ございません*3 とんでもない

2016-01-12 | 言葉遣い
 「とんでも8分」 と聞いて、すぐに 「歩いて10分」 と頭に浮かぶ方、お仲間です

もしや、お若い方は何のことかお分かりにならないかも知れませんね。

念のために申しますが、決して駅前の不動産屋さんの広告ではないのですよ  

「とんでもない」 と言う場面で、言葉遊びとして続く 「とんでも8分、歩いて10分」

他にも、「その手は食わない」 が 「その手は桑名の焼き蛤(はまぐり)」 になったり、

1960年代には、「あたりまえだ」 転じて 「あたり前田のクラッカー」 という CM もありましたっけ。


 冒頭から昭和モード全開ですが、今日はこの 「とんでもない」 についてお話しいたします。

称賛されたり、過分と思われる評価を受けたりした時に、相手の言葉を軽く打ち消す際に使いますが、

この相手というのが立場が上の方である時に、「ない」 が 「ございません」 になるようです。

また、「とんでもない」 は謙遜の意味の他に、「とんでもない奴だ」 のように悪い意味でも使われますので、

お客様や上司からの褒め言葉に対して、「とんでもない事」 と言っては失礼だと考える方もおいでのようです。

「申し訳ない」 を 「申し訳ありません」 や 「申し訳ございません」 と言うように、

「とんでもありません」 「とんでもございません」 もまた、時代の流れと共に定着したため、

私たちが敬語を使う上での目安となる文化庁の答申 「敬語の指針」 でも、許容されている言い方です。

似たようなニュアンスの言葉に 「めっそうもない」 という言い方も耳にしますが、

こちらも本来の言い方で 「めっそうもないことでございます」 とすると仰々しく聞こえるためか、

「めっそうもありません」 「めっそうもございません」 と、謙遜の意を込めて軽く打ち消しています。


 さて、昨日は鏡開き

武家社会の行事であったことから、忌み言葉である 「切る」 を避け、

刃物ではなく木槌で 「割る」 ようになったものの、「割る」 もまた縁起が悪いため、

「開く」 と言うようになったのだとか。

最近は文字通りパックを 「開く」 と、中から小さなお餅がたくさん出てきますね


     
     秘書にゃんこサイズのお餅を前に、あどけない表情。
     「あどけない」 も、幼さや無邪気な様子を表す形容詞です。


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