倉野立人のブログです。

日々の思いを、訥々と。

違和感の正体

2019-11-22 | 日記

1/21 Thu

 

この日の朝は、この秋一番の冷え込みとなったのでしょうか。戸外に出た途端に、あたかも冬か の寒さを感じました。

朝の移動中 千曲川を眺めると、いかにも寒 ゞ とした風景が広がっています。

 

台風の名残を今にとどめる川の中州には、うっすらと白いものが見られました。

 

 

 

中御所にある気温表示看板は、今の秋初めてでしょうか「零度」を示していました。

 

 

季節は移ろい、令和の冬の その足音が聞こえています。

それに至って、気がかりなのは被災地の方々の様子です。どのように この寒さを乗り切ろうか。心配に堪えません。

 

 

 

 

◇第一回の 被災地を対象にした「住民説明会」開催 ~これからが始まり~

この日の午後、堤防決壊の直撃を受けた 赤沼区にある「津野区」の住民を対象にした「住民説明会」が行なわれ、七十数戸ある津野区民の多くの方々が出席されました。

 

 

 

これは、私が親交をもたせていただき、やはり今回の台風でご自宅が全壊の被害を受けたMさんから「津野区の多くの住民が、台風から1ヶ月が過ぎたのに 役所(行政)からこれといった説明の動きが無いのに業を煮やしている。せめて現状だけでも報告する機会を設けるようつないでくれ。」との強い要請を受け、津野区のT区長さんとも協議のうえで あくまで 津野区からの要請という形での説明会としていただいたものです。

 

 

説明会の主たる話題(課題)は、壊れた家屋などを行政の手で解体する「公費解体」や、自宅の敷地などに大量に流入した土砂やがれきの始末、ということから 市側からは「環境部」の職員が来訪し説明にあたりました。

会場には 一様に不安を胸にした様子の津野区民の方々が大挙して出席され、そのご心中いかばかりかと拝察いたしたところです。

 

説明会は 区長さん進行で行なわれ、冒頭に M環境部長をはじめ担当職員から、公費解体の内容などについて ひと亘りの説明がされました。

 

説明内容は、今後の住民生活に大きな影響があることから、熱心にメモを取る姿も。

 

 

市の説明に 土砂の撤去の件が含まれていなかったことから、Mさんが さっそく挙手し、自宅敷地内に押し寄せたままの土砂や異物の撤去はどうなるのかを質(ただ)します。

 

津野区は、堤防決壊により あたかも東日本大震災並みの土砂災害となっています。堤防が破れたことにより、河川の泥といわず、上流部から破壊されながら漂着した異物といわず 流木といわず、ありとあらゆるものが流され 溜まり積もってしまっているのです。

 

 

 

しかしながら市(環境部)の答弁は、基本的には自助努力に任せ できないところを行政が支援する、といった「基本路線」に終始した答弁となっていました。Mさんに対しては 土砂の量が多いことから 行政支援を とされたところですが、聞いている私自身、何ともいえない「違和感」を覚えたものでした。

Mさんの発言をきっかけに、出席者の方々から多くの質問が出されました。

中には未だに ご自宅前に 他人様の家の屋根が流れ着いたままになっている方も居られ「こいつの撤去も自分でやらなきゃならんのか。」との切実な声も。

 

これは 自力では無理でしょう。

 

 

さらには 公費解体の手続きの仕方について や、これから散り散りになるであろう住民への周知の仕方、また解体作業の優先順位、被災ゴミの仮置き場となった農地の覆土の要望 等々、それぞれの立場に応じた さまざまな質問が出されていました。

 

 

それに対する 市(環境部)の答弁は、あくまで原理原則論に止(とど)まり、私の前に座るMさんは「答えになっていねーんじゃねーの。」と、私に対しても 出席者の心情を代弁するかの一言を吐かれました。両者の立場を慮(おもんばか)る私は、Mさんの一言に共感しながら、この会の「違和感の正体」を突き詰めてみたところです。

市の職員は、例えば公費解体については「申請主義・許認可主義」で業務に臨んでいます。公費解体を希望する方は、必要書類を揃えて申請してください。市はそれを受けて解体を認めるかどうか判断します、との見解。例えば敷地に流れ着いた土砂や異物についても、自分で片付けられるかどうか やってみて、(自分で)できないようなら連絡してください、との見解。

これだけの被害を受け(させ)ながら、基本「自己責任」とも取れるスタンスなのです。

 

でも(被災)住民は「望んで災害に遭ったんじゃない。自ら家を壊して欲しくて公費解体に臨むワケじゃない。堤防決壊さえなければ、公費解体などせずに済んだのに。」との切実な思い。

 

私は、一連のやり取りを前にし、ここ 最大の被災エリアである 津野区や穂保区の一部については、従前の原理原則論に基づく「基本 自己責任・個人申請主義」では間に合わないだろうという考えを さらに強めることとなりました。

 

この被災エリアは、あくまで各戸の意向は尊重しつつも、被災地区を一体として復旧・復興を考えてゆかなければならないのでは。

でも、それを この説明会の場で 市(職員)に対してぶつけてみても埒(らち)は明きません。彼らもまた、現状における職責の下で働いているのですから。

このことについては、今後 何かしらの場面で「抜本的議論」として具申してゆかなければなりません。

このまままを許せば、被災者の方々のストレスを増幅させ、復旧・復興も遅々としたものに止めてしまうことは自明です。

 

大きな課題意識を感じ取った、第一回説明会だったのでした。