ロンドン野郎

カナダのオンタリオ州ロンドン市で4年半暮らしたロンドン野郎。 この度本家大英帝国ロンドン市(近郊)へ参上。

教会 FOR SALE

2008-01-31 11:09:13 | うんちく・小ネタ

この写真。 オンタリオ州ロンドン市の中心部から西東に少し行ったHamilton Rd. とEgerton St.の交差点。 こちらによくある教会ですよね。 一見

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ところが、実は・・・

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マリア様ならぬ観音様。 実は、ベトナム系の仏教のお寺『徳光寺』。 でも建物の造りは、どうみてもそこそこ歴史のありそうなキリスト教の教会です。 いつの日か、仏教寺院に変わってしまったみたいです。 そんなことってあるんでしょうか。

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で、こっちはトロントのリトル・イタリーの中心で見かけた光景。 日本だったら重文級の歴史の重みを感じさせる重厚な教会の建物です。

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そこに『FOR SALE』の看板が! 思わず目を疑いました。

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いいんですかね。 教会を売りになんか出しちゃって。 こちらの感覚じゃ、教会って単なる箱なんでしょうか。 日本で、教会が移転した跡地をマンションにしたりってことはありそうですが、お寺や教会を建物ごとこんな風に売買するって、ちょっと考えられないですよね。 だって、信者さん達が毎日イエス様にお祈りを捧げていた場所が、ある日突然別の神様、下手をすりゃパチンコ屋かなんかになっていたらどうします。

これもちょっとしたカルチャーショックでした。


いい朝食がいい日をつくる - ケロッグのカナダ工場

2008-01-29 12:32:35 | グルメ情報

ケロッグ・カナダ。

誰でも知っているコーンフレイクスを中心とする朝食シリアルの世界的なブランド”ケロッグ”のカナダ事業の中心がオンタリオ州ロンドン市内の古いメインストリートDundas St.沿いにあります。 ケロッグ・カナダの本社事務所はトロント近くのミササガですが、実際のカナダ・オペレーションの拠点は間違いなくここ、ロンドン工場になります。

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増築を重ねた工場の正面の部分はレンガ造りのかなり古い建物なので、いつからどういう経緯でここに居を構えたのか気になり、少しばかり調べてみました。 実は何と今から84年も昔の1924年にカナダへの製品供給拠点として設立されたそうです。 ケロッグ博士がシリアルの製造を本格的に始めたのが1906年ですから、シリアルって意外に歴史が古いのですね。 このロンドン工場では何と30種類のシリアルを一日75万箱も製造しているんですって。

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シリアルって、スーパーに行くと、結構な売り場面積を占めて売られていますが、大抵お買い得のスーパーのオリジナル・ブランドとケロッグの製品が一緒に並んでいて、ケロッグの方がかなりお高いんですよね。 それでも売れるのがやっぱり”ブランド力”というものでしょうか。 ロンドン野郎も何となくケロッグを選んでしまいます。

ちなみに何の脈略も無いのですが、ケロッグ・カナダの工場のお向かいに、コスプレ・ショップがあって、ハロウィーンのシーズンは大賑わいです(この話題はまた後日)。


刀茶屋 - Katana Kafe (x Cafe)

2008-01-28 01:09:01 | グルメ情報

先日のアクセス20,000回にコメントを頂きましたex. Londonerさまからの情報で、オンタリオ州ロンドン市の空の玄関ロンドン国際空港(正式名が本当に London International Airport なんです)の片隅にあるレストランKatana Kafe の存在を初めて知りました。

Webで調べて、身近な色々な人に話を聞いたのですが、大半の人が『えーっ?そんなの知らない』という反応。 然し、Webではお客さんのレーティングなんかでは大変な高い評価のレストランです。 『これは調査してみなければ』と、昨日調査隊を編成し、密かに潜入を試みました(別に密かに、という必要も無いのですが・・・)。

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この日のロンドン国際空港は氷点下5℃。 雪が降りしきるあいにくの天気。 でも、問題のKatana Kafe はこの空港メイン・ビルディングの中でにはないのです。

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Katana Kafe は旅客ターミナルからは全然離れた北の個人用軽飛行機専用施設のDiamond Flight Centerの端っこの一番滑走路に近い場所にありました。 一般人は絶対に行かない部分なので、分からない筈です。 ちなみにDiamond Aircraft社はロンドン空港の一角で軽飛行機を生産している会社です。

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Katana はこのDiamond Aircraft社のヒット商品の単発、2人乗りの軽飛行機の愛称です。 Diamond社は以前のブログでも一度紹介したことがあるので、良かったらクリックしてみてください。 オンタリオ州ロンドンの航空産業

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Katana Kafe (x Cafeではありません)。 飛行機のプロペラの回転をロゴにしているみたいですね。 なかなかおしゃれな雰囲気です。

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これが内部。 なかなかセンスのいいレストラン。 一般のお客さんでも全然問題ありませんが、何か飛行機愛好家のクラブハウスみたいな感じもします。 滑走路や誘導路が目の前なので、飛行機の離発着がよく見えます。 夏場の夕方のパティオなんか最高かも知れない。

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レストラン脇には駐機場と格納庫があります。 ヒョイッと飛行機で乗り付けて、ちょっとここでお食事を、という人もきっといるに違いありません。 尤もこんな天気じゃどうしようもありませんけどね。 この日は滑走路を一生懸命除雪して、通常の定期旅客機は離陸していましたが、流石にこの手の軽飛行機は無理?

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こちらでは珍しいオープン・キッチン形式のレストラン。 お料理は、基本的に創作系フレンチ。 ディナーはそこそこ高級ですが、ランチはハンバーガーやサンドイッチもあって意外にお手頃です。 ちなみにロンドン野郎が食べたFish & Chipsは、衣の揚げ方がフワッとサクサク、今まで食べた中で最高でした(すみません。 写真撮り忘れてしまいました)。 実はこの店のシェフのKelly Hamiltonさんって有名な人らしい。

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レストランの壁には、昔のロンドン国際空港の様子なんかの写真も展示してあります。 ロンドン国際空港はその昔、王立カナダ空軍(RCAF)の飛行学校だった歴史があります。  それもあって、ローカルな空港にしては驚くほど長い滑走路があったり、設備も充実しているようです。

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レストランの外には飛行機GOODSのショップがあります。 残念ながらこの日は天候のせいかCLOSEでしたが、このお店を覗いてみるだけでも面白いと思います。

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レストランだけでもかなりのハイレベルなので、飛行機好きでなくても十分楽しめます。 Katana Kafe は、ロンドン野郎のお気に入りの場所の一つになりました。 是非一度足を運んでください。 営業時間と曜日には注意してね

Katana Kafe
2530 Blair Blvd., London, ON
In Diamond Flight Centre
(519) 455-9005

Lunch    11 am -  3 pm (Seven Days)
Dinner    5 pm - 10 pm (Wednesday to Sunday)
Breakfast 9 am - 12 pm (Saturday & Sunday)


やっぱり英語をしゃべりたい!- 英語負け組からの華麗なる脱出法

2008-01-26 11:20:36 | うんちく・小ネタ

”美人”漫画家の中尊寺ゆつこ さん。 『オヤジギャル』という超有名コンセプトを発明し、マスコミへの露出も多かったし、写真や絵を見れば誰でも分るはずです。 彼女が2005年に癌で亡くなる直前まで校正を行った遺作はちょっと意外な作品でした。 『やっぱり英語をしゃべりたい!(英語負け組からの華麗なる脱出法)』。 本人も『まさか自分が・・・』と思いながら初めて書いた、そして最後になった、中尊寺流英語学習法の『英語本』です。

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元ジャリ・モデル。 お嬢様。 美人。 セレブ付合い。 ニューヨーク。 っていう外見イメージで、いわゆる帰国子女かなんかで、英語も小さい頃から結構お金の掛かる教育をしっかり受けてきたんじゃないかっていう偏見で見られがちですが、実は全然違う。 この英語本を書くきっかけになったのが、NHKの『英語でしゃべらナイト』の出演だったのですが、その内容は中尊寺さん自身が『英語負け組』からどうやって独力で這い上がってきたかというお話でした。 ロンドン野郎は、カナダに来てからテレビの日本語放送で偶然これを見ていました。 ある意味衝撃的で、実際大変な反響を呼びました。 彼女のWebサイトなんかにも大変な数の書き込みや問合せがあったそうです。

そこにどんなヒミツ があったかというと、実は何もヒミツはなかった んですね。 逆によく言われる『習うより慣れろ』を完全に否定し、『先ずなにより文法が大事』『ただ外国に住んでいるだけでは英語はうまくならない』『英語習得に近道は無い』 といった基本に立ち返るお話でした。 実はこの当たり前の事が逆にとても新鮮だったのです。 本の中では、『子供の早期英語教育なんか必要ない』とまで言っています。 ロンドン野郎自身、読んでいて思わず冷や汗が出たのは『英語お上手ですね』 っていうのは褒め言葉じゃなくて、実はバカにされているのと同じことだったっていうこと。

恥を偲んで申し上げれば、ロンドン野郎もカナダで4年も暮らしていながら、英語力は全然完璧じゃありません。 今でもこちらの映画やTVのドラマなんかをいきなり見れば、下手をすると半分も分かっていないことがあります。 先日のブログで映画『I am Legend』 を見た話を書きましたが、出演しているワンコの”サム”を男の子だとばっかり思っていたら、実は”サマンサ”ちゃんだったという赤っ恥 をかいてしまいました(ブログはコッソリ訂正しています)。 Will Smithのセリフが聞き取れていなかったんですね。 Postcard8_2

こちらに来てつくづく思うのですが、自分が何かを伝えたいと思って、相手もそれ聞きたいと思っているときは、どんなブロークン英語でも足りない部分は相手が一生懸命補ってくれる ので何とかなります。 シチュエーションでいえば、お買い物、レストランでの注文、恋人同士は言うまでもなく相手が好意を持ってくれている場合、短期間のホームステイみたいなお客様扱いの場合、とかです。 英語力が無くても多少の度胸と慣れで全然大丈夫です。

ところが、旅行中に大きなトラブルに見舞われたり、ましてや海外で本格的に学校に行ったり、生活したり、仕事になってくるといきなり壁にぶち当たります。 聞く耳を持たない相手を説得したり、苦情を言ったり、分からない事を質問したりと、まず最初にこういったシチュエーションが嫌でもやって来ます。 ここで、自分の言いたい事が100%言い切れなくて誤解されたりグループの中でみんなが笑っているのに何を笑っているのか一人だけ全く理解できなくて、思わず愛想笑いでごまかしたり理屈にならない理屈を早口でまくし立てられて言い返せず泣き寝入りしたり、というのはロンドン野郎も含めて殆どの人が経験しているはずです。 このレベPostcard9ルになると慣れだけではなく、かなり頑張らないとクリアできなくなってきます。

そして、もっと高度になってくると、色々な分野の問題に対して自分自身の意見を述べる事他の人たちの考えを聞いて理解する事 が求められます。 このレベルだと、単に英語力の問題だけではなく、本質的な物事に対する見識、知識、思想、みたいなところに行き着いてしまいますが、せめて自分達の母国の日本の文化の事 なんかも多少なりとも分かっていないと、とんでもなく恥ずかしい思いをすることもあります。 ここで、あまりにも語彙が無かったり、文法メチャメチャ英語では、まともな意見としても扱ってもらえなくなります。 ロンドン野郎もいまだに苦労する事が多々あります。

中尊寺さんはこういった壁を乗り越えて、最後には日本の外務省の委託を受けてアトランタで大勢の聴衆の前で英語で日本文化の講演会を行ったり、CNNの創始者テッド・ターナーやカーター元大統領と堂々と通訳無しで面談したりできるようなレベルになったのです。 これから間違いなくもっともっと活躍できる筈だったのにあまりにも早すぎる死は本当に残念です。 中尊寺さんが本の中で書いている学習法は、決して難しくない普通の日本人が年齢に関係なく誰でもお金も掛けず地道にできる方法です。

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ロンドン野郎も遅ればせながら、中尊寺さんが本の中で紹介していた『話すための英文法』 市川敬三著というテキストを日本から取り寄せ、添付のCDを通勤途上に何度も何度も聞くといった方法で、英語の勉強のやり直しを始めています。 中尊寺さんはこの本の構文を本当に身に付くまで何度も何度も口に出して覚えて行ったそうです。

中尊寺さんの『やっぱり英語をしゃべりたい!』は英語本として、ある意味非凡だし、非常に優れた内容だと思います。 特に海外で暮らして英語の壁で悩んでいる方高価な教材や英会話教室を渡り歩いて『英語難民』 になりかけている方に、是非ご一読をお勧めします。

素晴らしいメッセージを残してくれた中尊寺ゆつこさんのご冥福を心よりお祈りします。

最後に、日本外務省 アトランタ総領事 久枝譲治さんのあとがきから抜粋です。

本書に寄せて

正月に中尊寺ゆつこさんから、「もうすぐ英語本のゲラを送るので楽しみにしていてくださいね」という年賀状をもらった。 そして、アトランタで待っていた私のもとに届いたのは、彼女の死という悲しい知らせだった・・・・。

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中尊寺ゆつこさんは、帰国子女ではないし、学生時代に留学した経験もない普通の日本人であるが、英語でアメリカ人とコミュニケートするために必要と私が考える4つの資質、すなわち勇気、情熱、ユーモア、根気のすべてを備えた稀有なる文化人である。 彼女はそのことをアトランタでの講演や、カーター元大統領をはじめとする著名人との出会いで遺憾なく示した。

                    中略

英語の学習には、努力と根気が必要である。 この本には、そんな中尊寺さんの苦労話がたくさん出てくる。 でも、くじけないで欲しい。 ある程度の基礎は、誰でも義務教育で学んだはずであるし、また、英語は他のいかなるヨーロッパ言語より文法上の暗記項目の少ない言葉なのだから。

この本が一人でも多くの読者を勇気づけ、中尊寺流の英語学習を始めるきっかけとなれば嬉しいし、きっと中尊寺さんも喜んでくれるだろう。

私は、よもや自分の解説がこのように悲しい追悼文になるとは思わなかったが、いわば英語づかいのプロの一人として中尊寺流英語学習法を推奨することで、中尊寺ゆつこさんの生前の友情に報いたいと思う。 心から冥福を祈る。

2005年2月  久枝 譲治


絶滅寸前のクラウン・ビクトリア

2008-01-24 12:05:20 | ニューヨーク街歩き

北米のタクシー業界おまわりさん業界で絶大な人気を誇る走るシーラカンス、フルサイズカーの最後の生き残りのフォード・クラウン・ビクトリア の話は以前紹介しましたが、このところのガソリン高騰や地球温暖化が叫ばれている中、流石に4.6L V8エンジンを搭載した巨大な乗用車には住み心地が悪い世の中になってきたようです。 ニューヨークでは依然最大勢力を誇っているものの、タクシーの半分をハイブリッド車へ転換せよ、という法令の影響か、ニューヨークの街を歩くたびに割合がどんどん減っていっているような気がします。 ⇒ 以前の紹介ページへ

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この車は、オンタリオ州ロンドン市の隣町セント・トーマスにあるフォードの組立工場で生産されています。 先日、工場の前をフラリと通りかかったので、写真を撮ってきました。

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この工場は、今は珍しいFR(後輪駆動)、シャーシーフレーム構造の乗用車の専用生産ラインということもあって、クラウン・ビクトリアだけしか生産していません。 昨今のBIG3のリストラの嵐の中で、工場閉鎖も囁かれていましたが、最終的に一交代体制で、細々と生産を継続することになりました。 2008年モデルからフォードの一般向けカタログからも落とされて、パトカーとタクシーといった大口客先向けの注文生産に専念しているそうです。 それでも昨年一年間で7万台くらいは作っているので、あなどれない規模ですが、今の社会環境を考えるとやっぱり風前の灯火かも知れません。

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この日はちょうど日曜日で、従業員駐車場にも空だったので、少し寂しげな風情でした。

北米で全盛を誇ったホンモノのフルサイズカーは絶滅寸前です。