京都サンガF.C.△0-0△ギラヴァンツ北九州
[警告・退場]
・京都
64'山瀬功治(C1反スポーツ的行為)
・北九州
なし
【全体の印象】
ボールを回して崩したい京都と、防備しつつカウンターで一刺ししたい北九州という構図。北九州が京都ゴールを脅かしたのは前半に本山のスルーから抜け出した星原が放ったシュートただ1度だけ。ほぼ全時間帯で京都が主導権を握り続け、エリア外からのミドルやセットプレーからのヘッドなどを北九州ゴールに撃ち込み続けたが、GK阿部にことごとく阻まれた。残り10分少々となったところでキロスを入れて放り込み作戦に出たが、これは大失敗。キロスは味方のいる方向にすら落とせず、イヨンジェは活路を見いだせなくなり、中盤に下がったエスクデロが長いボールを蹴るだけの雑なサッカーに。守備面の安定感は大きく改善したものの、迫力やダイナミックさに欠け、キロス投入以降は緻密さや緊張感も欠く物足りないドローとなった。
【雑感】
■得点力不足の要因
シュート数は、京都21-4北九州。山のようにシュートを放ちながら、結局FC東京育ちの守護神・阿部伸行の牙城を崩せなかった。決してシュートが枠に飛ばなかった訳ではない(2~3、枠にさえ飛べば決定的なものもあったが)。内容としては悪くはないのだが、相変わらず勝利の女神に見放された状態。いくつか気になることを列挙してみたい。
・攻撃のスピードが遅い
ボールを持ってから敵陣に攻め込むまで時間を費やしすぎる“遅攻”となるシーンがとにかく多い。わかりやすいのは、佐藤健太郎がセーフティにボールを動かしすぎる点。もちろん前節の「焦りすぎ」の反省でもあったのだろうが、佐藤のところでボールのスピードが上がらないと、全体のテンポも遅いままになる。右SBに復帰した下畠も、駆け上がるまではいいのだが、一度止まってわざわざ勢いを殺してからパスをさばきがち。石櫃なら縦へのスピードを殺さずにクロスを上げられるのだが…。
・エリア内に人が侵入しない
散々放ったシュートはエリア外からのミドル、もしくはセットプレーからのものがほとんどで、流れの中でエリア内に侵入してシュートを放つというシーンがあまりにも少なかった。例えば有田にボールが入った時、それを追い越してエリア内に斬り込むような動きがなく、ここ最近はエスクデロ経由でエスクデロのアイデアのみでチャンスが消化されてしまいがち。監督はエスクデロやアンドレイが敵陣内でスペースを見つけて入り込むプレーを期待していたようだが、本来この役目をこなしていた選手は堀米だ。その堀米が精彩を欠いている。
■疲弊する攻撃の中心
最後に挙げたい点が取れない要因は、
・堀米の慢性的な疲弊
最近、FW陣に離脱者が多かったこともあり、とにかくエスクデロにボールを集めることがパターン化し「エスクデロのチーム」のようになっているが、このチームの攻撃の中心は、セルではなく堀米だと考える。エリア内に侵入できる機動力や大胆さを持ち、シュート精度やパス能力はチームで群を抜く。怪我で出遅れたが4月・6節山形戦でスタメンに入ると初勝利に貢献。以降、5ヶ月半使い詰めできたこともあり、夏場を越えたあたりから徐々に運動量やプレー精度が落ちているように見受けられる。このゲームでも星原相手に守備に追われたこともあり、高い位置までなかなか進出できず。堀米とエスクデロ両方にキレがある時は怖ろしいまでの威力を発揮するユニットになるのだが、シーズン終盤にさしかかった今、疲労が溜まっているのだろうか、そのキレに陰りが見えている。
リフレッシュさせられるといいのだが、攻撃的サイドハーフは極めて層が薄く、そう簡単に堀米を休ませられないのが現状(本音を言えば夏のウインドーでサイドハーフを補強してほしかった)。残り9試合は現有戦力でやりくりして戦うしかない。今いるメンバーの中で、エリアへの斬り込みが堀米の次に期待できそうな選手はアンドレイだ。中途半端にポジションチェンジで前に出すのではなく、いっそアンドレイを攻撃的MFに固定してみては?そうそう、終盤にロングボール大作戦をやりたい時も、キロスよりは役に立つのではなかろうか。