(日経10/12:新興・中小企業面)
ベンチャー企業が防犯セキュリティー市場を開拓している。警備員が巡回したり、駆けつけたりする労働集約的な市場だったが、監視カメラやインターネット関連技術の進化で人手を抑えたサービスが登場。単身や高齢世帯、小さな商業店舗といった大手の手が届きにくい需要に対応する。ベンチャーの新規参入で安心・安全を守るサービスが多様化しそうだ。
左:セーフィーのサービスはいつもと違う音や動きがあった時の映像を探しだし、スマホでみることができる
ソニー子会社のソネットが出資するセーフィー(東京・品川、佐渡島隆平社長)は、オリックスと組み8月から法人向け防犯サービスに参入した。監視カメラで異常を検知すると利用者に通知する。料金はリース方式でカメラ4台と動画の保存、設置工事費込みで月額1万1000円からに設定した。
警備員は派遣しないが「画質は高精細で使い勝手にも工夫した。大手の同等のサービスと比べると料金は10分の1ほどに抑えた」(佐渡島社長)という。
同社のサービスはエルモ社(名古屋市、林数馬社長)の超広角カメラを採用。手のひらサイズながら幅広い視野で鮮明な映像で異常を捉える。もとは米ゴープロが得意とするスポーツカメラなどの用途を想定していたが、防犯に転用して新市場の開拓にいかす。
アプリをスマートフォン(スマホ)にダウンロードして使う。ネットに接続したカメラからスマホを通じライブ映像をチェックできる。事務所や中小マンションのほか、美容室など小さな店舗から引き合いがある。
あわせて個人宅向けサービスも力を入れる。別売りのエルモ社のカメラで撮影した映像を月額980円で直近の7日間分を保存する。スマホでチェックするだけで異常な音や動きがあった時の映像を簡単に見つけ出せるのが特徴だ。
「クラウドを活用して録画装置などを省き料金を抑えた」(佐渡島社長)。女性の単身世帯や高齢者の見守りなどの需要を見込む。法人向けとあわせ年内に1万台の契約をめざす。
消費者の生活様式の変化にあわせ、機動的にサービスを提供するのもベンチャーの強みだ。
プリンシプル(福岡市、原田宏人社長)は10月下旬から固定のネット回線がない住宅でも使える防犯通知サービスを始める。窓やドアに付けたセンサーが異常を検知するとメールで知らせる。
これまではセンサーの情報を集めて携帯電話に通知する親機をネット回線につなぐ方式だった。スマホの普及でパソコンを使わない世帯が増えているため、通信機能があるタブレットを親機代わりに使う。初期費用は1万9800円で月額980円で利用できる。
警備員は利用者の要請に応じ、提携先の地元の警備会社から派遣する。派遣料を1回5000円と別料金にして月々の負担をおさえた。
警備市場は大手や地元の有力企業が強く「ヒト」が主役の労働集約型の産業だった。最近は警備員が立つ常駐警備からセンサーや防犯カメラなどを使う機械警備にシフトしつつある。
ベンチャーが相次ぎ参入するのはこのためだ。クラウドを使えば個別に録画装置を持たずに済み、映像もスマホで簡単にチェックできる。カメラの性能が高くなり設備コストも下がってきた。
飲食店予約システムのエスキュービズム・テクノロジー(東京・港、武下真典社長)は、9月にスマホでホテルなどの鍵を開閉するシステムで市場に参入した。
多言語対応の専用アプリを開発。パスワードと近距離無線通信規格「ブルートゥース」を使い利用日限定でスマホを鍵にする。アプリには観光案内やタクシーの配車といった機能も盛り込める。防犯機能に利便性を加えて、初年度100施設の契約を狙う。
日本防犯設備協会(東京・港)は「今後はドローン(小型無人飛行機)で侵入者を発見するといった新しいサービスの普及も期待できる」と指摘。小売店の監視カメラで蓄積した映像データを販売マーケティングに応用するといった派生ビジネスも広がりつつある。
ベンチャー企業が防犯セキュリティー市場を開拓している。警備員が巡回したり、駆けつけたりする労働集約的な市場だったが、監視カメラやインターネット関連技術の進化で人手を抑えたサービスが登場。単身や高齢世帯、小さな商業店舗といった大手の手が届きにくい需要に対応する。ベンチャーの新規参入で安心・安全を守るサービスが多様化しそうだ。
左:セーフィーのサービスはいつもと違う音や動きがあった時の映像を探しだし、スマホでみることができる
ソニー子会社のソネットが出資するセーフィー(東京・品川、佐渡島隆平社長)は、オリックスと組み8月から法人向け防犯サービスに参入した。監視カメラで異常を検知すると利用者に通知する。料金はリース方式でカメラ4台と動画の保存、設置工事費込みで月額1万1000円からに設定した。
警備員は派遣しないが「画質は高精細で使い勝手にも工夫した。大手の同等のサービスと比べると料金は10分の1ほどに抑えた」(佐渡島社長)という。
同社のサービスはエルモ社(名古屋市、林数馬社長)の超広角カメラを採用。手のひらサイズながら幅広い視野で鮮明な映像で異常を捉える。もとは米ゴープロが得意とするスポーツカメラなどの用途を想定していたが、防犯に転用して新市場の開拓にいかす。
アプリをスマートフォン(スマホ)にダウンロードして使う。ネットに接続したカメラからスマホを通じライブ映像をチェックできる。事務所や中小マンションのほか、美容室など小さな店舗から引き合いがある。
あわせて個人宅向けサービスも力を入れる。別売りのエルモ社のカメラで撮影した映像を月額980円で直近の7日間分を保存する。スマホでチェックするだけで異常な音や動きがあった時の映像を簡単に見つけ出せるのが特徴だ。
「クラウドを活用して録画装置などを省き料金を抑えた」(佐渡島社長)。女性の単身世帯や高齢者の見守りなどの需要を見込む。法人向けとあわせ年内に1万台の契約をめざす。
消費者の生活様式の変化にあわせ、機動的にサービスを提供するのもベンチャーの強みだ。
プリンシプル(福岡市、原田宏人社長)は10月下旬から固定のネット回線がない住宅でも使える防犯通知サービスを始める。窓やドアに付けたセンサーが異常を検知するとメールで知らせる。
これまではセンサーの情報を集めて携帯電話に通知する親機をネット回線につなぐ方式だった。スマホの普及でパソコンを使わない世帯が増えているため、通信機能があるタブレットを親機代わりに使う。初期費用は1万9800円で月額980円で利用できる。
警備員は利用者の要請に応じ、提携先の地元の警備会社から派遣する。派遣料を1回5000円と別料金にして月々の負担をおさえた。
警備市場は大手や地元の有力企業が強く「ヒト」が主役の労働集約型の産業だった。最近は警備員が立つ常駐警備からセンサーや防犯カメラなどを使う機械警備にシフトしつつある。
ベンチャーが相次ぎ参入するのはこのためだ。クラウドを使えば個別に録画装置を持たずに済み、映像もスマホで簡単にチェックできる。カメラの性能が高くなり設備コストも下がってきた。
飲食店予約システムのエスキュービズム・テクノロジー(東京・港、武下真典社長)は、9月にスマホでホテルなどの鍵を開閉するシステムで市場に参入した。
多言語対応の専用アプリを開発。パスワードと近距離無線通信規格「ブルートゥース」を使い利用日限定でスマホを鍵にする。アプリには観光案内やタクシーの配車といった機能も盛り込める。防犯機能に利便性を加えて、初年度100施設の契約を狙う。
日本防犯設備協会(東京・港)は「今後はドローン(小型無人飛行機)で侵入者を発見するといった新しいサービスの普及も期待できる」と指摘。小売店の監視カメラで蓄積した映像データを販売マーケティングに応用するといった派生ビジネスも広がりつつある。