くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

上司と必ずうまくいく方法とは?

2011-11-26 23:05:43 | 書籍の紹介
転職する若手社員の半数以上が、
「職場の人間関係」を理由にあげているそうです。
特に、上司との関係がうまくいかないといいます。


「人は上司になるとバカになる」 菊原智明 著 / 光文社 刊

一社員だったときは仕事もできて、面倒見の良い、頼りになる先輩だったのに、
課長や部長になったとたん、急に嫌な上司になってしまうことは珍しくありません。

そんな上司にどのように対処し、どうつき合っていくか。
この本では、そんな上司に悩む社員のための対処法を紹介しています。
嫌な上司のタイプを五つに分類し、長々と解説していますが、結論はひとつです。

①嫌な思いをしても反論せず、その場はこらえて言うとおりにする。
②そして仕事で実績をあげ、上司の信用と信頼を獲得する。

たったこれだけです。
そうすれば、たいていのことには上司は目をつぶり、口を出さないようになります。
残念なことですが、会社は 「何を言ったか」ではなく、
「誰が言ったか」が重視されることが多いところなのです。
いかにもトヨタホームで8年間トップセールスマンに輝いた著者らしい言葉です。

身も蓋もありませんが、現実であり真実です。

管理職になったとたん嫌な上司になるような人は、
部下のことが嫌いになったわけでも、憎いわけでもありません。
平社員のときにはなかった、組織に対する責任や役職への保身がそうさせているのです。
したがって、その点を安心させてあげればいいというわけです。

「そういう上司だと思って聞き流す」
「仕事に打ち込み、成果が挙がるその日まで虎視眈々と準備を続ける」
そんな言葉には、あたりまえすぎてあきれるのを通り越し、怒りさえ覚えてしまいました。

それは結果論であって対処法ではありません。
読者が聞きたいのは、そんなありきたりの言葉ではないはずです。

少なくとも、上司との人間関係に悩み、
藁をもつかむような思いで本書を購入しても、ここには「救い」はないでしょう。
そんな読者は、「詐欺だ!」と憤慨するかもしれません。

ただ、そんな人間関係に悩める読者も、
このような上司はどこの会社にもいるということを認識すべきでしょう。
学校であれば、自分と合わない人・嫌いな人とはつき合わないようにすることができます。
しかし、会社ではそういうわけにいきません。

生まれ育った場所も、年代も、立場も違う人の集まりが会社です。
むしろ気の合う人より、合わない人の方が多いかもしれません。
人間関係を理由に辞めていたら、一生転職を繰り返さなければなりません。

相手を変えようとしても、人間関係はうまくいきません。
だから自分を変える。
その究極の方法が、「仕事で実績をあげる」ことだということです。

やっぱり、身も蓋もありませんね。
ちょっとがっかりした本でした。