一般的にイスラム教徒は一日に五回お祈りをすると理解されている。しかし、イスラム圏にいても、一日五回お祈りをしている人を見ることは少ない。確かにモスクでお祈りをしている人はいるが、その何百倍もの人がモスクを素通りしている。
もし、すべてのイスラム教徒が戒律どおりに従えば、イスラム諸国の経済活動というのは著しく阻害されるかも知れない。彼らが戒律どおりに生活していないからといって敬虔なイスラム教徒ではないとは言えない。ものごと形ではない。
パキスタンの被災地では、モスクのほとんどが破壊されたこともあって、お祈りをしている人の姿を見たことはない。日々のお祈りをしなくても金曜日にはお祈りをするのだよ、とも言われた。その知人に、「君は金曜にお祈りにいってたっけ?」と訊くと、”いや、オレはいいんだよ”と眼で返事がかえってきた。
ある時、
「この人はファイブ・タイム・プレイヤーなんだ」
という言葉で人を紹介されたことがあった。
つまり、一日五回お祈りをする人ということだ。
そして、こう付け加えた。
「この人は、オサマ・ソルジャーなんだ」
オサマとはオサマ・ビン・ラディンのことだ。
もちろん彼の言葉は冗談だ。
しかし、そんな冗談を言うほどファイブ・タイム・プレイヤーは少なく、特殊な人とみなされている。
こうした冗談の背景には、外国の原理主義武装勢力が、このアザード・カシミール州からインド側のカシミールへ潜入して、テロ攻撃をおこなってきた歴史があるからだ。アザード・カシミールの人々は原理主義武装勢力を「オサマ・ソルジャー」「テロリスト」と呼んでいる。そして、原理主義武装勢力はもちろんファイブ・タイム・プレイヤーだ。
「カシミール人はピースフル・ピープルだ。我々はテロリストを憎んでいる」
僕が被災地で知り合った人はほとんどが山間部の村人で、一千年のあいだ土地を守り、作物を育ててきたピースフルな人々だ。インドやアメリカへの攻撃を支持している人には会ったことがない。
そんなアザード・カシミールへ外国の武装勢力が勝手にやってきて、インドへ潜入しテロを行うことで、アザード・カシミールの人々が世界から野蛮なテロリストだと見なされてしまう。彼らにしてみれば、たまったものではない。武装勢力は、とっととカシミールから出ていって欲しいというのが誰しもの思いだ。
しかし、彼らの思いとは裏腹に、震災がこうした過激団体の勢力を拡大する結果になった。被災者の救援や援助を理由に一気に表舞台で堂々と活動するようになった。ほとんど報道されることはないが、現地に滞在するメディアならどこでも知っている。いままでは地下で活動していた過激団体が、表の世界で勢力を定着させないか、カシミールの人々はひどく危惧している。
こうした原理主義過激団体について、現地の多くの人が”アメリカにバックアップされている”と見ている。僕も同じ意見だ。一見、イスラム原理主義団体や武装勢力は、アメリカと対峙しているように見えるが、こうした団体の拡大や行動が誰に利益をもたらしているかを考えれば、その背景は明らかになってくる。
最大の利益を得ているのはアメリカなのだ。原理主義過激団体の拡大とテロによって、アメリカの存在価値は高まっている。世界はアメリカの保護や情報力、軍事力を必要とする結果になっている。何度も述べているように、「共産主義の脅威」がなくなったいま、アメリカは新しい「世界的脅威」を必要としている。「脅威」のない平和な世界は、アメリカの価値を半減させるのだ。
原理主義の拡大とその過激な言動が、多くのイスラム教徒にファイブ・タイム・プレイを敬遠させる結果になっているのかもしれない。
もし、すべてのイスラム教徒が戒律どおりに従えば、イスラム諸国の経済活動というのは著しく阻害されるかも知れない。彼らが戒律どおりに生活していないからといって敬虔なイスラム教徒ではないとは言えない。ものごと形ではない。
パキスタンの被災地では、モスクのほとんどが破壊されたこともあって、お祈りをしている人の姿を見たことはない。日々のお祈りをしなくても金曜日にはお祈りをするのだよ、とも言われた。その知人に、「君は金曜にお祈りにいってたっけ?」と訊くと、”いや、オレはいいんだよ”と眼で返事がかえってきた。
ある時、
「この人はファイブ・タイム・プレイヤーなんだ」
という言葉で人を紹介されたことがあった。
つまり、一日五回お祈りをする人ということだ。
そして、こう付け加えた。
「この人は、オサマ・ソルジャーなんだ」
オサマとはオサマ・ビン・ラディンのことだ。
もちろん彼の言葉は冗談だ。
しかし、そんな冗談を言うほどファイブ・タイム・プレイヤーは少なく、特殊な人とみなされている。
こうした冗談の背景には、外国の原理主義武装勢力が、このアザード・カシミール州からインド側のカシミールへ潜入して、テロ攻撃をおこなってきた歴史があるからだ。アザード・カシミールの人々は原理主義武装勢力を「オサマ・ソルジャー」「テロリスト」と呼んでいる。そして、原理主義武装勢力はもちろんファイブ・タイム・プレイヤーだ。
「カシミール人はピースフル・ピープルだ。我々はテロリストを憎んでいる」
僕が被災地で知り合った人はほとんどが山間部の村人で、一千年のあいだ土地を守り、作物を育ててきたピースフルな人々だ。インドやアメリカへの攻撃を支持している人には会ったことがない。
そんなアザード・カシミールへ外国の武装勢力が勝手にやってきて、インドへ潜入しテロを行うことで、アザード・カシミールの人々が世界から野蛮なテロリストだと見なされてしまう。彼らにしてみれば、たまったものではない。武装勢力は、とっととカシミールから出ていって欲しいというのが誰しもの思いだ。
しかし、彼らの思いとは裏腹に、震災がこうした過激団体の勢力を拡大する結果になった。被災者の救援や援助を理由に一気に表舞台で堂々と活動するようになった。ほとんど報道されることはないが、現地に滞在するメディアならどこでも知っている。いままでは地下で活動していた過激団体が、表の世界で勢力を定着させないか、カシミールの人々はひどく危惧している。
こうした原理主義過激団体について、現地の多くの人が”アメリカにバックアップされている”と見ている。僕も同じ意見だ。一見、イスラム原理主義団体や武装勢力は、アメリカと対峙しているように見えるが、こうした団体の拡大や行動が誰に利益をもたらしているかを考えれば、その背景は明らかになってくる。
最大の利益を得ているのはアメリカなのだ。原理主義過激団体の拡大とテロによって、アメリカの存在価値は高まっている。世界はアメリカの保護や情報力、軍事力を必要とする結果になっている。何度も述べているように、「共産主義の脅威」がなくなったいま、アメリカは新しい「世界的脅威」を必要としている。「脅威」のない平和な世界は、アメリカの価値を半減させるのだ。
原理主義の拡大とその過激な言動が、多くのイスラム教徒にファイブ・タイム・プレイを敬遠させる結果になっているのかもしれない。
信仰深い人達が"five times prayer"と特殊な人達の様に言われていることが、なんだか少し悲しく思えます。彼らは真剣に、神に祈っているだろうに・・・。
Trackbackしたかったのですが、うまくいかなくてこんな形になってすみません。
多少なりとも参考になるのがありましたら幸いです。
ありがとうございます。
カシミールでの地震直後から、被災地には”火事場どろぼう”のような輩が大勢やってきたようです。
BBCのインタビューに、被災者のある女性は「地震よりも、そのあとの盗賊の方が怖ろしかった」と証言しています。
当然、盗賊はイスラム教徒です。
ちなみに神戸でも同じことが報告されています。
信じがたいことですが、これも人間の一側面です。
人間の本質は宗教に関係なく同じものだと理解しています。
自分の信仰心に自信のある方はあまり形式にとらわれないようにも思います。多くの方と接して、信心とは決して形式ではないと感じています。
異論、反論があることも承知しています。
自分が見てもいない地域については書けませんので。
あくまで僕が訪れた限りのイスラム圏は、程度の差はあるものの同じような事情でした。
パキスタン、アフガニスタン、イラン、トルコ、バングタデッシュ、インドネシアなどです。
あくまで信心とはこころの問題であって、形式の問題ではないと思います。
中央アジアからトルコ・・エジプトを通過して
大西洋に達するようです
http:www.live-eclipse.org/
日本時間18:00からみれますよ
信仰は形式ではなくて森羅万象を貫く法則だと思います
日本人がお彼岸にお参りするかとか、みんなお経をよむか・・、しないし読めないのと一緒ですね。
ん~、leonさんごめんなさい。
生ぬるい環境から見てる私達に歯痒さを感じません?
でも知るってことが大事だと思ってleonさんの日記をいつも拝見してます。
テロとはまったく関係ありませんが、フランスは新しい雇用法をめぐって学生の抗議行動が過激になっています。
毎日のように催涙ガス弾が多量に使用されています。日本で催涙弾など使用されたのはいったいいつなのかなと考えました。
私もたっぷり催涙ガスを吸い込んでいて、いいかげんにしてほしいと思います。
僕自身は、特定の信仰を持ちませんが、どのような文化圏、そしてどのような信仰、思想、信条の持ち主の方とでもこころ通わせてこれました。
人間はみな同じですね。