モトログ ~ある診断士の終わりなき挑戦~

経営革新の現場から ~事業計画書の必要性~

kurogenkokuです。
経営革新承認申請2社分の目処がたってホット一息しているところです。
ところで各都道府県により経営革新承認申請の提出書類は異なります。
一例を挙げますと・・・。


【東京都の例】
・経営革新計画承認申請書
・定款
・商業登記簿謄本(個人事業主は住民票)
・直近2期間の営業報告書又は事業報告書
・直近2期分の貸借対照表、損益計算書

【埼玉県の例】
・経営革新計画承認申請書
・事業計画書
・定款
・商業登記簿謄本(個人事業主は住民票)
・直近3期間の営業報告書又は事業報告書
・直近3期分の貸借対照表、損益計算書
・会社案内



以前もこのブログで書きましたが、埼玉県の経営革新承認申請が他の都道府県と異なるのは「事業計画書」の提出が求められているという点です。これが大変面倒だという声も多いのですが、kurogenkokuは善意に捉えています。


事業計画書をしっかり組み立てていけば経営革新計画承認申請書はそれをコンパクトに要約した形で簡単に作成できます。裏を返せば経営革新計画承認申請書だけだと内容が薄いので、言葉は悪いですが「やりたいことだけ書いていれば数字合わせで通ってしまう」可能性もあります。
事業計画書をつくることによって「なぜその取り組みをやるんですか?」「その取り組みの実現性は大丈夫ですか?」「実施体制は整っていますか?」「キャッシュフローはまわりますか?」「経営革新の実施項目について誰が責任を持ってやるんですか?」という問いかけに対して、具体的に答えることが出来ます。

もともと経営革新に取り組む企業は意識が高い方が多いので、経営革新計画承認の「名よりも実を取る」ことに意義を感じるでしょう。そういった点で、大変ですけど埼玉県方式はイイと感じているのが本音です。


参考までにkurogenkokuの場合、事業計画書はおおよそ以下のようなステップでまとめていきます。

1.会社概要・沿革
2.当社の強みと弱み
3.当社を取り巻く環境(市場・顧客・競合等の状況)
4.○年後のビジョンとビジョンに向けた課題
  *○には経営革新申請の3~5年が入る
5.課題解決のための方策
6.経営革新テーマと取組内容の説明
7.販売計画
8.設備投資計画(設備投資をしなければなし)
9.雇用計画(新規雇用がなければなし)
10.事業推進体制
11.売上利益計画
12.返済計画
13.行動計画


少ない企業で15~16ページ、多い企業で35ページくらいのボリュームになります。

ここで注意しなければならないのは、この事業計画書をコンサルタントが「作文」してはならないということです。
「作文」してはならないというのは文章を書くなということではなく、ひとつひとつ経営者と対話しながら進めていく必要があるということです。

経営革新計画は「診断報告書」ではありません。「実施計画書」です。
ですから対話しながら仕上げていく、自分の場合は宿題を出して経営者に外部環境分析までやっていただくこともあります。ある経営者については顧客先を訪問して「真のニーズ」を聞き出してきていただきましたし、競合各社の優劣(自社と比較した場合)もリストとして提出していただきました。
ここまでやれば、きっと「動く」経営革新になるはずです。



ついつい「経営革新論」になると熱くなってしまうのですが、経営者に魂を吹き込むのも中小企業診断士の仕事だと思っています。

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コメント一覧

kurogenkoku
NANAさんこんばんは。
http://blue.ap.teacup.com/motokuni/
NANAさんならきっと理解してくれると思っていました。

****************
昨年、若手診断士の方を前に経営革新について講演させて頂いた時は、「文書代行業にはならないでね」と申し上げました。経営革新計画書を「タダの紙」にするか、「動ける紙」にするか、コンサルタントの力量が試されるなって思います。
****************

激しく同感です。
さすがNANAさん。惚れ直しました(笑)
NANA
kurogenkokuさん、こんにちは。
http://blogs.yahoo.co.jp/nana_consulting/MYBLOG/yblog.html
私も埼玉県の方式は、申請側からすると面倒かもしれませんが、経営者の考えを整理して事業として具体的に行動できるツールになると思うので、いい方法かなって思っています。
事業計画書をコンサルタントが「作文」してはならない、というのも全くその通りですね。昨年、若手診断士の方を前に経営革新について講演させて頂いた時は、「文書代行業にはならないでね」と申し上げました。経営革新計画書を「タダの紙」にするか、「動ける紙」にするか、コンサルタントの力量が試されるなって思います。
この話しになると、私もつい熱くなるので、また機会を見て語りたいですね(^^)
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