二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2016明治安田生命J2リーグ第40節 熊本vs京都

2016-11-07 | 蹴球

  ロアッソ熊本●1-2京都サンガF.C.
            12'イヨンジェ
             (↑堀米勇輝)
            14'山瀬功治
             (↑こぼれ…イヨンジェ←堀米勇輝)
86'齋藤恵太
 (↑GKこぼれ←清武功暉)


[警告・退場]
・熊本
なし
・京都
72'石櫃洋祐(C1反スポーツ的行為)
77'エスクデロ競飛王(C2ラフプレー)


【全体の印象】
 序盤から立て続けにチャンスを作る京都。特にセカンドボールへの反応が早く、先制ゴールはルーズボールにアンドレイが競り勝ち、堀米が素早くイヨンジェに入れるショートカウンターから。2分後には高橋~本多のビルドアップから堀米が左サイドを長駆突破し、クロスにイヨンジェが潰れて山瀬が合わせた。その後もオフサイドとなった幻の3点目など熊本に決定機すら与えないほどに圧倒。途中熊本が4-4-2に布陣を変えたことで対応がルーズになる場面もあったが、前半のうちに持ち直した。後半、熊本はロングボール主体の力押しモードに。京都はこれを落ち着いて跳ね返しつつ、時折カウンターを繰り出す。86分、熊本に巻へのパワープレーから清武がアクロバチックなシュート、GK清水が弾いたボールを齋藤に詰められ失点を喫したが、以降は冷静に対応。終了間際にアンドレイが無人のゴールにロングシュートを放つシーンなどもあったが、1-2で逃げ切り。5位に浮上し、プレーオフ進出が確定した。


【雑感】
■京都の“型”
 毎度書いているが、今節も千葉戦以降継続する「陣形をコンパクトに保ち、しっかりプレスをかけ、奪ったらボールを早く前線に送り、人もボールも積極的に動くサッカー」を展開。熊本の出足が鈍かったこともあり、「奪う」という場面で常に優位に立ち、少し大袈裟な表現をすると、熊本を“蹂躙”した。
 堀米勇輝がパスの出し手、突破役として持てる力を存分に発揮した2つの得点シーンも素晴らしかったが、面白かったのは26分の3点目(ただしオフサイド)のシーン。およそ1分半、相手にボールを触れさせないままパスを29本繋ぎ、最後はエスクデロ競飛王のシュートのこぼれを詰めた本多勇喜がオフサイドだった。一連のパスでは頻繁に後ろに下げては出し所を探っている。一旦右サイドで作ろうとするが、下げてすぐに左サイドの堀米へ。そこから素早く中→右へと動かして石櫃洋祐のクロスが29本目のパス。ボールを動かすことで相手のズレを作り、隙間に人が入り込むという攻撃意図がよくわかる。「速い攻撃と厚みのある攻撃は、今取り組んでる部分なので、ペナルティボックスに入っていく意識は高まってきている」(石丸監督)というこの形こそ、今現在のストロングポイント、いわば京都の“型”で、その精度は試合を重ねるごとに磨かれつつある。

■判断を奪う
 後半パワープレーに出てきた熊本への対応はまずまずだったが、結果的には総じて受け身に回る格好になった。堀米のコメントは「後半も相手に主導権を渡さずに圧倒できれば、チームとしてもっと上に行けると思う」。理想論としては、まったくその通り。がしかし、プライドを賭けて勇敢に勝負に出たてきている相手をさらに圧倒するとなると、それ相応の運動量を注ぎ込む必要がある。中2日のアウェイ連戦だったことを考えれば、きっちりブロックを布いてロングボール跳ね返す迎撃モードになったことはベターな選択だったかと。失点場面は巻誠一郎の高さと清武功暉の巧さが噛み合った見事なもので、これは相手を褒めるしかない。と同時に、相手がパワープレーモードでガンガン放り込んできた時にどう対処すべきか、という課題も明確になった。
 もちろん理想としては、90分ゲームの主導権を握りたい。でもそれは無理だし、相手が「強硬手段」に出てきた場合には特に柔軟な対応が求められる。プレーオフの1回戦で当たりそうなピンク組チームは、前線への放り込みからの個の打開を得意としている。大事な大一番になった時には、この熊本戦よりもいい手を打っていきたいところ。堀米は言う。「全員が良いポジションを取りながら、相手の判断を奪えるようなサッカーができることが理想」。実は押し込まれる時はピンチであると同時に《守→攻》の切り替えで相手の判断を一瞬にして奪えるチャンスでもある。相手に主導権を渡しても、一気に切り替えてしまえるカウンターだ。この試合でもCKの守備から國領-石櫃-内田のカウンターや、エスクデロの単騎突破などがあった。さらに精度を高め、敵をぶった切れる鋭さを持つ伝家の宝刀「大熊切」を手にしたい。あ、大熊って言っちゃったね。