3/16 Sat.
オフクロに乞われて、実家の庭の一隅に、パンジーの花を植えました。
実はこのパンジーたちの下には、オフクロを母と慕ったニャンが眠っています。
一ヶ月ほど前、オフクロから「ぶらっと出て行ったきりだった通いネコのママちゃん[ニャンの愛称]が、何ヶ月かぶりにヒョッコリ帰ってきたの。」と嬉しそうな声で電話があり、私がカオを出した際もしっかりとした足取りで迎えてくれたものでした。
ところが、それから3日ほど後、オフクロから沈んだ声で電話があり、訊けば、帰ってきたはイイが餌をほとんど食べないでいたので おかしいなと思っていたら、前日の夜半に様子がおかしくなり、丸一日看病したけどそれも叶わず、ついに旅立ってしまったとのことでした。
取りも敢えず庭に埋葬したけれど、土くれだけでは殺風景でかわいそうだから、この時季の寒さに強いパンジーでも植えてあげたいとの意向だったのでした。
通説では、ネコは死期を迎えると、飼い主の下[もと]を去り、人知れずその生涯を閉じると言われていますが、オフクロの場合は逆、長いこと家を空けていたニャンが オフクロの下へ帰り、その懐に抱かれて生涯を閉じるを選んだものでした。
オフクロは、とりわけ動物に対しては慈愛をもって接し、この通いネコに対しても あたかも人の子に対するように話しかけ、愛情を注いできました。
一匹 子猫を連れてきた際には、これ以上の繁殖を抑えるため すぐに去勢の措置を施してあげ、その後も佳[よ]きパートナーとして暮らしていたものでした。
きっと このニャンにも、そんなオフクロの慈愛が通じ、最期の寝場所をオフクロのそばと決めたのでしょう。
そんなオフクロは 齢[よわい]90才、これまで何度か身内を看取っており、その度に悲しみを乗り越えてきました。
「最後は笑って。」が信条だそうです。
かくいう私も、オフクロには心配かけっ放しで現在に至っています。
ここでもまた、反省の念 しきりです。