クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

本、でました ―『羽生城と木戸氏』―

2010年11月03日 | クニ部屋の本棚
編集者の伊藤さんの話によると、
今日11月3日から『羽生城と木戸氏』(冨田勝治著)が全国の書店に並ぶという。

拙ブログですでに何度か紹介しているが、
この本は平成4年に刊行された『羽生城―上杉謙信の属城―』のリニューアル本である。
名前を改め『羽生城と木戸氏』とした。

版元は“戎光祥出版”(えびすこうしょうしゅっぱん)。
同社は「中世武士選書」というシリーズ本を刊行していて、
『羽生城と木戸氏』はその3冊目ということになる。

これは、入手が困難になった優れた歴史書を刊行しようという企画で、
すでに『武田信重』(磯貝正義)や
『安芸武田氏』(河村昭一)が出ている。

なぜ『羽生城』に白羽の矢が立ったかというと、
“黒田基樹”という学者から推薦されたためだ。
黒田氏は駿河台学の准教授で、
関東戦国史をやる者は避けて通れない人物である。
拙ブログに載せた記事も、
黒田氏の著書を多く参考にしている。

生前、冨田氏の書斎へ行くと、
黒田氏の著書がズラリ並んでいたのを覚えている。
「いい本だよ。この人の論文は好きなんだなぁ」と、言っていた。

冨田氏が亡くなって2年が経ったいま、
黒田氏から『羽生城』が伊藤さんに推薦され、
再刊行されるという運びになったわけだ。
著作権を持つ冨田家に話を持っていくと快く承諾。
8月頃から編集作業がはじまった。

ぼくが伊藤さんと会ったのも8月頃で、
編集協力という形でいろいろと携わることになった。
師の本である。
ぼく自身、この再刊行の話は感慨深いものがあった。

休日を返上して打ち合わせをしたり、
伊藤さんと写真撮影を撮影をしたり、
または小見出しの作成や校正の朱入れ、
著書紹介の文章を書いたりした。
決して楽ではなかったが、
師の本という思い入れが体を動かしていたと思う。

「あとがきを書いてくれませんか?」と伊藤さんに言われ、
冨田氏やまつわるエピソードと、ぼく自身の想いみたいなものを書いた。
それは「冨田氏の遺志を読む」として、
『羽生城と木戸氏』に載っている。
手違いでぼくの名前が前と後ろにあるのだが、
これはご愛敬としてもらおう。

『羽生城と木戸氏』は、冨田氏が二十歳前後から始めた羽生城研究の結晶である。
伝説や伝承の域を出なかった羽生城を、
初めて学術的に解明した。
今日羽生城史を知ることができるのは、
冨田氏の研究のおかげと言っても過言ではない。

そんな熱い魂みたいなものが、『羽生城と木戸氏』には詰まっている。
この本を通して、羽生城に入城する者がどんどん増えていくことを願ってやまない。
ちなみに、章立ては以下の通りである。

第一章 羽生城とその周辺
   1 羽生城跡を探る
   2 羽生城の支城
第二章 羽生城主木戸氏・広田氏
   1 木戸氏の出自
   2 鎌倉・古河公方と木戸氏
   3 広田氏と木戸氏
第三章 戦国時代の羽生城
   1 初期の羽生城
   2 羽生城と皿尾城の攻防
   3 危うし羽生城
   4 羽生・関宿両城の陥落
   5 落城後の将兵と城領のゆくえ



『羽生城 ―上杉謙信の属城―』
冨田勝治著、平成4年刊、私家版
これはいわゆる旧版である。




『羽生城と木戸氏』(冨田勝治著・戎光祥出版社)
上の画像は同書の裏表紙。
限定1000部の刊行。
2200円+税
http://www.ebisukosyo.co.jp/

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 雨の日に食べる“ラーメン”は... | トップ | 編集者と行く羽生城めぐりは... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

クニ部屋の本棚」カテゴリの最新記事