世界の途上国のHIV感染者を治療してきたのは、インド製の安いエイズ治療薬だ。
これは「ジェネリック(コピー)治療薬」と呼ばれている。インドの特許法では、製法が異なれば、同じ成分・効能を持つ医薬品を製造することができた。
欧米の製薬会社は、インド製のジェネリック薬は粗悪で危険であると主張してきたようだが、世界保健機構は、インド製のジェネリック治療薬に高い評価を与えている。
インドのジェネリック治療薬は、途上国で使われるエイズ治療薬の約50%を供給していると報告されている。
それまでは、患者1人当たり年間1万ドルの費用が必要であったが、ジェネリック治療薬の登場で200~250ドル程度すむようになった。
ところが、インドでは今後、ジェネリック治療薬の製造には高いロイヤリティが必要になる。近い将来、途上国でエイズ治療薬を手にできる人はいなくなってしまうかもしれない。
WTO(世界貿易機関)のTRIPs協定(1995年)は、「南側の諸国の政府に対して自国で(医薬品の)コピー製品を製造したり分配したりすることを禁止している。」(『WTO徹底批判!』スーザン・ジョージ著p34)
昨年3月、インド議会は、WTOのTRIPs協定を踏まえた特許法の修正案を可決した。今後開発される新しい治療薬に関しては、ジェネリック治療薬を製造することはできない。
ただし、現在製造されているジェネリック薬は、TRIPs協定以前のものか、特許権が放棄されたものなので製造を続けることができる。
問題は、今後新しく開発されるエイズ治療薬だ。現在使用されている治療薬に対する耐性ウィルスが出現した場合、耐性ウィルス用の治療薬のジェネリック薬の製造は実質的にできなくなる。ロイヤリティを支払えば、もはや途上国に供給できる安い薬を製造することはできない。
年間、数千ドルから1万ドルもする治療薬を、途上国の患者が手にすることなどできない。
ニューヨーク・タイムスは、インドの法改正には、「WTOの強い圧力がその背景にある。」と書いている。WTOは、欧米の製薬会社の利益を守るために、途上国のエイズ患者には死ねと言っているに等しい。
近年、エイズ問題に対する取り組みの流れが変わってきたように思う。その典型は、やはりアメリカだろう。HIV/AIDS対策として、コンドームの使用から”禁欲”を重視する政策を執るというのは、あまりにも非現実的だ。このような計画に5年間で150億ドルを拠出するという。
WTOもアメリカも、HIV感染者を増加させたいのだろうか。
グローバル・エイズ・アップデート
http://blog.livedoor.jp/ajf/
●特集:インド特許法改正とジェネリック・エイズ治療薬
http://blog.livedoor.jp/ajf/archives/2005-03.html#20050317
インドで、エイズ治療薬の特許申請に初の異議申し立て
http://www.msf.or.jp/access/a_news.php?id=2006033101
WTO-安いエイズ治療薬が生産停止に!
http://www.jca.apc.org/~kitazawa/wto/wto_no_more_cheap_medicine_2005_3.htm
途上国のエイズ患者に打撃 インドがジェネリック薬品製造を規制
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200503251613125
世界保健機構がインド製のHIV治療薬を承認する
http://www.janjan.jp/world/0508/0508301738/1.php
『WTO徹底批判!』スーザン・ジョージ著
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4878934743/250-1991737-7990664?v=glance&n=465392
これは「ジェネリック(コピー)治療薬」と呼ばれている。インドの特許法では、製法が異なれば、同じ成分・効能を持つ医薬品を製造することができた。
欧米の製薬会社は、インド製のジェネリック薬は粗悪で危険であると主張してきたようだが、世界保健機構は、インド製のジェネリック治療薬に高い評価を与えている。
インドのジェネリック治療薬は、途上国で使われるエイズ治療薬の約50%を供給していると報告されている。
それまでは、患者1人当たり年間1万ドルの費用が必要であったが、ジェネリック治療薬の登場で200~250ドル程度すむようになった。
ところが、インドでは今後、ジェネリック治療薬の製造には高いロイヤリティが必要になる。近い将来、途上国でエイズ治療薬を手にできる人はいなくなってしまうかもしれない。
WTO(世界貿易機関)のTRIPs協定(1995年)は、「南側の諸国の政府に対して自国で(医薬品の)コピー製品を製造したり分配したりすることを禁止している。」(『WTO徹底批判!』スーザン・ジョージ著p34)
昨年3月、インド議会は、WTOのTRIPs協定を踏まえた特許法の修正案を可決した。今後開発される新しい治療薬に関しては、ジェネリック治療薬を製造することはできない。
ただし、現在製造されているジェネリック薬は、TRIPs協定以前のものか、特許権が放棄されたものなので製造を続けることができる。
問題は、今後新しく開発されるエイズ治療薬だ。現在使用されている治療薬に対する耐性ウィルスが出現した場合、耐性ウィルス用の治療薬のジェネリック薬の製造は実質的にできなくなる。ロイヤリティを支払えば、もはや途上国に供給できる安い薬を製造することはできない。
年間、数千ドルから1万ドルもする治療薬を、途上国の患者が手にすることなどできない。
ニューヨーク・タイムスは、インドの法改正には、「WTOの強い圧力がその背景にある。」と書いている。WTOは、欧米の製薬会社の利益を守るために、途上国のエイズ患者には死ねと言っているに等しい。
近年、エイズ問題に対する取り組みの流れが変わってきたように思う。その典型は、やはりアメリカだろう。HIV/AIDS対策として、コンドームの使用から”禁欲”を重視する政策を執るというのは、あまりにも非現実的だ。このような計画に5年間で150億ドルを拠出するという。
WTOもアメリカも、HIV感染者を増加させたいのだろうか。
グローバル・エイズ・アップデート
http://blog.livedoor.jp/ajf/
●特集:インド特許法改正とジェネリック・エイズ治療薬
http://blog.livedoor.jp/ajf/archives/2005-03.html#20050317
インドで、エイズ治療薬の特許申請に初の異議申し立て
http://www.msf.or.jp/access/a_news.php?id=2006033101
WTO-安いエイズ治療薬が生産停止に!
http://www.jca.apc.org/~kitazawa/wto/wto_no_more_cheap_medicine_2005_3.htm
途上国のエイズ患者に打撃 インドがジェネリック薬品製造を規制
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200503251613125
世界保健機構がインド製のHIV治療薬を承認する
http://www.janjan.jp/world/0508/0508301738/1.php
『WTO徹底批判!』スーザン・ジョージ著
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4878934743/250-1991737-7990664?v=glance&n=465392
アメリカによる途上国へのエイズ援助の多くを担っている国際開発庁の長官が、大手製薬会社・Eli Lillyの取締役であるというのも非常に胡散臭いな、と思います。
私も生物学研究の分野に身を置く物として、薬の開発は多額の費用を必要としているということは解ります。
が、死にゆく人々を助けるというのが製薬会社の存在価値なのではないだろうか、と思います。
国を挙げてコピー薬を開発したり、コンドームを普及させているブラジルも、頻繁にアメリカから叩かれているみたいですが、この先どうなるか心配です。
そしてこれらが通ったあとには累々と屍が横たわっています。
近年、とても露骨な形で殺戮が行われています。イラクやアフガニスタン、パレスチナだけでなく、貿易の自由化や知的所有権保護という制度によって。
制度的な殺戮の殺傷半径はほぼ地球全体です。
有効期間は半永久的です。
地球規模の殺戮が進行しています。
もちろん、薬草の知識やサンプル採取に協力した先住民には、いっさい利益は還元されません。製薬会社は、世界中でこのようなことを行っているようですね。
先住民が何百年も伝えてきたものには、知的財産権はないようです。しかし、それをパクる技術には知財権が認められる、ということです。表現は不適切ですが、そういうことです。
映画『ナイロビの蜂』は、製薬会社の別の側面──途上国での人体実験──をテーマにしていて、興味深かったです。しかし、こうしたことは実際に行われているようです。
「新薬のモルモットにされるアフリカの人々」
http://www.diplo.jp/articles05/0506-3.html
タイにおいてニーズの高いHIV新薬が供給拒否されている問題で、国境なき医師団(MSF)がコメントしています。
http://www.msf.or.jp/access/a_news.php?id=2006070601
ジェネリック薬が存在しない事で企業が薬価を自在にコントロールし、少しでも利益が上がるように仕向けているという意味に取れます。
MSFは必須医薬品キャンペーンという名のもとに利益の少ない途上国への医薬品提供を主張し続けていますが、残念な事に世の中の動きは全く逆の方向に流れているようですね。
この矛盾が医薬品業界だけにとどまっている限り、解決の糸口は見えてこないような気がします。
他の疾病対策とは、まったく異なる原理が働いているように思います。
それがいったいどこから来るのか、いまのところ分りませんが、製薬会社の不可解な動きは、巨大な利害がそこにあることを物語っています。
企業の第一の目的は、単純に利潤を増やすことですから。
有効な治療薬を、市場に出さないというのは、まったく理解に苦しみますが、その方が得になる理由があるのでしょう。
また、”HIVの感染予防には、コンドームより「禁欲」だ”、という主張は、誤った信念ではなく、発言者自身がその言葉を信じていないと思います。あきらかに政治的経済的な理由が背景にあります。
HIV/エイズ問題というのは、巨大な利権構造を世界に生んだようです。
あらゆる利権構造の前に、人の命はとても軽いです。
※明日からしばらくPCのない生活になります。
気長にお待ちいただければ幸いです。