前回と前々回、ベネズエラについて触れたので、少しベネズエラについて述べておきたい。
日本ではベネズエラのニュースは皆無に等しく、たいへんイメージしにくい国だと思う。
僕は二回ばかり訪れている。
といっても、ギアナ高地のロライマ山に登りたくて行ったのだが。
目的は達成できなかったものの、ギアナ高地の神秘的な大自然に触れただけでもたいへん満足している。
いつかロライマ山に登りたいと思っている。
べネズエラは、OPECに加盟している産油国で、確認埋蔵量は世界第6位。輸出総額の約80%、国内総生産の約25%を石油が占めている。アメリカにとっては、カリブ海を挟んだ自分の庭先に巨大な油田があるわけだ。そしてそこから全石油輸入の4分の1を輸入している。
現大統領ウーゴ・チャベスは、石油収入の国民への分配を掲げ、精力的に貧困対策に取り組んでいる。そして、徹底した反米姿勢をとり、中南米諸国との連帯に励んでいる。アメリカ政府がこれを放置しておくはずがない。
アメリカは、ベネズエラ国内で労働運動を組織して、国内世論がチャベス大統領に対抗しているという構図に見せかけたいようだ。アメリカ政府は、ベネズエラ国内でさまざまな工作を行っていると考えて間違いはないだろう。
今年の12月に行われる大統領選挙では、選挙妨害や工作が行われる可能性は高い。アメリカ国内には、”チャベスを暗殺せよ”という声もある。
チャベス大統領は1998年に民主的な選挙で選ばれた指導者だ。
2002年に、アメリカにバックアップされたクーデターで失脚したものの、市民はたった2日でチャベスを大統領の椅子に戻した。大部分の市民は、富裕層が所有するメディアの扇動には乗らなかった。
現在、ベネスエラは無料の国民医療サービスを提供している。世界で問題を起こしている「民営化」にも背を向ける政策を執っている。貧困対策にも十分な費用を積み立て、新しい学校や住宅の建設も進んでいる。
特筆すべきは、「南米のアル・ジャジーラ」と言える「テレスル」という独自の衛星テレビ局を実現したことだ。テレスルはベネズエラ、キューバ、ウルグアイ、アルゼンチンが参画した。現在、24時間衛星ニュースを供給している。これまで、欧米のメディアに独占されていたニュースを自らが発信できるようになったことの意味は大きい。
自国に都合のよい情報だけを独占的に発信したいアメリカ政府は、テレスルに強い警戒心を表している。
アメリカ政府は、アル・ジャジーラのカブール支局とバクダッド支局を爆撃し、記者一名を殺害した。そしてカタールのアル・ジャジーラ本社まで爆撃しようとした。アメリカにとって、情報発信の独占というのはそれほどの重要事項なのだ。別の見方をすれば、CNNやFOXその他は、アメリカに都合の良い情報しか発信していないということだ。
ラムズフェルド国防長官は、チャベス大統領をヒットラーになぞらえているようだが、CNNやFOXが流す情報の中ではチャベスはそのような存在になっているはずだ。そうした情報にしかアクセスできない国は、実際、南米に新たなヒットラーがいると信じるだろう。
今年の12月には、ベネズエラで大統領選挙が行われる。ベネズエラでの既得権益を取り戻したい富裕層と、南米での覇権を強化したいアメリカ政府は、反チャベス・キャンペーンをさらに強力に進めるだろう。あるいは、チャベス大統領に対する軍事的なアクションもあるかもしれない。
チャベス大統領とベネズエラ国民の奮闘に期待したい。
Emerging Revolution in the South
(ベネズエラに関する記事を精力的に翻訳されているブログ)
http://agrotous.seesaa.net/
telesulウェブページ
http://www.telesurtv.net/
「チャベス政権」を襲ったクーデターの裏側
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/Bushwar/venezuela_coup.htm
日本ではベネズエラのニュースは皆無に等しく、たいへんイメージしにくい国だと思う。
僕は二回ばかり訪れている。
といっても、ギアナ高地のロライマ山に登りたくて行ったのだが。
目的は達成できなかったものの、ギアナ高地の神秘的な大自然に触れただけでもたいへん満足している。
いつかロライマ山に登りたいと思っている。
べネズエラは、OPECに加盟している産油国で、確認埋蔵量は世界第6位。輸出総額の約80%、国内総生産の約25%を石油が占めている。アメリカにとっては、カリブ海を挟んだ自分の庭先に巨大な油田があるわけだ。そしてそこから全石油輸入の4分の1を輸入している。
現大統領ウーゴ・チャベスは、石油収入の国民への分配を掲げ、精力的に貧困対策に取り組んでいる。そして、徹底した反米姿勢をとり、中南米諸国との連帯に励んでいる。アメリカ政府がこれを放置しておくはずがない。
(コンドリーサ)ライスは、運送業者ストライキによりベネスエラは燃えており、そのストライキは国際支援を必要としている、と述べた。1970年代のチリにおいてと同様、CIAの黒い手が運送業者団体に潜入している。http://agrotous.seesaa.net/article/14158101.html#trackback
(中略)
これは漠然としているが、ライスが本当に意味したことは、ボリバル革命が強固となり、その主義思想が南米大陸、カリブ諸国と中米に広がるなか、ベネスエラと、その石油埋蔵と政治の舞台の統制を米国が失ったということである。
ベネズエラでは国有石油会社ばかりでなく、なぜ労組まで反大統領の立場をとるのだろうか?それは、ベネズエラが、米国の全石油輸入の4分の1を供給しており、とうていチャベスのような反米主義者の支配をみとめることが出来ないからである。http://www.eco-link.org/jubilee/genko030204_1.htm
チャベスが大統領に選出されて以来、米国議会から年間87万ドルにのぼる「民主主義のための国家基金」と名付けた資金がベネズエラの石油労組とそのカルアロス・オルテガ会長に送られてきた。 このオルテガ会長こそは、昨年(2002年)4月の失敗に終わったクーデタで"3日大統領"に任命されたビジネスマンの親しい友人であり、今回のストの扇動者である。
アメリカは、ベネズエラ国内で労働運動を組織して、国内世論がチャベス大統領に対抗しているという構図に見せかけたいようだ。アメリカ政府は、ベネズエラ国内でさまざまな工作を行っていると考えて間違いはないだろう。
今年の12月に行われる大統領選挙では、選挙妨害や工作が行われる可能性は高い。アメリカ国内には、”チャベスを暗殺せよ”という声もある。
チャベス大統領は1998年に民主的な選挙で選ばれた指導者だ。
2002年に、アメリカにバックアップされたクーデターで失脚したものの、市民はたった2日でチャベスを大統領の椅子に戻した。大部分の市民は、富裕層が所有するメディアの扇動には乗らなかった。
現在、ベネスエラは無料の国民医療サービスを提供している。世界で問題を起こしている「民営化」にも背を向ける政策を執っている。貧困対策にも十分な費用を積み立て、新しい学校や住宅の建設も進んでいる。
特筆すべきは、「南米のアル・ジャジーラ」と言える「テレスル」という独自の衛星テレビ局を実現したことだ。テレスルはベネズエラ、キューバ、ウルグアイ、アルゼンチンが参画した。現在、24時間衛星ニュースを供給している。これまで、欧米のメディアに独占されていたニュースを自らが発信できるようになったことの意味は大きい。
自国に都合のよい情報だけを独占的に発信したいアメリカ政府は、テレスルに強い警戒心を表している。
バウチャー米国務省報道官は(2005年5月)23日、「ベネズエラのチャベス大統領とキューバのカストロ国家評議会議長が、米国に対抗するための道具として利用できるという点を憂慮する」と述べた。http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2005052873618
アメリカ政府は、アル・ジャジーラのカブール支局とバクダッド支局を爆撃し、記者一名を殺害した。そしてカタールのアル・ジャジーラ本社まで爆撃しようとした。アメリカにとって、情報発信の独占というのはそれほどの重要事項なのだ。別の見方をすれば、CNNやFOXその他は、アメリカに都合の良い情報しか発信していないということだ。
ラムズフェルド国防長官は、チャベス大統領をヒットラーになぞらえているようだが、CNNやFOXが流す情報の中ではチャベスはそのような存在になっているはずだ。そうした情報にしかアクセスできない国は、実際、南米に新たなヒットラーがいると信じるだろう。
今年の12月には、ベネズエラで大統領選挙が行われる。ベネズエラでの既得権益を取り戻したい富裕層と、南米での覇権を強化したいアメリカ政府は、反チャベス・キャンペーンをさらに強力に進めるだろう。あるいは、チャベス大統領に対する軍事的なアクションもあるかもしれない。
チャベス大統領とベネズエラ国民の奮闘に期待したい。
Emerging Revolution in the South
(ベネズエラに関する記事を精力的に翻訳されているブログ)
http://agrotous.seesaa.net/
telesulウェブページ
http://www.telesurtv.net/
「チャベス政権」を襲ったクーデターの裏側
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/Bushwar/venezuela_coup.htm