この程度の不整地走行はへっちゃら。 何にも問題なく走破できます。 残念がらこのオリジナルのハマーの一般向けの販売は2005年に中止されてしまいました。
こちらはHUMMER H2、ハマーH2。 ハマーの販売権を入手したGMの大型SUVのコンポーネントを使って新たに作り出した一般道の走行に主体を置いたモデル。 それでもH2はAM General自身の工場で生産されています。
H2でもこの走破性! その上でもしっかりハイウェーも走れてなかなかの優れもの。 ちょっとばかりロンド野郎も欲しくなる車でした。
普通の車だったら殆ど横転しそう。 コースの中には池もあって、ハマーはその中にも入って行きます。 水が運転席の床にドンドン入ってくるのですが、池を抜けると、また水もサーっと引いてゆきます。 要するに水が入ってこないと、車体が浮いてしまうので、そうならないように敢えて簡単に水が室内に入る構造になっているんですね。
こんなゴツイ車でも、オリジナルのハマーの車体はアルマイト加工されたアルミ製。 軽量化が図られています。 何故かって? ヘリコプターでぶら下げて空輸する為だそうです。
オリジナルのハマーの工場の隣に建つAM General社のハマーH2の工場。 この工場は当時少量生産ながら最新鋭の工場です。 別の場所のGMの工場ではもっと一般化したハマーH3というモデルが生産されていますが、昨今のガソリンの高騰、それに続くこの世界的な大不況で、ハマーの販売も激減です。 報道によるとこのブランドは現在売りに出ていているものの、未だに買い手が決まっていないそうです。
何もかもエコエコのこの時代、もしかしたら時代遅れかも知れませんが、こういう車が世の中にあっても良いと思うロンドン野郎でした。