
取り締まりの対象があいまい
内田氏は、共謀罪法案と戦前の治安維持法との共通点は取り締まり対象の曖昧さだとして、刑法の犯罪が(1)人の行為が(2)明記された構成要件に該当し(3)有害な結果が発生し(4)当人に責任がある時に成立するのに対して、共謀罪や治安維持法はもっと前の段階で、行為も結果もないものを処罰する、取り締まり当局が犯罪だと思ったものが犯罪になると指摘する。
普通の人に拡大適用も
取り締まり対象について、治安維持法制定時の政府の説明が「全く乱用しません。共産党だけが対象です」(これ自体問題だが)であったのに、実際は自由主義者や新興宗教関係者など普通の人たちへと広げられたと指摘する。共謀罪でもテロリストたちを対象にすると説明しているが、実際には政府に批判的な意見をもつだけの普通の人たちも対象になる可能性がある。
戦争国家への一環
そして、共謀罪は戦争準備の法律だと指摘する。軍隊の移動などの軍事情報が漏れないようにする秘密保護法はできており、戦争に反対するような人は共謀罪で取り締まる。今後、すべての資源を戦争に動員できる総動員法をつくり、有事の「上からの」意思決定を準備する戦時組織法ができ、憲法を「改正」すれば、戦争国家が完成する。
自白強要でえん罪が頻発
また、裁判では共謀罪は自白で立証することになると指摘する。自白さえ取れれば有罪にできるので、捜査機関は長期間の身柄拘束をして自白が取れるまで取り調べることになり、えん罪が頻発するだろう。
国民が持つ武器は憲法
戦前と同じ破滅に向かわないための歯止めは、私たちが武器を持っていることだと指摘する。日本国憲法の下、反対する権利が保障され、デモをしたり集会を開いたり、本を出したり投書したりすることができる。裁判で違憲性を世に問うこともできる。そういった武器をもっと十分に活用しようと呼びかける。