倉野立人のブログです。

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〝椅子引きイタズラ〟にある「したモンは忘れるが、された人は深い傷を負う」事実 

2023-01-16 | 日記

ネットの記事に「人が座ろうとした時にふざけて椅子を引く行為がいかに危険か」旨の複数の記事を目にしました。

この記事に触れ、私も子ども時代の痛い思い出が蘇(よみがえ)り 記事に甚(いた)く共感すると同時に「他人(ひと)にする行為」について「加害した方(ほう)は忘れるけど、された側は忘れないし 何より深い傷が残る」ことを再認識したものでした。

もとより そんなしょーもないイタズラによって、大きなケガを負ったり 一生を左右しかねないような大きな後遺症が出ることがあることから、改めて啓発する必要があることを 併せ再認識しました

 

 

 

 

記事は、中学生の息子(Aくん)をもつ母親(Bさん)の投稿が引用されていました。

学校での休み時間中、Aくんが椅子に座ろうと無警戒のまま腰を下げ始めたタイミングで 後ろにいた生徒(C)が急に椅子を引いたことから、Aくんは まともに床に尻もちをつくことになってしまいました。

そのときは、周囲の生徒に笑われるなどして 逆に自分が恥ずかしい思いをしたとのことでしたが、重大な問題は それから1年以上が経過してから起きた(発症した)そうです。

ある頃からAくんは 疲れやすい・頭痛がするなどの体調不良に陥ったことから専門医を受診したところ「脳脊髄液減少症」との診断が下されました。

「脳脊髄液減少症」とは、脳から出ている「硬膜」や「くも膜」の内側にある「脳脊髄液」が 外からの強い衝撃によって漏れ出して健康な状態以下の量にまで減ってしまうと、頭痛・疲れ・体のしびれ・聴力障害・記憶障害など、実に多岐に亘る症状につながるものです。

 

 

 

ただ この(脳脊髄液減少症による)症状は、症状が出現までに非常に長い期間を要することから「この事故が原因」と即座に断定できない難しさがあり、今回のケースも〝椅子引きイタズラ〟のせいだと断定し切れない面もあり、被害生徒と家族は 半ば泣き寝入りを余儀なくされているそうなのです。

 

今回の(記事の)ケースは、診断に時間がかかり いわば有耶無耶(うやむや)になってしまったものですが、例えば 椅子引きイタズラのせいで肘や手首を骨折するなど直ちにケガにつながったときには、加害生徒(の家族)が被害生徒に損害賠償を支払う義務が生じることにもなり、何より そんなしょーもないイタズラのせいで 生徒間の人間関係がおかしくなってしまうことは不幸としか言いようがありません。

 

かくいう私も、かかる〝椅子引きイタズラ〟に遭ったものの一人です。

中学校のとき、クラスのがーたく(乱暴者)の標的になった私は 休み時間にそれ(椅子引き)をやられました。

そのときは、座ろうとする動作の中で異変に気づいた私は机の縁(へり)につかまり まともに尻もちをつくのは回避できましたが、机の中身を床にぶち撒けることとなり、やはり周囲に笑われ非常に気まずい思いをしたものでした。

その瞬間は、周囲はたいがい笑うのものです。それも〝被害者〟に対して。

 

 

今回の投稿記事は、被害生徒が「脳脊髄液減少症」に陥り 今も難儀な後遺症に苦しめられているというものであり、加害生徒の行為は 許し難いものです。

しかし、概して「(イタズラを)したモン」は忘れるのです。被害生徒が後遺症に苦しんでいるのに。

百歩譲って、加害生徒が それを覚えていても、そっち(加害生徒)には後遺症が残るワケでもなく、実質的に苦しむのは被害者側の方なのです。

 

また、このような ケガなどの〝物理的被害〟の他にも、例えばイジメや暴言・虐待などによる「心の傷」を負わせたときも然り…やった方(ほう)は いわば言いっ放し、相手が その後どれだけ(心が)傷つくかなど考えもせず、やがて忘れるのです。

しかし、された方は 忘れたくても忘れることなどできません。

そのうえで 心に傷を負いながら生きてゆかなけれならないのです。

こんな理不尽がありましょうか。

 

例え話しに「満員電車のハイヒール」があります。

通勤時の満員電車。車体が緩やかなカーブで揺れた際 乗っていた美貌の乗客がよろけ、履いている15cmのピンヒールの踵(かかと)が 傍らに立つサラリーマンの足の甲を踏んづけました。

「痛い!」と激痛にあえぐサラリーマン、でも件(くだん)の女性は「あら、ごめんなさい。」とサラリと一言。

彼女は次の駅で颯爽(さっそう)と下車してゆきました。

で、その女は 他人の足を踏みつけて痛い思いをさせたことなど、やがてキレイサッパリ忘れることでしょう。

でも 踏まれたサラリーマンの足の痛みは消えないのです。

 

 

ヒトの社会の中で 半ば公然と為(な)されるイタズラ・イジメ・虐待は、社会にとって不必要な行為の最たるもの、そんなことをしても誰にも評価されないし、みんなが不幸になるだけの蛮行でしかありません。

で、その特徴は(タイトルのとおり)「したモンは忘れるが、された人は深い傷を負う」

こんな理不尽は許せん!と 記事を書きながらも憤りを禁じ得ないところでありました。

 

なお このこと(椅子引イタズラは絶対やってはいけないこと)は、新学期に児童生徒に指導すべきことを各学校に通達するよう 教育委員会に申し伝えることといたします。