報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

タイ: 憲法改正国民投票

2007年08月21日 14時37分30秒 | ■時事・評論
19日、タイでは憲法改正を問う国民投票が実施された。
即日開票され、賛成が反対を上回った。
最終的な結果は、
賛成57.81%、
反対42.19%、
投票率57.61%。

”かろうじて”、暫定政権の方針は支持されたと言える。ひとまず国民から信任を得たことにはなるのだが、投票率が60%以下と低いため、全国民的支持とは言い難い。

バーツ高に対して有効な手段を打てず、倒産や失業によってタイ経済が混迷したことが最大の原因と言える。バーツ高は、確実に暫定政権のボディに効いている。今後も暫定政権を揺さぶる有効な手段として使われるだろう。

憲法改正に反対する運動を展開してきたUDD(反軍政共闘)は、国民投票での敗北を認め、活動の中止を表明した。今後は、年末に行なわれる総選挙に向けて体勢の立て直しをはかるだろう。総選挙後、暫定政権は権限を民政に移管して、その役目を終える。暫定政権の役目とは、過度な急成長政策を改め、また外国資本を規制し、その政策を民政に引き継ぐことであると僕は見ている。

暫定政権がこれまでに打ち出してきた外国資本の規制や法整備に対して、タイ国内の外国人商工団体などが強く反発している。EUはWTOへの提訴も検討している。これらが表の意思表示であるなら、バーツ高は裏の意思表示と言えるだろう。

これ以上バーツ高が進むと年末の総選挙の結果に大きな影響を与えることになる。そのため暫定政権としては、これ以上強硬な外国資本の規制には挑めないのかもしれない。本格的な外国資本の規制は、総選挙後の民政に委ねるのが得策と言える。しかし、旧タイ愛国党が選挙で多数になればそれも不可能になる。暫定政権はいま大きなジレンマの中にあるように思う。

16日、アジア市場で、株式と通貨が軒並み下落した。
”「円キャリー取引」の解消で、欧米の資金がアジアから流出しているもよう”、”世界的なカネあまりを背景に過大評価されていたアジア株・通貨の調整が始まったという見方もある”、というのがメディアの解説だ。まるで必然的な出来事が起こったかのような書き方だが、「もよう」とか「見方もある」とか、実際はメディアは何が起こっているのかを理解してはいない。

はっきりしているのは、欧米の都合でアジアの株式や通貨は、いいように翻弄されているということだ。それによって儲けるのが誰であるかは常に決まっている。金融の自由化は、アジアに何ももたらしてこなかった。外国資本を規制しなければ、同じことを繰り返すだけだ。自由化ではなく、規制化が必要なのだ。タイ暫定政権は、それを試みようとしているのだ。しかし、その道は容易ではない。




王宮前広場では、反軍政共闘によって頻繁に集会が行なわれた。
ステージが常設され、屋台街まで出現するほど大勢のメンバーが常駐した。

































国民投票で敗北が決まると、反軍政共闘はすぐに常設ステージや音響、証明、テントなどを撤去した。


新憲法案承認も反対票4割超 タイ国民投票
http://www.asahi.com/international/update/0819/TKY200708190160.html
タイ、巨大与党の出現を阻止 新憲法1次草案
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/asia/48535/
首相、ブリラムの一部村内で国民投票の票買収が行われている
http://thaina.seesaa.net/
タイ東北部で新憲法国民投票に200バーツで反対票を入れるよう画策?
http://fps01.plala.or.jp/~searevie/new_page_9.htm#146.
株式・通貨 軒並み下落 リスク回避アジアに波及
http://www3.ocn.ne.jp/~tji/sub9s0708.htm
外資代理投資 規制を撤回 暫定政権 外国企業反発に配慮
http://www3.ocn.ne.jp/~tji/sub9s0708.htm


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