二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2016明治安田生命J2リーグ第11節 京都vs清水

2016-05-04 | 蹴球

京都サンガF.C.2-1●清水エスパルス
63'山瀬功治
 (↑こぼれ)
68'有田光希
 (独走←堀米勇輝)
           90+1'北川航也
             (↑白崎凌兵)

[警告・退場]
・京都
22'エスクデロ競飛王(C2ラフプレー)
・清水
なし


【全体の印象】
 立ち上がりから両サイドで優位に立った清水が主導権を握り、GK菅野の好セーブなどでどうにか凌いだ京都。全体が守勢に立ち、攻撃ではダニエルロビーニョだけが可能性を見せられていたが、そのダニロビも負傷交代。後半も引き続き主導権は清水にあったが、中盤での競り合いで両者渡りあえる状況となると、このゲームで初めて見せた有効な攻撃から得たCKの流れで山瀬が豪快な一撃。すかさず有田が単騎突破から加点し流れをガッチリ引き寄せ、守備でも積極的に立ち回った。終盤に失点を許したものの、怯むことなく高いラインを保ち、強敵に勇敢に立ち向かった末の勝利をモノにした。


【雑感】
■完璧なチーム・清水
「サッカーはミスを競うスポーツ」というロジックがある。なるほど、局面が動いた場面を巻き戻せば、ミスやアクシデントに端を発する場合がほとんどだ。そういう意味では、この日の前半の清水はミスを犯さない、限りなく完璧に近いチームだった。技術的なミスが少ないのはもちろん、戦術的なエラーも見当たらない。布陣が乱れることは皆無で、エラーにつけ込めない京都の攻撃は正直お手上げ状態。「ミスが少ない」というのは上のカテゴリーと当たる時に感じる力差であるのと同時に、小林伸二監督らしいチームの特徴ともいえる。(ミスが少ない堅実さの反面、セオリーから逸脱できないという煮え切らなさを伴うが)
 一方の京都は、一時期よりマシにはなったがミスの多いチーム。綻びを衝かれて攻勢を浴び、中盤の山瀬・アンドレイが低めに位置取ったためセカンドボール回収もままならず、結局清水に主導権を渡したまま守護神菅野を中心に最後尾で凌ぎ続けた。前半は非常に息苦しい戦いだった。困難に耐える本能が勝つか、心を折ってしまいたい本能に負けるか。そういう状況でハーフタイムに監督がどんな修正を施したのか興味深いが、監督コメントでその手の内の一端を明かしている。

■苦戦の中で掴み取ったもの
 後半に入りセカンドボール回収のところで互角程度までバトルできるようになり、徐々に流れを引き寄せ始めたのは石丸監督の修正通り。もうひとつ重要なのは、思うように攻め込めない状況にじれて勝手な行動に走る選手がいなかったこと。監督の指示を信頼し、それぞれが歯車として役割をこなすうちに好機は訪れた。京都は、最初の“いい形の攻め”を繰り出すのに実に62分もかかった。石櫃のカットから始まり、アンドレイが石櫃を走らせ、石櫃のクロスを逆サイドの本多が受けてシュートに至ったシーン。そこで得たCKから山瀬が先制弾が生まれる。ようやく手繰り寄せたいい流れに乗った。
 いい流れとは何か?目に見えないものなので明確な答えはないが、それは心理的に優位に立つことと無関係ではないだろう。石丸監督が授けた修正をこなすうちに徐々にボールを持てるようになったことで自信も深まっただろうし、守備陣の踏ん張りが「やれるぞ!」という心理を呼び込んだともいえる。いずれにしろいい流れをしっかりモノにした京都は、時をおかずに有田の追加点。こうなると守備陣もさらに奮起するという前節同様の好守の相乗効果を生む。
 決して簡単なゲームではなかったし、むしろ苦戦だった。清水はやはりJ1レベルに最も近いチームだった。そんな苦戦の中で掴み取ったものは、スローガンに掲げる“一丸”への欠片だ。監督の指示への信頼感、選手同士の信頼感はさらに一段階向上するだろう。だが、まだまだ未完成のチームであることは忘れてはならない。