「(北朝鮮のミサイルが)もし日本に落ちていたら、
政府は落ちてから『落ちたことがわかりました』と発表するのか。
こんな対応で国民は守れない」
ある自民党幹部が、このように憤ったと報道されていました。
田中防衛相や政府・民主党を擁護するつもりはありませんが、
仮に自民党政権だったとしても、結果は似たり寄ったりだったのではないでしょうか。
政府は、ミサイル発射直後に米軍からその情報を伝えられていました。
それにもかかわらず、「わが国としては、発射を確認していない」と発表しています。
すなわちこれは、日本には自力で第三国のミサイル発射を探知する能力がなく、
発射されても、着弾する前に迎撃する自衛力がないということを意味しています。
今回の「情報伝達の不手際」という点では、防衛相や政府の責任もあるでしょうが、
それ以前に、日本の防衛力の見掛け倒しを憂慮すべきではないでしょうか。
日本は、防衛費だけを見れば世界第6位(2011年)の軍事大国ですが、
その大半は自衛隊員の人件費に消えてしまっており、艦船・航空機、
銃火器類などの装備や防衛システムにお金をかけているわけではありません。
ましてや、戦力が世界第6位というわけではないのです。
そういう意味では、現在の日本の国防力の心細さは、
民主党政権に始まった話ではなく、連綿と続いた自民党政権の責任でもあり、
自衛隊を「税金のムダ遣い」と否定してきた一部の国民の責任でもあります。
その根幹の部分にほおかぶりをし、政府・民主党を非難する資格は誰にもありません。
自民党政権だったら日本が守れるのでしょうか。
「民主党よりも、ちょっとだけマシ」という程度ではないでしょうか。
東日本大震災では、自衛隊の活躍が拍手喝さいをあびました。
あれも自衛隊の仕事ですが、自衛隊は「災害復旧救助隊」ではありません。
いくら復旧・救助の訓練や装備を充実したところで、
悪意を持った第三者から国民を守れるわけではありません。
ましてや米軍が、日本を狙うミサイルを探知し、
自衛隊に先駆けて打ち落としてくれるはずもないのです。
そのことを私たちは自覚する必要があるのではないでしょうか。
ミサイルが飛び交うようになってからでは遅いのです。