二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2012 J2第33節 大分vs京都

2012-09-14 | 蹴球

大分トリニータ○2-0●京都サンガF.C.
33'為田大貴
79'チェジョンハン

■単調なる猛攻
 両軍お互いが平原に展開して、ガチで平地戦になる関ヶ原のような野戦なんて(日本の)歴史上レアなことで、大概は片方が陣地を高所に築いたりして、好・守がハッキリした戦いになる。極端に引き籠もれば籠城戦になるが、そこまでならないまでも、丘陵を城に見立てた“陣城”で守りを固め、反撃の機会をうかがう。まぁなんといいますか、そんな感じの試合だったのだ、この試合。苛烈に攻め立てるサンガ軍とソフト籠城を試みるトリニータ軍。サンガ軍は大分の陣城目掛けて何度も何度も猛攻を仕掛けるが、いかんせん軽兵。弓、石、鉄砲とさまざまな方法で攻めるも、どれも射程距離は短い。その上攻める方向は大体一方向。守る側からすれば、表、裏、表みたいな攻められ方をすればやりにくいが、同じ攻撃の繰り返しなら案外守りやすい。つまり攻めの手数は多かったが、バリエーションがなかった。そして一番最後の破壊力がなかった。単調で軽いパンチの連打を繰り返したサンガ軍、案の定自らの陣地の守備はお留守になる。トリニータ軍は少ない兵力でも易々と奇襲を成功させるのであった。

■「絶対」に縛られて
 結論から言えば京都は大分のカウンターに沈んだ訳だが、大木監督の「1点とられても2点奪えばいい」というスタンスは、対カウンターの意識は低い。相対的なサッカーをしないからだ。相手によってやり方を変えない「絶対」の世界では、自分たちが攻めを貫徹して相手を上回ることさえできればカウンター対策とか「相対」の立場である必要はない。もちろん、これは理論上の話。そうやっていつもブレないポゼッション&クローズなサッカーを貫いてきた大木監督が、今日はちょっと驚く交代カードを切った。いままで使わなかった長身FW長沢駿の投入だ。クロスを長沢に当てることで、ようやく繰り出すパンチにも強弱がつくようになり、攻撃に幅が生まれる。長もあれば、短ある。空中戦もあれば、地上戦もある。そんな攻撃は明るい結末を期待できるものだった。
 がしかし、大分GK清水圭介の活躍もあり最後の得点だけが奪えなかった。痺れを切らした大木監督は原一樹、宮吉拓実を次々に前線に送り込み、非常に頭でっかちになった布陣に。そんな状態で福村貴幸がつまらぬミスを犯し、逆襲をくらってダメ押しの失点。少ないチャンスをモノにした大分に対し、京都はシュート数17、コーナーキック数16もあったのに無得点。勝てないのはやはり押し込んでいる時間帯に決められないからだ。この絶対的サッカーを続けるならば、それは間違いなく。現状で昇格圏ギリギリ。結構限界も近いような気がした。


〈京右衛門的採点〉
水谷 5.0 …ピンチはしっかり防ぐが、弾きどころが悪く失点。2失点目の対応も軽率。
酒井 5.5 …森島を止めたり数的不利でもスピードを生かしよくブロック。
安藤 5.5 …危機を予測して広い範囲をカバーし続けた。ラインコントロールまで求めるのは酷か。
福村 4.5 …攻守どっちつかずでポジション取りも曖昧。2点目に繋がる凡ミス。
チョンウヨン 5.0 …背後はよくカバーしたが、パスにスピードがなく、テンポ悪かった。
中山 5.5 …低い位置でプレスとビルドアップを続け、黒子役に徹していた。
伊藤 5.0 …終始アグレッシブだったが、単純ミスが多くいい流れを止めてしまった。
工藤 5.5 …2列目からバンバン飛び出してチャンスを山のように築いたが、フィニッシュの精度が×。
 黄 5.5 …高い位置からプレス、チャレンジ、クロスを繰り返す。後ろのカバーも悪くはなかった。
中村 5.5 …守→攻を切り替え、圧倒的な存在感。時間が経つほどにシュート精度と味方との連携にズレが目立つ。
駒井 6.0 …自由に動きまくってボールに絡み続けた。後半の守備的な働きも効果的で運動量も落ちなかった。
---------
長沢 5.5 …ポストの役割を果たし、単調な攻めに変化をつけた。ただ、シュートは枠に飛ばしたかった。
 原 5.0 …個人で打開しようとチャレンジしたが、5バックになった大分の壁には通用しなかった。
宮吉 5.0 …左サイドでまったく存在感なし。持ち前の消える動きを出す前に、消えていた。
---------
大木監督 4.5 …想定プランが崩れ、勝負をかけたカードを切るも、バランス崩壊。得るものなき玉砕だった。