二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2012 J2第34節 山形vs京都

2012-09-17 | 蹴球

モンテディオ山形●1-2○京都サンガF.C.
           45'+1工藤浩平
49'石川竜也
           68'中村充孝

■耐えることの大事さ
 耐えること。たぶん人間にとって一番苦しいこと。古今東西、耐えた者が最終的に勝利を掴み、耐えきれなかった者が勝利を逃した例は、山ほどある。今まで結果は出なくとも主導権を握り続けていた京都サンガ。しかしながら山形は桜印の助っ人・ブランキーニョを中心としてしっかりとゲームを組み立て、京都に主導権を渡し続けることはなかった。一進一退。どちらが得点してもおかしくなかった前半は、最後の最後で京都・黄大城のCKを山形DFが跳ね返した所、工藤浩平が絶妙の胸トラップから壮麗なボレーを決めてゲームを動かした。しかし両者に明確な差はなかった。山形が追いついたのは後半立ち上がりからすぐ。守備時には完全に3バックになる京都の守備陣が、ボールサイドに集まった瞬間に山形が左サイド(京都の左サイド)に展開。ボールにチェックをかけていたのは安藤淳であり、そのカバーは誰もいなかった。京都としては、こういう状況が生まれるのは承知でプレスをかけに行っている。ここで目先の状況に気持ちをマイナスにしてしまえば、あるいは崩れていたかもしれない。しかし、今日の京都は耐えた。大木監督も軽々しくカードを切ることなく、耐える姿勢をみせた。耐えることの先にあるのは、決して明るい未来だけではない。ただ、前節が耐えきれずに変えてしまって崩れた訳で、ここで動かない選択をしたというのは、評価したい。

■記録に残らないアシスト
 耐え続けた具体的な部分は、長沢駿だろう。決して前線の起点になりきれず、ボールを持っても失うシーンも散見した。それでもせっかく起用した選手を、大木監督は変えない選択をした。いや、変えようとしたところで「結果」が出たというべきだろうか。60分を過ぎてから長沢の高さがチャンスを生み始め、68分、中村充孝のゴールが生まれる。細かいタッチで山形守備陣がボールに触れていないのに勝手に倒れてしまったように見えるほどの技巧的ドリブル。長沢はその裏深くに走り込み、山形DFの守備陣の視界を横切った。特に前田和哉などは完全に長沢に釣り出されてしまい、「どうぞどうぞ」という具合に中村充孝のシュートコースを空けてしまった。この決勝点における長沢のプレーにはもちろんアシストは付かない。だが、こういう大きな自己犠牲を払うことができれば、エース・中村充孝はもっともっと点を取れるのではないか?別にその役目は長沢でなくても、宮吉でも駒井でも、原でも久保でもいい。各選手が歯車のようになってパスをポンポンつなぐだけでなく、1枚クランクを噛まして横回転を縦回転に変えてしまうような攻撃が今後もできるかどうかが、昇格サバイバルに生き残るカギになりそうだ。



〈京右衛門的採点〉
水谷 6.5 …ビッグセーブで1点モノのピンチを阻止。終始安定し守備を盛り立てた。
安藤 6.0 …動きは守備偏重だったが、広い範囲を動いて無難に立ち回った。
バヤリッツァ 6.0 …中央で強さを発揮。前に行ってかわされてピンチを招く場面もあったが…。
福村 5.5 …簡単に裏取られるなどミスも多かったが、前向き守備では早い出足でピンチの芽を摘む。
 黄 6.0 …アウトサイドに張り続け、相手の脅威に。大事なところでのキックミスさえ無くせば。
チョンウヨン 5.0 …単純なパスミスが多く、相変わらずラフ。持つ時間が長くなると不安になった。
中山 6.5 …いい意味で見事な消えっぷり。裏方として最終ラインまで下がりながら守備を支えた。
工藤 6.5 …スルスルっと現れてはボールに絡み、チャンスを作った。先制点はベストゴールに投票したい美ボレー。
中村 6.5 …独特のリズムのステップで山形を翻弄。2点目素晴らしいが、もっとチャンスはあった。
駒井 6.0 …広範囲に献身的にチェックをかけ続ける仕事を90分続けた。イージーなミスは減らしたい。
長沢 5.5 …周囲と噛み合わずパス精度が悪かったが、2点目を生んだフリーランなど特筆すべき場面も。
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酒井 5.5 …猟犬のように相手を追い、猟犬のように前に走った。監督の期待した役割を果たす。
宮吉 ――
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大木監督 5.5 …軽率に動くことなく、根比べを制した。結論は中村充孝システムか?