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最近ちょっとお疲れ気味

南アフリカ製のドイツ車

2008-08-02 23:55:48 | 海外ものづくり事情
 小学校6年生の娘の社会科の勉強を見てあげたのですが、日本の貿易に関する問題はなかなか難しいなあと思いました。

【問題】
下の表は、日本の主な輸入相手国と輸入額の比率です。カッコの中にあてはまる輸入品目を答えなさい。

(      )
オーストラリア 52.4
ブラジル 25.4
南アフリカ共和国 6.1
インド 5.5
フィリピン 5.2

(      )
中国 82.5
イタリア 4.7
ベトナム 3.0
タイ 1.1


 答えは、上が鉄鉱石、下は衣類です。しかし、これはどうでしょう。

(      )
ドイツ 48.8
イギリス 14.4
南アフリカ共和国 10.3
アメリカ 7.3


 ドイツ、イギリス、アメリカが上位にランクされていますから、原材料や農産物ではなく工業製品だろうと目星はついても、南アフリカが3位という点にひっかかりますよね。答えは自動車なのですが、ちょっと納得しづらい方が多いと思います。
 ドイツが1位というのは理解しやすいでしょう。しかし、まず2位がイギリスという点が意外です。ジャガーやローバーはそんなに日本で走っていたかなあ、と思われるかもしれませんが、実はイギリスからの輸入車には日本メーカーがイギリス工場で作った逆輸入車が多く含まれているのです。日産はSUVの「デュアリス」を輸入し(こちら)、トヨタは中型乗用車の「アベンシス」を輸入しています(こちら)。英ポンド高にもかかわらず、よくやるなと思います。

 そして3位の南アフリカ共和国ですが、この国には世界のあらゆる自動車メーカーが進出しています。南アフリカ共和国自動車工業会のホームページをみると、会員リストには日米欧の主要メーカーのみならず、韓国、マレーシア、インド、ロシアのメーカーも名前を連ねており、いくらなんでも進出しすぎなのではないかと余計な心配をしてしまいます。
 データがないので確たることは言えませんが、中でもBMWなどドイツ車が多く日本に輸出されているものと思われます。日本のBMWオーナーの掲示板をみると、この南ア製のBMW車について議論されているのですが、「BMW車だから買うのであってドイツ製にこだわる必要はない、南ア製は性能いいよ」といった意見を述べる大人な方もいるのですが、残念なことにアフリカ人に対する偏見としか思えない意見が少なからず見られます。自動車生産が国際化しているにもかかわらず、やはり舶来品信仰は我が国では根強いようですね。



 参考までに2007年の財務省「貿易統計」から算出した、輸入相手国別(上位10カ国)の乗用車(ガソリン車)の輸入額、輸入台数を以下に示します。イギリス、南アフリカ以外にも意外が国がランクインしていますね。

(輸入額:千円)
Germany 434,470,068
UK 132,079,644
S-Africa 95,695,235
USA 58,772,057
Italy 33,400,019
Mexico 21,912,527
France 21,670,971
Sweden 20,335,881
Belgium 19,876,614
Hungary 11,897,500

(輸入量:台数)
Germany 96,434
UK 56,943
S-Africa 39,751
China 17,660
USA 15,259
France 12,333
Mexico 11,959
Italy 6,864
Belgium 6,473
Thailand 4,593