(日経10/12:1面)
米半導体大手のマイクロン・テクノロジーはスマートフォン(スマホ)などに使う最先端の半導体メモリー(総合・経済面きょうのことば)を量産する。2013年に買収した旧エルピーダメモリの広島工場(広島県東広島市)に今後1年間で1千億円超を投じて最新設備を導入。来年前半に量産技術を確立する。半導体市況は弱含んでいるが積極投資を続け、メモリー世界首位の韓国サムスン電子に対抗する。(関連記事企業面に)
マイクロンは16年8月期に前期比4割増の58億ドル(約7千億円)を生産設備と研究開発などに投じる計画。パソコンやスマホでプロセッサーが処理中のデータを一時的に記憶するDRAMと、大容量データの蓄積に使うNAND型フラッシュメモリーの2つの半導体メモリー事業が対象となる。
DRAMの量産に向けた投資の多くを広島工場に振り向ける。半導体回路の線幅が16ナノ(ナノは10億分の1)メートルと世界最先端となる微細加工技術を使う。1台数十億円の最新鋭の製造装置も導入し、来年前半に量産工程の確立を目指す。
広島工場は15年8月期も1千億円規模で工場設備を拡張しており、2年連続での高水準の投資となる。広島工場で量産工程を確立した後、マイクロンが日本、米国、台湾などに持つ工場のいずれかで、さらなる増産投資に踏み切る見込みだ。
現行の20ナノに比べ、16ナノは1枚のシリコンウエハーから取れるメモリー製品の数が増えるため、生産性が2~3割程度高まる見通し。サムスン電子も現在、20ナノの技術を使って量産しており、さらに微細な加工を施す次世代DRAMの量産準備を進めている。
好不況を繰り返す半導体メモリーの価格は、世界的なパソコンの販売不振やスマホ出荷台数の伸び悩みを受けて緩やかな下落傾向にある。マイクロンは市況が低迷する時期に投資を厚くし、次の回復期に回収するビジネスサイクルを目指す。
マイクロンはDRAMで世界3位、NAND型フラッシュメモリーで4位。会社更生法の適用を申請して経営破綻した日本の半導体大手エルピーダメモリ(現マイクロンメモリジャパン)を13年に買収してDRAMのシェアを伸ばす一方、フラッシュメモリーは米インテルと協力しながら事業を進めている。
▼きょうのことば「半導体メモリー」 DRAMでは日本勢敗退

▽…パソコンやスマートフォン(スマホ)などに搭載し、写真や動画データのほか、ソフトウエアの演算処理情報などを保存する役割を担う。代表的なメモリーとして、作業中のデータを一時的に記録する「DRAM」と、電源を切った後もデータを保存し続ける「NAND型フラッシュメモリー」がある。
▽…DRAMでは1980年代にNECなど日本勢が世界シェアの過半を握っていたが、90年代にサムスン電子に首位を奪われた経緯がある。NECと日立製作所の事業統合で生まれたエルピーダメモリが2013年に米マイクロン・テクノロジーに買収され日本勢は同市場から敗退。サムスンとSKハイニックスの韓国勢とマイクロンの3強状態となった。NANDでは東芝がサムスン等と激しいシェア争いを繰り広げている。
▽…最近ではスマホや携帯端末で、データ量の多い動画を表示するなどメモリーの高機能化や省電力化が進んでいる。これまでの用途に加えて、自動車の電子制御や産業機器・医療機器の高度化によってメモリー市場は拡大。今後、あらゆるものがネットにつながる「インターネット・オブ・シングス(IoT)」の普及によって大量のデータのやり取りが生まれることから、さらなる需要増が期待されている。
(企業面)
▼マイクロンCEO、高度な技術に積極投資 「広島、重要な役割」
米マイクロン・テクノロジーのマーク・ダーカン最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材に対し「市況が厳しい時でも高度な技術の確立に積極的に投資する」と強調。また中国の半導体大手からの買収提案については、「自社がすべきことに集中している」と述べた。主なやりとりは以下の通り。(1面参照)
――半導体メモリーの価格は下落傾向にある。広島工場で投資を拡大する狙いは。
「市況が多少厳しくても成功のために高度な技術を追い求めなければならない。資金は潤沢で引き続き投資できる立場にある。広島工場には長期的に重要な役割を果たしてもらう」
――パソコンの販売不振やスマートフォン(スマホ)の伸び悩みでDRAM市場は今後、停滞するのでは。
「それは違う。モバイル分野の世界市場は伸び続け、さらにスマホ1台あたりのメモリーの搭載容量も大きくなる。そこに自動車や産業機器、医療機器の成長が上乗せされる。メモリー市場の未来に全く悲観してない」
――中国の半導体大手、紫光集団(北京市)から総額230億ドル(約2兆7600億円)の買収提案を受けたのか。
「噂に対しては一切コメントすべきではない。マイクロンは成功のためのプランがある。自社がやるべきことに集中している。将来は極めて明るいと考えている」
――政府の強力な支援を受けた中国の半導体メーカーをどう見ている。
「国を挙げて半導体産業を発展させようという強い意志を感じる。的を射た考え方だ。マイクロンも中国に多くの顧客を抱えており、ともに成長していきたい。願わくは(過剰な投資により)メモリー市場を混乱させない形で参加してほしいというのが本音だ」
米半導体大手のマイクロン・テクノロジーはスマートフォン(スマホ)などに使う最先端の半導体メモリー(総合・経済面きょうのことば)を量産する。2013年に買収した旧エルピーダメモリの広島工場(広島県東広島市)に今後1年間で1千億円超を投じて最新設備を導入。来年前半に量産技術を確立する。半導体市況は弱含んでいるが積極投資を続け、メモリー世界首位の韓国サムスン電子に対抗する。(関連記事企業面に)
マイクロンは16年8月期に前期比4割増の58億ドル(約7千億円)を生産設備と研究開発などに投じる計画。パソコンやスマホでプロセッサーが処理中のデータを一時的に記憶するDRAMと、大容量データの蓄積に使うNAND型フラッシュメモリーの2つの半導体メモリー事業が対象となる。
DRAMの量産に向けた投資の多くを広島工場に振り向ける。半導体回路の線幅が16ナノ(ナノは10億分の1)メートルと世界最先端となる微細加工技術を使う。1台数十億円の最新鋭の製造装置も導入し、来年前半に量産工程の確立を目指す。
広島工場は15年8月期も1千億円規模で工場設備を拡張しており、2年連続での高水準の投資となる。広島工場で量産工程を確立した後、マイクロンが日本、米国、台湾などに持つ工場のいずれかで、さらなる増産投資に踏み切る見込みだ。
現行の20ナノに比べ、16ナノは1枚のシリコンウエハーから取れるメモリー製品の数が増えるため、生産性が2~3割程度高まる見通し。サムスン電子も現在、20ナノの技術を使って量産しており、さらに微細な加工を施す次世代DRAMの量産準備を進めている。
好不況を繰り返す半導体メモリーの価格は、世界的なパソコンの販売不振やスマホ出荷台数の伸び悩みを受けて緩やかな下落傾向にある。マイクロンは市況が低迷する時期に投資を厚くし、次の回復期に回収するビジネスサイクルを目指す。
マイクロンはDRAMで世界3位、NAND型フラッシュメモリーで4位。会社更生法の適用を申請して経営破綻した日本の半導体大手エルピーダメモリ(現マイクロンメモリジャパン)を13年に買収してDRAMのシェアを伸ばす一方、フラッシュメモリーは米インテルと協力しながら事業を進めている。
▼きょうのことば「半導体メモリー」 DRAMでは日本勢敗退

▽…パソコンやスマートフォン(スマホ)などに搭載し、写真や動画データのほか、ソフトウエアの演算処理情報などを保存する役割を担う。代表的なメモリーとして、作業中のデータを一時的に記録する「DRAM」と、電源を切った後もデータを保存し続ける「NAND型フラッシュメモリー」がある。
▽…DRAMでは1980年代にNECなど日本勢が世界シェアの過半を握っていたが、90年代にサムスン電子に首位を奪われた経緯がある。NECと日立製作所の事業統合で生まれたエルピーダメモリが2013年に米マイクロン・テクノロジーに買収され日本勢は同市場から敗退。サムスンとSKハイニックスの韓国勢とマイクロンの3強状態となった。NANDでは東芝がサムスン等と激しいシェア争いを繰り広げている。
▽…最近ではスマホや携帯端末で、データ量の多い動画を表示するなどメモリーの高機能化や省電力化が進んでいる。これまでの用途に加えて、自動車の電子制御や産業機器・医療機器の高度化によってメモリー市場は拡大。今後、あらゆるものがネットにつながる「インターネット・オブ・シングス(IoT)」の普及によって大量のデータのやり取りが生まれることから、さらなる需要増が期待されている。
(企業面)
▼マイクロンCEO、高度な技術に積極投資 「広島、重要な役割」
米マイクロン・テクノロジーのマーク・ダーカン最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材に対し「市況が厳しい時でも高度な技術の確立に積極的に投資する」と強調。また中国の半導体大手からの買収提案については、「自社がすべきことに集中している」と述べた。主なやりとりは以下の通り。(1面参照)
――半導体メモリーの価格は下落傾向にある。広島工場で投資を拡大する狙いは。
「市況が多少厳しくても成功のために高度な技術を追い求めなければならない。資金は潤沢で引き続き投資できる立場にある。広島工場には長期的に重要な役割を果たしてもらう」
――パソコンの販売不振やスマートフォン(スマホ)の伸び悩みでDRAM市場は今後、停滞するのでは。
「それは違う。モバイル分野の世界市場は伸び続け、さらにスマホ1台あたりのメモリーの搭載容量も大きくなる。そこに自動車や産業機器、医療機器の成長が上乗せされる。メモリー市場の未来に全く悲観してない」
――中国の半導体大手、紫光集団(北京市)から総額230億ドル(約2兆7600億円)の買収提案を受けたのか。
「噂に対しては一切コメントすべきではない。マイクロンは成功のためのプランがある。自社がやるべきことに集中している。将来は極めて明るいと考えている」
――政府の強力な支援を受けた中国の半導体メーカーをどう見ている。
「国を挙げて半導体産業を発展させようという強い意志を感じる。的を射た考え方だ。マイクロンも中国に多くの顧客を抱えており、ともに成長していきたい。願わくは(過剰な投資により)メモリー市場を混乱させない形で参加してほしいというのが本音だ」