倉野立人のブログです。

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コロナ禍の外出自粛による「孤立」が健康被害を

2021-11-14 | 日記

過日のブログで、長野市においては(おいても)「地域福祉」が重要かつ難しい課題であることを述べさせていただきましたが、とりわけ昨今のコロナ禍における〝外出自粛による孤立状態〟が、人々 とりわけ高年齢者に深刻な健康被害を引き起こしていることが報じられ、耳目を引きました。

 

文化サークルや公民館活動などへ出かけるなどする〝社会活動の頻度〟が減った人は、身体機能の低下や うつのリスクが高まることが最新の調査で明らかになったとのことです。

そして これらのリスク対策として注目を集めるのが「社会的処方」とのこと。

コロナ禍により 新たな病原ともなる「孤立」を解消するため、薬を処方するよりも「社会とのつながりを処方する」という取り組みが紹介され、その〝処方〟を知るうちに、いみじくも「地域福祉の大切さ」を再認識することとなったのでした。

 

社会における新型コロナウイルス感染症の蔓延は、人と人との接触による感染拡大が大きな問題となり、それを防ぐために いわゆる3密回避などの行動規範が推奨され、それは自ずと 社会活動の抑制→特に独り暮らしの場合は「孤立」につながることになり、それ(孤立)が ひいては人の健康被害を引き起こすことになる実態が、最新の調査によって明らかになりました。

全国の高齢者2万3千人余りを対象にした調査によると、外出やサークルなどの活動頻度が減った人は 要支援・要介護状態になるリスクが最大で2倍を数え、また 身体機能が衰えるフレイルリスク・さらに 鬱(うつ)のリスクが最大1,5倍となったことが判り、いずれも健康に悪影響を及ぼしていたことが明らかになりました。

 

 

 

このことについて識者は「明らかにこの調査結果は、コロナ禍の外出控えによる孤立が うつや要介護になる危険性を高める要因となっていることを示しています。人と人との交流が減ることによって、身体的には運動不足につながる・精神的には心が沈んでしまう などのさまざまな経路を経て、最終的には寿命まで縮めてしまうリスクが高くなっていることを、残念ながら示していることになります。」と述べていました。

 

この「孤立」が健康に悪影響を与えることについて、イギリスでは恐ろしい研究結果も発表されています。

同国の論文によると「孤立」というのは 1日にタバコを15本吸うのと同じくらい健康にとってリスクがあるという研究結果も示されているとのことです。

これは高齢者に限ったことではなく、老若男女を問わず「孤立」が生み出すリスクが如何(いか)に高いかを示しているといえるでしょう。

 

 

 

今、わが国は 超高齢化社会といわれる社会状況ですが、その中で これまでは活動的だった高齢者がたくさんおられて、いわゆる「健康寿命」を伸ばしてきました。それが コロナ禍に伴い外出を控え、家に留(とど)まる時間が増えるようになった。その結果、運動不足による身体的能力の低下や、動かないことで食欲が無くなったり ご近所さんとの会話も減ることなどにより、全体的な活気が失われてゆく。これが(前掲のとおり)身体・精神両面でのリスク要因につながっているのではないかと言われています。

例えば、これまで要介護でありながらも何とか歩けていた人が、たった4日間 車イス状態でいると本当に歩けなくなってしまうそうです。大腿(=ふともも)の筋肉などは、使わないでいると2日間で(筋力の)1%が減少するというデータもあり、老化(フレイル化)はアッという間に進行することが分かっています。

また(コロナ禍による)外出控えの長期化は 脳の活性化を阻害する要因ともなり、それが鬱(うつ)や認知症などの進行を早める要因にもなることが、訪問介護や脳医学者の間で実感として伝えられているとのことです。

 

これら、コロナ禍による外出控えが 身体的・精神的に悪影響を与えることについて、医療的処方により改善を促すのではなく「社会的処方」により 人が人らしく暮らせる環境を整えるべきとの説があるそうです

コロナ禍により さまざまな形で人を蝕(むしば)む要因となる「孤立」を解消するため、薬を処方するように“社会とのつながりを処方する〟という取り組みが重要ではないか、とのことです。

 

 

 

「社会的処方」とは、人と人とのつながりを取り戻し 結果的に健康を回復させる取り組みです。

社会的処方では、心や体の不調を訴える人の背後にある 孤立や生活不安などの問題に目を向け、病に対して薬を処方するだけではなく、サークルやボランティアなど 社会とのつながりを作ることで体調の維持・改善を図るものです。

現場の医師は「本当に大事なのは薬だけじゃなくて"つながり"じゃないか、と。今まで普通に行なわれていた ご近所つきあいや、おじいちゃんおばあちゃんの日々の楽しみであったサークル活動などを徐々に再開することで、フレイルや認知症が予防・改善できる。こんな有意義な処方箋はないと思いますよ。」と実感を込めて述べていました

 

このことについては 国も深刻に捉えており、(知りませんでしたが)今年2月には「孤独・孤立対策担当大臣」を設置し、いわゆる〝骨太の方針〟では かかる「社会的処方」の活用によって、コロナ禍での心身の健康問題に対応するとしているとのことでありました。

 

 

 

社会に蔓延し、さまざまな課題を投げかけることとなった新型コロナウィルス禍。

かかる「孤立が招く諸問題」については、これは いわばコロナに特化されず、既存の社会問題の1つとして 全体として取り組むべき課題といえると思います。

そのための「社会的処方」という方策は これも一朝一夕で為し得るものではなく、日頃からの人と人との信頼関係なしでは成すことは難しいでしょう。

そのためにも、先日に触れた「地域福祉」が非常に重要であることを再認識させられるところです。

コロナ禍によって起きてしまった分断と孤立。これを解消し 今までどおりの良好な社会生活を送るための「要(かなめ)」が すなわち地域福祉であると、報道を通じて再認識したところであります。

 

なお「孤立=病気になる」について 一つ異論を挟むとすれば、たとえ独りであっても「やり甲斐・生き甲斐」があれば、じゅうぶん健康に生きてゆけると思います。

例えばウチのオフクロは 自他共に認める^^独り暮らしですが、毎日の料理や編みもの・日記綴りなどの「やり甲斐」をもって生きており、傍(はた)からみても健康被害は発生していません。

今回の報道の「孤立」を正確に称せば「〝無為な孤立〟が 健康被害の要因になる」ということでありましょうか…。