楽しい本と、ちょっとシリアスな本を2冊、読みました。
≪ あの家に暮らす四人の女 ≫ 著 : 三浦 しをん
庭付きの 古い屋敷に住んでいるのは、マイペースな母と、刺繍が好きなアラフォーの娘、
そして娘の友達と、その若い後輩の四人。
父親は、母が昔追い出したらしく不在。その代わり、お庭番と称する老人が庭の一角に住んでいる。
その5人をめぐる出来事を、軽妙洒脱に描いた小説。
作者は、辞書の編集者を描いた「舟を編む」を書いた、三浦しをん さん。
柔らかい描写は前作と同じだが、この「あの家に暮らす~~」の方が、より笑いを誘う。
同居している友達の部屋が水浸しになったり
後輩がストーカーに遭ったり
カラスが喋ったり
父の霊が彷徨ったり
開かずの部屋から 河童のミイラが出てきたり
等々、奇想天外なストーリー展開。
でありながら、娘たちの悩み、人生観がドラマティックに綴られてゆく。
例えて言うなら、小説の「サザエさん」(?)とでも言おうか。 面白い!
≪ 太陽は気を失う ≫ 著 : 乙川 優三郎
以前読んだ、大佛次郎賞受賞 「脊梁山脈」を書いた 乙川優三郎氏の作品。
これも芸術選奨受賞。 筆の達者さ、文の精密さは変わらず。
前に挙げた「あの家に暮らす~~」とは打って変わって、シリアスな小説である。
人間の業、死、病、転機、失ってゆく愛などを、14の短編で、しんみりと書いている。
この14編の中に、自分とリンクする話があり
ふと立ち止まって、来し方を振り返ったり
これからの未来に思いを馳せたり
・・・でも 暗いばかりではなく、その中には救いがあって、その安堵感が嬉しい。
乙川さんは、癖になる!