倉野立人のブログです。

日々の思いを、訥々と。

被災地復興 ~長沼地区住民説明会の顛末~

2020-07-19 | 日記

7/18 Sat.

 

この日の前日 私のスマホが鳴り、出てみると 声の主は、さきの令和元年東日本台風で被災し 自らも住宅を流失した男性(Aさん)でした。

「クラちゃん、おつかれ。さっそくだけど、18日に 柳原(支所管内)にある「柳原体育館」で、長沼(地区)の住民集会が行なわれるから (傍聴に)来てくんねぇかなあ。何でも (流失した)長沼支所や体育館の再建や、新たにできる「防災センター」なんかについて 市から説明があるって。クラちゃんの立場でも、(集会や住民の意見の)様子を知っておくべきだと思うんだ。」とのことでした。

 

このことについては、既に議会で経過報告が行なわれています。(私の立場では、市民に向け公表されるまで 口外を控えておりました)

さきの令和元年東日本台風においては、長沼地区(津野・穂保エリア)の堤防が決壊し 多くの建屋が流失の被害を受けましたが、あろうことか 堤防決壊の直下に、地区行政の要(かなめ)である長沼支所や体育館、それに消防団の詰所があり、その全てが壊滅的な被害を受けてしまいました。

 

 

 

 

いま現在は、仮設支所が暫定的に設置され 支所業務が再開されています。

 

 

 

 

支所に隣接する 体育館と消防団の詰所は、被災した状態に留め置かれています。

 

 

 

 

 

こちらについては、外壁などは大きく損壊しているものの 柱などの躯体はリフォームに耐え得るとのことなので、再建にあたり〝使える部分は使う〟ことになっているそうです。

 

 

 

そのうえで 今後は、被災エリアを「ゾーニング(目的別区分け)」したうえで 域内の公共施設を再整備することとなっています。

 

 

 

整備対象は 前掲の長沼支所・体育館・消防団詰所の再整備の他、新たに「長沼地区河川防災ステーション」の設置や、長沼小学校・児童センター・保育園の整備、また〝復興道路〟の位置づけで 市道長沼東西線の整備が検討の俎上(そじょう)に上っています。

 

長沼支所・体育館・消防団詰所再整備 ならびに「長沼地区河川防災ステーション」の設置については、決壊の後 強靱化された千曲川堤防の付近に整備する方向で検討が始まっています。

 

 

 

 

 

と いうのも、今回の破堤(堤防決壊)を受けて 地区住民の方々からの、今後また大規模な水害に対する心配(懸念)の声を受けて、堤内(住居側)に 約3haに亘って 堤防と同じ高さに盛土(もりど)し、その上に防災ステーションなどを設置して、より堤防が 越水に耐えられるよう構造強化につなげると同時に、行政機能の維持と 災害備蓄などを備え災害学習などをも行なえる施設を整備したいとしているものです。

 

(施設整備予定箇所/ここに広域に盛土)

 

 

 

そのうえで 市は、3つの案を作成し 被災住民の方々の意向を初め 議会や市民の意見を反映させながら計画を進めたいとし、その先鞭として この日の集会で、被災住民の方々に説明させていただく機会としたものでありましょう。(画像は 案のひとつ)

 

 

 

 

 

また やはり大きく被災した長沼小学校等について、再整備にあたり この際「地区内の子育て拠点」として総合的に整備すべきという中で、現在 国道18号線を隔ててバラバラになっている 小学校・児童センター・保育園を合築のうえで再整備(機能移転)しようという計画が提案され、同様に 先ずは被災住民の方々に説明を と、この日の機会となったのでありました。

 

 

(施設の現況)

 

(合築による機能移転イメージ)

 

 

それらを踏まえ 私たち議会人においても、より良い被災地の復興を願う中で あくまで被災住民の方々の心情に寄り添いながら、より適切な計画が為(な)されるよう傾注することを期して、この日の説明会に臨んだものでした。

 

 

 

 

 

説明会々場は広い体育館なれど、今般の「新型コロナウィルス禍」に伴い その対策が講じられていました。

受付で「番号札」が配られ、

 

受付係の人が「37番の方が入ります!」と告げると、会場係の方が〝席表〟を片手に「こちらです!」と案内してくれます。

 

3密回避のために間隔を空けた座布団には番号が付されており、参加者は いわゆるクジで指定された座布団に案内されます。

 

その〝指定席作業〟を繰り返すうち、席札の終了=満席 となった時点で受付も終了、という 非常に合理的な会場運営となっていたのでした。

 

 

会場には、長沼区の役員さんや 長野市復興局長はじめ担当職員が座し、議題に応じて順次説明を行なうことになっているようです。

 

 

 

と・・・開会を数分後に控えたとき、主催者(長沼地区住民自治協)の役員さんが 私の下(もと)に近づいてきます。

何かと思えば「倉野議員ですね。せっかく足を運んでいただきましたが、この会議は議員を呼んでおらず 地区住民を対象にしたものなので、この場でお引き取りください。」とのこと。

周囲をとみれば、テレビカメラも携行したマスコミも居たことから まんざら非公開でもなさそうであったことから、(傍聴は)問題は無いと思いましたが 主催者がそういう意向であれば、それに抗(あらが)うつもりもありませんでしたので、会議の成功を祈念します旨を申し上げ 直ちに場を辞したところです。

ただ 私の立場で、参加者の方々の「生(なま)の声」が聞けないのは残念ではありましたが。

 

 

 

その後 数時間が経過して、私に(集会の)傍聴を促してくれたAさんから電話が入りました。

「何だいクラちゃん、会場で見かけなかったけど 来なかったのかい?」とのこと。

そこで 件(くだん)の顛末をお話しすると、Aさんは語気を強めて話されました。

「今回の事業は、多額の予算と多岐に亘る事業が伴う「公共事業」なんだから、いずれ当然 議会の議決が求められる案件だろ。だったらさ、その課程の中で (計画に対し)住民がどんな風に思っているかを 議員が肌で感じて、それを議会の審査に活かしてゆくべきじゃねーの。」

「確かに 行政と住民が意見を交わすことは一番大事だけど、その様子を直(じか)に見聞して「あぁ、住民はこんな風に思ってるんだ。」とか「実は こんなことも願っているんだ。」という〝心の声〟を聞いたうえで 議会の議論に臨んでもらうことは、オレら(被災住民)にとっても追い風になるハズだから、その(議員の傍聴)の機会を断ることは 絶対におかしと思うゼ。」と。

「そんな追い返すようなことはせずに、せめて傍聴席くらいは設(しつ)えて 様子だけ見て後の議論に活かしてください、って言ったって バチはあたらねーんじゃないの。」と、最後の方は 私の方が「まあまあ そのくらいで…。」と諫(いさ)めるほどの 怒りにも似た口調で話してくださいました。

 

 

 

・・・・・・。

議会での審査の場では〝さまざまな価値観〟に基づいて議論が展開されます。

特に 公共事業や行政計画の執行の場面では、ややもすると 行政側の説明に終始し、ときに その対極にある「市民」の方々の考えや意見が置き去りにされて 事(こと)が運んでしまう危うさを内包しながら推移する帰来(きらい)があります。

そこで(議会人に)求められるのが 中立性と客観性の視点であり、私たち(議会人)は でき得る限りアンテナを上げ、広い視野をもって案件を俯瞰(ふかん)で見つめたうえで、これ(案件)が 真に市民益に叶うものかどうか見定めながら賛否に臨むものです。

 

今回の長沼集会においても、出された議題(課題)は 将来の地域運営のみならず、市の防災にも関わる非常に重要かつデリケートな意味合いを有していることから、市と住民が どのようなスタンスで向き合っているかを(あくまで情報として)捉えるためには需要であると(私自身)認識し、会場に足を運んだところでした。

その機会を 他でもない住民自治協の方から断られたことは、それは住民の意向であるとして 残念でありながら素直に受け入れるところですが、私としては 今後も(前述の)客観性を失うこと無く、真に市民益に叶う市政運営が為(な)されるよう 諸事に向き合う思いを新たにいたしたところです。

 

 

マ そんな中、議会の役割を正しく認識し 怒りをもってまで述懐してくださったAさん、たとえ一人でも そんな心ある人が居てくれることを かえってウレシく思った、一連の顛末でありました。(この日の会議における その雰囲気や意見交換の内容などについては、Aさんから具(つぶさ)に伺いましたので、今後に活かしてまいります)