クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

『羽生・行田・加須 歴史周訪ヒストリア』のウラ話(6) ―職務質問―

2016年03月23日 | クニ部屋の本棚
この頃はめっきりなくなりましたが、
20代の頃はお巡りさんからよく職務質問を受けました。
自転車に乗って、羽生・行田・加須の史跡を巡っていた頃のことです。

史跡と言っても観光地ではありません。
田んぼが広がるところや、ひとけのない神社仏閣だったりします。
そんなところをウロウロしているのですから、
お巡りさんの目に留まっても仕方ないというもの。

それに、当時の自転車は高校時代から使っていたものです。
一度盗難にあい、数年後に取り返したのですが、前カゴがない状態でした。
ひと目で年季の入った自転車だとわかります。

それに、ぼく自身が挙動不審だったのでしょう。
別に悪いことはしていないし、やましいこともないのですが、
もしかすると怪しい動きをしていたのかもしれません。
パトカーに乗ったお巡りさんに呼び止められ、その場で職務質問。

どこへ行く途中(あるいは帰り)なのか?
この自転車は自分のものか?
職業は?
どこに住んでいるのか?
身分を証明するものはないか?

質問事項はおおよそそんなものだったと記憶しています。
必ず確認されたのは、窃盗自転車か否かということです。
やはり自転車が呼び水だったのかもしれませんね。

どこへ行く途中か? の質問に「羽生城」と素直に答えると、
「羽生に城があるのか?」と驚かれたこともありました。
羽生城では地元民でもあまり知られていないお城。
お巡りさんが驚くのも無理はなく、
興味を持つ方と、胡散臭く思う方の2パターンだった気がします。

逆に騎西城近くで職務質問を受けたときは、
「騎西城も知らないのか?」というようなことを言われた記憶があります。
騎西城址には天守閣のようなものが建っています。
地元では、子どもでも騎西に城があったことを知っているのでしょう。
知名度によって、お巡りさんの反応も異なるんだな、と思ったものです。

いずれのお巡りさんも親切でした。
威圧的な態度をとるお巡りさんはいません。
新人ぽいお巡りさんがニコリともせず、
いかにもマニュアル的な職務質問をしたこともありましたが、
ベテランになるほど気さくで、それでいて的を射た質問をしてきた気がします。

悪いことは何もしていないのですから、
職務質問は比較的早くに終わります。
周囲の目が気になるときもありましたが、
やましくないのですから堂々としていればいいのです。
ぼく自身、回数を重ねる程、職務質問が板についていたと思います。

「がんばれよ」と言ってくれたお巡りさんもいました。
「また君か」と言うお巡りさんも……。

職務質問を受けなくなったのは30代になってからです。
30代になっても自転車に乗っていたのですが、
とんと呼び止められなくなりました。
パトカーと出会ってもすれ違うだけ。
職務質問を受けないことに越したことはないのですが、
通り過ぎていくパトカーにいささか寂しさを覚えたものです。

職務質問も一期一会。
お巡りさんとの出会いです。
質問が終わればすぐに去っていきます。
だから、ぼくはお巡りさんの名前や顔をはっきり記憶しているわけではありません。
中には、完全に忘れてしまった職務質問もあるのでしょう。

ぼくを怪しいと睨んだお巡りさん。
窃盗自転車と直感したお巡りさん。

人間は怪しかったかもしれませんが、
自転車は潔白そのものです。
いまとなっては懐かしい記憶です。
愛用していたボロボロの自転車を含めて。
もはや「昔」になりつつありますが、
ぼくを職務質問したお巡りさんが拙著を手に取って、
読んでもらえたら嬉しく思います。

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2 コメント

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Unknown ()
2016-04-01 11:30:07
イオン内の書店にて本を買ってからそれから古墳の説明会に行く。ランチはどこでしたらいいだろうか。一人で遠出をし羽生の駅前についた心細い私、老おばさんに駅前のおまわりさんは親切だった。いつもは家族の運転する車ですべての用事をすますという生活習慣の私がバスとタクシーを使い目的を果たし充実した思いで夕方の駅前にもどった。私はお礼心がふつふつ沸き、交番に寄り丁寧な案内をして頂いたことへのお礼とタカトリさんの本の自慢をして帰ってきた。イオン書店ではもっと目立つ並べかたをしてほしいとか、地元の優秀な書き手を応援することは書店活性化に繋がるからサイン会をしないんですかといって若い書店員
さんに変なオバサン目線をされたのとおおちがい。
タカトリさんごめんなさいね。またご結婚されていたんですね。おめでとうございます。タカトリさん描く女性群像は光る目の女から大喰らいの女性とユーモアにじむ
ようになってきて文学的におもしろくなっていいふうになっていますから、今後のタカトリ文学が楽しみです・
次回羽生文学散歩の節はよろしくおねがいします。
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虹さんへ (クニ)
2016-04-02 00:16:53
コメントありがとうございます。
羽生に来られた日は僕の出勤日ではなく、お会いできずとても残念でした。
てっきりご家族といらっしゃると思っていましたが、お一人で来られたのですね。
交通の便が都内とは異なりますので、さぞや心細かったと思います。
しかも当日は週末。
閉まっている駅前のお店もあって、ランチに悩むお気持ちもわかります。

それにしても、交番のお巡りさんは親切に案内してくれたのですね。
さすがお巡りさん。
僕も営業の仕事をしていた頃はよく交番にお世話になりましたが、
お巡りさんが親切に案内してくれたのはよく覚えています。
職務質問のときとは目つきも違いますしね(笑)

また、拙著をご購入いただき、ありがとうございます。
書店の平台は激戦区であることを改めて実感します。
サイン会を催したところで閑古鳥が鳴くと思いますよ(笑)
20代の頃、拙作を虹さんに読んでいただいたのを思い出します。
光る目と大喰らいの女性……。
懐かしいです。あの頃はそういうものを書いていましたね。
近況では、去年の暮れから小説を2本書き上げました。
20代の頃の作品とは全く異なるもので、歴史を題材にしていますが、
陽の目を見ることができればと思っています。
自分ではまあまあ気に入っています。
とはいえ、読み返すにはどうも二の足を踏んでしまうのですが……

ご報告が遅れましたが縁あって結婚しました。
式を挙げる直前に身内に不幸がありまして、大々的に披露するのは控えました。
あの頃はホント色々なことがありました。
現在は僕似とよく言われる男児もいます。
星座占いによると僕とは全く正反対の性格のようで、
この拙ブログで載せているようなものには全く興味を示さないかもしれませんね。
まあ、自分のテーマなり主軸なり道を見付けて、元気に育っていったらと思います。

4月に入り、新年度になりました。
文学散歩のこと、改めてご連絡したいと思います。
羽生でお会いできることを楽しみにしています。
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