10/16 Wed.
台風19号による被害を調査するうち、同時にさまざまな課題も浮き彫りにされてきています。私が歩いているだけでも、さまざまな状況を見せつけられるところです。
例えば、市内篠ノ井の、御幣川と塩崎の境界にあるエリア。
旧国道の「見六橋」交差点に店を構える床屋さんがあります。
この台風で、そちらの店舗を含んだ周辺エリアが冠水被害に遭いました(撮影時は片付け済み)
店の方(かた)に伺えば、12日の夜 店舗兼住宅の西側「岡田川」方向(地図の左側)から水が来て、アッという間に浸水してしまったそうです。
で、その浸水のタイミングが、店舗脇の川(岡田川)の下流部で 千曲川に接続する「横田水門」を閉じた後だったそうです(写真上方が川の下流)。
つまり、千曲川からの水の流入を防ぐために水門が閉じられたために、岡田川を流れ下ってきた水が行き場を失い、見六橋周辺で溢(あふ)れ 周辺に被害を及ぼしたのではないか、ということなのです。
このことは、非常に微妙な問題を孕(はら)んでいると思います。
水門周辺(横田)の住民にすれば、本流(千曲川)が溢れんとする中、自分のムラを守るために水門を閉める。これは当然の自衛行為でしょう。
しかし、河川は つながっています。
当該の水門は、同時に岡田川の終末点であり、そこを閉じるということは、本来 千曲川へ排出されるハズの岡田川の水を遮断することになる。そうなれば、その周辺エリアが溢水するのは当然の成り行きということになってしまいます。
この問題の解決のためには、横田の水門を閉めないまま水を排出する、すなわち排水機の設置が求められることになると思います。
また一方、松代大橋の北側にある千曲側の堤防。
こちらの地点は今回、僅(わず)かの差で越水を免れました。
が、衆議院議員を現場に案内してくださったYさんの表情は固いままでした。
曰く「今回 被害が無かったのは、たまたま、だ。」
今回の台風でも、水は取り付け道路の頂点にまで達しており、
あと20センチ以上の流水があれば、堤防西側の集客施設をはじめ集落が水に呑み込まれるところだったそうです。
この堤防の「嵩(かさ)上げ」については、この地点の危険度に鑑み 10年来の要望になっているものの、実現については はかばかしくないままだそうです。
Yさんは 固い表情を崩すことなく「今回の堤防決壊や大規模水害は〝明日はわが身〟の典型だ。こちらの危険地点も、10年来の要望を踏まえ 千曲川流域の抜本的な治水対策を行なってもらわなければ。」と語気を強めておられました。
今回の災害に際し、被災地の復旧に行政の力(ちから)は傾注されることになりますが、それは あくまで〝対処療法〟に過ぎないと言わざるを得ません。
「千曲川」の名のとおり、曲がりくねった川筋は、いつ どの箇所で氾濫するか判らず、そこには 河川の全域を見渡した築堤の構築が求められるところです。
また、今回の台風水害では「排水機」が機能したか しなかったか、で、被害を左右したことが側聞されています。
例えば こちらの排水機は、動作中に給水口に異物(葦/よし)が詰まり 十分な給排水ができなくなったうちに本流の水かさが上がり 排水機場そのものが水に浸かってしまい、結果 集落への川水流入を許すことになってしまったそうです。
今後、排水機への異物混入をどう防ぐか、施設前へのメッシュ設置などの対策が求められるところです。
と いうように、私だけが歩いただけでも多くの課題が散見されるところです。今後は、さまざまな立場の方々が 今回の台風被害を通じての経験値や課題等を集約し、二度とこのような被害が起こらないよう手立てしてゆくことが求められていると実感させられました。
被災者の方々の「涙」を無駄にするまい。心に誓うところです。
◆国会での「くだらない議論」に怒りを通り越して
被災現場が苦労に堪えない中、開催中の臨時国会で「避難所の環境向上」を巡り、なんとも「くだらない議論」が交わされたことが伝えられ、怒りを通り越して 情けなく思ってしまいました。
森ナントカいう参議院議員が「イタリアの避難所ではワインを出す。日本の避難所も そんな風に意識を変えるべきだ。」と発言したとのこと。
彼女の言わんとする〝避難所の意識改革〟の趣旨は判らんではないですが、この場は国会。国の予算を司る立法府の最高権者の集まりで「避難所にワイン」はないでしょう。
イヤ 百歩譲って そんな話しを出してもヨシとしても、それは「残余の時間」質問時間が余ったときに、ついでの話しとして持ち出すべきです。これがまた、私の支持する民主系の議員だから 余計に残念でした。
今回(だけでなく)の 台風による水害の多くの原因は「堤防決壊」または「越水」であり、国においては その(水害予防の)ための堤防の整備をどう進めるか、などの「抜本的な議論」を行なうべきではないでしょうか。
今の予算委員会は、まさに災害真っ只中で行なわれているのに、、何というか〝表面的な議論〟に終始しているとしか思えず「この人たちは、災害現場に行ったことがあるのか、行ったとしても(国会議員としての)問題意識をホントに抱いたのか、ただ「現場に行ってきました。」で自己完結しちゃってるのではないか。」と疑心暗鬼になってしまうところです。
ある意味、細かい議論は われわれ地方議員に任せていただき、あなた方は、もっと抜本的な、もっと大局に立った議論を交わしてくれよ、と感じたのは、私だけではないハズです。
被災地では〝復旧に向けた第一ラウンド〟被災ゴミの搬出入が始まりました。
大切な家財が泥水に汚され、泣く泣く処分せざるを得なくなった方々が、指定箇所に車列を成しておられました。
もとより これらは、行政の責任において処分されることになります。
災害の影響が、じわじわと広がっていることを実感させられます。